• 更新日:2026/03/02

簿記2級の合格率は、実施回によって大きな変動が見られます。特に統一試験においては、合格率が3倍以上開くケースもあります。全体では20%台での推移が一般的ですが、数値の低さに不安を感じる受験者も少なくないでしょう。

しかし、正しい対策を講じれば、簿記2級は十分に合格を狙える資格です。適切な戦略を立てて臨んだ受験者の多くが合格を勝ち取っています。本記事では、簿記2級の合格率が20%程度にとどまる理由や、3級に比べて難易度が上がる理由について説明します。ぜひ参考にしてください。

簿記2級の合格率と難易度推移:なぜ20%台が多いのか?

簿記2級の合格率は、試験方式や実施時期によって大きく変動しますが、平均は20%台です。

まず、合格率が低い理由を整理しましょう。簿記2級の合格率が全体的に20%台にとどまる背景には、試験の難易度そのものが高いことがあります。

3級にはなかった工業簿記が試験科目に加わるうえ、2016年度から3年間かけて実施された試験範囲の改定により、かつて1級の範囲だった内容も2級の出題対象となりました。

さらに、2021年の制度改定で試験時間が120分から90分に短縮されています。記述式で解答する形式は変わらないものの、2級では問題数が3級より増加しており、時間内に最後まで解答できない受験者も少なくありません。

次に、試験方式による合格率の違いを見てみましょう。簿記2級の試験方式は、ネット試験と統一試験の2つがあり、ネット試験の合格率は、2020年12月~2021年3月の期間が46.6%、2023年4月~2024年3月の期間が35.2%と、ある程度の変動はあるものの比較的安定しています。一方、統一試験の合格率は実施回によって大きくバラつき、回によっては3倍以上の開きが生じることもあります。

合格率に差が生じる理由は、簿記2級が絶対評価制度(100点満点中70点以上で合格)を採用しているためです。統一試験では回ごとに同じ問題が出題されるため、難易度の高い問題が多い回は合格率が下がり、取り組みやすい問題が中心の回では合格率が上昇します。一方、ネット試験では受験者ごとに問題がランダムに生成されるため、合格率が安定する傾向です。

※参考:簿記2級受験者データ(統一試験)|商工会議所の検定試験(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class2

※参考:簿記 2級・3級受験者データ(ネット試験) | 商工会議所の検定試験(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class2-3

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統一試験(ペーパー)合格率の大きな変動と要因

統一試験の合格率は実施回によって大きな差があり、近年は特に低下傾向が見られます。合格率低下のおもな要因は、出題範囲の拡大です。外貨建取引やリース取引など、以前は1級の範囲だった内容が2級に組み込まれたことで、学習負担が大幅に増加しました。

以下に、合格率が高いときの状況をピックアップしました。

実施回 実施日 合格率
133回 2013.2.24 47.6%
108回 2004.11.21 46.9%

一方、合格率が低かった回は以下のとおりです。

実施回 実施日 合格率
165回 2023.11.19 11.9%
157回 2021.2.28 8.6%
141回 2015.11.15 11.8%

統一試験は出題される問題の難易度にばらつきがあり、事前の難易度予測が困難です。

※参考:簿記2級受験者データ(統一試験))|商工会議所の検定試験(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class2

ネット試験の合格率と難易度(統一試験との違い)

ネット試験(CBT)が導入されたのは、2020年12月です。簿記2級・3級で開始され、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、より柔軟に受験できる仕組みとして導入されました。試験時間や出題範囲は統一試験と同じで、パソコン上で入力や選択を行う点のみ異なります。

ネット試験の合格率を以下にまとめました。

実施期間 合格率
2025年4月~2025年12月 34.61%
2024年4月~2025年3月 35.7%
2023年4月~2024年3月 35.2%
2022年4月~2023年3月 37.1%
2021年4月~2022年3月 38.1%
2020年12月~2021年3月 46.6%

統一試験と比較すると、全体的にネット試験の方が高い合格率を維持している状況です。日本商工会議所は両方式に難易度の差はないとしていますが、実際の合格率には明確な差があります。

両方式の合格率に差が生まれる理由として、ネット試験は随時受験が可能で結果がすぐにわかることから、モチベーションを維持しやすい点が挙げられます。また、すぐに再受験できる環境が整っているため、短期間で知識を身につけて再挑戦できる点も、ネット試験の合格率を押し上げる要因といえるでしょう。

※参考:簿記2級・3級受験者データ(ネット試験)|商工会議所の検定試験(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class2-3

簿記3級との決定的な違い!難易度を押し上げる2つの要因

簿記2級は、3級に比べて出題範囲が広く、出題レベルも大きく上がるため、難易度が格段に高くなっています。難易度が上昇しているおもな理由には、次の2点が挙げられます。

・3級の商業簿記に加え、製造業の会計処理を扱う「工業簿記」が追加されるため
・基礎的なレベルが問われる3級とは異なり、2級では複雑な計算力や応用力が求められるため

要因1:初学者が苦戦する「工業簿記」の追加

簿記2級では、3級で扱う商業簿記に加えて「工業簿記」が出題されます。工業簿記とは、製造業を中心とした企業で、原材料の仕入れから製品完成までの過程を数値化・記録するための記帳技法です。

単純な暗記では点を取ることが難しく、全体像をイメージしながら体系的に理解する必要がある点が、初学者にとっての大きな壁です。工業簿記のおもな目的は財務諸表の作成であり、簿記2級の内容はより実務的です。原価計算の流れや勘定科目の構造を把握していなければ対応できません。

特に製造業にかかわりのない受験者にとっては、製品の製造過程や仕掛品、材料といった概念がつかみにくく、学習ハードルが高い分野といえます。

工業簿記への対策ポイントは、問題演習です。工業簿記の出題傾向は長年大きく変化していないため、出題傾向を分析し反映された講座で正しい対策をすれば着実に成果を上げられます。工業簿記の出題は全体の40%を占めるため、問題演習で定番問題を押さえましょう。

要因2:商業簿記の「応用論点」の網羅性

簿記2級の難易度上昇の理由として、改正により商業簿記の内容がより実践的になったことも挙げられます。2019年以降の試験では、もともと簿記1級で扱われていたテーマの一部が2級にも加わりました。その結果、学習範囲が広がり、より深い理解が必要になっています。

例えば、2019年以降の試験でほぼ毎回出題されているのが、連結会計の処理に関する問題です。親会社が子会社の株式を持っている場合の処理や、グループ内での取引の調整など、複数の要素を同時に整理しながら処理を行う必要があり、理解力と正確さの両方が問われます。

さらに、外貨建取引やリース取引、税効果会計など、実務に近い論点も追加され、覚えるべき仕訳や会計処理のパターンが格段に増えました。内容の複雑化と、暗記量の膨大さから、簿記2級は以前よりも難易度が高くなっているといえます。

このような内容の高度化により、簿記2級合格に必要な勉強時間は約250~500時間といわれ、毎日2時間の学習を4~8ヵ月継続する必要があります。継続的な学習が、知識を身につける近道になるでしょう。

まとめ

簿記2級の合格率は20%台と決して高くありません。合格率が低いおもな理由は、試験範囲の拡大や工業簿記の追加による難易度上昇などです。しかし、出題傾向を正しく把握し、戦略的に学習を進めれば、着実に合格ラインへ到達できます。

合格を勝ち取るポイントは、全ての問題を完璧に解こうとせず、第1問・第4問・第5問で確実に60点を確保する姿勢です。その上で第2問・第3問から部分点を積み上げることで、70点という合格ラインは十分に狙えます。時間配分を意識し、解答順序を工夫することも合格への近道となるでしょう。

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よくある質問

簿記2級の難易度は?

日商簿記2級の合格率は20%前後と低く、難易度が高い試験と言えます。商業簿記に加えて、工業簿記も試験科目となり、出題範囲が広まることが難易度が高い理由の一つです。

独学でなかなか学習が進まない場合、どうしたらいいでしょうか?

独学でスムーズに学習が進められない場合は、他の勉強方法を検討した方がよいでしょう。独学では、わからない点を放置しやすく、一度つまずくと勉強が進まなくなってしまいます。
そうした状況への解決策として、簿記の通信講座を検討するのもよいでしょう。

初学者が、いきなり簿記2級の合格を目指すことは可能?

簿記2級は、3級と比べると難易度が高く、数ヵ月から半年程度の学習が必要です。しかし自分に合った勉強方法で効率よく学習していけば、初心者でも合格は可能です。
ただし、簿記2級は、出題区分の改定により年々難易度があがっているといわれており、地道で効率的な学習と戦略が不可欠。適切なテキストと電卓選び、学習スケジュール設定、直前対策も重要です。

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