簿記検定試験を初めて受ける場合、まずは3級から受験する人が多いでしょう。この記事では、簿記3級の受験を考えている人に向けて、日商簿記3級の合格率や受験者数の実態、合格率が「30~40%台」で推移する理由、合格するための勉強法などを詳しく解説します。今後簿記3級を受験しようと考えている人や、合格率や勉強法をあらかじめ知っておきたい人は、参考にしてください。

【最新データ】日商簿記3級の合格率と受験者数の実態

直近の統一試験(ペーパー)とネット試験の受験者数(申込み者数)、実受験者数、合格者数、合格率は以下のとおりです。

受験者数(申込み者数)実受験者数合格者数合格率
統一試験(ペーパー)
170回(2025.6.8)
22,163名18,935名8,024名42.4%
ネット試験
(期間:2025年4月~2025年6月)
-62,574名26,114名41.7%

いずれも直近では合格率が40%台ですが、過去の推移と比較するといくつか違いがあります。統一試験(ペーパー試験)では、合格率がおよそ30〜40%台で推移してきました。近年の試験形式変更などにより、スピード性や形式の変化が合格率に影響を与えた可能性があります。

一方、ネット試験(CBT方式)では、合格率が37〜41%程度で推移しており、統一試験と比べて変動が比較的小さい傾向にあります。

なお、簿記3級の評価方式は絶対評価で、合格基準は100点満点中70点以上と定められており、相対評価方式ではありません。

※引用:簿記 受験者データ|商工会議所の検定試験(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data

統一試験(ペーパー)の合格率推移と分析

過去数回分の統一試験(ペーパー)の受験者数(申込み者数)や実受験者数、合格者数、合格率は以下のとおりです。

受験者数(申込み者数) 実受験者数 合格者数 合格率
170回(2025.6.8) 22,163名 18,935名 8,024名 42.4%
169回(2025.2.23) 24,681名 21,026名 6,041名 28.7%
168回(2024.11.17) 22,922名 19,588名 5,785名 29.5%
167回(2024.6.9) 24,497名 20,927名 8,520名 40.7%
166回(2024.2.25) 28,565名 23,977名 8,706名 36.3%
165回(2023.11.19) 30,387名 25,727名 8,653名 33.6%
164回(2023.6.11) 31,818名 26,757名 9,107名 34.0%
163回(2023.2.26) 37,493名 31,556名 11,516名 36.5%
162回(2022.11.20) 39,055名 32,422名 9,786名 30.2%
161回(2022.6.12) 43,723名 36,654名 16,770名 45.8%
160回(2022.2.27) 52,649名 44,218名 22,512名 50.9%
159回(2021.11.21) 58,025名 49,095名 13,296名 27.1%
158回(2021.6.13) 58,070名 49,313名 14,252名 28.9%
157回(2021.2.28) 70,748名 59,747名 40,129名 67.2%

上記の表からわかるように、簿記3級試験の合格率は試験を行う時期によって多少の差はありますが、ここ数年では合格率はおおむね30~40%台で推移しています。

しかし、157回(2021.2.28)は合格率が67.2%と、例年に比べて高い水準でした。この回で合格率が高かった理由のひとつとして、新試験への移行が影響した可能性が考えられます。簿記3級試験は、2021年度より試験の形式が変更されました。具体的には、旧方式(120分・大問5問)から新方式(60分・大問3問程度)へと変更されています。

なお、旧方式と新方式では試験範囲は基本的に同じで、出題難易度も大きく変わっていません。その結果、新方式導入後には合格率が低下傾向を示すことが多い一方で、出題そのもののレベルは必ずしも高くないとの声もあります。

その背景には、より迅速に問題を解くことが求められるようになった点が影響しているでしょう。実は、旧試験から新試験に移行するにあたり、試験のコンセプトも変更されています。

新方式では、試験時間が120分→60分と半減されたものの、設問数は5問→3問と完全には半減しておらず、そのため以前以上にスピード力が求められるようになりました。したがって、現在の簿記3級試験では、スピードを意識した対策が不可欠であり、従来型(旧方式)対策だけでは不十分となる可能性があります。

※引用:簿記 3級受験者データ(統一試験)|商工会議所の検定試験(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class3

ネット試験(CBT)の合格率と統一試験との比較

ネット試験(CBT)の受験者数や合格者数、合格率は以下のとおりです。

期間 受験者数 合格者数 合格率
2025年4月~2025年6月 62,574名 26,114名 41.7%
2024年4月~2025年3月 254,433名 98,235名 38.6%
2023年4月~2024年3月 238,155名 88,264名 37.1%
2022年4月~2023年3月 207,423名 85,378名 41.2%
2021年4月~2022年3月 206,149名 84,504名 41.0%
2020年12月~2021年3月 58,700名 24,043名 41.0%

ネット試験(CBT)の合格率はおおむね 37~41%程度で、比較的変動が小さい傾向があります。

なお、ネット試験(CBT)は全国のテストセンターの会場を選択でき、定められた期間内であれば任意の日時で受験可能です。結果発表については、試験終了後すぐに合否が判定されます。

また、ネット試験(CBT)ではテストセンター設置のパソコンを使って解答する点が特徴です。いわゆる「CBT(Computer Based Testing)」方式と呼ばれる形式で、出題は問題データベースからランダムに抽出される仕組みになっています。

※引用:簿記 2級・3級受験者データ(ネット試験)|商工会議所の検定試験(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data/data_class2-3

簿記3級の合格率はなぜ「30~40%台」で推移するのか?

簿記3級試験の合格率が30~40%台で比較的安定している大きな理由のひとつは、簿記の基礎知識を理解し、適切に対策すれば、合格可能な難易度であるからと考えられます。

しかしその一方で、受験者の半数以上が不合格となるのも現実です。その理由として、基礎知識の定着不足が大きな要因として挙げられます。簿記3級の試験は、初心者の場合、聞き慣れない専門用語など知識の定着に時間がかかることも少なくありません。

また、試験会場では問題用紙や解答用紙がその場で回収されるため、過去に出題された本試験問題は非公開とされ、入手できないという点も頭に入れておくべきです。簿記3級合格を目指すなら、基礎知識を定着させるだけでなく、出題傾向を踏まえた模試や演習を繰り返し、試験形式に慣れておくことが重要です。

また、統一試験とネット試験では受験方式が異なるため、当日あわてないよう、事前に形式に慣れておかなければなりません。

統一試験では手書きで解答用紙に記入する一方、ネット試験では受験者が会場のパソコンにログインして解答を進める方式です。方式が異なるため、それぞれに応じた準備が不可欠です。特にパソコン操作に慣れていない方は、本番に向けて操作手順の練習をしておくことをおすすめします。

そのほか、確実に合格を狙うなら、簿記3級試験に関する最新の制度・ルール・出題傾向などを日々チェックし、情報収集を怠らないことも重要です。

合格率に左右されない!簿記3級に「一発合格」するための勉強法

簿記3級に一発合格を目指すなら、通信講座の活用がおすすめです。

通信講座なら試験のポイントを押さえた講義や専用テキストがあるため、効率よく勉強できます。通学の必要がなく、質問もできるなど、サポート体制が整っているのも魅力です。通信講座なら独学よりもモチベーションを保ちやすいでしょう。

また、自分に合った参考書を一冊選び、繰り返し読みながら問題を解いたり、アプリを活用して空き時間に勉強したりといった方法も効果的です。

簿記3級合格に必要な勉強時間は100時間?効率的な勉強方法を紹介

まとめ

簿記3級の合格率はあくまで目安!正しい努力で突破しよう


解説したように、簿記3級試験の合格率は、統一試験(ペーパー方式)でもネット試験(CBT方式)でも、おおむね30~40%台で推移しています。

ただし、簿記3級の合格率はあくまで目安です。簿記3級に合格するには、基礎知識を身につけることに加えて、短時間で解く力が求められる新試験形式への対策や、受験方式に合わせた対策が欠かせません。確実に合格するために、基礎知識を身につけつつ、試験に向けた対策と情報収集を行いましょう。

なお、簿記3級の合格を目指す勉強法としては、ユーキャンの通信講座も有力な選択肢のひとつです。

ユーキャンの簿記3級講座では、試験のポイントを押さえた講義や専用テキストが用意されているだけでなく、初心者が3ヵ月で合格を目指せるスケジュールが組まれています。動画講義や模擬試験などもそろっているため、簿記3級に短期間での合格を目指す方は、ぜひチェックしてみてください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

いくつかある簿記検定の中で、役に立つ資格はどれ?

簿記検定には、日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類があります。日商簿記は、最も知名度が高く、社会人が取得することも多いため、就活にも有利です。

簿記検定は独学でも合格できますか?

簿記資格は独学でも取得することができます。ただし、独学では、疑問点や学習の悩みにもすべて自力で解決しなくてはならず、間違った勉強方法で学習が非効率になったり、モチベーションが続かなくなるリスクも…。独学で乗り切る自信がない人は、スクールや通信講座など、自分にあった方法で学習することが大切です。

簿記検定の資格・スキルはどんな仕事で活かせますか?

企業の経理部門や会計事務所の事務員など幅広い職種で活かせます。お金や数字の流れを把握するため、ビジネスのさまざまな場面で役立つので、自営業や会社の経営者の方、社会人の一般常識としても活用できます。

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