簿記検定とは、企業などのお金の流れを帳簿に記録するためのスキルを学び、習得度を測るための検定です。簿記検定には3級・2級・1級の他に初級が設けられています。この記事では、簿記初級の概要や検定合格に向けた勉強方法などを解説します。他の級との違いも解説するため、ぜひ参考にしてください。

簿記初級(旧簿記4級)とは

仕訳とは、すべての取引を帳簿に記録することを指します。簡単にいえば、どのような取引を行ってどのようにお金が動いたのかを分類、記録する作業です。取引を帳簿に記載する際には簿記のルールに従って記録する必要があります。簿記初級とは、日本商工会議所が主催する簿記検定の入門級です。2016年度までは簿記4級として試験が行われていましたが、2017年度から簿記初級と改称され、会場試験からネット試験に変更されました。

簿記初級は、簿記の入門となるもので簿記の基礎知識を学ぶことができます。複式簿記や財務諸表の基礎が学べるため、初めて簿記に触れるという人でも基本的なルールを身につけられます。ビジネスの基礎的な知識として簿記を学びたい、というニーズを満たす試験でもあり、専門性の高い内容は含まれていません。

ここでの取引とはお金の増減のことを指しており、企業間で行われるような交渉や商談を指すわけではありません。商品を仕入れて現金を支払った、商品を販売して現金が増えたというような、お金の動きを指します。

取引を帳簿に記載する際は、借方と貸方に分類し、勘定科目と金額を記録します。たとえば、商品を仕入れて現金で代金を支払ったとしましょう。商品を仕入れて現金5,000円を支払った場合は、以下のように仕訳をします。

簿記初級の目的を解説

簿記初級の目的は、簿記の基本的な仕組みを理解したり、帳簿を読み取ったりする技能を身につけることです。簿記初心者向けの試験であり、入門級として知られています。そのため、簿記に関する知識がまったくない、簿記3級を取得したいが内容が理解できないなど、基本的な知識を身につけたい人におすすめです。

簿記初級を取得するメリットとは

簿記初級を取得するメリットは以下の3つです。

  • 大学受験や就職・転職の際に有利になる
  • 上位級を取得するための基礎知識を学べる
  • 日常生活でも役立つ

経理の基礎が身についていると認識されるため、受験や就職・転職などで有利に働く可能性があります。また、基礎知識が身につくため上位級取得への足掛かりにもなります。家計簿などもつけやすくなるため、日常生活でも役立つでしょう。

簿記初級の試験概要とは

簿記初級の試験概要を表にまとめました。

レベル 簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用できる
受験資格 なし
合格基準 100点満点で70点以上
試験方式 インターネットを介し、試験から採点、合否判定窓を行うネット試験
試験時間 40分
試験会場 商工会議所ネット試験施行機関
試験日 試験施行機関により決定される
受験料 2,200円

簿記初級の出題範囲

簿記初級の出題範囲は以下の表のとおりです。

大問 簿記の基本原理 仕訳問題 試算表の問題
出題内容 ・基本概念
・取引
・勘定
・帳簿
・証ひょうと伝票
・現金預金
・売掛金と買掛金
・その他の債権と債務
・手形
・商品
・固定資産
・純資産
・収益と費用
・税金
定められた勘定科目の範囲で、試算表による月次集計を行う
配点 30点 40点 30点

簿記の基本原理は、四肢択一の選択問題となっています。簿記の基本的な知識が問われる内容だといえるでしょう。仕訳問題は、取引の文章を読み仕訳を回答する形式です。試算表の問題は、試算表を読み解き指定された金額を推定・集計する問題が出されます。

簿記初級の合格率

直近5年の簿記初級の合格率は以下のとおりです。

期間 受験者数 合格者数 合格率
2018年4月1日~2019年3月31日 4,182名 2,421名 57.9%
2019年4月1日~2020年3月31日 4,284名 2,545名 59.4%
2020年4月1日~2021年3月31日 3,988名 2,516名 63.1%
2021年4月1日~2022年3月31日 3,644名 2,341名 64.2%
2022年4月1日~2023年3月31日 3,353名 2,062名 61.5%

このように、簿記初級の合格率は60%前後で推移しており比較的高い合格率を示しています。受験者数は減少傾向にありますが、合格率は上昇しています。

簿記初級の申込方法

簿記初級の申し込み方法は以下のとおりです。

  • 1.試験会場を探す
  • 2.試験日、申込方法を確認する(会場ごとに異なる )
  • 3.受検を希望するネット試験会場に申込む
  • 4.試験当日、本人確認書類を持って会場に行く
簿記初級はネット試験となっており、試験会場によって試験日や申込方法が異なります。最寄りの会場を探して、試験日や申込方法を確認しましょう。


簿記初級に合格するために勉強時間

勘定科目は「簿記の知識がまったくない初心者で、独学で勉強する場合には70時間程度が目安となります。たとえば、1日2時間勉強するとしましょう。その場合には、1か月ほどで合格を目指せるぐらいの難易度です。簿記の知識が多少はあるという場合には、より短時間の勉強期間で取得できる可能性が高いでしょう。資産」「費用」「負債」「収益」「純資産」の5つに分けられますが、各グループの具体的な仕訳例を解説します。

簿記初級と簿記3級との違い

簿記初級と簿記3級にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、簿記3級との違いやおすすめの級、2級との違いなどを解説します。

出題範囲の違い

簿記初級と3級は、出題範囲が異なります。それぞれの出題範囲は以下のとおりです。

  • 初級:簿記の基本原理、期中取引の処理、月次集計など
  • 3級:簿記の基本原理、期中取引の処理、月次集計、株式会社会計など
このように、出題範囲に大きな差はないものの、3級からは株式会社会計などが加わります。どちらも入門者向けではありますが、3級の方が出題範囲は広いためより簿記に関する理解が必要になります。


試験時間・方式・試験日の違い

初級と3級では、試験時間や試験方式、試験日などにも違いがあります。

試験時間 試験方式 試験日
初級 40分 ネット試験 随時開催
3級 60分 ペーパーテストもしくはネット試験 ペーパーテスト:年3回
ネット試験:随時開催

3級では初級よりも試験時間が長く取られています。また、試験方式もペーパーテストが追加されており、自分の都合のいい試験方式を選ぶことが可能です。ペーパーテストは年3回と決まっているため、スケジュールをしっかり立てたいという場合にもいいでしょう。

勉強時間の違い

初級と3級の勉強時間は以下のとおりです。

  • 初級:70時間ほど
  • 3級:100時間ほど
初級と3級では出題範囲が異なります。3級の方が出題範囲は増えており、3級取得までに必要な勉強時間も長くなる傾向にあります。まったく簿記の知識がないところから勉強を始める場合には、100時間程度かかるでしょう。1日に2時間程度の勉強時間を確保できるなら初級は1か月程度、3級は3か月程度の期間が必要です。


簿記初級と簿記3級どちらがおすすめ?

結論からいうと、簿記3級の方がおすすめです。簿記初級と3級は、出題範囲や試験時間、必要な勉強時間などに多少の差はありますが、大きな違いはないといえます。そのため、3級からチャレンジしたほうが効率的です。

また、受験者数や対策本、講座の数なども3級の方が多くなっています。独学でも教本を手に入れやすく、講座を受ける場合にも選択肢が多くなるため、簿記に対して余程の苦手意識がない場合には3級から取得するといいでしょう。

簿記2級・3級との違い

簿記2級と3級では、出題範囲が大きく異なります。3級では簿記の基礎的な知識を求められましたが、2級からは商業簿記だけでなく工業簿記も出題されます。工業簿記とは製造業を対象とした簿記で、計算方法の理解力などが必要です。商業簿記の配点が60点、工業簿記が40点となっているため、どちらも満遍なく勉強する必要があります。

合格率は20%前後と簿記初級や3級よりも低く、難易度の高い試験です。必要な勉強時間は300時間程度と、3級の3倍程度の勉強時間が求められます。

企業での経理事務に行かせるスキルや知識が身につくため、より実践的なスキルを習得したい場合にはいいでしょう。簿記2級は3級と同様に、ペーパーテストとネット試験双方に対応しています。

簿記初級は独学でも目指せる?

簿記初級は独学でも取得できる資格です。簿記初級は簿記の基本的な知識が必要になる試験で、難易度はさほど高くありません。まったく簿記に関する知識がない状態でも、コツコツ勉強できるのであれば、独学でも問題なく取得できるでしょう。

合格率は60%前後と高めのため、しっかりと対策して試験に臨めば問題ありません。おすすめの勉強方法は問題をたくさん解くことです。参考書や過去問を繰り返し解くなどして、さまざまな問題を解くことが重要です。多くの問題を解きパターンに慣れておき、どのような問題が出題されても大丈夫な状態にしておきましょう。

簿記初級の合格に向けたおすすめの勉強方法

簿記初級にスムーズに合格したいのなら、勉強方法を工夫することが大切です。

学習を計画的に進める

まず、しっかりとスケジュールを立てて勉強を進めましょう。簿記初級はネット試験であるため、所定の期間内であれば自分の好きなタイミングで受験することが可能です。年3回というように試験日が定められていないため、自分で計画を立てて勉強を進めることがポイントです。

短期間で暗記するなど、知識を詰め込んで臨むのではなく、継続的に勉強をしたほうが知識は定着しやすくなります。1日2時間というように勉強時間を決めて、毎日コツコツと勉強しましょう。

繰り返し問題集・過去問を解く

簿記初級では、問題を繰り返し解くことが重要になります。問題を解くうえでテキストから簿記の基本的な知識を得ることは大切です。しかし、それだけではスキルが身についたとはいえません。問題集や過去問を繰り返し解くことで、試験に役立つスキルが身につけられます。

また、過去問を解くことで試験の傾向を把握できます。適切な時間配分を考えながら試験を受けられるようになるため、時間が足りなくなったというようなミスが起こりにくくなるでしょう。

パソコンの操作に慣れておく

前述したとおり、簿記初級はパソコンから受験します。試験に備えてパソコン操作に慣れておくといいでしょう。簿記検定公式サイトでは、操作体験版としてサンプル問題が提供されているため、事前にチェックしておくと安心です。

まとめ

簿記初級は簿記の入門級であり、簿記の知識がない初心者でもコツコツ勉強すれば取得できる資格です。簿記初級からチャレンジするのも悪くありませんが、出題範囲などに大きな差がないため3級から挑戦することをおすすめします。

ユーキャンの簿記3級資格取得講座は、わかりやすいテキストが魅力の講座です。マンガパートでわかりやすいレッスンに、一問一答集や模擬試験プログラムなどもセットになっています。添削指導やメールによる質問などサポートも充実しており、初心者でも安心です。簿記3級の取得をお考えなら、ぜひご受講ください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

いくつかある簿記検定の中で、役に立つ資格はどれ?

簿記検定には、日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類があります。日商簿記は、最も知名度が高く、社会人が取得することも多いため、就活にも有利です。

簿記検定は独学でも合格できますか?

簿記資格は独学でも取得することができます。ただし、独学では、疑問点や学習の悩みにもすべて自力で解決しなくてはならず、間違った勉強方法で学習が非効率になったり、モチベーションが続かなくなるリスクも…。独学で乗り切る自信がない人は、スクールや通信講座など、自分にあった方法で学習することが大切です。

簿記検定の資格・スキルはどんな仕事で活かせますか?

企業の経理部門や会計事務所の事務員など幅広い職種で活かせます。お金や数字の流れを把握するため、ビジネスのさまざまな場面で役立つので、自営業や会社の経営者の方、社会人の一般常識としても活用できます。

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