• 更新日:2024/03/01

FP(ファイナンシャルプランナー)3級は、FPとして働きたい人が最初に取得するのに最適な資格です。
この記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)3級の難易度や合格率をはじめ、メリットや勉強方法などについて解説します。FP3級合格を目指す人は、ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • FP3級とは、国家資格の「3級FP技能士」を指し、FPを目指すにあたっての入門資格。
  • FP3級の合格率は約70~80%で、他の国家資格の中でも易しい方であると言える。
  • 日本FP協会が実施するFP3級試験の合格率は、学科試験で約70~90%、実技試験で約80~90%の間で推移。
  • FPの知識はキャリアだけでなく、私生活でも役に立つ。


FP(ファイナンシャルプランナー)3級試験の概要

FP(ファイナンシャルプランナー)3級とは、正確には国家資格である「3級FP技能士」を指し、FPを目指すにあたっての入門資格となります。

ここではFP(ファイナンシャルプランナー)3級試験の概要について解説します。試験範囲や受検資格や受検地、受検手数料など参考にしてください。

「日本FP協会」「きんざい」の試験概要比較

FP(ファイナンシャルプランナー)3級は「日本FP協会」と「金融財政事情研究会(きんざい)」の2団体が実施しています。そのため、受検の申し込みをする際、どちらかの団体で受検するか選択する必要があります。ここでは項目ごとに2団体の試験概要を把握しましょう。大きく違うのは実技試験の科目のみとなります。合格率にも大きく違いがありますが、後ほどのこの理由を解説いたします。

FP協会 きんざい
試験範囲(学科) ・ライフプランニングと資金計画 同左
・リスク管理
・金融資産運用
・タックスプランニング
・不動産
・相続、事業承継
試験範囲(実技) ・資産設計提案業務 ・個人資産相談業務
・保険顧客資産相談業務
※どちらか1つを選択
合格点(学科) 60点満点中36点以上 同左
合格点(実技) 100点満点中60点以上 50点満点中30点以上
出題形式(学科) マークシート(60問) 同左
出題形式(実技) マークシート(20問) マークシート(15問)
試験時間 学科:120分 学科:120分
実技:60分 実技:60分
受験料※非課税 学科と実技:8,000円 同左
学科:4,000円
実技:4,000円
合格率(学科) 約70~80% 約50~70%
合格率(実技) 約80~90% 約40~60%
試験日程 1月・5月・9月 同左
受検資格 特になし 同左
※FP業務に従事している者または従事しようとしている者
受検地 47都道府県の中から指定 同左
主催元 特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 一般社団法人 金融財政事情研究会

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の受検資格と受検者層

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の受検資格は、「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」と定められています。ただし、申し込みの際に特別な書類を添付する必要はないため、実際には誰でも受検可能です。金融、保険、不動産などの業界に関わる人だけでなく、学生や主婦も受検しています。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の受検手数料、受検地、試験会場

受検手数料は、学科試験と実技試験のそれぞれで4,000円かかります。受検地は、申し込みの際に希望する場所を47都道府県の中から指定できます。ただし、具体的な試験会場を選ぶことはできません。自分が受検する試験会場は、申し込み後に送られてくる受検票に記載されているのでしっかり確認しましょう。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級で出題される科目と範囲

FP(ファイナンシャルプランナー)3級では、学科試験・実技試験ともに以下の6分野から出題されます。
「日本FP協会」でも「きんざい」でも、学科試験はマークシート形式で行われ、3択問題が30問出題されます。60点満点中36点以上取ることができれば合格です。

ライフプランニングと資金計画

・論理、関連法規、手法
・社会保険
・公的年金
・企業年金や個人年金
・年金と税金
・資金計画と最新の動向
・ローンとカード

リスク管理

・リスクマネジメント
・保険制度全般
・生命保険
・損害保険
・第三分野の保険
・リスク管理と保険
・最近の動向

金融資産運用

・マーケット環境
・預貯金、金融類似商品
・投資信託
・債券投資、株式投資
・外貨建て
・保険商品
・金融派生商品
・ポートフォリオ運用
・税、法規、セーフティーネット
・最近の動向

タックスプランニング

・税制と所得税のしくみ
・各種所得と損益計算
・所得控除、税額控除
・所得税の申告、納付
・個人住民税、個人事業税
・最近の動向

不動産

・見方、取引、法令上の規制
・不動産の取得・保有に関する税金
・不動産の譲渡に関する税金
・不動産賃貸
・不動産の有効活用
・不動産の証券化
・最近の動向

相続・事業承継

・贈与に関わる法律と税
・相続に関わる法律と税
・相続財産評価
・不動産や保険の相続対策
・最近の動向


FP(ファイナンシャルプランナー)3級の実技試験

日本FP協会 きんざい
資産設計提案業務 個人資産相談業務
保険顧客資産相談業務

FP3級の実技試験では試験実施団体によって違いがあります。日本FP協会の実技試験では、「資産設計提案業務」に関する問題が20問出題されます。100点満点中60点以上の得点で合格です。一方、きんざいの実技試験では、「個人資産相談業務」または「保険顧客資産相談業務」のうち、受検者が選択したほうの問題が5題15問出題されます。50点満点中30点以上の得点で合格です。
どちらの団体が実施する試験でも、合格すれば同じように「FP3級技能士」の国家資格を取得できます。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の難易度は?

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率が約70〜80%であることから、FP3級の難易度は国家資格の中でも易しい方であると言えます。ただし、誰でも受かるわけではありません。学科試験だけでなく実技試験もあるためきちんとした対策が必要です。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級は合格しやすい

3級の試験はファイナンシャルプランナー(FP)に関する基礎知識が出題されるため、短時間の勉強でも合格できる可能性があります。出題傾向も毎年あまり変わらないので、対策しやすいといえるでしょう。学科試験と実技試験はいずれもマークシート式で、実技試験が100点満点中、60点以上を取れば合格です。絶対評価なので、受検する時期によって合格ラインが変化することはありません。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格基準点は6割以上

3級に合格するには学科試験と実技試験の両方の得点率が60%を超えている必要があります。資格試験によっては、受検者のうち得点が上位の数%だけが合格になる相対評価を行っている場合もあります。ファイナンシャルプランナー(FP)3級の資格試験は絶対評価です。きちんと勉強して対策を取れば、自分のペースで合格できます。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率はどのくらい?

2023年1月実施のFP3級試験の合格率は、FP協会の学科合格率が85.25%、実技合格率が88.34%、きんざいの学科合格率が56.00%、実技合格率が50.95%でした。

ここでは、FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率について解説します。

【日本FP協会】FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率の推移

日本FP協会が実施するFP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率は、学科試験は約70~90%、実技試験は約80~90%の間で推移しており、それぞれ高い水準で推移しています

【日本FP協会 FP3級合格率】

試験年月 学科試験 実技試験
2023年1月 85.25% 88.34%
2022年9月 80.78% 84.44%
2022年5月 83.37% 90.33%
2022年1月 87.01% 90.75%
2021年9月 84.69% 80.50%
2021年5月 83.25% 76.65%
2021年1月 87.92% 86.53%
2020年9月 89.64% 88.04%
2020年5月 中止 中止
2020年1月 85.34% 79.45%
2019年9月 78.09% 79.48%
2019年5月 69.07% 86.42%
2019年1月 74.09% 83.38%

【きんざい】FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格率の推移

きんざいが実施するFP(ファイナンシャルプランナー)3級試験の合格率です。学科試験は約40~70%、実技試験は約40~60%の間で推移しています

【きんざい FP3級合格率】

試験年月 学科試験 実技試験
<個人>
実技試験
<保険>
2023年1月 56.00% 67.56% 40.05%
2022年9月 43.41% 58.23% 43.28%
2022年5月 49.03% 62.24% 45.64%
2022年1月 62.52% 53.14% 39.53%
2021年9月 53.31% 43.25% 48.68%
2021年5月 47.81% 59.63% 47.76%
2021年1月 63.75% 58.63% 56.01%
2020年9月 69.28% 35.28% 56.20%
2020年5月 中止 中止 中止
2020年1月 65.43% 50.22% 48.19%
2019年9月 62.77% 45.44% 43.31%
2019年5月 42.76% 54.35% 44.85%
2019年1月 51.91% 56.21% 39.32%

【日本FP協会】と【きんざい】で合格率に差がある理由は?

学科試験は、日本FP協会ときんざいとで全く同じ問題や合格基準が用いられ、難易度に差はありません。合格率の差の背景に、日本FP協会の受験者レベルの高さが考えられます。きんざいは金融機関の団体申込が多く、試験対策不足の可能性も。
実技試験は、日本FP協会の方が少し易しいといわれています。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の合格者の年齢や業種

FP(ファイナンシャルプランナー)3級のFP3級の合格者は、仕事でのキャリアアップだけでなく、日々の生活にも活かせることで、幅広い業種、年齢の方々が毎年受検、合格しています

キャリアアップや独立・開業を目的とした社会人

金融、保険、不動産などの業界に関わる人には、キャリアアップや独立・開業の手段のために、教育関連のメディアや塾などの教育機関に関わる人には、子どもの教育費やキャリアプランなどに対してライフプランや資産運用に関連した知識の活用のために取得されています。

学生や主婦の受験も増加

入社後にFP資格の取得を推奨する企業も多いため、学生の就職の際の大きな武器として取得されるケースも多く、住宅ローンや保険、家計など自分や家族の生活に役立てることを目的として取得する主婦の方などのも受検も増えています。

参考:CFP®・AFP認定者 業種別属性・年代別属性データ

日本FP協会ときんざいともに、合格者の詳細データを公開していませんが、日本FP協会では、FP1級、FP2級と同等水準の民間資格、CFP®・AFP認定者のデータを紹介しています。
こちらのデータを見ると、実に様々な年代や業種の方が合格していることが分かります。
FP3級はCFP®・AFPよりも難易度が易しいため、より幅広い属性の方が合格していると考えられます。

年齢別属性

年代 割合
10~20歳代 8%
30歳代 15%
40歳代 27%
50歳代 33%
60歳代以上 17%

業種別属性

業種 割合
生保・損保 22%
証券 20%
事業会社 13%
銀行・金融 12%
FP事務所・士業事務所 7%
不動産・住宅 6%
協同組合 4%
官公庁・自治体・団体 4%
学生・主婦・主夫・その他 12%

FP(ファイナンシャルプランナー)3級を取得するメリット

ここでは、FP(ファイナンシャルプランナー)3級を取得するメリットについて解説します。

学んだことを生活に役立てることができる

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の勉強では、個人の資産を管理するために必要な基礎知識を学べます。勉強した内容は、自分や家族の生活に役立てることができます。一般的に、実務にスキルを活かせるのは2級以上となります。

3級を取得するだけでは就職や転職において有利になるとはいえませんが、未経験から金融、保険、不動産などの業界を目指す際に、アピールポイントになる場合もあります。

FP(ファイナンシャルプランナー)2級の受検資格を得られる

FP(ファイナンシャルプランナー)2級の試験を受けるには、受検資格を満たしている必要があります。2級の受検資格は4種類ありますが、その中でも最も満たしやすいのは3級に合格することです。FP(ファイナンシャルプランナー)の資格は2級以上なら履歴書に記載できるため、3級を取得したうえで2級の取得を目指すのもおすすめです。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級試験の勉強に必要なことは?

実際に勉強をはじめるにあたり、何が必要になるのでしょう。ここでは、FP(ファイナンシャルプランナー)3級試験の勉強に必要なことについて解説します。

きんざいと日本FP協会のどちらで受けるか決めておく

日本FP協会の試験ときんざいの試験の大きな違いは、実技試験の科目です。日本FP協会では「資産設計提案業務」について、きんざいでは「個人資産相談業務」または「保険顧客資産相談業務」について出題されます。日本FP協会の試験のほうが合格率は高い傾向にありますが、自分が得意な科目や業務に関係する方を選ぶといいでしょう。

学習スケジュールをしっかりと立てる

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の試験は、計画的に勉強すれば独学でも合格を目指せます。ただし、独学では法改正に対応しにくかったり、モチベーションを維持できずに挫折したりことがあるため、スケジュール管理が重要になります。試験の3カ月前には勉強を始め、1カ月前には過去問題に挑戦できるようにしましょう

FP(ファイナンシャルプランナー)3級の効率的な勉強方法は?

効率良く資格を取得するにはコツがあります。ここでは、FP(ファイナンシャルプランナー)3級に合格するためのコツを2つ紹介します。

学科と実技を同時に受検する

実際に受検する際は、学科試験と実技試験の両方を同時に受検するのがおすすめです。学科試験と実技試験は出題範囲がほとんど同じであり、学科試験のための勉強で身につけた知識をそのまま実技試験にも活かせます。また、法改正は短いスパンで行われる傾向にあります。学科試験と実技試験を同時に受ければ、法改正された内容を改めて勉強しなおす必要もありません。

通信講座を利用する

AFP認定研修の認定スクールで勉強すれば、3級を取得しなくても2級の受検が可能です。ユーキャンのFP(ファイナンシャルプランナー)通信講座もこれに該当するため、3級に合格しなくても2級の試験に挑戦できます。スムーズに2級を取得できれば、スキルアップのための1級の取得も効率的に目指せます。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級は自分のライフプランにも役立つ!

FP(ファイナンシャルプランナー)として身につけた知識はキャリアだけでなく、私生活でも役に立ちます

FP(ファイナンシャルプランナー)は6分野について学習しますが、例えば金融資産運用の分野では幅広い金融商品について知れるため、資産運用を始める際に役立ちます。

また、FP(ファイナンシャルプランナー)の主な仕事の一つに顧客のライフプランニングがあり、その知識を身につけると自身のライフプランを作成することもできます。子どもの教育資金としていくら必要なのか、住宅ローンを繰り上げ返済した方がいいのかなど、家族の適切なライフプランを立てることにも役立ちます。

FP(ファイナンシャルプランナー)3級と他資格の難易度を比較

FP(ファイナンシャルプランナー)の資格試験には、どの程度の難しさがあるのでしょう。ここでは、他の資格の難易度と比較します。

資格 平均合格率
FP(ファイナンシャルプランナー)3級 70%
日商簿記3級 40%
宅地建物取引士 15%
行政書士 11%

まとめ

FP(ファイナンシャルプランナー)3級は他の試験に比べて難易度が低く、基本的に誰でも受検可能です。ただし、実務で役立つのは2級以上となります。FP(ファイナンシャルプランナー)を目指すのであれば、3級だけでなく2級以上の資格取得にもチャレンジしてみてください。

ユーキャンのFP(ファイナンシャルプランナー)資格取得講座を修了すれば、FP(ファイナンシャルプランナー)2級の受検資格を得られます。講座の動画やテキストは、スマホ、パソコン、タブレットから閲覧可能です。法改正に関する情報も素早く知ることができ、勉強のスケジュール管理も任せられます。効率的に勉強を進めて資格取得を目指しましょう。


生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

FP2級と3級の違いは?

FP2級は、3級の出題範囲に加えて、法人のファイナンシャル・プランニングが追加されています。3級は個人資産に関連する相談業務に必要な技能を身につけるのに対し、2級はさらに中小企業の資産相談業務の内容が加わるため、より専門的な知識が必要です。

FP技能士、AFP、CFP…同じFP資格なのに違いは何?

FP技能士は国家資格、AFPとCFPは民間資格です。FP技能士には期限がないので生涯有効ですが、AFPとCFPには期限があります。

FP試験の申込み方法は?

個人の方がファイナンシャル・プランナー資格試験を受検するには、「受検申請」という手続きを行います。受検申請は、書面の受検申請書を郵送する方法と、インターネットで手続きをする方法の2種類があります。

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ファイナンシャルプランナー(FP)は税金、保険、年金などの幅広い知識と視野を持ち、ライフプランの設計を行うお金の専門家。 有資格者は、金融・保険・不動産など、さまざまな業界で求められるため、就・転職が有利に!独立・開業も可能なほか、身につけた知識は日常生活でも役立ちます。
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