• 更新日:2023/07/10

FP(ファイナンシャルプランナー)を目指す人が最初にチャレンジする資格が、FP技能検定3級です。FP3級の実技試験に合格するには、出題傾向や合格ラインなどの特徴をつかんでおく必要があります。

この記事では、FP3級実技試験の実施機関や試験の種類、試験内容、合格ラインや合格難易度などをまとめてご紹介します。本番に向けた対策を立てるために、ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • FP3級には分野ごとに3種類の実技試験がある。
  • FP3級の実技試験では、きんざいと日本FP協会で、出題される問題数と合計点数(満点)が違う。
  • きんざいと日本FP協会の実技試験のレベルは同じであるにもかかわらず、合格率には開きがある。

FP3級の実技試験の概要

まずはFP3級の実技試験の内容がどのようなものか、概要をポイント別に解説します。

指定試験機関が選べる

FP3級では、受検者が指定試験機関を選択できます。FP3級は「一般社団法人 金融財政事情研究会」(通称「きんざい」)と「NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」(通称「日本FP協会」)の2つの指定試験機関で実施されています。試験は学科と実技の2部構成です。

学科試験では両機関ともまったく同じ内容が出題されますが、実技試験の場合は出題内容が異なります。ただし出題レベル・評価方法に変わりはないため、受検者はどちらの機関を選択しても、合格すれば同じFP技能士3級の資格を取得できます

実技試験に種類がある

FP3級には分野ごとに3種類の実技試験があります。きんざいでは2種類、日本FP協会では1種類の試験を実施しています。3種類それぞれに出題内容が異なるため、実技試験対策のテキストも種類別に出版されています。効率的に試験勉強を進めるためにも、どの実技試験を受検するかは、前もって決める必要があります。

試験機関別の実技試験

きんざいが実施している実技試験は、個人資産相談業務と保険顧客資産相談業務の2種類です。日本FP協会で実施しているのは、資産設計提案業務の1種類です。受検者は自分が得意とする分野や学びたい分野に合わせて、いずれかの実技試験を選択できます。資格取得に向けて全ての分野を学習する必要はありません。

FP3級の実技試験の特徴

FP3級の実技試験にはどのような特徴があるのか、3つの種類別に解説します。

きんざい:個人資産相談業務

きんざいで実施している2種類の実技試験のうちの1つが、「個人資産相談業務」です。試験範囲には、学科試験でも取り上げられるライフプランニングと資金計画や金融資産運用、不動産、相続・事業承継、タックスプランニングが含まれます。

お金と暮らしに関する知識が問われる内容であり、日常生活で実際に起こる出来事を想定した試験内容が出題されます。そのため、資格取得だけでなく、個人的な家計のやりくりや資産運用などにも役立つ技能が身に付きます。

きんざい:保険顧客資産相談業務

きんざいが実施しているもう1つの実技試験が、「保険顧客資産相談業務」です。保険業務に特化した試験内容で、配点の40%をリスク管理からの出題が占めます。保険について学びたい人、現職で保険関連の仕事をしている人、あるいは保険関連の職種を希望していて基礎を身に付けたい人向けの実技試験です。

日本FP協会:資産設計提案業務

FP3級の実技試験のうちの残り1つが、日本FP協会により実施されている「資産設計提案業務」に関する試験です。ライフプランニングと資金計画、金融資産運用、不動産、相続・事業承継、タックスプランニング、リスク管理が出題範囲に含まれています。きんざいの「個人資産相談業務」と似た内容の問題が出題される傾向があり、日々の暮らしにおけるお金に関する幅広い知識が身に付きます。

FP3級はどの実技試験がおすすめ?

FP3級を受検する場合、保険関連分野の業務知識を身に付けたいなら、きんざいの「保険顧客資産相談業務」がおすすめです。それ以外の場合は、日本FP協会の「資産設計提案業務」か、きんざいの「個人資産相談業務」のいずれかがよいでしょう。

実際に、受検者の大半はこの2つのいずれかを受検しています。それぞれ受検対策用テキストや問題集も多く発行されているため、受検勉強のための選択肢が豊富なのも大きなメリットです。

FP3級の実技試験の内容

FP3級の実技試験では、きんざいと日本FP協会の間で、出題される問題数と合計点数(満点)に違いがあります。試験時間や解答形式も含めて、特徴を以下の表でまとめてご紹介します。どちらを選ぶかで受検準備も変わってくるため、自分により適した方法を選ぶのが肝心です。

試験時間 問題数 解答形式 満点
きんざい 60分 15問(5題) 記述式 50点
日本FP協会 60分 20問 記述式 100点

FP3級の実技試験の合格ライン

日本FP協会共に合格ラインは6割です。


  • きんざい:50点中30点以上

  • 日本FP協会:100点中60点以上

  • いずれの試験でも6割突破を目指して学習する必要があります。

FP3級の実技試験の合格率

きんざいと日本FP協会では、実技試験の合格ラインは同じである一方、合格率が異なります。日本FP協会の「資産設計提案業務」では約90%、きんざいの「個人資産相談業務」は約50%で、「保険顧客資産相談業務」は約40%の合格率です。全体を通じて、日本FP協会のほうが高い合格率を示しています。

以下に、各試験別に過去3年間の合格率をご紹介します。時期によって合格率に変動があるため、参考にしてください。

●きんざいの合格率

実施時期 個人資産相談業務 保険顧客資産相談業務
2022年1月 53.14% 39.53%
2021年9月 43.25% 48.68%
2021年5月 59.63% 47.76%
2021年1月 58.63% 56.01%
2020年9月 35.28% 56.20%
2020年1月 50.22% 48.19%
2019年9月 45.44% 43.31%
2019年5月 54.35% 44.85%

●日本FP協会の合格率

実施時期 資産設計提案業務
2022年1月 90.75%
2021年9月 80.50%
2021年5月 76.65%
2021年1月 86.53%
2020年9月 88.04%
2020年1月 79.45%
2019年9月 79.48%
2019年5月 86.42%

FP3級の実技試験の合格難易度

きんざいと日本FP協会の実技試験のレベルは同じであるにもかかわらず、合格率に開きが出るのには理由があります。それは、きんざいに比べて日本FP協会の実技試験のほうが出題範囲が広く、内容が比較的浅いためです。対するきんざいの実技試験は、比較的出題範囲が狭く、内容が深いことが特徴です。

そのため、きんざいで受検する場合、より専門的な知識を必要とします。また、きんざいは問題数が少ないため、1つのミスが合格を大きく左右します。そのため、実技試験の合格難易度はきんざいの方が高くなります。

FP3級の実技試験の対策方法

FP3級の実技試験に合格するために、対策方法をポイント別に解説します。

公式の参考書を活用する

まず、指定試験機関から発行されている公式参考書の活用を検討しましょう。きんざいと日本FP協会それぞれから、複数の参考書が発行されています。公式の参考書は各試験機関の専門家による厳密な監修の下、実際の試験に似せて作成されているため、実技試験の種類に合わせて、すべてそろえて学習することがおすすめです。公式参考書で全体の理解を深めましょう。

公式の問題集を活用する

第二の対策ポイントは、公式の問題集の活用です。参考書と合わせ各指定試験機関から出版されている公式問題集を活用すれば、無駄なく効果的に学習できます。参考書で知識と理解が深まったら、問題集を解いて実践力を養いましょう。

きんざいと日本FP協会それぞれから公式問題集が出版されています。日本FP協会の場合は、提携関係にある認定教育機関等からも問題集が出されており、さらにきんざいの場合は模擬試験も実施されているため、力試しに活用するとよいでしょう。

実技試験の過去問を活用する

実技試験の過去問の活用も、効果的な実技試験対策です。FP3級の試験は出題範囲が決まっており、過去に出題された問題が再度出題されることも多いためです。過去問は、本番と同じ時間配分で解答すれば、当日の試験の流れに慣れる意味でもいい練習台となります。参考書と問題集を学習し終わったら、過去問には早めに着手しましょう。

通信講座を受講する

より万全に試験に備えたい場合は、認定教育機関等が提供しているFP3級向けの通信講座を受講することも効果的です。通信講座は、FP試験に精通している講師等が監修しているため、より実践的で効果的な学習内容となっています。問題演習はもとより実技演習、模擬試験などすべてが含まれるため、問題の傾向や出題方法に慣れる上でも役立ちます。

FP3級の実技試験対策のポイント

FP3級の実技試験を突破するために役立つ、対策のポイントを2点ご紹介します。

反復学習を行う

実技試験対策には、反復学習が効果的です。具体的には、公式の問題集や過去問に取り組んだ際に間違えた問題や、解答に不安を感じた問題を繰り返し学習します。正解できるまで繰り返し学習しましょう。一発で正答した問題も含めて、問題集や過去問は2周以上解くのがおすすめです。

通信講座で対策を万全にする

前述した通り、通信講座ならより万全な試験対策が可能です。オンライン学習に対応した教材なら、スマートフォンやPCを使い、時間と場所を選ばずに学習できます。公式テキストと併用して学習すれば、より確実な試験対策になります。時間に限りがある社会人の場合、受検費用や時間を無駄にせずに確実に合格を目指せる点でも大きなメリットがあります。

まとめ

FP技能検定3級には3種類の実技試験があります。それぞれ合格ラインは同じでも、内容や合格率に違いがあります。独学で受検する場合は、指定試験機関が提供する公式の参考書や問題集、過去問や通信講座を活用して理解を深めましょう。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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よくある質問

FP試験の申込み方法は?

個人の方がファイナンシャル・プランナー資格試験を受検するには、「受検申請」という手続きを行います。受検申請は、書面の受検申請書を郵送する方法と、インターネットで手続きをする方法の2種類があります。

FP2級と3級の違いは?

FP2級は、3級の出題範囲に加えて、法人のファイナンシャル・プランニングが追加されています。3級は個人資産に関連する相談業務に必要な技能を身につけるのに対し、2級はさらに中小企業の資産相談業務の内容が加わるため、より専門的な知識が必要です。

FPの年収は?

FPの年収は、1,000万円を超える人もいれば、一般的な会社員と同程度の人もいるなど、働き方によって大きく異なります。

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