社労士試験の合格基準は?試験内容や合格率まで詳しく解説!

- 公開日:2020/10/06
近年、注目度が高まってきている「社会保険労務士(社労士)」は就職や転職が有利になるだけでなく、学ぶことで得られる「年金」や「健康保険」の知識を自身のライフプランに活かせると勉強する人が増えています。さらには、合格者の3割は女性で、法律系の国家資格としてはかなり高い数値となっています。
この記事では、気になる社会保険労務士の合格基準、試験内容、合格率について解説します。資格取得を検討する際の参考として、ぜひ役立てて下さい。
社労士試験の内容
社労士は、年金や健康保険などの社会保険、労務管理を扱うための知識を学べる資格です。資格試験の出題のうち約90%が法令に関する出題となっています。
社労士資格にかかわる法律は、「労働基準法」「雇用保険法」「健康保険法」など、20種類以上です。なおかつ、改正が頻繁に行われるため、参考書などは最新のものを使用しなければなりません。特に、改定されたポイントは出題される可能性が高いため、要点を押さえておく必要があります。
社労士試験の出題形式
社労士試験の出題形式は「選択式」と「択一式」となっており、マークシート方式です。出題数は合計110問で、出題文中にある5つの空欄に当てはまる語句を選択肢の中から選んで解答する「選択式」が8問(解答数は40問)、出題文に対する正解を選択肢の中から選んで解答する「択一式」が70問となっています。 試験時間は、「選択式」40問を80分で、「択一式」70問を210分で解答していくため、解答の正しさだけでなくスピードも求められるでしょう。
社労士試験の試験科目
社労士の試験科目は、択一式は7科目70問70点、選択式は8科目8問40点です。内訳は以下の表のとおりです。
試験科目 | 択一式 計7科目(配点) | 選択式 計8科目(配点) |
---|---|---|
労働基準法及び労働安全衛生法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
労働者災害補償保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む) |
10問(10点) | 1問(5点) |
雇用保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む) |
10問(10点) | 1問(5点) |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 1問(5点) | |
社会保険に関する一般常識 | 10問(10点) | 1問(5点) |
健康保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
厚生年金保険法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
国民年金法 | 10問(10点) | 1問(5点) |
合計 | 70問(70点) | 8問(40点 |
- ※出典:社会保険労務士試験の概要|社会保険労務士試験オフィシャルサイト(http://www.sharosi-siken.or.jp/exam/howto.html)
●労働基準法及び労働安全衛生法
労働基準法は、賃金や労働時間など、労働条件に関する最低基準を定めた法律です。一方、労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。比較的身近で興味が湧きやすい科目といえます。分野も限られているため、範囲を絞って勉強することで効率的に勉強できます。
●労働者災害補償保険法
労働者が業務などで負傷した際、災害補償を国が行うという法律です。保険給付を中心として、幅広い範囲を押さえる必要があります。業務災害・通勤災害、保険給付の内容、保険給付の通則についてよく出題されるようですので参考にしてください。
●雇用保険法
労働者が失業の際に支給される「基本手当」や、育児休業給付、教育訓練給付など、労働者を支援する内容が定められている制度です。法律で定められている、細かい数字要件(給付率や日数など)についての出題も増えているので、基本事項を試験直前にチェックしておくことが重要でしょう。
●労務管理その他の労働に関する一般常識
育児・介護休業法や男女雇用機会均等法などの労働者に関する法律のほか、失業率などの社会情勢、労務管理についての出題もあります。出題される範囲が広い科目です。
●社会保険に関する一般常識
医療、介護、年金など、社会保険に関する幅広い知識を問われます。年金制度や医療保険の最新の動向なども押さえておくことが重要です。まずは社会保険諸法令の理解を優先することが重要でしょう。
●健康保険法
会社員などの雇われて働く者を対象とした医療保険制度です。保険給付などの基礎知識のほか、法改正事項なども押さえておくとよいでしょう。数字要件を中心に過去問題を攻略することがおすすめです。
●厚生年金保険法
会社員や公務員が加入する年金制度であり、大きな保険事故に関してどのような保険給付があるのかを押さえておきましょう。制度が複雑なほか、法改正も多いため、難易度の高い科目です。こちらも過去問題を中心に勉強するとよいでしょう。
●国民年金法
自営業や会社員、公務員が加入する年金制度です。厚生年金と同様に制度が複雑で法改正が多い科目です。基本規定をよく理解することが大切です。
社労士試験の合格基準点の決め方
社労士資格の合格基準点は、毎年の採点結果が出てから決まります。総得点は平均点に連動し、科目別の基準点は得点の分布に連動しています。
一応、社労士の合格基準点は平成12年度以降、厚生労働省によって次のように定められています。
- 選択式試験総得点40点中28点以上、かつ各科目5点中3点以上
- 択一式試験総得点70点中49点以上、かつ各科目10点中4点以上
しかし、年度ごとの出題難易度は変わるため上記基準をもとに補正が行われます。ちなみに、第43回以降の「択一式」の総合得点合格基準点は、45点もしくは46点です(平成28年を除く)。そのため、「択一式」の総合得点「合格基準点」は、45~46点前後になる確率が高いと考えてよいでしょう。
社労士試験の合格ラインの目安
社労士試験の合格ラインは、全体の6~7割の点数を獲得する必要があると考えられます。なおかつ、「択一式」は科目ごとに満点の40%以上、「択一式」では60%以上の点数を獲得しなければなりません。
1科目でも合格基準点に満たない場合は、総合点数が合格ラインにあっても不合格となりますので注意しましょう。
社労士試験の過去の合格基準点
過去5年分の社労士試験の合格基準点を見てみます。
年度(回数) | 択一式 | 選択式 |
---|---|---|
平成30年度(第50回) | 45点以上、かつ各科目4点以上 | 総得点23点以上、かつ各科目3点(社会保険に関する一般常識及び国民年金法は2点)以上 |
平成29年度(第49回) | 45点以上、かつ各科目4点(厚生年金保険法は3点)以上 | 総得点24点以上、かつ各科目3点(雇用保険法及び健康保険法は2点)以上 |
平成28年度(第48回) | 42点以上かつ各科目4点(労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識、厚生年金保険法及び国民年金法は3点)以上 | 総得点23点以上、かつ各科目3点(労務管理その他の労働に関する一般常識及び健康保険法は2点)以上 |
平成27年度(第47回) | 45点かつ全科目4点以上 | 総得点21点以上、かつ各科目3点(労務管理その他労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法及び厚生年金保険法は2点)以上 |
平成26年度(第46回) | 45点かつ全科目4点(労働及び社会保険に関する一般常識は3点)以上 | 総得点26点以上かつ各科目3点(雇用保険法及び健康保険法は2点)以上 |
- ※出典:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roumushi/shiken.html)
社労士試験の合格率
社労士試験は毎年4万人前後(過去5年)が受験しており、合格率は平均6~7%となっています。年度によっては5%を下回ることもあります。平成26年度の合格率は9.3%でしたが、平成27年に至っては合格率2.6%と厳しい結果になりました。
社労士試験の合格率が低い理由
社労士試験の合格率は、年によって変動はあるものの、おおむね10%未満と、難易度は高いといえます。その理由として次のようなことが考えられます。
●試験範囲がとても広い
先述のとおり、社労士の試験は8科目(択一式は7科目)と多く、20種類以上の法律にかかわる知識を必要とされています。難易度を上げる理由のひとつに、試験範囲が広いことが挙げられるでしょう。
●科目合格制度がない
税理士資格の場合は「科目合格制度」を取っており、11科目のうち5科目で合格すれば資格取得となります。しかし、社労士の場合はこの制度がなく、すべての科目で最低ラインを越えなければなりません。
●法改正に都度対応しなければならない
社労士の資格取得のために勉強しなければならない法律は、頻繁に改正されます。そのため、前年度勉強した部分でも、改めて学習が必要になる法律が出てくる可能性があります。なおかつ、改正部分は出題されやすい傾向もあるため、確実に押さえていかなければなりません。
復習や改正点の確認のため、毎年すべての範囲を勉強する必要があるのです。
まとめ
社労士資格の合格基準や試験内容、合格率について解説しました。出題範囲が広く法改正も頻繁な社労士資格は、通信講座などを活用して効率的に勉強するのが望ましいといえます。
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社会保険労務士(社労士)は、労働問題や年金問題、社会保険のエキスパート。社労士試験には、受験資格があります。次の代表的な受験資格のいずれかを満たす必要があります。まずは学歴です。1)大学、短大、高専(高等専門学校)を卒業した方、2)4年制大学で、一般教養科目の勉強を終了した方、3)4年制大学で、62単位以上を修得した方、4)修業年限が2年以上、ならびに、課程修了に必要とされる総授業時間数が1,700時間以上の専修学校において専門課程を修了した方と定められています。実務経験における主な要件は、「法人の役員または従業員(いずれも常勤)として、通算3年以上事務に従事した方」です。厚生労働大臣が認める国家試験の合格者にも受験資格が与えられます。