• 更新日:2024/04/17

公務員は安定収入が期待できるため、景気が停滞している現在、人気の職業となっています。公務員へ転職するためには「公務員試験」の合格が必須です。この記事では、公務員試験の概要や、公務員への転職のメリット・デメリット、転職が有利になる資格などを解説します。公務員への転職を検討している人はぜひ参考にしてください。

そもそも公務員とは

「公務員」といっても、その種類は「国家公務員」と「地方公務員」に分かれています。国家公務員には、以下の3種類があります。

  • 1.総合職
  • 2.一般職
  • 3.専門職

国家公務員は、中央省庁や国会、裁判所、税務署などに勤務する公務員です。一方、地方公務員にも以下の3種類があります。

  • 1.技術職
  • 2.公安職
  • 3.行政職

地方公務員は地方自治体に勤務し、地域住民の生活に密着した業務を行うことが特徴です。次に、それぞれの公務員の種類について詳しく解説します。

国家公務員(総合職)

総合職の国家公務員は、「キャリア官僚」ともいわれます。主に将来の幹部候補生として、中央省庁にて働くことが多いでしょう。仕事の内容では、法律の制定・改正、政策の企画・立案などに携わることが特徴です。

国家公務員(一般職)

総合職に対して、一般職の国家公務員は「ノンキャリア」と呼ばれます。主に細かな事務処理に従事することが多く、総合職が企画した政策を実際に運用していく職員が一般職であるという位置づけです。

国家公務員(専門職)

国家公務員のなかでも特定の行政機関で働く人が専門職で、特定の分野における深い知識を有しています。国税専門官や労働基準監督官、法務省(専門職員)、外務省(専門職員)、裁判所職員などが、専門職の国家公務員に該当します。

地方公務員(技術職)

各自治体において、専門分野で働く人は、技術職に分類されます。技術職の地方公務員は土木、建築、機械関係、電気・電子分野等での専門性の高い業務を行うことが多い仕事です。現場作業だけでなく、幹部補佐となって企画することもあります。

地方公務員(公安職)

公安職の地方公務員は、主に治安維持を目的とした業務に従事します。具体的には、警察官や消防隊(消防吏員)などです。危険と隣り合わせの業務が多いため、特徴の1つとして給料が高めに設定されていることが挙げられます。

地方公務員(行政職)

地方公務員のなかでも行政業務に携わる職員が行政職です。役所に訪れる住民への窓口対応、書類の処理、県や国との連絡調整といった業務が含まれます。また、行政区内においては、国家公務員と同じく政策の企画立案や執行も担当することがあります。

公務員の仕事内容とは

公務員の仕事はさまざまですが、大きくまとめると以下のようなものがあります。

  • 社会の土台作りに関わり、重要な枠組みを維持する
  • 一般市民の暮らしを支え、生活しやすいように整える

ここでは、公務員の仕事内容をもう少し掘り下げてみましょう。

公務員に共通する仕事内容

公務員は国や地方自治体に勤務し、社会の土台作りを行う仕事です。公務員の職種は各省庁の職員や裁判官、教員、自衛官、警察官、消防士など多種多様ですが、どの職種も市民が暮らしやすい環境を整えるために不可欠といえます。

民間企業との違い

民間企業は営利を目的としていますが、公務員は国家に従事する仕事です。公務員の活動資金は税金で賄われ、営利目的ではありません。また、民間企業の場合、雇用主は取締役など個人か、親会社など別企業となりますが、公務員の場合は雇用主が国もしくは地方自治体です。

公務員試験とは?

公務員試験の受験を検討するなら、公務員試験がどのようなものか概要を把握しておくといいでしょう。公務員試験には以下のような特徴があります。

  • 一般枠の試験と経験者枠の試験とがある
  • 試験内容は、教養、論文、専門的な内容、面接など試験によって異なる
  • 年齢制限があるが、近年では緩和傾向がみられる

それぞれについて詳しく解説します。

一般枠の公務員試験

年齢要件を満たしていれば誰でも受験できる公務員試験が、一般枠の公務員試験です。主なスケジュールは、出願が3~4月頃、内定が8~9月頃です。1次試験は5~6月頃、2次試験が7~8月頃に行われます。

試験内容は、基本的に一次試験で「筆記試験」、二次試験では「面接試験」が実施されます。筆記試験は「教養試験」「専門試験」「論文試験」の3種類です。

経験者枠(社会人枠)の公務員試験

経験者枠(社会人枠)の公務員試験は、自治体によって一般枠と同一要件の場合と、異なる場合があります。経験者枠の公務員試験は、例年、夏に申込み受付が開始となります。秋以降に試験が行われ、11〜12月頃に合格者が発表されます。試験は教養試験と論文試験、面接試験です。

公務員試験の年齢制限の緩和について

公務員試験には、年齢制限があります。基本的な年齢制限の目安は30歳です。しかし、近年では年齢制限に緩和傾向があり、現在では35歳であっても受験可能な自治体がみられます。ただし、注意したいことは、年齢は受験時の年齢ではなく、入職時の年齢であることです。誕生日を迎えたことで年齢制限を超えないよう留意しましょう。

公務員へ転職するメリット

公務員へ転職をすることで、以下のようなメリットが得られると考えられます。

  • 安定性が高くリスクの低い仕事である
  • 働きやすくワークライフバランスも取りやすい
  • 各種手当て、有給休暇などがあり、社会的信用も得やすい

それぞれ詳しく解説します。

1.収入・雇用が安定している

公務員は、民間企業と比較して収入や雇用といった観点で安定性がある仕事といえます。景気悪化による影響を受けにくく、リストラなどのリスクも少ないでしょう。また、種類にもよりますが民間企業よりも給料の水準が高いこともメリットです。国家公務員の平均月収は412,747円です。賞与(ボーナス)を追加すると、平均年収は約681万円となります。


2.休みが取りやすい

公務員は休みが取りやすいため、ワークライフバランスも保ちやすいでしょう。育児にあたっては育児休業や時短勤務が推奨され、介護休暇などもとりやすい職場が多い傾向です。有給休暇については、民間企業の取得平均は10日ですが、公務員の平均は11〜14日とやや多くなっています。

3.福利厚生が充実している

福利厚生が整っていることも、公務員へ転職する大きなメリットです。各種手当や有給休暇などの福利厚生が整っていることは、休暇のとりやすさにもつながっているでしょう。同時に、公務員は社会的信用が得やすく、ローンやクレジットカードの審査に通りやすい側面もありま

公務員へ転職するデメリット

公務員への転職には、以下のようなデメリットもあります。

  • 努力や結果が給料に反映されにくい
  • 異動する可能性は高く、国家公務員の場合は県外への異動もある

それぞれ詳しく解説します。

1.給料が上がりにくい

公務員は、結果を出しても給料が上がりにくい傾向があります。多くの場合で勤続年数によって給料が決まっていく形式がとられているためです。一般企業の場合は頑張っただけインセンティブなどで反映されることも多いため、頑張っても評価されないと感じ、不満に思う人もいるでしょう。

2.異動がある

公務員は基本的に異動の多い仕事です。地方公務員の場合は部署間の異動にとどまることが多いですが、国家公務員になると県をまたいでの異動があります。さまざまな場所で多くのことにチャレンジしたい人には向いていますが、1箇所に定住したい、同じ分野の知識を深めたいといったタイプの人には不向きといえるでしょう。

転職した人の体験談・きっかけ

公務員への転職を経験した先輩たちの転職のきっかけや体験談をご紹介します。

アパレル関係から公務員へ転職したAさんは、公務員として働く友人の姿を見たことがきっかけで転職を考えました。責任を持って働きつつ、プライベートも楽しんでいる姿にあこがれたといいます。

メーカー勤務から公務員へ転職したBさんの場合は、そもそも勤務していた地元のメーカーには、女性の雇用・働き方について問題があると感じていました。その問題を解決したい気持ちから公務員を志すようになったことが転職の経緯です。

公務員が向いている人の特徴4つ

公務員には向き不向きがあるのも確かでしょう。公務員に向いている人の特徴を挙げると、以下のようになります。

  • 社会的に役立つ仕事をすることでやりがいが感じられる
  • 人と接することが得意である
  • 求められたことをやり遂げるタイプ
  • 単調な仕事でも正確にこなすことができる

それぞれ詳しく解説します。

1.社会へ貢献したい気持ちがある人

営利目的の民間企業とは異なり、社会のために働くことが公務員の仕事です。そのため、社会へ貢献したいと考えている人には公務員が適しているでしょう。社会貢献に興味をもっている人にとっては、仕事を通してやりがいを感じやすいといえます。国民のために働くことに意義を感じられるか否かがポイントです。

2.コミュニケーションスキルがある

地方公務員の場合、住民と接する機会が多い仕事もあるため、コミュニケーション能力は公務員になるうえで必須の条件です。日頃からさまざまな人と接するため、コミュニケーション能力がある人は公務員に向いているといえるでしょう。

3.責任感が強い

公務員の仕事は、全般的に国や地域住民の生活を支えるものであるため、責任は重大です。したがって、公務員に向いているのは与えられた業務を責任もって遂行できる人であるといえます。また、公務員の仕事は単調な作業が多いため、集中力も必要です。似たような作業でも一つひとつミスのないよう成し遂げられる細やかさも必要でしょう。

4.事務処理スキルが高い人

公務員の仕事内容には、資料や書類作成がたくさんあります。事務作業をスピーディに進められる人は、公務員に向いているタイプです。公務員はデスクワークなどの地道な作業も多く、一般の企業のように外回りの営業といったものはほとんどありません。毎日続く地道な作業でも、難なくこなせる人が公務員に向いています。

転職が有利になる資格

以下のような資格があると、公務員への転職が有利になることがあります。

  • 土地や建物に関わる資格
  • 地域の企業経営に関わる資格
  • お金に関わる資格
  • 事務機器の操作に関わる資格

それぞれの資格について、詳細を解説します。

宅地建物取引士

宅地建物取引士の知識は、農地法や税法、土地計画法に関わる部署に配属された場合に必要とされます。宅建資格は不動産取引の専門的な知識をつけられる資格で、宅建士がいなければできない手続きもあるため、公務員の現場でも重宝されるでしょう。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営に関するビジネススキルを総合的に修めた国家資格です。中小企業診断士は地域の中小企業に対して、経営アドバイスや金融関連の助言ができます。地域振興を担当する部署に配属された場合に役立つことが多いでしょう。

ファイナンシャルプランナー(FP)

ファイナンシャルプランナー(FP)は、税金や投資、不動産、住宅ローンなど、お金に関するさまざまな知識が学べる国家資格です。公務員としては、年金や保険関連、税金、不動産関連など、幅広い部署に活躍の場があるでしょう。

日商簿記

日商簿記は、会計学に関連する民間資格です。簿記資格のなかでも日商簿記は、知名度が高く汎用性があることが特徴です。公務員の業務においては、会計課など予算の管理や運用、税金計算や保険料計算といった場面で活かせます。

パソコン関係の資格

パソコン関係の資格には、MOSやサーティファイの検定などさまざまな種類があります。基本的に公務員でも、民間企業と同じようにパソコンを使って業務を行うため、パソコンの使い方がマスターできていると日常の業務に大いに役立つでしょう。

公務員へ転職する注意点・押さえるポイント

公務員へ転職する際に押さえておくべきポイントには、以下のようなものがあります。

  • 自分にあった試験タイプを選ぶ
  • 応募条件とスケジュールをよく確認する
  • なぜ公務員になりたいかを整理しておく

それぞれについて解説します。

1.試験によって難易度が変わる

前述したように、公務員試験には「一般枠」と「経験者枠」があります。中途採用を目指すならば「一般枠」がおすすめです。難易度は一般的に「上級(大学卒業程度)」「中級(短大卒業程度)」「初級(高校卒業程度)」に分かれています。一般職と総合職など併願も可能です。

2.募集要項はしっかり確認する

まずは中途採用の種類と試験日程を確認することが大切です。年齢や職歴などの応募条件によって受験できる試験が異なるため、応募条件にあっていることを確かめたうえでスケジュールを確認しましょう。

求人サイトを使う場合、「公務員」というキーワードで検索していても、公務員以外の求人がヒットする可能性もあるため注意してください。

3.自分の目的を明確にする

公務員への転職を考える際に、自分が公務員になる目的を明確化しておくといいでしょう。その目的は、公務員でなければ実現できない目的であることが望ましいといえます。そのためには、自分が仕事を通じて何を成し遂げたいのかを考えなければなりません。できるだけ長期スパンで将来を考えることが大切です。

まとめ

安定した収入や雇用、ライフワークバランスがとりやすいなど、公務員の仕事にはメリットがたくさんあります。近年では応募条件が緩やかになる傾向もみられるため、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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よくある質問

国家公務員試験の難易度は?

一概には言い切れないが、国家公務員試験の難易度は高いと言えます。国家公務員の倍率をみると、国家総合職の倍率は10.8倍と高く、国家一般職(行政職)では3.8倍と比較的低いことが分かります。 また、同じ国家一般職でも行政職以外は2.1倍とさらに低い倍率となっています。

国家公務員試験は併願できる?

日程が重ならなければ国家公務員試験を併願が可能です。。たとえば、国家総合職と裁判所事務官一般職(大卒程度)の併願などが考えられます。国家公務員の試験は、たとえ職種が違っていても出題傾向が似ていることが特徴です。また、国家公務員一般職と地方上級公務員試験を併願する人もいます。

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