
公務員の種類・職種とは?実際の仕事内容、難易度まで解説
公務員の種類や職種について解説します。
安定的な収入やワークライフバランスに魅力を感じ、公務員を目指そうと考えている人も多いでしょう。とはいえ、公務員の職種や仕事内容などについては、あまりよく知らないという人もいるかもしれません。
この記事では、公務員について詳しく解説していきます。公務員試験や、公務員になるメリット、適性なども紹介していくので、就職や転職活動にぜひ役立ててください。
国や地方自治体に勤務し、社会の土台作りを仕事とする人を公務員と呼びます。職種は、各省庁の職員、裁判官や自衛官、教員、消防士、警察官などさまざまです。その数は2024年度において約339.9万人にのぼります。その内、国家公務員は約59万3,000人の17.5%、地方公務員は280万6,000人の82.5%となっています。
公務員には大きく分類して2つの種類があります。ここでは、それぞれの種類について見ていきます。
国民の幸福を目的とし、国の運営に関わる仕事に従事するのが国家公務員です。国家公務員は、内閣総理大臣や裁判官などの「特別職」と、それ以外の「一般職」に分かれています。
一般職には、さらに「総合職」「一般職」「専門職」という区分があります。総合職は主に中央省庁、一般職は中央省庁や地方機関(出先機関)に勤務します。財務省は税関、厚生労働省は労働局などが出先機関です。
国家公務員には一般職と特別職という職種(種類)があり、裁判所職員などの特別職においては、それぞれの機関が実施する採用試験に合格・内定する必要があります。一方で、一般職は人事院が実施する国家公務員採用試験に合格後、官庁訪問をしなければなりません。
国家公務員採用試験は主に、総合職試験や一般職試験、専門職試験、経験者採用試験の4つに分類されます。筆記試験や面接などのほか、身体検査や体力検査などが実施される職種もあります。
各自治体の職員や教員、警察官などが地方公務員にあたります。国家公務員が国全体を統括する公務員であるのに対し、地方公務員は各都道府県や市区町村の運営従事する公務員です。国家公務員では全国規模での異動がありますが、地方公務員は基本的に各都道府県内や市区町村内での異動となり、転居する必要がない場合が多いのがメリットです。
各自治体や職種によって内容は異なりますが、採用試験に合格することで地方公務員になれます。試験は難易度によって3つの区分に分かれており、難易度が高い順から、大卒程度の「上級」、短大卒程度の「中級」、高卒程度の「初級」となっています。
公務員は営利を目的とせず、国や地域全体のために働くことが使命です。民間企業は、サービスやモノの提供によって利益を得ることを目的とし、会社や顧客、株主などの利益のために経営活動を行います。
公務員の仕事内容は多岐に渡り、地方公務員であれば治安、消防、水道、交通、教育、文化事業など、広く地域の生活全般にかかわる仕事を行います。国家公務員であれば国の公式行事や国民全体にかかわる政策の企画立案などを行います。いずれにしても、国民や地域のために、暮らしやすい社会作りに貢献するという使命があります。
公務員の仕事の種類は、大きく「事務系」または「技術系」に分類されます。
難易度は、試験そのものの難易度に加えて、倍率によっても変動します。受験する際には採用予定数などにも注目するといいでしょう。
国家総合職の職員は、いわゆるキャリア官僚と呼ばれる国家公務員で、政策の立案、法案の作成、予算編成事務、国会対応など、国を動かし、行政の根幹ともいえる重要な役割を担う、いわば行政のプロフェッショナルです。
中央省庁の将来の幹部候補として、幅広い知識と技術を身につけるためにさまざまな職務を経験し、早い段階から管理職に就きます。昇任のスピードが速い点も特徴です。
政策の企画や立案などスケールの大きな責任ある仕事を行うことができる、行政の中枢を担う存在といえます。
国家総合職(技術系)は、中央省庁の幹部候補である点では国家総合職(行政)と同じですが、理系の各分野の専門的な知識を活かしながら技術的な観点で国の政策を作り上げます。分野は、土木、建築、機械、化学、数理科学、物理、情報、農業、水産など多岐に渡り、採用先の省庁ごとに職務内容が異なります。
国家一般職は、国家総合職により企画・立案された政策について、実際に政策を実行するのが主な仕事です。政策の企画・立案を支え、施工、運用、事務処理などの定型的・実務的な業務を行います。
国家一般職の勤務先は、中央省庁と地方機関(出先機関)にわかれ、職務内容は府省や出先機関ごとに大きく変わります。基本的に府省をまたいでの異動はなく、特定の分野について職務を深めることができます。
国の根幹に関わるような制度作りや事業、国際社会を視野に入れたスケールが大きい政策に携わることもできる、やりがいがある仕事です。
地方公務員の仕事は、各種産業の復興や教育支援、防災対策など多岐に渡り、暮らしやすい環境をつくるために、地域に密着しながら地域社会の発展に寄与します。
「地方上級」は、地方公務員採用試験(大卒程度)の都道府県・政令指定都市の職員採用試験の総称です。地方上級に合格すると、都道府県や政令指定都市の将来の幹部候補として採用されます。3〜5年ごとに異動を重ね、幹部として必要なさまざまな知識や経験を身につけていきます。
仕事の内容は、都市開発、道路・河川・公共建築物の建設・管理、教育行政、社会福祉、警察行政、各種産業の振興、各種試験・免許など幅広く行政の業務を担います。
都道府県内の市町村、国、民間企業との連携・調整を行うことも少なくありません。
事務職のみならず、土木・建築・機械などの技術職、心理職、福祉職、資格免許職など、さまざまな職種があります。
公安系公務員とは、国・地域の治安・秩序を守る役割の公務員です。
「警察官」「消防士」「法務教官」「刑務官」「海上保安官」「皇宮護衛官」などがあり、職務内容はそれぞれ異なります。
公務員になるとさまざまなメリットが得られます。ここからは公務員のメリットを紹介していきます。
公務員の働き方は国や地域の見本となるため、民間企業より、有給休暇など福利厚生が充実しています。配属先にもよりますが定時退勤が可能な部署が多く、ワークライフバランスを重視できます。
公務員の仕事は、国民の生活に直結します。その職責を果たすため、収入が民間企業より好待遇かつ安定しています。
女性の採用・登用の拡大とともに、女性にも働きやすい環境が整ってきています。
特に、育児に対する制度が充実しており、2022年の育児休業取得率は99.1%、復帰率は99.4%でした。
公務員になるには、行政機関が実施している試験への合格が必要です。職種によっても試験の難易度が分かれます。ここではまず公務員試験がどのようなものかについて解説します。
資格試験などと比較すると公務員試験は試験科目が多く、幅広い試験対策が必要です。
また、大きく分けると事務系と技術系の2区分になりますが、さらに細かく分類されます。それぞれの区分によって難易度や試験内容が異なり、専門科目が課される場合と教養科目のみの場合があります。国家公務員と地方公務員の併願も可能ですが、併願する場合には、さらに幅広い試験対策が必要です。
公務員はその仕事の性質上、向き・不向きがあります。ここからは公務員に向いている人について解説していきます。
最も向いているといえるのが、社会貢献をしたい人です。 国や地域の発展に興味があり、どのような発展を遂げられるかを総合的に検討・判断し、そのための業務に貢献することが求められます。 個人や組織の利益ではなく、公共の利益のために働ける人が国家公務員に向いているといえます。
国家公務員の場合、国の未来を背負う仕事に従事することも少なくありません。加えて、より高度な専門性も求められるため、 責任感や使命感、リーダーシップが求められます。国や国民のため、重い責任を負うプレッシャーに打ち勝てる人こそ向いているといえます。
地道な任務や長期的な仕事に対して粘り強く取り組む必要があります。国の財政状況などによっては給料が下がることがあったり、定員削減の必要性に直面したりすることもありえますが、いかなる状況下においても、粘り強く地道に仕事をこなせる人が、国家公務員に向いているといえます。
地方公務員は、国家公務員以上に配属先の地域に寄り添った仕事をしていく必要があるため、地域に対する愛着がなければ続けることは難しいでしょう。ときには理不尽とも思える住民の不満や意見に耳を傾けなければならないこともありますが、そのような声も含めてあらゆる情報を行政に活かすために、地域への愛着は必要不可欠です。
地方公務員は3年程度で異動するケースが多く、その都度新しい仕事を覚えなくてはなりません。自分の希望しない部署に配属されることもあるでしょう。そのため、環境の変化に適応し、周囲と適切にコミュニケーションを取りながらモチベーションを維持できる人が向いているといえます。
公務員には重責が伴いますが、その分大きなメリットも数多くあります。公務員になるには、各試験に合格しなければなりません。
ユーキャンの大卒公務員受験対策講座では、公務員の種類ごとに4つのコースがあります。試験の内容に合わせて、学習しやすく理解しやすいカリキュラムが組まれているのが特徴です。指導サポートによる疑問点の解消や、受講生専用のWEB学習での復習も可能です。公務員を目指すなら、ぜひ受講を検討してみてください。
1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
公務員の給与・年収は、国家公務員:約677万円、地方公務員:約630万円。民間企業と比較しても、公務員の年収は高いと言えます。また、諸手当の種類が多く手厚いことが知られています。
様々な職種があるため、一概には言い切れないが、合格のために800時間以上勉強する必要があり、公務員試験の難易度は高いと言えます。
公務員試験の受験資格における必要条件には、「欠格条項」「年齢制限」「学歴」「資格」「身体的条件」がある。年齢制限としては、高卒程度の試験の上限は20代前半、大卒程度の試験なら30歳前後が一般的。「高卒程度」「大卒程度」という区分があるが、あくまで試験問題の難易度を示す目安で、実際の学歴は不問。消防官・警察官・法務教官・皇宮護衛官・航空管制官など公安系職種では、身長や体重、視力や体力などの身体的条件が受験資格に含まれる。
公務員試験の採用の流れは一次試験(筆記)、2次試験(面接)に合格後、個別面談で最終的な意思確認が行われるという流れが一般的です。併願が可能なため、スケジュール調整しながら併願するのもいいでしょう。学習をスタートさせるタイミングは遅くとも受験の1年前がベストです。
市役所職員の役割は、市民のより良い暮らしを実現すること。福祉・教育・観光など幅広い仕事を担い、住みよいまちづくりの実現を目指す、やりがいあふれる人気職です。福利厚生や給与面など、公務員としての安定した待遇も魅力。景気に左右されることなく、長く安定的に働くことができます。ユーキャンの市役所コース(大卒公務員受験対策講座)は、公務員試験専門塾の全面監修! 教養試験はもちろん、論文試験・面接試験の対策もバッチリ。初めてでも効率よく合格力を養うことができます。