• 更新日:2023/12/19

公務員を目指す人に立ちはだかる大きな壁が公務員試験です。出題範囲が非常に広い試験ですので、仕事で忙しい社会人や学業とアルバイト等で忙しい大学生は、勉強時間の確保が難しいかもしれません。公務員試験に独学で臨む場合は、どれくらいの勉強時間が必要で、どのようなポイントをおさえて勉強すればいいのでしょうか。

この記事では、公務員試験に独学で臨む場合に必要な勉強時間や重要科目、具体的な勉強方法に関して解説します。ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 公務員試験は「筆記試験」と「面接試験」があり、大卒程度の公務員試験は、主に6~9月に一次試験が行われる。
  • 様々な職種があるため、一概には言い切れないが、合格のために800時間以上勉強する必要があり、公務員試験の難易度は高いと言える。
  • 独学で公務員試験に向け対策するなら、勉強プランをしっかり立て、過去問を上手く活用しながら、優先順位をつけて勉強する必要がある。
  • 独学が苦手な方は、専門のカリキュラムが用意された予備校や通信講座の受講がおすすめ。

公務員試験について

公務員試験では、「筆記試験」と「面接試験」があります。筆記試験は出題範囲が幅広いので、早めの対策が必要です。面接試験は、筆記試験合格者を対象に実施されます。大卒程度の公務員試験は、主に6~9月に一次試験が行われますが、職種によって日程が異なるため注意が必要です。受験資格を満たしていれば、公務員試験は何回でも受験が可能です。

公務員試験の種類


公務員の筆記試験には、「教養科目」と「専門科目」の2つがあり、試験先により、教養科目のみの試験と専門科目もある試験に分かれます。教養科目は高校で学ぶ範囲、専門科目は大学で学ぶ範囲とされています。



公務員試験の日程

公務員試験は3~4月頃から受験申し込みの受付が始まり、一次試験が例年5~6月頃に行われます。 試験後2週間~1カ月程度を目安に合否が決まり、合格者は7~8月頃に実施される二次試験へと進みます。
二次試験後、2~3週間程度で最終合格者が発表され、個別面談で最終的な意思確認がなされます。
例年、8~9月頃から採用内定者が決まっていきますが、一部、11月頃に採用内定の判断がされます。各自治体の公式WEBサイトなどで採用内定者が決まるまでの日程を確認しておきましょう。

※各職種のスケジュールについて詳しくはこちら


受験資格

公務員試験の受験資格における必要条件には、「欠格条項」「年齢制限」「学歴」「資格」「身体的条件」があります。それぞれの条件については、以下の記事で詳しく解説していますので、事前に要件を必ず確認するようにしましょう。

公務員試験の難易度

合格するためには少なくとも800時間以上勉強する必要があることを考えると、公務員試験の難易度は高いと言えます。ただし、公務員には様々な職種があり、目指す職種によって試験の科目や配点内、試験の倍率が違うため、公務員試験の難易度は一概には言い切れません。

公務員試験の合格率

公務員試験の合格率は、国家一般職(行政職)で合格率29.0%で倍率3.4倍(受験者数22,316人、合格者数6,476人)となっています。地方公務員(市区)で合格率14.5%で倍率6.9倍(受験者数176,251人、合格者数25,586人)となっており、試験によって大きく差があります。

試験によって受験者層や試験内容が違うため、合格率が高い方が難易度が低いとも言い切れません。

2023年度国家公務員採用一般職・総合職試験(大卒程度試験)

区分 受験者数 最終合格者数 合格率 倍率
国家総合職 12,886人 1,360人 10.6% 9.5倍
国家一般職(行政職) 22,316人 6,476人 29.0% 3.4倍
国家一般職(行政職以外) 4,003人 1,793人 44.8% 2.2倍

上の表では人事院が発表している「2023年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)実施状況」と「2023年度国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)実施状況」を参考に2023年度の国家公務員の試験についてまとめています。 数値を比べて見ると、国家総合職の倍率は9.5倍と高く、国家一般職(行政職)では3.4倍と比較的低いことが分かります。 また、同じ国家一般職でも行政職以外は2.2倍とさらに低い倍率となっています。
しかし、行政職以外の国家一般職の難易度が低いといったわけではありません。
何故なら、行政職以外の国家一般職を目指す場合には専門的な知識が必要になるため、 総合職や国家一般職の行政職よりも難易度の高い試験を受けることもあるからです。

さらに、地方公務員の難易度もご紹介。


令和3年度の競争試験における受験者数、合格者数、採用者数、競争率の推移

区分 受験者数 最終合格者数 合格率 倍率
地方公務員(都道府県) 83,701人 18,271人 21.8% 4.6倍
地方公務員(市区) 176,251人 25,586人 14.5% 6.9倍
地方公務員(町村) 9,611人 2,122人 22.1% 4.5倍

地方公務員の倍率は都道府県採用が4.6倍、市区採用が6.9倍、町村採用が4.5倍となっています。 しかし、地方公務員試験も国家公務員試験と同様に倍率が低いからといって、難易度が易しいわけではありません。 市区採用の倍率が高い理由は、市区の受験者数が他の地域より圧倒的に多いためです。

公務員試験の採用の流れ

公務員試験の採用の流れは一次試験(筆記)、2次試験(面接)に合格後、個別面談で最終的な意思確認が行われるという流れが一般的です。
公務員として採用されるまでのプロセスについては、以下の記事で詳しく解説していますので、事前に確認するようにしましょう。

公務員試験の併願

公務員試験は日程さえ重ならなければ幾つでも併願可能です。公務員試験を併願することはごく一般的であり、希望の仕事に就きやすくするためにも積極的に併願を検討すべきです。試験に対するプレッシャーを分散できることや出題傾向を把握できるなどのメリットがあるため、日程、出題科目、職種などを検討して併願を検討しましょう。

独学のメリットとは?

独学のメリットとしてまず挙げられるのは、金銭的コストが少なくて済むということです。参考書や問題集を買うだけで済むので、お金をかけたくない人にとって大きなメリットといえます。また、予備校などに通う時間も節約できます。忙しい人にとっては通学時間も負担になりますし、授業の進行の速さなどが合わないと感じる人もいるでしょう。

独学は、お金や時間をなるべくかけずに勉強したい人に向いている方法といえます。

独学のデメリットとは?

独学のデメリットは、試験の情報収集や勉強法のサポートを受けられないことです。特に最新の出題傾向がわからないと、出題範囲の全てをまんべんなく勉強しなければならず大きな負担になります。また、不明点があっても誰かに質問することができません。さらに、何カ月も続く勉強期間中ずっとモチベーションを保ち続けるのも大変です。

長期間コツコツと勉強するのが苦にならず、不明点は自力で調べて解決できる人なら、このようなデメリットも問題ないかもしれません。

独学での対策方法

独学で試験にチャレンジする場合、どのようなポイントに気をつけるべきかを解説します。

受験する自治体を決める

まずは受験する自治体を決めましょう。公務員試験の場合、どの自治体で受験するかが非常に重要です。なぜなら、公務員試験は自治体によってそれぞれ試験制度が異なるからです。

市役所試験を例にとると、自治体によってはA・B・Cの日程種別があり、筆記試験では教養試験だけが行われる場合、専門試験も行われる場合などに分かれます。試験によっては、出願時に論文を提出するケースもあります。そのため、自治体の試験制度に合わせた勉強をしなければ、時間や労力のロスになるだけでなく、提出物が出願期限に間に合わないこともありえます。

そのため、勉強プランを立てる前の時点で、受験する自治体を決めておくことが重要となります。

必要な勉強時間を把握して勉強プランを立てる

公務員試験合格に必要な勉強時間

一般的に、公務員試験に合格するための勉強時間は「少なくとも800時間」といわれています。これは、1日4時間の勉強で約半年間、1日2時間の勉強で約1年間の計算です。試験によっても必要な勉強時間は違い、地方公務員、国家公務員(一般、専門)では800~1200時間程度、国家総合職であれば1200~1500時間程度が目安といわれます。

余裕を持った勉強プランを立てる

実際には、忙しい日々のなかでコンスタントに勉強するのは難しいものです。試験当日までに出題範囲をまんべんなく勉強するためにできるだけ余裕を持った勉強プランを立てておきましょう。

必要な時間のイメージがつかめたら、次に具体的なスケジューリングをします。まずは、半年、1年などの全体期間のなかで、どの科目にどのくらいの週数をあてるかを決めます。後述する重要科目に多くの週を割き、残りを他の科目に振り分けていくのです。

これをもとに3カ月ごとのスケジュールを立て、さらに細分化して月ごと、週ごとの目標を作っていきます。こうすると、1日にどのくらい勉強を進めるべきかというタスク量を可視化できますし、全体スケジュールに遅れが出ているかどうかもわかりやすくなります。


優先順位をつけて勉強する

筆記試験の出題範囲は非常に広いため、効率よく勉強するためには、配点の高い科目を優先しましょう。教養試験では「数的処理」「文章理解」の配点が高く、専門試験では「憲法」「民法」「行政法」「経済学(ミクロ・マクロ)」の配点が高めです。

筆記試験は6~7割の得点が合格のボーダーラインといわれていますので、配点の大きい科目を先にマスターするのが効率的です。重点的に勉強するためには、その科目をスケジュールの前半に入れて、しっかりと勉強することが重要です。

勉強期間が後半に入り、タイムリミットが迫ってくると、どうしても駆け足の学習になりがちです。しかし、重要科目がしっかり勉強できない状況はなるべく避けたいものです。基礎問題の理解があやふやなままで応用問題に進むのも避けましょう。基礎問題を繰り返し復習して確実な知識にするのが、筆記試験合格のポイントです。

過去問を上手に活用する

一般的な試験の勉強法では、基礎知識をつけてから過去問に着手することが効果的な場合が多いです。しかし、公務員試験の場合、先に過去問に着手した方が効率的な勉強ができます。先に過去問を解くことで、出題側が「ここは押さえておいて欲しい」と意図するポイントを理解し、重要キーワードも理解できるからです。

過去問を意識しながら基礎問題の勉強を行うことで、ただ漫然と参考書を読むよりもメリハリが出て理解も深まります。また、過去問の中には実際の公務員試験で出題された問題が充実しているものがあり、より重点を絞った効率的な勉強ができることもメリットです。

最適なタイミングで復習する

復習のタイミングを工夫することも、効率的な勉強に役立ちます。 ドイツの心理学者エビングハウスの実験結果では、人は覚えたことを1時間後には56%、1日後には74%忘れるとしています。これをグラフにした「エビングハウスの忘却曲線」を見ると、時間が経つにつれて曲線は緩やかになっていきます。

これを阻止するには、繰り返し復習することがポイントです。知識は再度覚えると記憶が強化されるため、翌日、1週間後、2週間後、1カ月後、2カ月後と、間隔を伸ばしながら繰り返し復習します。一度下がってしまった忘却曲線を、復習によって上げなおすと考えるとイメージしやすいでしょう。復習のタイミングはスマートフォンなどでリマインドしておくと便利です。

公務員試験対策のその他の勉強方法とは?

独学以外にも、公務員試験に合格する方法があります。
ここからは、予備校や通信講座を利用する場合の勉強方法やメリット・デメリットについて解説します。

公務員試験対策に予備校に通うメリットとは?

予備校に通うメリットは、カリキュラムの作成や勉強の習慣づけを予備校側に任せられるということです。不明点を専門家に質問できるのも心強いでしょう。半年~1年にわたる勉強プランを立てられない人や、長期間計画的にコツコツ勉強する自信のない人、不明点を自力で解消できない人は予備校に通うのに向いています。

しかし、予備校にはデメリットもあります。まず挙げられるのは決して安くないお金がかかるということです。予備校によりますが、30万円ほどかかるところが多く、経済的に厳しい人には大きな負担になります。また、通学や受講で時間が拘束されたり、カリキュラムが自分の勉強のペースに合わない場合もあります。

公務員試験対策に通信講座を利用するメリットとは?

通信講座を利用するメリットは、カリキュラムや質疑応答など、予備校の持つメリットはそのままに、金銭的なコストを大幅に抑えられるということです。通学に時間を要することもなく、勉強する時間を自由に選べることもポイントです。苦手なところは繰り返し練習し、マスターしたところは飛ばすなど、勉強のどこに重点を置くかの自由度が高いのも魅力です。

Web学習のサポートがある講座なら、通勤や通学時間にも勉強することができます。コストを抑えながら疑問解消などのサポートを受けたい人、自分の好きなペースで勉強したい人は、通信講座の受講が向いているといえます。

まとめ

独学で公務員試験に臨むメリットや、勉強のポイント、科目別の勉強方法などについて解説しました。公務員試験の出題範囲は広く、勉強も長期間に渡ります。効率よく学習することを考えれば、独学以外の方法にも目を向けてみましょう。

ユーキャンの大卒公務員受験対策講座は、「国家一般職・地方上級コース」「教養試験対策コース」「市役所コース」「警察官・消防官コース」の4つがあります。なりたい職種に合わせて勉強したり、科目が多い教養試験だけサポートを受けたりなど、細かいニーズに合わせた手厚いサポートが魅力です。コース別に分かれているのでカリキュラムも専門性が高く、学習しやすくなっています。

さらに、不明な点を解消できる指導サポートや、Webミニテストもあるので、実際の試験対策に有効です。ぜひ受講を検討してみてください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

公務員試験の採用の流れは?

公務員試験の採用の流れは一次試験(筆記)、2次試験(面接)に合格後、個別面談で最終的な意思確認が行われるという流れが一般的です。併願が可能なため、スケジュール調整しながら併願するのもいいでしょう。学習をスタートさせるタイミングは遅くとも受験の1年前がベストです。

公務員試験の受験資格は?年齢制限・学歴は関係ある?

公務員試験の受験資格における必要条件には、「欠格条項」「年齢制限」「学歴」「資格」「身体的条件」がある。年齢制限としては、高卒程度の試験の上限は20代前半、大卒程度の試験なら30歳前後が一般的。「高卒程度」「大卒程度」という区分があるが、あくまで試験問題の難易度を示す目安で、実際の学歴は不問。消防官・警察官・法務教官・皇宮護衛官・航空管制官など公安系職種では、身長や体重、視力や体力などの身体的条件が受験資格に含まれる。

公務員試験の試験科目は?

公務員試験では「筆記試験」と「面接試験」があり、筆記試験には教養科目と専門科目で構成され、約30科目から出題されます。専門科目は、試験が課されない職種も。課されるのは、大卒程度の国家総合職・国家一般職・国家専門職・裁判所職員・東京都I類・特別区I類・地方上級・市役所の一部です。

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