国家総合職とは、国家公務員の1つでキャリア官僚とも呼ばれる職種です。国家総合職を目指している人のなかには、年収が気になっている人も多いのではないでしょうか。この記事では、国家総合職の年収や昇給の流れなどを解説します。一般職との違いについても解説しているので、参考にしてください。

国家総合職とは

国家総合職とは、「国家公務員総合職」を略したもので公務員の1種です。各省庁で中枢を担う仕事を任される職種であり、キャリア官僚とも呼ばれます。国家総合職は、おもに制作の企画立案や法案の作成といった、国家にとって重要な業務を担います。

勤務先は、基本的に霞が関本省となるでしょう。ただし、他府庁や出先機関などへ出向するケースや、海外の大使館や総領事館などに勤務するケースもあるようです。国家総合職は、短期間で部署異動が行われるのが特徴です。国内外においてさまざまな仕事に携わるため、多くのスキルや経験を得ることができます。

国家総合職の平均年収はどれくらいなのか

令和4年度国家公務員給与等実態調査では、国家総合職の平均年収は以下のように記載されています。

  • 平均給料月額:405,049円
  • 平均年収:約668万円

この調査では国家総合職のみでの給料や年収は公開されておらず、いずれの数値も国家総合職と国家一般職の集計による数値となっています。基本的には同じ年次であれば、国家総合職の方が国家一般職よりも俸給は高いケースが多いです。このため、公表されている平均年収よりは多少高くなる可能性がありますが、おおよその目安としては上記のとおりです。

国家総合職の年収は、俸給と諸手当によって構成されています。基本給となる俸給は行政職俸給表として法律で決められていて、これに諸手当が付くといった形です。諸手当としては、残業手当やボーナスだけでなく、地域手当や扶養手当などさまざまな手当があります。国家総合職が受け取る手当の詳細は後述するため、そちらを参考にしてください。

民間企業の平均年収は約443万円となっているため、平均年収は国家公務員の方が200万円程度高いことがわかります。また、国家公務員は年功序列制度を採用しているため、勤続年数が増えて昇格すれば俸給が増加し、年収もアップするという仕組みです。

国家総合職の年齢別の年収

前述したように、基本給となる俸給は行政職俸給表で決められていて、職務の級(階級)と号俸(勤続年数)の組み合わせで俸給が決まります。職務段階に分けた年収の例を表にまとめたため、参考にしてください。

職務 年齢 俸給月額 年間給料
係員 25歳 193,900円 3,149,000円
係長 35歳 273,600円 4,501,000円
地方機関課長 50歳 413,200円 6,670,000円
本府省課長補佐 35歳 435,320円 7,155,000円
本府省課長 50歳 749,400円 12,534,000円
本府省局長 - 1,074,000円 17,653,000円
事務次官 - 1,410,000円 23,175,000円

こちらはあくまでも一例です。級は職務階級によって異なり、号俸は勤続年数が長くなるごとに上がっていきます。

国家総合職の初任給

国家総合職の初任給は以下のとおりです。

  • 大卒:189,700円
  • 大学院卒:216,000円
国家総合職では大学院卒の方が初任給は高くなりますが、大学卒と大学院卒ではスタートの号数が違うことが理由です。大卒の場合は2級1号俸から始まるのに対して、大学院卒の場合には2級11号俸からスタートするというように、10号もの差があります。

そのため、同じ年次であっても初任給は大学院卒の方が高く、諸手当を含めた実際の初任給は23万円~26万円ほどになるでしょう。


国家一般職と国家総合職の年収面での違い

新卒採用の場合、国家総合職は2級1号俸からスタートし、国家一般職は1級25号俸からスタートとなります。諸手当を含めた初任給では、国家総合職が23万円ほどであるのに対し、国家一般職は22万5,000円程度と大きな差はありません。

しかし、国家総合職の方が昇給スピードは速いという特徴があります。たとえば、国家総合職の場合、本省係長に3年程度で昇進しますが、国家一般職は8~10年程度かかるとされています。そのため、国家一般職と国家総合職では、年齢を重ねるごとに年収の差が大きく開いていくといえるでしょう。

国家総合職の昇進の流れとは

国家総合職の職務の級を一覧にしてまとめました。

職務の級 本府省
10級 課長
9級 課長
8級 室長
7級 室長
6級 課長補佐
5級 課長補佐
4級 係長
3級 係長
2級 係員
1級 係員

国家総合職として新卒で採用された場合には、2級からスタートします。前述したように、新卒で採用された国家総合職の場合は、3年程度で係長に昇進するといわれています。その後も、勤続年数を重ねるごとに級が上がっていき、7~9年程度で課長補佐へ昇進するといったケースが多いようです。

20代で係員から係長、30代で課長補佐、40代で室長、50代で課長というように、勤続年数が長くなるごとに役職が上がっていくことになります。

国家総合職が受け取る手当

国家総合職が受け取る手当はさまざまです。ここでは、国家総合職が受け取る諸手当について詳しく解説します。

住居手当

住居手当とは借家や借間に居住する職員や、単身赴任中で単身赴任手当を受給している職員の配偶者などが、借家や借間に居住している場合に支給される手当です。最高月2万8,000円が支給されます。住居手当は、借家や借間に居住していることが条件となっているため、持ち家の場合には支給されません。

地域手当

地域手当とは、民間賃金の高い地域に勤務している職員が対象となる手当です。地域手当は、以下の計算式で支給額が決まります。

  • 月額×支給割合
支給割合は勤務地によって異なりますが、最大で月の基本給の20%が支給されます。地域手当が支給されるのは、「東京都特別区」「大阪市」「横浜市」「さいたま市」「千葉市」「名古屋市」などが挙げられます。


扶養手当

扶養手当とは、扶養親族のある職員を対象とした手当です。扶養手当の額は以下のとおりです。

  • 配偶者:6,500円
  • 子ども:10,000円
  • 父母など:6,500円
子どもの年齢が、16歳年度初めから22歳年度末の場合は5,000円が加算されます。また、職員の級数が8級以上の場合には、配偶者および父母等の支給額が減額、もしくは停止される決まりとなっています。


通勤手当

通勤手当は、バスや電車といった交通機関や自動車などを使って通勤する職員を対象とした手当です。交通機関の場合には、6か月定期券などの価格によって一括支給されます。自動車などの場合には、通勤距離に応じた月額が毎月支給される仕組みです。ただし、どちらも支給上限が決まっています。支給上限額は以下のとおりです。

  • 交通機関:最高月5万5,000円
  • 自動車など:最高月3万1,600円


単身赴任手当

単身赴任手当とは、人事異動などに伴い住居の移転が必要となり、同居していた配偶者と別居して生活することになった職員が対象の手当です。単身赴任手当は、配偶者の住居との交通距離に応じて支給額が決定されます。ただし、支給上限が決められており、上限以上は支給されません。単身赴任手当の支給上限額は月10万円となっています。

管理職特別勤務手当

管理職特別勤務手当とは、管理や監督などの高い地位にある職員が緊急、もしくは臨時で週休日・平日深夜に勤務した場合に支給される手当です。支給額は職員が所属する組織によって変わってきますが、週休日などの勤務の場合は最高18,000円、平日深夜の勤務については最高6,000円が手当として支給されます。

広域異動手当

広域異動手当とは、人事異動などによって官署間の距離などが60km以上の広域的な異動などをした職員が、対象となる手当です。異動した日から3年間支給されることになります。「俸給の月額×支給割合」で支給額が求められ、支給割合は距離によって変わります。

  • 300km以上:10/100
  • 60km以上300km未満:5/100
つまり、300km以上の異動があった場合には、月の基本給の10%が支給されるということです。


まとめ

国家総合職とは、各省庁で行政の中枢を担う仕事に従事するキャリア官僚です。国家総合職の年収は、民間企業の平均年収よりも高くなっています。また、国家一般職よりも昇進のスピードが速いため、年齢を重ねるごとに年収の差は大きくなるでしょう。

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よくある質問

国家公務員試験の難易度は?

一概には言い切れないが、国家公務員試験の難易度は高いと言えます。国家公務員の倍率をみると、国家総合職の倍率は10.8倍と高く、国家一般職(行政職)では3.8倍と比較的低いことが分かります。 また、同じ国家一般職でも行政職以外は2.1倍とさらに低い倍率となっています。

国家公務員試験は併願できる?

日程が重ならなければ国家公務員試験を併願が可能です。。たとえば、国家総合職と裁判所事務官一般職(大卒程度)の併願などが考えられます。国家公務員の試験は、たとえ職種が違っていても出題傾向が似ていることが特徴です。また、国家公務員一般職と地方上級公務員試験を併願する人もいます。

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