• 更新日:2024/01/17

宅建の資格をすでに持っている人のなかには、業務に役立つ別の資格を取っておこうと考える人もいるでしょう。ダブルライセンスには、多くのメリットがあります。

この記事では、宅建にプラスする資格の取得を検討している人を対象に、複数の資格を取得するメリットや宅建と組み合わせることで仕事に役立つ資格を紹介します。今後の就職や転職にぜひ生かしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 宅建士と他資格とのダブルライセンスは、希望職種への就職・転職やキャリアアップに効果的。独立・開業にも有利。
  • 宅建士と相性のよい資格は、FP、管理業務主任者、マンション管理士、不動産鑑定士、福祉住環境コーディネーター、司法書士、行政書士など。
  • たとえば、管理業務主任者やマンション管理士なら、不動産に関する知識が高まり活躍の場が広がったり、FPなら不動産投資も含めた資産運用の相談も可能に。

宅建とのダブルライセンスをおすすめする理由

ここでは、宅建取得後に別の資格取得も目指した方がいい理由を説明します。

ダブルライセンスで得られる相乗効果

複数の資格を持つと、より仕事に役立つというメリットがあります。たとえば、不動産の3大資格「宅地建物取引士」「管理業務主任者」「マンション管理士」をダブルで取得すれば、さらに不動産に関する知識が身に付きます。また、宅建士とFPなら、顧客の不動産投資も含めた資産運用の相談に乗ることも可能になります。

試験内容が重なる資格がある

管理業務主任者、マンション管理士、行政書士などの資格は、宅建の試験内容と重なる項目もあるため、取得しやすいです。宅建合格後に勉強を続ければ、法律初学者よりも短時間で取得を目指せるでしょう。

独立・開業の成功確率が高まる

独立開業する場合もダブルライセンスなら、競合他社との差別化という点で有利です。保有している資格が多い分、顧客からの信頼が得やすくなるからです。また、複数の業務を請け負えるため、収入も安定する傾向にあります。

就職・転職に有利である

就職活動や転職活動では、必ずと言っていいほど履歴書・職務経歴書に保有資格についての記載を求められます。宅建の資格があるだけでも十分アピールできますが、2つ以上の資格があると自分の強みをより強調することができます

宅建とのダブルライセンスにおすすめの資格9選

合格率 試験日 受験費用 主な試験科目 ポイント
ファイナンシャルプランナー(FP)
※日本FP協会
3級 約85%
2級 約50%
1級 約90%
1・5・9月
※1級は9月のみ
3級 8,000円
2級 1万1,700円
1級 2万円
金融資産運用や不動産、タックスプランニングなど 資金運用のアドバイスが可能
管理業務主任者 約20% 12月 8,900円 民法、簿記、建築物の構造やマンション管理に関する事項など マンション管理の委託契約が可能
マンション管理士 7~9% 11月 9,400円 マンション管理に関する法令、組合管理に関する事項など マンション管理実務が可能
不動産鑑定士 短答式 約30%
論文式 約15%
短答式:5月
論文式:8月
Web申込み 1万2,800円
郵送申込み 1万3,000円
不動産に関する行政法規や鑑定評価に関する事項、民法、会計学など 不動産価値の鑑定が可能
福祉住環境コーディネーター 3級 約65%
2級 約45%
1級 約13%
7・11月
※1級は11月のみ
3級 5,500円
2級 7,700円
1級 1万1,000円
福祉住環境に関する事項、高齢者・障害者ケアなど 福祉住宅の専門家
土地家屋調査士 8~9% 筆記:10月
口述:1月
8,300円 民法、登記や測量に関する事項など 土地や建物の測量が可能
測量士補 約35% 5月 2,850円 測量に関する知識や法規に関する事項など 工事現場の測量が可能
司法書士 3~4% 筆記:7月
口述:10月
8,000円 憲法、民法、刑法、不動産登記法、商業登記法、供託法、司法書士法など 高難易度の法律家
行政書士 10~15% 11月 10,400円 憲法、行政法、民法、会社法など 行政手続きの専門家
  • 2023年4月時点での情報です。今後変更になる可能性があります。

ここからは宅建と相性の良い資格について、より詳しく紹介します。

ファイナンシャルプランナー(FP)

ファイナンシャルプランナー(通称FP)は人生における金銭面のアドバイスをする専門家です。取得すれば、保険や年金、税金など、お金に関する幅広い知識が得られます。

  • 以下は日本FP協会が実施している試験の資料です。

合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:3級は70%程度、2級は40%程度、1級は70~85%程度
受験費用:3級は8,000円、2級は1万1,700円、1級は2万円
主な試験科目:金融資産運用や不動産、タックスプランニングなど


【ポイント】
  • 不動産取引の際、資金運用面のアドバイスに説得力が増す
  • 試験は金融財政事情研究会(通称金財)も実施していて、費用や合格率が異なる

管理業務主任者

管理業務主任者は、マンション管理業を行うのに必須の資格です。
マンション管理で委託契約を結ぶ際の重要事項の説明、管理事務の報告などを行います


合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:20%程度
受験費用:8,900円
主な試験科目:民法、簿記、建築物の構造やマンション管理に関する事項など


【ポイント】
  • マンション管理の専門家として独立もできる
  • 管理業務主任者の資格保有者は試験の一部が免除される

マンション管理士

マンション管理士は、マンション管理に携わるための資格です。現場に近い業務内容なので、コンサルタントとしての役割を果たせます。具体的には、管理組合や住民からの相談対応、トラブルの対処が主な業務です。


合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:7~9%程度
受験費用:9,400円
主な試験科目:マンション管理に関する法令、組合管理に関する事項など


【ポイント】
  • マンション管理の専門家として独立もできる
  • 管理業務主任者の資格保有者は試験の一部が免除される

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、土地や建物などの不動産価値を鑑定する専門家です。取り扱う不動産の経済的価値を判断し、価格を算出できるようになります


合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:短答式試験は30%程度、論文式試験は15%程度
受験費用:Web申込みは1万2,800円、郵送申込みは1万3,000円
主な試験科目:不動産に関する行政法規や鑑定評価に関する事項、民法、会計学など


【ポイント】
  • 希少価値の高い資格なので、企業から重宝される
  • 短答式試験に合格すると、2年間は論文式試験のみの受験が可能

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害のある人の安全面に配慮した建物についてのアドバイスをする資格です。住宅に関する幅広い知識を身に付けられます


合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:3級は60%程度、2級は30%程度、1級は10%程度
受験費用:3級は5,500円、2級は7,700円、1級は1万1,000円
主な試験科目:福祉住環境に関する事項、高齢者・障害者ケアなど


【ポイント】
  • 高齢化が進む国内のニーズに対応できる
  • 試験範囲が宅建とは異なるので、新たに学習する内容が多い

土地家屋調査士

土地家屋調査士は、土地や建物などの形質や面積といった情報を調査したり測量したりする資格です。取得すると、不動産登記の表題部(権利者以外の物理情報のこと)に関する手続きも代行できるようになります


合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:8~9%程度
受験費用:8,300円
主な試験科目:民法、登記や測量に関する事項など


【ポイント】
  • 不動産業界で欠かせない登記手続きを、外部へ依頼する必要がない
  • 測量士補の資格を保有していれば、試験の一部が免除となる

測量士補

測量士補は、道路や建設現場など、工事を行う土地の測量をする資格です。測量士の作成した測量計画に基づいて、現場で実務を行う立場にあります。条件を満たせば、初めから測量士の試験に挑戦もできますが、測量士補のほうが合格率は高くなっています


合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:35%程度
受験費用:2,850円
主な試験科目:測量に関する知識や法規に関する事項など


【ポイント】
  • 測量の知識を生かせるので、不動産の現地調査に強くなる
  • 取得することで、土地家屋調査士の試験が一部免除される

司法書士

司法書士は、不動産登記や商業登記の代行から簡易裁判所での弁護活動など幅広い法律を扱う専門家です。不動産登記では、土地家屋調査士とは異なる権利部(所有者などの情報)に関する手続きを代行できます


合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:3~4%程度
受験費用:8,000円
主な試験科目:憲法、民法、刑法、不動産登記法、商業登記法、供託法、司法書士法など


【ポイント】
  • 難関資格なので、保有していると就職・転職に有利
  • 簡単に合格できる試験ではないので、しっかりとした対策が必要

行政書士

行政書士は、官公署などに提出する書類の作成・手続きの代行や契約書の作成などを行う法律系の専門家です。煩雑でわかりにくい行政手続きに困っている人をサポートするのが主な役割です


合格率・受験費用・主な試験科目・受験のためのポイント

合格率:10%程度
受験費用:10,400円
主な試験科目:憲法、行政法、民法、会社法など


【ポイント】
  • 不動産取引に付随する行政手続きを一括して対応できるようになる
  • 宅建と試験範囲が似ている部分があるので、挑戦しやすい

まとめ

宅建とのダブルライセンスは、組み合わせによってさらなるキャリアアップを目指せるのが魅力です。宅建と相性の良い資格も複数あるので、将来の展望や希望職種に合わせて勉強してみてはいかがでしょうか。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

宅建士は何ヵ月で受かる?

宅建試験の合格に必要な勉強時間は200~300時間といわれています。
全体の勉強時間として300時間を目標にする場合、1日2時間なら150日となり、約5ヵ月かかります。最短でも3ヵ月から5ヵ月ほどの期間が必要です。
初学者の方などが長期的な学習計画を立てるのであれば1年間程度でスケジュールを組みましょう。

宅建士の合格点は?

宅建試験の合格点(合格ライン)は毎年変わりますが、近年では合格点35点、つまり70%以上の正答率が求められています。令和4年度の宅建試験の合格率は17.0%、合格点(合格ライン)は36点でした。

宅建の試験日はいつですか?

宅建試験は例年10月の第3日曜日に実施されます。
例年通りであれば、2024年(令和6年)の試験は、2024年10月20日(日)の13時から15時に実施されます。

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