• 更新日:2025/07/09

ITパスポート試験は、ITをビジネスや学業などで活用するすべての学生と社会人を対象に、ITに関する技術的・法的・経営的な知識を問う国家試験です。出題範囲はITに関連したネットワークやセキュリティ、法務、マーケティング、経営戦略など多岐にわたります。本記事ではITパスポート試験の合格に向けて、過去問の重要性や効果的な勉強法、過去問学習におすすめのサイト・アプリなどを詳しく解説します。

ITパスポート試験の過去問が重要な理由

ITパスポート試験を受験する際、過去問の学習は非常に重要な意味を持ちます。なぜ過去問の学習が重要になるのか、その理由を詳しく解説します。

出題傾向の把握

ITパスポート試験において過去問の活用が重要とされる理由のひとつが、出題傾向の把握です。過去問を解くことで、どのような分野から頻出問題が出題されるのか、どのような形式や難易度で問われるのかを具体的に知ることができます。過去問を解いていくことで、試験対策の優先順位が明確になり、効率的な学習が可能です。また選択肢の出題パターンやひっかけ問題の傾向も理解できるため、本番でのミスを減らすことにもつながります。

問題形式に慣れる

ITパスポート試験では、すべての問題が四肢択一式で出題されます。そのため過去問を繰り返し解くことで問題形式に慣れ、スムーズに解答できる力が身につけられます。特に選択肢の中には紛らわしい表現や似た用語が含まれていることが多く、事前にその傾向を体感しておくことは非常に有効です。またITパスポートは120分で100問を解く必要があり、スピーディに回答する訓練も必要です。本番と同様の形式で時間配分の練習をすることで、試験中に焦らず対応できるようになります。知識があっても、形式に不慣れなままでは得点に結びつかないこともあるため、問題形式に慣れることは合格に向けた大切なステップです。

時間配分の練習

ITパスポート試験は全100問を120分で解く必要があり、適切な時間配分が合否を左右します。実際の試験時間を想定して過去問を解くことで、自分の解答ペースを把握し、どの問題に時間がかかるかを知ることが重要です。これにより、特定の問題に悩んでいたり難問に時間をかけすぎたりしていることが可視化でき、確実に得点できる問題に集中する判断力が養われます。本番での焦りや時間切れを防ぐためにも、過去問を活用した時間配分の練習は有効です。

弱点分野の特定

ITパスポート試験は、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野からバランスよく出題されます。過去問を解くことで、自分がどの分野で正答率が低いかを客観的に把握することができ、弱点分野を補う効率的な学習につながります。特に苦手な分野を放置したままだと、全体の得点が伸びず合格が遠のいてしまうため、弱点の把握は重要です。過去問を繰り返し分析することで、知識の定着度を確認すると同時に、重点的に復習すべきポイントを明確にできます。

ITパスポート試験の過去問を活用した勉強法

ITパスポート試験の過去問は、ひたすら解くだけでも一定の効果があります。しかしより効果的に活用する勉強法もあるため、具体的に解説します。

まずは一度、本番形式で解いてみる

ITパスポート試験の過去問を活用する際は、まず一度、本番と同じ形式・時間で解いてみることが効果的です。これにより自分の現在の実力や理解度を客観的に把握でき、どの分野が得意か、逆に苦手かを明確にできます。また時間配分の感覚もつかめるため、今後の学習計画の基礎として非常に有用です。初回の結果をもとに、重点的に取り組むべき範囲を絞ることができ、効率的な学習につなげられます。

解答・解説を熟読する

ITパスポート試験の過去問を解いた後は、必ず解答・解説を熟読することが重要です。正解・不正解にかかわらず、なぜその選択肢が正しいのか、他の選択肢はなぜ誤っているのかを理解することで、知識が深まり応用力も身につきます。また解説には重要用語や関連知識が含まれていることが多いことから、試験において何が重要視されているか把握でき、試験全体の理解を広げるのにも役立ちます。ただ正答率の確認にするだけでなく、解説を学習の一部として活用することで、確実な実力アップにつなげましょう。

不正解だった問題は、関連するテキストや参考書で復習する

ITパスポート試験の過去問で不正解だった問題は、必ず関連するテキストや参考書で復習することが大切です。間違えた原因を明確にし、知識の穴を埋めることで、同じ分野の問題にも対応できる力がつきます。過去問の解説だけでは情報が断片的になることもあるため、参考書で背景知識や用語の意味を確認することで理解がより深まります。この復習を繰り返すことで知識が定着し、初見の問題にも対応できる実力が身につき、試験本番でも本来の実力を発揮できるようになるでしょう。

繰り返し解くことで知識の定着を図る

ITパスポート試験では、幅広い知識を正確に覚えることが求められます。そのため過去問を繰り返し解くことで、知識の定着を図ることが効果的です。試験の1~2か月ほど前から過去問によるアウトプットの繰り返しを行うことで、重要用語や出題パターンが自然と理解でき、本番でも迷わず解答できるようになります。また以前間違えた問題を再度解くことで、理解の深まりや弱点克服にもつなげることも重要です。

最新の過去問だけでなく、古い年度の過去問も活用する

ITパスポート試験では、基本的な用語や考え方が毎年繰り返し問われるため、最新の過去問だけでなく、過去3年分ほどの古い年度の過去問も活用することが効果的です。古い問題にも現在の試験に通じる重要な出題パターンや頻出テーマが多く含まれており、基礎力の強化に役立つからです。また幅広い問題に触れることで知識の応用力も養われ、試験本番での対応力が高まります。幅広い年度の過去問を解くことで、より万全な試験対策が可能となります。

【年度別】ITパスポート試験の過去問と解答・解説

ITパスポート試験では全100問が出題され、3分野の割合としては概ね次のような配分となっています。
・ストラテジ系:35%
・マネジメント系:20%
・テクノロジ系:45%
よく問われる分野や問題の傾向などは一定のものがあるため、過去問の一部を抜粋して紹介します。

平成30年度 ITパスポート試験 過去問(春期/秋期)

紹介するのは平成30年度の春期・秋期に出題された企業法務からの出題です。

 平成30年度春期
 ・貸借対照表から求められる、自己資本比率は何%か。
 単位 百万円

資産の部 負債の部
流動資産合計 100

固定資産合計 500
流動負債合計 160

固定負債合計 200
純資産の部
株主資産 240

 ア.40  イ.80  ウ.125  エ.150

自己資本比率は【自己資本÷総資産】で求められます。この問題の場合、総資産は負債+純資産の600となります。そして自己資本比率は【240÷600=0.4】となるため、40%が正解です。

次に同じく平成30年度秋期に出題された問題です。


 次の計算式で算出される財務指標はどれか。

 当期純利益/自己資本×100
 ア.ROA  イ.ROE  ウ.自己資本比率  エ.当座比率

上記の計算式は株主が投資した自己資本に対して、どのくらいの効率で利益を生み出しているかという指標を求める内容です。よって、ROE(自己資本利益率)が正解となります。ITパスポート試験では、ストラテジ系の問題としてこのような企業法務の問題が多く出題される傾向があります。ITパスポートは実務での知識を問う試験ですから、企業法務や財務関連の基礎知識を理解しているかどうかは非常に重要です。

令和3年度 ITパスポート試験 過去問(春期/秋期)

企業法務以外の分野では、テクノロジ系からセキュリティ関連の問題も頻出となっています。特に近年は世界各地でサイバー攻撃が頻繁に発生していることから、非常に重要な分野といえるでしょう。

 令和3年度
 ISMSにおける情報セキュリティに関する次の記述中のa、bに入れる字句の適切な組み合わせはどれか。

 「情報セキュリティ」とは、情報の機密性、完全性及び【a】を維持することである。さらに、真正性、責任追跡性、否認防止、【b】などの特性を維持することを含める場合もある。

a b
可用性 信頼性
可用性 保守性
保全性 信頼性
保全性 保守性

上記の問題の正解はアです。情報セキュリティにおける三大要素は「機密性」「完全性」「可用性」です。さらに真正性、責任追跡性、否認防止、信頼性の維持も同じく要素となりえます。基礎的な知識ですが、間違えて覚えやすいため注意が必要です。

 令和3年度
 PDCAモデルに基づいてISMSを運用している組織の活動において、リスクマネジメントの活動状況の監視の結果などを受けて、是正や改善措置を決定している。この作業は、PDCAモデルのどのプロセスで実施されるか。
 ア.P  イ.D  ウ.C  エ.A

上記の問題の正解はエです。PDCAモデルとは「P(Plan)」「D(Do)」「C(Check)」「A(Act)」のサイクルで改善を図るモデルです。そのうえで監視の結果(Check)を受けての是正や改善措置(Act)となっているため、Aのプロセスとなります。

ITパスポート試験の過去問が無料で手に入るサイト・アプリ

ITパスポートの過去問を学習するなら、まずは無料で利用できるサイト・アプリがおすすめです。どのようなサイト・アプリがあるのか、2種類紹介します。

IPA(情報処理推進機構)公式サイト

ITパスポート試験を主催するIPA(情報処理推進機構)の公式サイトでは、平成21年度以降の試験問題とその解答が無料でダウンロード可能です。お金をかけずに過去問で学習するなら、IPA公式サイトからダウンロードするのがよいでしょう。ただし一般的な問題集のように重要な問題や頻出の問題は書かれておらず、解答も番号のみで解説はありません。そのため、しっかりとした前提知識を学んだうえで利用すると効果的です。
参考:https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/openinfo/questions.html

ITパスポート試験ドットコム

ITパスポート試験ドットコムは、毎日過去問から一問一答を出題しており、関連したピックアップキーワードを詳細に解説しています。毎日コツコツと学習しながら、基礎知識を定着させたい方にはおすすめのサイトです。分野別の出題やオリジナル問題集などもあるため、無料でも非常に高い効率で学習できます。
参考:https://www.itpassportsiken.com/

無料学習アプリ(ITパスポート過去問道場など)

ITパスポート試験ドットコムには「過去問道場」と呼ばれる無料で利用できるサイトがあります。平成21年度以降の過去問と解答・解説が書かれており、分野別・模試試験形式・ランダム出題などの機能を選択可能です。また「みちともデジタル」というサイトでは、最新シラバスに基づいた過去問や用語などを無料で解説しています。いずれもPC・スマホ・タブレットでも利用できるため、すき間時間の学習に最適です。ただし過去問は基本的に1問ごとにダウンロードが必要になるため、Wi-Fiなどの安定した通信環境がありと通信費のかかりにくい状況で利用するのがよいでしょう。
参考:https://www.itpassportsiken.com/ipkakomon.php
https://michitomo2019.com/

まとめ

ITパスポート試験はITスキルの入門資格として、大学生から若手の社会人まで幅広い層に人気のある資格です。IT知識の基礎の定着につながるだけでなく、就職・転職でも有利な資格です。IT・DXリテラシーを高め、予測できない時代を勝ち抜くためにも、最初のステップにITパスポート試験を選ぶのがおすすめです。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

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ITパスポートとは、ITに関する基礎的知識を証明する、経済産業省認定の国家試験です。パソコンやインターネットを使うのが当たり前の時代。技術者だけではなく幅広い層に正しい知識が必要であることから、2009年4月に新設されました。Iパスとも呼ばれ、年齢、性別、職種を問わず人気資格です。