• 更新日:2023/08/22

就職するにあたって有利になる資格といえば、さまざまな業務に役立つIT関連の資格がまず挙げられます。しかし、種類が多いため、どの資格を取得すればいいか迷ってしまう人は多いです。

ITに関する基礎知識があることを証明したい場合には、ITパスポートがおすすめです。この記事では、ITパスポート試験の難易度・合格率・必要な知識・勉強時間などを解説します。ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • ITパスポート試験は、年間約20万人が受験する今注目の資格。
  • ITに関する基礎的知識を証明する経済産業省認定の国家試験で、IT系の国家試験では入門レベル。
  • 近年の合格率は50%前後で、他の国家資格と比べると難しくないと言える。
  • 合格に必要な勉強時間は、IT知識のない人の場合は180時間、基礎知識がある場合は100時間が目安。


ITパスポート試験とは

ITパスポートとは、ITに関する基礎的知識を証明する、経済産業省認定の国家試験です。IT系の国家試験では入門レベルにあたり、近年では年間20万人が受験しています。

ITパスポートは国家試験である情報処理技術者試験のうちの一つで、ITに関する基礎的な知識を理解できているかが問われます。IT系の国家試験では入門レベルにあたるもので、エンジニア職だけでなく事務職・営業職など幅広い職種の社会人や、学生も多く受験しています。

2021年の受験者は20万人を超えるなど今、注目の試験です。

ITに関する基礎知識があることが証明できる

ITパスポート試験に合格することで、ITに関する基礎知識があることを証明できます。近年は企業におけるIT化が進み、パソコンを使用する業務が増えています。ITパスポート試験合格に向けて勉強をすることで、仕事をするために最低限必要なIT知識が身につきます。ビジネスに関する知識も問われるため、就職・転職するためには非常に役立つ資格と言えます。

ITスキルのはじめの一歩。次のステップは?

ITパスポート試験が含まれる情報処理技術者試験は難易度に合わせて、12の試験に分けられています。ITパスポートはレベル1で、最も難易度は低く、ITスキルのはじめの一歩にふさわしい資格と言えるでしょう。
ITパスポート取得後の次のステップとして、IT情報セキュリティの知識に特化した「情報セキュリティマネジメント試験」がいいでしょう。ITパスポート同様、業務や活用の領域にかかわらず、ITを利活用する方向けの資格です。
もし、プログラマやエンジニアを目指すならばITエンジニアの登竜門といわれる「基本情報技術者試験」もいいでしょう。ITエンジニアとしてキャリアをスタートするために必要な基本的知識が身につきます。

初級システムアドミニストレータ試験との違い

初級システムアドミニストレータ試験(以下、初級シスアド)は、現在では廃止された資格で、ITパスポートが初級シスアドの後継資格と言われています。初級シスアドは、IT業務のリーダーを育成するための試験であるため、ITパスポート試験よりも難易度が高めで取得が難しい資格でした。

MOSとの違い

MOSは、マイクロソフト社が認定する民間資格であり、ITパスポートは国家資格です。MOSは、Word・Excel・PowerPointなどを実際に使いこなすスキルを証明する資格であり、実技試験が行われます。ITパスポート試験は4肢択一式による試験で、ITに関する知識が求められます。即戦力として実務能力が求められる場合には、MOSの方が重宝される傾向があります。

ITパスポート試験の難易度

ITパスポート試験の難易度は他の国家試験と比べそこまで難しくありません。最近の合格率は平均して50%前後。最年少の合格者は7歳の小学1年生です。

ITパスポート試験の難易度はそこまで難しくない

ITパスポート試験の合格率は平均して50%前後で、2人に1人は合格しています。国家試験の中では高い合格率であり、難易度はそこまで難しくなく、IT系国家試験の入門レベルです。最年少の合格者は7歳の小学1年生、合格者の平均年齢は29.6歳と発表されています。

ITパスポート試験の合格率は50%前後

過去10年間のITパスポート試験の受験者数・合格者数・合格率を表にまとめました。

ITパスポート試験の合格率

年度 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
2021 211,145 111,241 52.7
2020 131,788 77,512 58.8
2019 103,812 56,323 54.3
2018 95,187 49,221 51.7
2017 84,235 42,432 50.4
2016 77,765 37,570 48.3
2015 73,185 34,696 47.4
2014 71,464 34,215 47.9
2013 67,326 32,064 47.6
2012 62,848 25,796 41

2022年12月時点

ITパスポート試験合格は社会人が有利

2021年4月から10月までの受験者数・合格者数・合格率をまとめてみると、社会人の合格率は60.6%、学生の合格率は42.5%で、社会人の合格率の方が高いことがわかります。

これは、ITそのものの知識だけでなく、ビジネス用語や経営に関する知識も問われるため、すでに実務の経験がある社会人の方が有利だから、と考えられます。ですから、学生がITパスポート試験を受験する際には、ビジネス分野の勉強に力を入れれば合格の可能性が上がるでしょう。

社会人と学生の合格率

受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
社会人 68,755 41,670 60.6
学生 27,997 11,904 42.5

社会人の合格率

社会人 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
IT系 11,622 7,054 60.7
非IT系 57,133 34,616 60.6

学生の合格率

学生 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
大学院 975 686 70.4
大学 14,153 7,588 53.6
短大 218 55 25.2
高専 640 224 35.0
専門学校 4,567 1,344 29.4
高校 6,925 1,806 26.1
小・中学校 102 36 35.3
その他 417 165 39.6

2021年12月時点

ITパスポート試験の合格基準

ITパスポート試験では、IRT方式で算出される評価点が合格基準となります。IRT方式とは、解答結果から評価点を算出するものです。実施される試験ごとに異なる試験問題の難易度の格差をなくすために行われています。受験生にとって、公平な試験となるよう配慮されたものです。

そのため、問題は全体で100問ありますが、1問10点という単純な配点では計算されません。合格ラインは総合評価点が1000点中600点以上、分野別評価点が1000点中300点以上です。

ITパスポート試験の概要

ITパスポート試験の試験実施日・会場・試験時間などについて紹介します。

試験実施日 全国の試験会場で、原則毎日実施
受験資格 年齢・国籍を問わずどなたでも受験可
出題分野 100問(小問形式)
以下の3つの分野について出題
・ストラテジ系35問程度…経営全般に関する考え方など
・マネジメント系20問程度…IT管理に関する考え方など
・テクノロジ系45問程度…IT技術に関する考え方など
試験レベル 総合評価点、分野別評価点のすべてが次の基準を満たすこと
・総合評価点 600点以上/1,000点(総合評価の満点)
・分野別評価点
ストラテジ系  300点以上/1,000点(分野別評価の満点)
マネジメント系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点)
テクノロジ系  300点以上/1,000点(分野別評価の満点)
試験時間 120分
出題形式 CBT方式 多肢選択式(四肢択一)
試験会場 全国47都道府県
受験料 2022年度試験:7,500円(税込み)

試験日

都道府県、会場により頻度は異なるものの全国で随時行われており、ITパスポート試験公式サイトで3カ月先までの予定を確認できます。

申込受付期間

申込受付期間は、試験実施の3カ月前から、前日までです。ただし、受験料の決済方法や申込時刻により異なります。

試験会場

試験会場は全国47都道府県にあり、ITパスポート試験公式サイトで実施予定日とともに確認できます。

試験時間

試験時間は120分です。遅刻は認められますが、終了時間の繰り下げはありません。会場によっては、午前・午後・夕方の3回実施されているところもあります。

試験方法

試験方法はパソコンに解答を入力するCBT方式です。試験開始時にはIDや受験番号などを入力しログインする必要があります。

受験料と支払い方法

受験料は7,500円(税込み、2022年度試験)です。支払方法はクレジットカード・コンビニ支払い・バウチャーから選べます。

試験時間と出題形式

ITパスポート試験は、120分の試験時間で計100問が出題されます。4肢択一式なので記述式の問題はありませんが、計算を要する問題なども含まれるため、時間配分には注意が必要です。わからない問題や計算問題などで詰まってしまうと、後半で時間切れになるおそれがあります。

出題分野

出題分野は「ストラテジ系(経営全般)」が約35問、「マネジメント系(IT管理)」が約20問、「テクノロジ系(IT技術)」が約45問です。各分野の出題範囲については後ほど詳しく解説します。

ストラテジ系 企業と法務、経営戦略、システム戦略
マネジメント系 開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント
テクノロジ系 基礎理論、コンピュータシステム、技術要素

受験資格

ITパスポートには特に受験資格はありません。年齢や国籍を問わず、誰でも受験することが可能です。

ITパスポート試験の出題範囲・必要な知識

ITパスポート試験の内容は「ストラテジ系(経営全般)」「マネジメント系(IT管理)」「テクノロジ系(IT技術)」3分野に分かれています。それぞれの概要と問題数について解説します。

ストラテジ系(経営全般)

ストラテジ系(35問)
企業と法務 企業活動
法務
経営戦略 経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
システム戦略 システム戦略
システム企画

ストラテジ系は、企業経営に関連した知識が問われます。経営戦略・システム戦略・マーケティングに関する問題が多く出されます。著作権や個人情報保護などの法務に関する出題も多いので、法務関連用語は重点的に覚えるようにしましょう。ストラテジ系は35問ほど出題されます。

マネジメント系(IT管理)

マネジメント系(20問)
開発技術 システム開発技術
ソフトウェア開発管理技術
プロジェクトマネジメント プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント サービスマネジメント
システム監査

マネジメント系は、システム開発・プロジェクト管理・サービス管理に関する問題が多く出されます。システム開発の方式や、プロジェクト管理・システム監査の流れをおさえておきましょう。マネジメント系は20問ほど出題されます。

テクノロジ系(IT技術)

テクノロジ系(45問)
基礎理論 基礎理論
アルゴリズムとプログラミング
コンピュータシステム コンピュータ構成要素
システム構成要素
ソフトウェア
ハードウェア
技術要素 情報デザイン
情報メディア
データベース
ネットワーク
セキュリティ

テクノロジ系は、ITの基礎となる二進法などの数学的基礎理論・PCの仕組み・アルゴリズムに関する問題が出題される場合があります。データベース・ネットワーク・セキュリティなどの知識が問われます。テクノロジ系は45問ほど出題されます。

ITパスポート試験に必要な勉強時間

ITパスポート試験に必要な勉強時間は平均して150時間ほどと言われます。1日1.5時間ほどの学習を3ヵ月ほど続けた場合の時間に相当します。
ただし、IT知識の有無によっても必要な勉強時間が変わってくるため、注意が必要です。IT知識のない人の場合は180時間、基礎知識がある場合は100時間が目安です。

IT知識のない人の場合

IT知識のない人が合格を目指す場合に必要な勉強時間は約180時間といわれています。1日2時間の勉強をすれば、3カ月程度で合格を目指せます。
IT知識がない場合、ITパスポートのテキストを読み解くにしても、まずはテキストに出てくるIT用語を調べるところからはじまります。そのため、確実に合格を目指すためには、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。

ITの基礎知識がある場合

情報系の学校に通う学生や、IT系の仕事をしている社会人などIT基礎知識がある人の場合、必要な勉強時間は約100時間ほどで、合格を目指せるといわれています。
基礎知識があれば、分野によってはすでに知っている知識も多い可能性があるため、自分が苦手とする分野を重点的に対策しましょう。

ITパスポート試験のための勉強方法

ITパスポート試験に合格するための、具体的な勉強方法を解説します。

参考書で勉強する

自分のレベルに合った参考書を選んで勉強しましょう。参考書はたくさん出版されているため、自分に合った参考書を選び出すことは結構大変です。IT知識のない初心者には、イラスト解説や用語集がついているような初心者向けの参考書をおすすめします。IT知識のある人は、出題される3分野のうちの苦手な分野に関する参考書を選ぶといいでしょう。

過去問題を解く

参考書を一通り読んで理解したら、過去問題を解いてみましょう。自分の苦手な分野がわかります。間違えたところや理解が不十分な問題については参考書を読みなおし、正解できるまで何度も問題を解きなおして理解しましょう

通信講座を受講する

通信講座を受講するのもいいでしょう。独学は、自分のペースで勉強できるメリットがありますが、モチベーションの維持が難しいというデメリットもあります。通信講座では、厳選された参考書・問題集が準備されており、試験範囲の変更、法律関連の変更など最新情報も入手できます。

ユーキャンのITパスポート講座は、初心者でも分かりやすいテキストを使い、4カ月で無理なく合格を目指せます。スマホでWebテストに取り組めるなどすきま時間も活用でき、わからない箇所について随時質問できるので、モチベーションを保ち続けられるのが特徴です。

ITパスポート試験を受験する際の注意点

ITパスポート試験を受ける際に、注意すべきことを解説します。

まず受験日を決める

ITパスポート試験は、47都道府県で随時開催されています。まず受験する日を決めることで、受験までの目標を設定しましょう。初めて受ける場合は、3~4カ月後の試験に申し込むことをおすすめします。勉強のための期間を長く設定してしまうと、モチベーションの維持が大変となる恐れがあります。

CBT方式の受験である

ITパスポート試験は、パソコンを使って解答するCBT方式です。パソコン画面に出題される問題を読み、4つの選択肢の中から正解を1つ選びマウスやキーボードを用いて解答します。試験画面は表示倍率を変えたり、前後の問題に移動したりできます。

まとめ

ITパスポート試験は、ITに関する基礎知識を理解できていることを証明できます。初級シスアドよりは難易度が低く、MOSのように実技を必要とされない試験なのでチャレンジしやすいでしょう。4か月ほどの独学での合格も目指せますが、通信講座を受講すると、参考書を選ぶ手間も省け、モチベーションの維持もしやすくなるのでおすすめです。

ユーキャンのITパスポート講座では、図解やイラストを多用した、初心者目線でわかりやすいテキストを使用しています。すきま時間にスマホでWebテストに取り組みながら、無理なく4カ月で合格を目指せます。わからないところは質問できたり、最新情報を反映していたり、など手厚いサポートが魅力です。ITパスポート試験を受験する人は講座受講をご検討ください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

ITパスポートは就職や転職活動に活かせる?

エントリーシートでITパスポートの取得を確認したり、社内研修にITパスポートを活用したりする企業は多く、就職や転職活動にも役立つ資格といえます。

ITパスポートの取得には独学と通信講座のどちらがいい?

独学の場合、コストを抑えられますが、自分一人でモチベーションを保ち続ける必要があります。通信講座の場合、独学より費用は掛かりますが、質問サービスがあるなど、初心者に向けたサポートが充実しているのが特徴です。

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ITパスポートとは、ITに関する基礎的知識を証明する、経済産業省認定の国家試験です。パソコンやインターネットを使うのが当たり前の時代。技術者だけではなく幅広い層に正しい知識が必要であることから、2009年4月に新設されました。Iパスとも呼ばれ、年齢、性別、職種を問わず人気資格です。