「ITパスポートは取得しても意味がない」という声を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。一方で、ITの基礎知識が学べるITパスポートの取得を推奨している企業・団体も少なくありません。この記事では、ITパスポートの取得は意味がないといわれる理由や、ITパスポートと比較したい資格を解説します。IT関連の資格取得を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

ITパスポートの取得は意味ない?

ITを専門とする業界では、「ITパスポートを取得しても意味がない」といわれることがあります。しかしながら、ITパスポートは経済産業省認定の国家試験です。合格することで、ITに関する基礎知識が身についていることを証明できます。IT以外の業界で働く人にとっては、評価されやすい資格となっており、取得する意味は大いにあります。

ITパスポートの取得は意味ないといわれる理由

ITパスポートの取得が意味ないといわれる理由として、次の3つが挙げられます。

  • 独占業務がないため
  • 専門性が求められないため
  • IT関連の資格のなかでは難易度が高くないため

それぞれの理由を見ていきましょう。

業務独占資格ではないため

ITパスポートは、業務独占資格ではありません。業務独占資格とは、取得者だけが特定の業務を独占できる資格です。たとえば、行政書士や電気工事士、宅地建物取引士などが、業務独占資格に該当します。

ITパスポートはITに関する基礎知識を身につけられますが、取得したからといってIT関連の仕事にすぐに就けるわけではありません。ITの専門職であるシステムエンジニアやプログラマーなどの仕事は、ITパスポート試験に合格していなくてもなれるため、取得しても意味がないといわれるケースがあります。

専門性が求められる資格でないため

ITパスポートは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する「情報処理技術者試験」の1つです。情報処理技術者試験は難易度に合わせて12の試験がありますが、ITパスポートはもっとも難易度が低いレベル1に分類されます。

IT関連にはさまざまな資格がありますが、年齢や国籍、実務経験などの受験資格が設定されていないITパスポートでは、高度な知識が求められることはありません。レベル2の基本情報技術者、レベル3の応用情報技術者と比べると専門性が低く、IT業界内では比較的評価されづらい傾向にあります。

難易度が高くないため

ITパスポート試験の合格率は50%前後です。レベル2の基本情報技術者は40%前後、レベル3の応用情報技術者は20%前後であることから、ITパスポートの合格率は他のIT関連の資格と比べると合格率が高いことがわかります。また、IT業界ではITパスポートより上位の資格を取得している人も多いため、相対的に資格の価値も低くなります。

さらに、ITパスポートは全国の試験会場で随時実施されており、何回でも挑戦が可能です。年に数回しか受験機会のない資格と比べると、希少性も高くありません。

そもそもITパスポートって?

そもそもITパスポートとは、ITを活用する人が備えておくべき基礎知識の取得を証明できる国家試験です。四肢択一式の試験で、次の分野に関する基礎知識が問われます。

  • AIやビッグデータなどの新しい技術
  • アジャイルなどの新しい手法
  • セキュリティやネットワークなどのIT知識
  • 経営全般

幅広い分野から出題されますが、難易度は高くありません。実務経験が活かせる問題も多いため、学生より社会人の方が合格率は高くなっています。

ITパスポート取得で得られる3つのメリット

ITパスポート取得で得られるメリットは次の3つです。

  • ITリテラシーが身につく
  • IT関連の他の資格取得にチャレンジしやすくなる
  • 就職活動や転職活動で役立つ

ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

1.ITリテラシーを身につけられる

ITパスポートを取得することで、ITリテラシーを身につけることができます。ITリテラシーとは、情報技術を安全に利用し、使いこなすスキルです。情報技術の発展が著しい現代において、ITリテラシーの向上は欠かせません。

ITパスポートを取得することで、ITの基礎知識はもちろん、企業コンプライアンスや法令遵守、情報セキュリティに関する幅広い知識が学べます。

2.上位資格の取得に活かせる

前述したとおり、ITパスポートは情報処理技術者試験のなかで、もっとも難易度が低いレベル1に該当する資格です。IT関連の資格の入門編として取得しておくことで、上位資格の取得に活かすことが可能です。

上位の資格では、ITパスポートと共通する部分や、基礎知識が役立つ部分も少なからずあります。ITパスポートで学んだ知識を活用することで、効率的な学習ができ、今後の資格試験の負担を軽減できるでしょう。

3.就職活動、転職活動の際にアピールできる

多くの企業は、情報セキュリティやデータ分析などの知識を持つIT人材を求めています。今後もIT人材の需要は高まることが予想されており、就職活動や転職活動でのアピールポイントとなる可能性があります。

資格があることで、入社後もIT用語やビジネス用語が理解しやすいため、スムーズな業務進行が期待できるのも、ITパスポートを取得するメリットです。

ITパスポートの取得に適している人

ITパスポートの取得に適している人として、次の3タイプを紹介します。

  • 業務でIT知識が必要となる人
  • ITの基礎知識を身につけたい人
  • 難易度の高いIT関連の資格を取得したい人

ITに関する知識を深めることは、スキルアップや仕事の幅を広げることにつながります。これらの条件に当てはまらない人でも、将来の備えとして取得を検討してみましょう。

IT業界と関わりのある人

IT業界で働く人はもちろん、「取引先にIT企業が多い」「ITの部署との折衝が多い」などの場合にも、ITパスポートを取得しておくと便利です。IT業界と関わりのある人は、ITに関する最低限の知識が身についていないと、業務が滞ってしまうリスクがあります。

ITの基礎的な知識を身につけたい人

ITパスポートは、ITやパソコンが苦手な人でも挑戦しやすい試験です。ITの基礎知識は、ビジネスシーンだけでなく日常生活などあらゆる場面で必要とされています。デジタルネイティブ世代である新入社員・若手社員も、資格試験を通して知識をブラッシュアップすることで、即戦力としての活躍が期待できるでしょう。

上位資格の取得に挑戦したい人

将来的にIT関連の上位資格取得を視野に入れている場合、基礎固めとしてITパスポートが役立ちます。ITパスポートは専門性が求められる資格ではありませんが、IT知識がまったくない人が合格を目指すためには、約180時間の学習が必要だと言われています。出題範囲も広いため、ITに関連する業務に携わっている人でも、約100時間は必要です。時間をかけて正しい基礎知識を身につけることで、難易度の高い上位資格にも挑戦しやすくなります。

ITパスポートと比較したい資格

ITパスポートと比較されることの多い資格には、次の3つがあります。

  • 基本情報技術者
  • 応用情報技術者
  • MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

それぞれの特徴を比較して、自分に合った資格取得を目指しましょう。

基本情報技術者

基本情報技術者は、情報処理技術者試験のなかでレベル2に位置づけられている国家資格です。IT全般に関する基本的な事項からシステム開発の流れまで理解していることを証明でき、「ITエンジニアの基礎資格」ともいわれています。ITパスポートよりワンランク上の資格となっており、データベースやネットワーク、セキュリティなどの専門的な知識が問われます。ITを活用した事業推進やイノベーションを目指す企業では管理職でも取得を目指す人が増えています。

応用情報技術者

応用情報技術者は、情報処理技術者試験のなかでレベル3に位置づけられている国家資格です。中堅プログラマー向けの試験となっており、長文問題や高度な計算問題も出題されます。応用的な知識・技術を持っていることを証明できる資格ですが、難易度は高いため、実務経験がある人でも事前の対策は必須です。

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)は、Microsoft社が提供する民間資格です。試験科目は、Word・Excel・ PowerPoint・Access・ Outlookの5種類で、日々の業務に役立つ実践的なスキルが身につきます。世界的な認知度のある資格で、就職活動や転職活動のアピールポイントにもなります。

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計画的に効率よくITパスポートの取得を目指すなら、独学ではなく最新情報が入手できる通信講座がおすすめです。

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まとめ

ITの基礎知識が身につくITパスポートは、意味のない資格ではありません。DXを推進する企業が増加しているなかで、IT人材のニーズはさらに高まっています。ITパスポートを取得することで、ITに関する理解が深まり、日々の業務に活かすことも可能です。

ユーキャンのITパスポート講座は、広い出題範囲から必要な内容を凝縮しているので、効率よく学習できます。基本的には4ヵ月の学習期間で合格が目指せますが、学習が遅れてしまったときも6ヵ月までは添削・質問を含むすべてのサポートをご利用いただけます。

ITパスポートの取得を検討している人は、ぜひユーキャンの通信講座をご活用ください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

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ITパスポートとは、ITに関する基礎的知識を証明する、経済産業省認定の国家試験です。パソコンやインターネットを使うのが当たり前の時代。技術者だけではなく幅広い層に正しい知識が必要であることから、2009年4月に新設されました。Iパスとも呼ばれ、年齢、性別、職種を問わず人気資格です。