ITパスポートは、ITに関する基礎知識が身についている証明となる資格です。知識が無い状態からでも挑戦しやすいことから、社会人だけでなく学生の間でも人気が高まっています。この記事では、ITパスポート資格を取得したいと思っている人向けに、受験会場の選び方や具体的な申込み手順、難易度と合格率を解説します。当日の流れや受験する際の注意点をはじめ、役立つ情報もまとめているので、ITパスポート試験を受ける際の参考にしてください。

ITパスポート試験とはどのような試験なのか

ITパスポート試験とは、国家試験である「情報処理技者試験」の1つです。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験のなかでは、難易度の低い入門レベルに位置づけられています。

ITパスポートの取得によって、セキュリティやネットワークに関する必要最低限な知識があることの証明ができます。出題範囲には経営やビジネスに関連する内容も含まれており、社会人としてのスキルアップにもつながります。IT業界で働く人だけでなく、ITの知識を身につけたいすべての人におすすめの試験です。

ITパスポート試験の試験会場

ITパスポートの試験会場と試験日は次のとおりです。

  • 試験会場は47都道府県すべてに設置されている
  • 試験は随時実施されている

年に数回しか試験が実施されない資格と比べると、全国の会場で随時受験できるITパスポートは、挑戦しやすい資格といえます。

ITパスポート試験は全国で実施している

ITパスポート試験は全国で実施しているため、47都道府県のすべてに試験会場が設置されています。会場数は都道府県によって異なり、複数の会場が設置されている場合や1か所のみの場合もあります。また、居住地だけでなく任意の都道府県で受験が可能です。

試験会場までの距離や開催日時を比較して自由に選択できるので、忙しい人でも受験しやすい環境が整っています。受験会場には、パソコンスクールが指定されている事が多い傾向にあります。

詳しくは、下記のITパスポート試験の公式サイト「試験開催状況一覧」より検索してください。

試験日は会場によって異なる

ITパスポート試験の日程は会場によって異なります。毎週末に実施される場合もあれば、月2回のみの場合もあるため、事前に確認しておきましょう。ほとんどの会場が、午前・午後の2回もしくは朝・昼・夕方の3回の枠で試験を実施しており、都合のいい時間帯が選べます。

会場ごとの試験日は、3ヵ月先まで確認できます。試験日ごとに受験できる定員が定められているため、早めに申込みを済ませておくと安心です。なお、申込み内容の変更は試験日の3日前まで可能です。

ITパスポート試験に必要な受験資格

ITパスポート試験は経済産業省認定の国家試験ですが、受験資格は設けられていません。実務経験の有無や、文系・理系など関係なく、誰でも挑戦できます。社会人が備えるべき「情報技術の基礎知識」を習得する試験なので、学歴や年齢、性別にも制限はありません。就職活動に向けて取得を目指す大学生や専門学生なども多いことから、受験者の平均年齢は比較的低い傾向にあります。

ITパスポート試験は「CBT形式」で実施される

CBT(Computer Based Testing)形式とは、コンピューターを利用して実施する試験を指します。ITパスポート試験では、パソコンのディスプレイに問題が表示され、マウスやキーボードを使って回答を選びます。すべて四肢択一の出題形式で、記述式の問題はありません。

CBT形式は、大きく「テストセンター型」「自宅受験型」の2種類に分けられます。国家試験であるITパスポート試験は、公平さと厳格さが求められるため、指定された会場で受験する「テストセンター型」となります。

ITパスポート試験の申込み手順

ITパスポート試験の申込みは下記の手順で行います。

  • 利用者IDを登録する
  • 試験会場と日時を選択する
  • 確認表をチェックする

それぞれの項目を詳しく解説します。

1.専用サイトで利用者IDを登録する

まずは、ITパスポート試験の専用サイトで利用者IDとパスワードを登録します。利用者IDは受験の申込みや試験結果の確認をはじめ、過去に受験した試験結果の照会など、さまざまな手続きで使用します。

すでに利用者IDを登録している場合は、そのまま次の申込み手順に進んでください。ただし、登録後に受験せず1年経過、もしくは最終受験日から1年経過した場合は、利用者IDの再登録が必要です。

2.マイページで受験申込みの手続きをする

ITパスポート試験の専用サイトで、登録した利用者IDとパスワードを入力し、マイページにログインします。マイページにログインしたら、メニューから受験申込みを選択してください。試験会場や時間帯は自由に選ぶことができますが、同時に複数回の試験に申込むことはできません。

3.試験会場や日時を選択する

受験申込みをクリックしたら、日本地図かテキストリンクから任意の都道府県を選択します。その後、受験日時を選択すると、会場ごとの空席状況が表示されます。カレンダーで3ヵ月先までのスケジュールが確認できるので、空席状況を見ながら日時を決めていきます。月末の土・日曜日の試験は混雑しやすいため、早めに申込みを行いましょう。

4.支払い手続きを済ませる

続いて、支払い方法の選択と支払い手続きを行います。支払い方法は、「コンビニ決済」「クレジット決済」「バウチャー決済」の3つから選択できます。支払い方法や手続きの時間帯によって、予約可能な試験日が変わってきます。また、申込み日の2日後までに実施する試験の場合、申込み後に試験日時を変更することはできません。

5.確認表が発行されたらダウンロードする

上記の手続きがすべて完了したら、登録したメールアドレスに「確認票発行のお知らせ」が届きます。お知らせが届いたあとに、ITパスポート試験の専用サイトの利用者メニューからダウンロードができるようになります。確認表は試験当日に必要となるので、試験日前までに余裕をもって印刷しておきましょう。

ITパスポート試験当日の流れ

ITパスポート試験は下記のような流れで実施されます。

  • 試験会場で受付をする
  • 120分間の試験に取り組む
  • 試験会場で結果を確認する

適度な緊張感は必要ですが、焦りや不安が強いと本来の力が発揮できなくなります。当日の流れを把握し、落ち着いて本番に臨みましょう。

試験会場に入る

試験当日は、開始時刻の30分前から受付が開始されます。注意事項の説明や、試験開始前の端末操作確認などがあるので、早めに来場しましょう。いかなる理由でも、試験終了時刻の繰り下げや、他の日時での受験が認められることはありません。申込みをした試験の開催時間内であれば、遅刻しても入室できますが、終了時刻の繰り下げは行われないため受験時間は短くなります。

受付をする

受付で「本人確認書類」と、印刷した「確認票」を提示します。確認表が印刷できなかった場合は、「受験番号・利用者ID・確認コードを控えたメモ」を持参してください。控えメモを持参した場合、専用の用紙に必要事項を記入して受付完了となります。本人確認に必要な書類は、コピー不可・原本のみです。

控え室で待機し、入室案内を受ける

本人確認完了後、受験者注意説明書と座席番号の案内があります。ITパスポート試験の会場内には15分前まで入れないので、受験のルールや流れが記載されている受験者注意説明書に目を通しながら待ちましょう。案内された席に座ったら、受験の準備をはじめます。携帯電話や腕時計は机の上に置けないため、カバンまたはロッカーにしまってください。時間の確認は、受験を行うパソコンのディスプレイから可能です。

受験者端末へのログインを済ませる

卓上のパソコンに受験者番号と利用者ID、確認コードを入力してログインします。5回入力を誤るとロックされるので注意しましょう。ロックされた場合は、試験監督員に報告し、指示に従ってください。ログイン後、同意事項を確認したうえで「同意する」ボタンをクリックすると、受験の準備が整います。開始時刻までディスプレイに表示された操作説明を読んで待ちましょう。荷物はロッカーに預けることが多いので、基本的に直前の見直し学習はできません。

ITパスポート試験を開始する

試験開始1分前になったら、ディスプレイに試験開始案内が表示されます。操作説明画面は開始時刻を過ぎても確認できますが、その分試験時間は短くなるので注意してください。試験中は、会場に用意されているメモ用紙とシャープペンシルが使用できます。試験時間は120分ですが、早く終わった場合は途中退室も可能です。

試験結果の確認をする

120分が経過したら試験終了となり、自動的に採点画面へ切り替わります。途中退室したい場合は、「解答終了」ボタンをクリックすると、採点が開始されます。試験結果がディスプレイに表示されますが、印刷して持ち帰ることはできません。試験結果レポートは、試験終了後にITパスポート試験の公式サイトからダウンロードできます。試験結果レポートでは正確な合否が出るわけではありませんが、各カテゴリがそれぞれ30%以上、合計点60%以上が合格の目安です。正式な合格発表は翌月中旬頃となります。

試験会場を退館する

試験会場に忘れものがないことを確認し、退館します。当日の忘れものは、原則として試験終了後1週間は試験会場で保管されています。1週間以内に連絡をいれることで、受け取ることが可能です。

ITパスポート試験の難易度と合格率

ITパスポート試験の難易度と合格率の目安は次のとおりです。

  • 他の国家資格と比べると難易度は低め
  • 合格率は平均して50%台

ITパスポートは難易度の低い入門レベルに位置づけられていますが、出題範囲が広いため対策は必要です。

ITパスポート試験の「難易度」

ITパスポート試験は、他の国家試験に比べると高難度な試験ではありません。IT業界では上位の資格である「基本情報技術者」や「応用情報技術者」を取得している人も多いため、ITパスポートの難易度は低いと見なされます。

一方、IT以外の業界で働く人にとっては、聞き慣れない用語も多く登場するため、時間をかけて対策をする必要があります。ITに関する知識がほとんどない人が合格を目指すためには、約180時間の学習が必要だと言われています。

ITパスポート試験の「合格率」

ITパスポート試験の合格率は、平均して50%台です。2人に1人は合格している計算となり、IT関連の資格のなかでは比較的高い水準となっています。また、日々の業務経験が活かせる設問があることから、学生よりも社会人の方が合格率は高い傾向です。ただし、合格率が高いからといって油断は禁物です。短期間での合格を目指すためには、出題傾向を把握し、しっかり準備しましょう。

ITパスポート試験へ挑むための効果的な勉強方法

ITパスポート試験の勉強方法としては、「インプット」と「アウトプット」をバランスよく組み合わせるのがおすすめです。まずは、テキストや動画で知識をインプットするところからはじめましょう。一通りの勉強が終わったら、実際に問題を解くアウトプットを重点的に行います。

過去問を多く解くことで、問題の形式に慣れることができ、苦手分野も把握できます。ITに関する知識が浅い人や、確実に合格を目指したい人は、通信講座を受講するのも効果的です。

ITパスポート資格を取得するメリット

ITパスポート資格を取得するメリットとして、次の2つが挙げられます。

  • ビジネスや学業で役立つITの基礎知識が身につく
  • 就職や転職でアピールできる

将来的にIT業界で働きたい人や、上位の資格を目指す人にも、ITパスポートの取得はおすすめです。

ITに関する幅広い基礎知識が身につく

ITパスポートは、ITに関する知識だけでなく、マネジメントや企業活動など幅広い知識が習得できます。学んだ知識はさまざまなビジネスシーンで活用できるため、業種や職種に関わらず人気の資格です。

実際に、実践的な業務に役立つ資格として、企業や省庁の採用活動でも注目を集めています。また、専門学校や大学の入学で評価される場合もあるため、若い世代でも取得を目指す人が増えています。

認知度が高い国家試験なので、就職や転職に役立つ

国家試験であるITパスポートは、認知度が高く、信頼性もあります。また、定期的な更新や講習も必要なく、一度取得してしまえば一生使える資格です。

IT人材の不足が社会問題化している現代において、ITパスポートの取得は大きな強みとなります。就職や転職の場では、ITパスポートの取得によりITに関する基礎知識が身についていることの証明ができ、選考を有利に進められる可能性があります。

ITパスポートを受験する際に注意すべき点

ITパスポートを受験する際は、次の2点に注意しましょう。

  • 確認票と本人確認書類を忘れない
  • 試験の形式に慣れておく

しっかり対策を行っても、受付やパソコン操作に不備があれば試験に合格できない可能性があります。

確認票と身分証の用意は必須である

ITパスポート試験を受けるためには、確認票と身分証(本人確認書類)を用意する必要があります。確認票は自宅のプリンターやコンビニエンスストアのプリントサービスを利用し、印刷しておきましょう。印刷が難しい場合は、受験番号・利用者ID・確認コードを控えたメモを持参します。

本人確認書類として認められているのは、パスポートや運転免許証、マイナンバーカードをはじめとする顔写真つきの証明書のみです。確認票と本人確認書類を忘れた場合、受験できない可能性があるため注意してください。

CBT方式の操作に慣れておく

ITパスポート試験は、パソコンを使って解答するCBT方式です。CBT方式で100問の問題を時間内に解答するためには、操作に慣れておく必要があります。ITパスポートの公式サイトでは、CBT類似体験が可能なので、受験画面を確認しておくと安心です。

まとめ

ITパスポート試験は、全国の会場で随時開催されており、日程や時間帯を自由に選択することができます。IT関連の国家資格のなかでは難易度が低く、年齢や実務経験などの受験資格もありません。誰でも挑戦しやすいことから、業種や職種を問わず人気の資格となっています。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

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ITパスポートとは、ITに関する基礎的知識を証明する、経済産業省認定の国家試験です。パソコンやインターネットを使うのが当たり前の時代。技術者だけではなく幅広い層に正しい知識が必要であることから、2009年4月に新設されました。Iパスとも呼ばれ、年齢、性別、職種を問わず人気資格です。