行政書士試験の合格点|3つの合格基準・科目別の目標合格ラインや学習ポイントも解説

- 公開日:2021/03/11
行政書士は、国家資格のなかでも人気が高く、毎年、試験合格をめざして多くの人が受験しています。キャリアアップや独立・開業のために、資格取得に向けた学習方法を検討している人も多いのではないでしょうか。
この記事では、行政書士試験合格をめざす人に向けて、試験概要、合格点、科目別の目標正答数や学習のポイントなどについて解説しています。行政書士試験合格のための目標設定や、効率的な学習のための参考にしてください。
行政書士試験の概要
ここでは、行政書士試験の受験資格や試験日、試験内容などについて解説します。
行政書士試験とは?
行政書士は、「行政書士法」によって定められた国家資格です。その業務を遂行するために必要な知識や技能をテストするのが、行政書士試験です。効率的に学習を進めることで、初学者でも合格をめざせるため、法律系の国家試験における、登竜門的な位置づけの試験としても知られています。
受験資格や試験日など
行政書士試験の概要は、以下のとおりです。
- 受験資格:特になし。年齢・学歴・国籍などを問わず、誰でも受験可能。
- 試験日・試験時間:11月第2日曜日、13:00~16:00
- 試験場所:各都道府県で実施。現住所に関係なく、どの試験会場でも受験可能。
- 受験手数料:7,000円(国家試験であるため非課税)
試験内容
試験内容は、大きく分けて2つあります。「行政書士の業務に関し必要な法令等科目」では46問が出題され、計244点です。「行政書士の業務に関連する一般知識等科目」では14問が出題され、計56点が配分されています。2つの分野を合計した300点満点で、行政書士試験は構成されています。
行政書士の業務に関し必要な法令等科目
「行政書士の業務に関し必要な法令等科目」の科目・出題形式・出題数・配点は、以下のとおりです。
科目 | 出題形式 | 出題数 | 配点(1問) | 配点合計 (出題形式別) |
配点合計 |
---|---|---|---|---|---|
基礎法学 | 五肢択一式 | 2問 | 4点 | 8点 | 8点 |
憲法 | 五肢択一式 | 5問 | 4点 | 20点 | 28点 |
多肢択一式 | 1問 | 8点 ※空欄(ア~エ)1つにつき2点 |
8点 | ||
行政法 | 五肢択一式 | 19問 | 4点 | 76点 | 112点 |
多肢択一式 | 2問 | 8点 ※空欄(ア~エ)1つにつき2点 |
16点 | ||
記述式 | 1問 | 20点 | 20点 | ||
民法 | 五肢択一式 | 9問 | 4点 | 36点 | 76点 |
記述式 | 2問 | 20点 | 40点 | ||
商法 | 五肢択一式 | 5問 | 4点 | 20点 | 20点 |
合計 | - | - | - | - | 244点 |
行政書士の業務に関連する一般知識等科目
「行政書士の業務に関連する一般知識等科目」の科目・出題形式・出題数・配点は、以下のとおりです。
科目 | 出題形式 | 出題数 | 配点(1問) | 配点合計 |
---|---|---|---|---|
政治・経済・社会 | 五肢択一式 | 7問または8問 | 4点 | 28点または32点 |
情報通信・個人情報保護 | 五肢択一式 | 4問または3問 | 4点 | 16点または12点 |
文章理解 | 五肢択一式 | 3問 | 4点 | 12点 |
合計 | - | - | - | 56点 |
行政書士試験の合格点・合格ライン
ここでは、行政書士試験の合格点や合格ライン、評価制度や合格点の補正措置について解説します。
行政書士試験の合格基準は3つ
行政書士試験の合格基準は、以下の3つです。合格するためには、すべての条件を満たす必要があります。
- 「行政書士の業務に関し必要な法令等科目」において得点が122点以上(満点の50%以上)
- 「行政書士の業務に関連する一般知識等科目」において得点が24点以上(満点の40%以上)
- 試験全体の得点が180点以上(満点の60%以上)
行政書士試験は絶対評価制
行政書士試験では、絶対評価制が採用されています。つまり、先述の条件を満たすと合格です。一部の国家試験は、合格基準をクリアしたうえで、成績上位に入る必要がありますが、行政書士試験は条件を満たすと合格できます。
行政書士試験の合格点が変わることがある?
行政書士試験には、「補正措置」という特別な制度があります。これは試験を実施して、平均点が高すぎたり低すぎたりしたときに、合格基準を変更する制度です。2014年度には問題の難易度が高かったことから、全体の合格基準点が、180点以上から166点以上に引き下げられました。補正措置が実施されるかどうかは、試験の実施後にしかわかりません。2014年度以外に実施事例はなく、今後実施される可能性は低いと考えましょう。
行政書士試験の3つの合格基準を満たす合格点についての考え方
3つの合格基準をクリアするためには、どの科目を重点的に学習すればいいのでしょうか。学習方法のコツも含めて、ポイントを解説します。
「行政書士の業務に関し必要な法令等科目」で合格点を獲得するポイント
「行政書士の業務に関し必要な法令等科目」でポイントとなるのは、記述式問題がある科目です。行政法は1問、民法は2問のみですが、1問が20点であるため、配点が60点と、試験全体の20%以上を占めています。合格のカギを握る記述式問題の対策については、後ほど詳しく解説します。
合計すると、行政法は112点、民法は76点で、全体の約62%(300点中188点)を占めている重要科目です。初学者は、まずは民法と行政法から取りかかることをお勧めします。
「行政書士の業務に関連する一般知識等科目」で合格点を獲得するポイント
「行政書士の業務に関連する一般知識等科目」に関しては、高得点を狙うのではなく、24点未満にならないための学習で十分です。出題範囲が広いことから、高得点を望むと学習時間を奪われるため、気を付けましょう。効率的な学習方法は、情報通信・個人情報保護と文章理解を重要視することです。
試験全体で合格点を獲得するポイント
試験全体の得点で180点以上(満点の60%以上)を獲得するためには、行政法、民法の2科目が重要です。また、憲法も配点が高いため、行政法、民法に次ぐ重要科目です。出題割合が高い、これらの分野を重点的に学ぶことが重要です。行政書士試験は、参考書などによる独学でも合格可能ですが、学習配分を間違えて非効率にならないように注意しましょう。
【出題形式別】目標正答数と短期間で合格ラインに達するコツ
ここでは、短期間で合格ラインに達するコツを、出題形式別、科目別に解説します。
五肢択一式問題
五肢択一式問題は、1問が4点の配点です。各科目で特徴があるため、学習のポイントを把握しましょう。
基礎法学|学習効率が悪い科目
基礎法学の目標正答数は、2問中1問です。基礎法学は配点が低いうえ、出題範囲が広く難問が出る傾向もあるため、全問を正答しようとして学習時間を割きすぎないようにしましょう。
憲法|主要判例の理解が重要
憲法の目標正答数は、5問中3問です。憲法は統治に関する条文の知識や主要判例など、出題傾向がある程度決まっていることから、学習の成果が出やすく、得点源にしやすい科目です。
行政法|正答率80%を目指そう
行政法の目標正答数は、19問中15問です。行政法は配点が高い重要科目であるため、条文や判例の細かな内容まで知っておく必要があります。多くの問題を解いて知識を身につければ、基礎的な問題で確実に得点できるでしょう。
民法|問題に慣れることが大切
民法の目標正答数は、9問中5問です。民法は事例形式での出題もあるので、問題を解いて出題形式に慣れることが大切です。難問も出題されますが、基礎的な問題を確実に解けるようにしておきましょう。
商法|頻出テーマを重点的に
商法・会社法の目標正答数は、5問中1問です。商法では、株式会社の機関と株式に関する知識が頻出テーマであるため、重点的に学習しましょう。試験全体の配点の7%程度のため、頻出テーマ以外は後回しにするなど、割り切った学習も必要です。
政治・経済・社会|範囲を絞る
政治・経済・社会は7問または8問と変動しますが、目標正答数は2問です。高校の社会科の内容に近いものもあり、広範囲で学習しづらいことが特徴です。勉強したところから出題された場合に、確実に正答できるように、範囲を絞って学習しましょう。
情報通信・個人情報保護|苦手意識を持つ人も
情報通信・個人情報保護は、4問または3問と出題数が変わりますが、目標正答数は2問です。IT関連の知識がない人が苦手意識を持ちやすい科目ですが、出題傾向がはっきりしており、試験対策はしやすいでしょう。得点源にできるように、学習を進めましょう。
文章理解|国語の問題に近い
文章理解の目標正答数は、3問中2問です。文章理解は、国語の試験問題に似た形式で出題されることから、学習ポイントを絞りづらい科目です。国語が得意な人の場合は、それほど勉強しなくても、目標正答数をクリアできるでしょう。
多肢選択式問題
多肢選択式の問題は、空欄(ア~エ)1つにつき2点、1問8点で、憲法と行政法で出題されます。憲法1問と行政法2問の計12個の空欄中、9つの正答を目指しましょう。憲法と行政法は重点的に学習する科目であるため、高い正答率がめざせます。
記述式問題
記述式問題は1問20点で、行政法で1問、民法で2問が出題されます。問題数は少ないものの、合計60点もあるため、合否を左右する重要な問題形式です。完答でなくても部分点が付きますので、1問は完答、残りの2問は5割程度の解答ができることが合格点の目安です。
行政書士試験の合格ライン突破の重要ポイント
ここでは、行政書士試験の合格を左右する重要ポイントを2つ紹介します。
記述式問題の克服が合格ライン突破のカギ
記述式問題で思うように得点できず、不合格になる受験生は少なくありません。解答の自由度が高いため、苦手と感じる人が多いようです。これを克服するには、論理構成を図式化して捉えるなど、知識をアウトプットする方法を学ぶ必要があります。
小論文のような表現力は必要ないため、論理的な文章の作成に慣れると、誰でも正答率を高められます。記述式問題は、自己採点が難しいため、通信講座の添削などでアドバイスを受けると効果的です。
法改正情報を調べる負担を減らす
行政書士試験では、最新の法律をもとに出題されるため、常に法改正情報をチェックしておく必要があります。これが意外と負担になることに注意しましょう。最新情報を通知し、教材に反映させるスクール、通信講座などを利用するのがおすすめです。
行政書士の合格率が低いのは難易度が高いからだけではない
行政書士の合格率は平均10%前後と、短時間の学習で合格できるほど簡単な試験ではありません。誰でも受験できる人気の資格であるため、十分な学習をせずに受験する人も多く、このことが合格率を低くしている要因でもあります。効率的な学習方法・教材で半年ほど学習すれば、初学者でも合格をめざせるでしょう。
まとめ
行政書士では「法令等科目」で122点以上、「一般知識等科目」で24点以上、全体で180点以上の合格点を満たす必要があります。各科目の学習ポイントを知って、効率的な学習をしましょう。
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