• 更新日:2024/01/31

行政書士になるために、資格取得を目指して試験勉強を始める人は多いです。そのような、これから行政書士を目指す人にとって気になるのは年収ではないでしょうか。

この記事では、行政書士の平均年収やなり方について解説します。ほかの資格職との年収の違いも紹介します。資格取得を目指している人はぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 行政書士の平均年収は約600万円といわれる。行政書士の働き方や業務内容により年収が大きく異なり、高年収も目指せる。
  • ダブルラインセンスや独立開業すると、年収が増える。
  • 相談業務が中心なら年収は240万円ほど。契約書の作成業務や、官公署へ提出書類の作成・提出代行が中心の場合は年収720万円ほど。
  • 法律系の資格業の平均年収は、弁護士、税理士、司法書士、社労士の順。行政書士は司法書士と同程度。

行政書士の平均年収は約600万円

行政書士の平均年収は約600万円とされていますが、働き方や職場などによって年収が異なります。
企業や行政書士事務所などに雇用されて働く場合の年収は200万~600万円ほど、独立・開業して行政書士専業で働いた場合、1,000万円以上の年収も可能と、個人差が大きいのが特徴です。

高収入とそうでない人の差が激しい

行政書士は働き方によって、年収の差が激しくなります。どれくらい案件を獲得できるかが重要なため、営業のしかたにも工夫が必要です。人脈を広げるためのコミュニケーション能力や、リピート客を獲得するためのノウハウも求められますので、独立・開業を目指す場合であっても、まずは、企業や事務所などに就職して経験を積むことをおすすめします。

独立当初であれば、年収が100万円前後となるケースもあります。また、請け負う業務によっても年収は変わってきます。それでも、案件を獲得できればゼロになることはないでしょう。

業務ごとに単価が違う

行政書士の仕事は、業務内容によって単価が異なります。主な仕事は、行政手続き全般です。

その中でも申請業務数が多く、もっとも高い年収を期待できる業務は「薬局開設許可」で、薬局を開設するために必要なさまざまな申請を代行します。業務の単価、申請業務数の掛け合わせで、高い年収を目指せる順に以下のとおりとなっています。

1位 薬局開設許可 薬局を開設するために必要となる書類の準備、要件の確認、行政への申請を行う
2位 産業廃棄物処理業許可申請 産業廃棄物の処理をするための許可申請を行う。特別な許可が必要となり、専門性も高くなる
3位 知的資産経営報告書作成 会社の強みを経営に活かすため、知的資産を可視化して書類を作成する
4位 帰化許可申請 外国人が日本で生活するための許可申請を行う
5位 遺留分特例に基づく合意書の作成 相続財産の分配方法を話し合い、合意したことを明確にする書類を作成する

行政書士のタイプで年収が変わる

行政書士のタイプで年収が変わります。ダブルラインセンスや独立開業すると、年収が増える傾向があります。

行政書士は、働き方により年収が異なってきます。働き方による年収の違いについてはこちらを参考にしてください。

登録だけしている場合

行政書士の資格を持っていても、本業は別にある、というケースです。たとえば、本業は会社員で、行政書士名簿に登録しているだけの人もいます。登録だけでは、行政書士としての収入はありません。今は行政書士として業務をするつもりがなくても、将来やキャリアアップのために登録だけしているというケースもあります。ですが、ほとんどいないのが実情です。

勤務行政書士の場合

企業や行政書士事務所などに雇用されて働く行政書士です。この場合の年収は200万~600万円ほどで、雇用形態や企業の規模によって異なります。スキルや経験も年収に影響するため、初年度の年収はさほど高くありません。多くの場合、年収200万~300万円ほどからのスタートとなります。

収入が安定しているため、行政書士になりたての人でも働きやすいことがメリットです。

税理士と兼業している場合

ダブルライセンスとして、ほかの士業と兼業しているケースです。税理士との兼業が多く、その場合の行政書士としての年収は100万円程度となります。税理士としての年収が700万円であれば、行政書士の収入と合わせて800万円程度です。税理士の資格を取得すれば、受験しなくても行政書士名簿への登録ができるため、税理士との兼業が多くなっています。

開業して行政書士専業の場合

独立・開業して行政書士専業で働いた場合、1,000万円以上の年収を目指すことも可能です。しかし、前述した通り、開業当初の収入は安定しません。案件を確保することが年収アップにつながるため、リピート客や顧客が少ない最初のうちは年収が100万~200万円ということもありえます。それでも、営業を繰り返して案件を得ることで、年収を増やしていけるでしょう。

行政書士の業務で年収、年商が変わる

行政書士の業務の内容によっても、年収、年商は変わります。

行政書士は、業務内容によっても年収、年商が変わります。この段落では、行政書士の業務ごとの年収例を紹介します。

相談業務の場合

相談業務が中心の場合、年収は240万円ほどです。主に行政手続きに関する相談を受けますが、ほかの独占業務に関する相談は受けられません。

たとえば、薬局の開設や帰化の許可申請に関する相談であれば、行政書士の業務内容に含まれているため、相談を受けることが可能です。しかし、相談業務のみでは顧客がつかないので、継続は難しいでしょう。

契約書作成の場合

契約書の作成業務を主に請け負う場合、年商は720万円ほどです。土地や建物、金銭消費貸借などに関する権利や事実証明、協議内容など、契約内容を記した書類を作成します。内容により単価は異なりますが、1件あたり平均3~4万円程度の書類作成を1日1件行えば、月20日で60~80万円程度の売上が見込めます。そこから経費を差し引いた額が収入になります。

官公署へ提出する書類の作成や提出の代行の場合

官公署へ提出する書類の作成や、提出の代行を中心に行う場合、年収は720万円ほどです。たとえば、風俗店や飲食店を開業する際は許認可申請が必要です。申請する業者が開業する要件を満たしているかなどを調べ、申請に必要な書類を作成したり、提出の代行をしたりします。許認可申請の内容により相場は異なりますが、1件あたり約15万円となります。

行政書士になるためには?

行政書士になるためには、行政書士試験に合格するか、他の資格の所持など要件を満たせば、試験を受けなくても行政書士になれます。

行政書士になるためには、資格や要件を満たすことが必要です。ここでは、資格試験の概要やそのほかの要件について詳しく解説します。

行政書士試験に合格する

行政事務の経験がない人が行政書士になるためには、資格試験の合格が条件です。試験は一定の基準を満たせば合格となる「絶対評価」で行われます。

出題科目は、法令等5科目と一般知識等1科目の計6科目です。毎年11月の第2日曜日が試験日に設定されます。試験に合格した後、日本行政書士会連合会の行政書士名簿へ登録すれば、行政書士として働けます。

詳しくは、以下の公式ホームページを参考にしてください。


行政書士になれる要件を満たす(他の資格の所持等)

行政書士なるための要件として、資格試験合格を必要としないケースもあります。弁護士や税理士、公認会計士などの資格を所持していれば、試験を受けなくても行政書士になることが可能です。

また、国や地方公共団体の公務員の場合も、通算20年以上の行政事務経験があれば要件を満たせます。この場合、特定地方独立行政法人や行政執行法人などで行政事務を担当していた場合も当てはまります。

詳しくは、以下の公式ホームページで確認してください。

行政書士以外の他の資格職との年収の違いは?

法律に関する他の資格業の平均年収は、弁護士、税理士、司法書士、社労士の順で、行政書士は、司法書士と同程度です。

行政書士のほかにも、弁護士や税理士など法律に関係する士業があります。それぞれの年収はどのくらいなのかを紹介します。

弁護士

厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」によると、弁護士の平均年収は約1,026万円となっています。弁護士の主な業務は、さまざまな民事・刑事事件での弁護活動、法的アドバイスなどです。行政書士も弁護士も法の専門家ですが、書類作成や官公署への許認可申請を行う行政書士に対し、トラブルを解決するために直接行動するのが弁護士の主な仕事です。

税理士

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」から、税理士と公認会計士を合わせた場合の平均年収は約717万円ということがわかります。この調査では、税理士のみの平均年収は明らかにされていません。

税理士の主な仕事内容は、税金に関する相談を受けたり、申告書を作成したりすることです。行政への許認可申請をする行政書士に対し、税金に関する相談業務や書類の作成、税務代行などが税理士の独占業務となります。

司法書士

「司法書士白書 2015年版」によると、司法書士が独立・開業した場合の平均年収は、男女とも約400万~600万円ほどです。行政書士が行政への提出書類を主に扱っているのに対し、司法書士は法務局や裁判所などに提出する書類を扱います。どちらも法の専門家ではありますが、担当する分野は法律で決められています。司法書士は、主に「登記」や「供託」を行うのが仕事です。

社会保険労務士

2016年に行われた厚生労働省の調査によると、社会保険労務士として働いた場合の平均年収は527万円程度です。官公署へ提出する書類や事実証明の書類などを扱う行政書士に対し、社会保険労務士は社会保険に関する手続きを行います。

たとえば、社員の入退社に伴う社会保険の手続きのほか、年金などの社会保険に対する相談業務、各種助成金の申請などが主な業務です。

まとめ

行政書士の年収は、働き方や対応する業務の内容により大きく異なります。高い年収も目指せるため人気の資格ですが、難易度は決して低くありません。行政書士の資格取得を目指すなら、効率よく学べる通信講座が便利です。

ユーキャンの行政書士講座では、民法と行政法といった優先順位の高い科目から行政書士の勉強を始められます。また、質問や添削などのサポートが万全で、勉強途中で挫折しにくいように工夫されています。スムーズに勉強を進めるため、ユーキャンの行政書士講座受講を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者は海野 高弘(うみの たかひろ)

東京都出身 
東京都行政書士会文京支部理事
趣味は、資格試験短期合格法の研究、野球、釣り、旅(判例現場巡り&寅さんロケ地巡り)
2000年 行政書士試験受験、翌年合格
2004年 ユーキャン行政書士講座 講師
2012年 ユーキャン行政書士講座 主任講師
モットーは、「夢なき者に成功なし」「短期合格は第一歩がすべて」「法律は暗記ではなく思考力」

★ユーキャン行政書士講座 公式YouTubeチャンネル

よくある質問

行政書士の難易度は?

行政書士試験の合格率は例年約10%で推移しています。難関試験のひとつですが、効率的に勉強すれば合格は可能です。試験合格のために必要な勉強時間の目安は500~1000時間ほどが目安といわれています。

副業で行政書士の仕事をすることはできますか?

行政書士の国家資格を取得すれば、行政書士として副業も可能です。行政書士の副業には、専業に向けた基盤づくり、収入源が増える、定年退職後・生涯現役の準備になるなど、メリットも少なくありません。副業でも取組みやすい業務には、宅建業免許や飲食店営業許可の申請手続き、車庫証明業務などが挙げられます。

行政書士の特認制度とは?

行政書士の特認制度とは、公務員が行政書士になるための制度です。国家公務員または地方公務員が行政事務に17年以上(中卒の場合は20年以上)従事した場合に行政書士の資格取得が認められます。たとえば、大学を卒業してすぐ公務員になった人であれば、40歳頃になると特認制度を活用できる可能性が出てきます。

講座との相性を確かめよう

講座との相性を確かめよう

行政書士講座があなたに向いているのか相性診断でチェック!
80%以上の相性なら今すぐ申し込みして、人気の専門資格を手に入れよう!

ユーキャンで目指せる国家資格の中で人気の「行政書士」。市民と官公署とをつなぐ法務と実務のスペシャリストです。
資格取得後は、法律関連の業務全般について、書類作成業務や官公署への書類提出手続き代理業務、契約書等代理作成業務など、気軽に市民の目線で相談できる「頼れる法律家」に。扱える書類は数千種類もあり、業務範囲の広い国家資格です。独立・開業して社会に役立つことはもちろん、企業への就職・転職にも有利になります! また近年は、行政書士法改正で「代理権」が付与され職域が拡大したこと、行政書士法人の設立が可能となる改正法の施行など、時代の流れはまさに追い風となっています。
国家資格の中では難関試験として知られている行政書士ですが、ユーキャンでは試験突破に向けて、仕事と両立しながら続けられるようにカリキュラムを工夫。まったく知識が無い方でも着実に資格取得までのプロセスを身につけることが可能な通信講座です!