• 更新日:2022/08/04

FP技能検定には、学科試験だけではなく、実技試験もあります。学科も実技も出題数が多く、事前にしっかりとした準備が必要です。はじめに、出題分野や試験時間などを把握し、学習に取り組みましょう。この記事では、FP技能検定の試験内容について、詳しく解説します。ファイナンシャルプランナー(FP)を目指し、資格を取得したい人は、ぜひ参考にしてください。

FP技能検定とは?

FPとは、ファイナンシャルプランナーの略で、税金、ローン、生活資金、投資など、お金に関係することを幅広く扱う専門家を指します。FP技能検定は、FPとしての知識や、技能のレベルを判定する試験です。厚生労働省が管轄する国家試験で、1級・2級・3級の3等級があります。試験を実施するのは、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)と金融財政事情研究会(きんざい)の2つの団体です。

FP技能検定の試験時間|学科

FP技能検定2級、3級の学科試験について、試験時間や出題範囲、出題形式について解説します。

2級・3級とも同じ

学科試験の試験時間や出題分野は、2級も3級も同じです。ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6分野から60問が出題され、試験時間は120分です。1問を2分ほどで解かなければならず、ボリュームのある内容といえるでしょう。

出題形式

出題形式は2級、3級ともにマークシートです。ただ、問題の形式は異なり、2級はすべて4択、3級は○×式と3択です。解答は鉛筆でマークシートに書きこむ方式で、試験にはHB以上の濃い黒鉛筆と消しゴムが必要です。

FP技能検定の試験時間|実技

FP技能検定2級、3級で行われる実技試験の試験時間や、出題分野について解説します。

2級

2級の実技における試験時間は90分です。記述式による筆記試験で、日本FP協会が実施する資産設計提案業務、きんざいが実施する個人資産相談業務、中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務の5科目のうち、1科目を選択します。日本FP協会では、選択した分野から40問が出題されるため、問題量は多めです。

実技試験は、学科試験よりも専門的な内容で、実務の際に相談を受けたら、どのように対応するのかといった、事例形式で出題されます。日本FP協会の合格基準は、100点満点中60点以上です。

3級

3級の実技試験は試験時間が60分と、2級よりも短めです。日本FP協会が実施する資産設計提案業務、きんざいが実施する個人資産相談業務、保険顧客資産相談業務のなかから1科目を選択します。2級は記述式ですが、3級は実技試験もマークシート形式です。日本FP協会の合格基準は2級と同じで、100点満点中60点以上です。

FP技能検定の試験分野|学科

2級と3級の学科試験は、出題分野が同じです。ただ、2級は3級よりも、さらに掘り下げた内容になり、難易度も上がります。また、分野によっては、3級の内容に項目が追加されているため、より広い範囲の学習が必要です。

ライフプランニングと資金計画

ライフプランニングと資金計画では、今後の生活でどのようにお金を使っていくのかを、顧客にアドバイスする知識が問われます。社会保険、年金、税金などが中心ですが、そのほかの内容が出題されることもあり、幅広い学習が必要です。FP業務に関連する保険業法、税理士法、金融商品取引法などの法知識も、身につけなければなりません。


2級と3級の違い

紹介保険制度について、2級は3級よりも、深い知識が問われます。3級での学習を上回る知識が求められるでしょう。また、2級では、3級にはない「中小法人の資金計画」も追加され、個人だけではなく、法人に関する知識も必要です。

リスク管理

FP技能試験におけるリスク管理とは、「人生のリスクに備えるための保険」に関する知識です。生命保険や損害保険の仕組み、保険に関係する税金などが、主な出題分野です。個人だけではなく、法人の保険に関する問題への対策もしておきましょう。保険料を支払うときと、受け取るときの税金に関する学習も必要です。

金融資産運用

株式投資、投資信託、債券投資など、さまざまな金融商品の知識について出題されます。深く理解するよりも、広く浅く理解する必要があります。また、金融資産を取り扱うときに必要な、マーケットの流れについても問われます。利回りを算出する計算問題も出題されるため、苦手な人は、繰り返し練習して慣れておきましょう。

タックスプランニング

税金に関する知識が問われる分野で、主に所得税から出題されます。個人が支払う所得税の仕組みや控除、申告などに関する問題が頻出します。所得は10種類にわけられ、それぞれ計算方法が異なります。所得がどの種類に該当するのかを、確実に学習しておきましょう。タックスプランニングは、他分野の学習にも役立つため、早い時期に学習するのがおすすめです。


2級と3級の違い

所得税を中心に出題されますが、2級では法人税と消費税、諸外国の税制も追加されます。2級には、あいまいな知識では正解できない引っかけ問題もあるため、確実に身につく学習が必要です。

不動産

不動産の分野は幅広く、不動産取引に関する知識、法律、税金、特例などから出題されます。覚えるべき事柄が多いうえに、理解に時間がかかる難しい分野でもあるため、つまずく人が多いといわれています。不動産の売買、賃貸借契約、建築基準法など、試験に出やすい部分を重点的に学習しましょう。

相続・事業承継

相続税を中心に、贈与税の仕組み、遺言に関する知識が問われます。計算問題もあるため、繰り返し練習し、解き方を身につけましょう。基本的には、個人や個人事業主の範囲が中心です。理解が難しい分野ですが、相続税、贈与税の基礎と計算の仕方、財産評価など、頻繁に出題される分野に力を入れて学習しましょう。


2級と3級の違い

2級には、3級にはない事業継承継策、事業と経営が追加されます。さらに2級では、個人のほか、法人についても学ばなければなりません。事業承継は難しい分野で、学習に時間がかかりますが、基礎をしっかりとおさえておきましょう。

FP技能検定の試験科目|実技

FP技能検定は、日本FP協会ときんざいが、それぞれ運営しています。実技試験に関して、日本FP協会ときんざいでは、扱う分野が異なります。どのような試験内容であるか、詳しく解説します。

日本FP協会の実技

日本FP協会が扱う分野は、資産設計提案業務のみです。試験の出題形式や内容を解説します。


資産設計提案業務(2級・3級)

2級は記述式で40問、3級はマークシート式で20問です。日本FP協会の実技試験は資産設計提案業務のみで、保険、年金、資産運用、不動産、相続など、幅広い範囲から出題されます。日常で起こる疑問や、悩みに直結している内容であり、個人の顧客がファイナンシャルプランナー(FP)に相談することの多い分野といえます。

きんざいの実技

きんざいの実技は、個人資産相談業務、中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務の4科目から選択します。


中小事業主資産相談業務(2級)

中小企業の経営者や、資産家が顧客になったケースを想定した問題を扱っています。経営状況や資産状況によって、どのような資産運用や税金対策をすればいいのかをアドバイスします。企業年金や法人税申告を中心に出題されるため、集中して学習するといいでしょう。


生保顧客資産相談業務(2級)

生命保険の活用方法を考える実技試験です。特に、生命保険会社で働いている人や、将来、生命保険を専門にしたいと考えている人に役立ちます。年金や税金も範囲に含まれますが、生命保険、医療保険が4割を占めます。習得することで、すぐに実践に役立つ試験内容といえるでしょう。


損保顧客資産相談業務(2級)

自動車保険、火災保険、地震保険など、損害保険の分野に特化した試験で、試験内容の4割が損害保険です。特徴は生保顧客資産相談業務とほぼ同じで、損保会社で働いている人、将来、損害保険のスペシャリストになりたい人は、この実技試験を選ぶといいでしょう。こちらも、試験で学んだ知識が、実践に直結する内容です。


個人資産相談業務(2級・3級)

2級と3級の両方において、出題範囲となっている分野です。3級はマークシート15問、2級は15問の記述式です。日本FP協会の資産設計提案業務にあった、「リスク管理」からの出題はありません。深い知識が問われる問題もあるため、しっかりとした学習が必要です。


保険顧客資産相談業務(3級)

きんざいの3級でのみ選べる分野です。保険に関する内容が、4割を占めています。保険以外には、所得税、法人税、贈与税、相続税、税金などに関する出題も多く、幅広い学習が必要です。また、保険の経理処理も出題されるため、簿記3級程度の会計知識がある人は、有利といえます。

FP技能検定の実技試験科目を選ぶポイント

FP技能検定の実技試験では、3級では3科目から、2級では5科目から1科目を選びます。実技試験の科目選びのポイントを解説します。

実施団体による違い

実技試験では、日本FP協会ときんざいが、異なる科目で実施しています。団体受検などで実施機関が決められている場合は、自動的に実技試験科目が決まるケースもあります。日本FP協会が実施している科目は、2級・3級ともに資産設計提案業務です。

きんざいの実技試験において、2級は中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務、個人資産相談業務の4科目、3級は個人資産相談業務、保険顧客資産相談業務の2科目を扱っています。

2級

2級は3級よりも求められる知識が深く専門性も高くなります。保険や中小事業の相談など、特化したい分野が決まっている場合は、その分野を選びましょう。決まっていない場合は、幅広い分野の知識を実務に役立てるために、資産設計提案業務か個人資産相談業務のどちらかを選ぶのがおすすめです。

3級

3級では、自身の生活に直結した知識を学習したい、という人が多いため、受検者の多くは、資産設計提案業務か個人資産相談業務の、どちらかを選びます。市販のテキストもこの2科目用が多く、学習しやすいというメリットもあります。どちらも2級の試験範囲でもあるため、3級を取得後に、2級を取りたい人にもおすすめです。

まとめ

FP技能検定は、学科試験と実技試験があり、金融に関する知識を幅広く学習する必要があります。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

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