• 公開日:2020/06/09

司法書士や行政書士は、人々の生活に役立つ重要な仕事を担っています。どちらの仕事に就くにも国家資格の取得が必要です。資格を取得できれば独立・開業、就職・転職にも役立ち、性別・年齢に関係なく活躍の場が広がります。そのため、常に高い人気があり、近年では女性の資格取得者も増えているのです。

この記事では、それぞれの業務の特徴や違い、資格試験の内容などを紹介します。資格取得を目指す際の参考にしてください。

司法書士と行政書士の違いについて

司法書士と行政書士は、どちらも法律に関わる仕事をする業務独占の国家資格、専門職であるという意味では同じです。しかし、業務内容は異なります。司法書士は司法に関係した業務、行政書士は役所に提出する書類作成などを主に行います。

ここでは、司法書士と行政書士、それぞれの業務内容を紹介します。

司法書士とは?

司法書士とは、司法書士法に基づく国家資格で、有資格者だけが業務をすることが許されている専門職です。司法書士は相続や不動産の登記申請など、一般の人にも身近な問題を扱うため、くらしの法律家、と呼ばれることもあります。


司法書士の仕事とは?

司法書士の仕事は、専門的な法律の知識に基づき、個人や企業からの依頼で法律に関連する書類の作成や手続きを代行することです。メインの業務は不動産登記や商業登記などの登記業務となります。

そのほか、成年後見業務や簡易裁判所における代理業務・裁判事務、供託手続きなどの業務があります。遺言書作成・相続のアドバイスや法律に関する相談にのることも業務の一つです。特に高齢化が進む日本においては、成年後見制度における後見人としての役割が高まってきています。

また、法務大臣の認定を受けた認定司法書士であれば、簡易裁判所における民事訴訟、和解、調停などで当事者の代理人になれます。ただし、扱える事案は請求額が140万円を超えない場合です。


管轄と独占業務の内容

司法書士を管轄しているのは法務省です。独占業務の内容は以下のようになっています。

1)メイン業務である登記または供託手続きの代理
2)法務局に提出する書類の作成
3)上記2に関する審査請求または不服申立ての手続きの代理
4)裁判所、検察庁への提出書類の作成
5)上記1~4に関して個人、企業など依頼者からの相談に乗ること
6)簡易訴訟代理等関係業務(認定司法書士のみ)

行政書士とは?

行政書士とは、行政書士法に基づく国家資格であり、有資格者だけが業務をすることが許されている専門職です。依頼を受けた書類を代書して権利や財産を守る業務から高度なコンサルタント業務まで仕事の幅は広く、今後も高い需要がある資格といえます。


行政書士の仕事とは?

行政書士の主な仕事は、役所に提出する複雑な内容の書類を作成することです。このうち許可・認可に関する書類がほとんどを占めています。飲食店の営業許可や、建設会社の建築許可など各種手続きや申請の書類があり、その種類は1万を超えるともいわれています。そのため、高い専門知識を持つ行政書士が代理で作成することが欠かせません。

ほかに、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類(内容証明)を作成するのも行政書士の仕事です。提出手続きの代理または代行、作成に伴う相談に応じることもあります。

また、永住許可や在留資格認定証明書、在留期間更新など外国人に関する手続きも行政書士の担当です。このうち「帰化許可申請」の業務は、行政書士以外に司法書士でも対応可能という点で、めずらしい業務といえます。


管轄と独占業務(一部の者に認められる「特定業務」を除く)の内容

行政書士を管轄しているのは総務省です。独占業務の内容は以下のとおりです。ここでは、一部の者に認められる「特定業務」は除いています。

1)官公署に提出する書類の作成と提出代理、代理作成および書類作成の相談に応じること
2)権利義務に関する書類の作成と提出代理、代理作成および書類作成の相談に応じること
3)事実証明に関する書類の作成と提出代理、代理作成および書類作成の相談に応じること

一部、司法書士でも行政書士でもできる共同独占業務がある

司法書士の業務のなかには、行政書士も担当できるものがあります。たとえば、すでに紹介した法務大臣あての帰化許可申請書の作成がその一つです。また、検察審査会への提出書類の作成もどちらでも行える業務となっています。そのほか、検察あての告訴・告発状の作成も共同独占業務です。

司法書士、行政書士の資格において可能な業務の範囲について

司法書士と行政書士では、同じ案件に関わる場合でも担当できる業務が異なります。ここでは、具体例をあげながら、それぞれの業務の範囲や違いをみていきましょう。

相続の場合

相続案件では、遺言書の作成や相続人の調査は司法書士と行政書士のどちらでも業務を行うことができます。しかし、たとえば不動産の相続に関わる不動産登記は司法書士、遺産分割協議書の作成は行政書士、と分けられており、相続案件全てを担当することはできません。

会社設立の手続きなどをする場合

会社設立の手続きをする場合に司法書士、行政書士がともにできる業務は、公証人役場での認証手続き、定款の作成などです。

しかし、たとえば登記手続きや商号変更、会社設立後の役員変更などに必要な書類は法務局への提出となるので、司法書士が担当します。一方で、発起人の意思決定書は行政書士が担当するなど、業務の範囲が区別されています。

その他

外国人に関連する手続きは、司法に関係しない案件なので行政書士の仕事です。同様に、役所に対する各種手続き、自動車に関連する手続きも行政書士しか担当できません。すでに解説したとおり、帰化許可申請は司法書士も担当できますが、これはある意味例外といえます。

司法書士が扱うことができない案件は、行政書士事務所を開業している人の多くが業務として取り扱っているのが現状です。

ダブルライセンスの取得でさらに活躍することが可能

顧客にとっては一つの内容でも、実際の業務は司法書士と行政書士で分担しています。もし司法書士と行政書士、両方の資格を所持していれば、一層、仕事の幅が広がることは間違いありません。顧客の依頼が増えることで活躍の場を広げることも可能です。

司法書士のなり方

司法書士になるためには、以下4段階の手順が必要になります。

1.司法書士試験に合格するために勉強する

司法書士は、法律に関する高度な知識が求められる国家資格。受験者は大卒者が多いですが、司法書士試験に受験資格は特に設けられておらず、年齢・性別・学歴・国籍が問われないため、司法書士事務所か一般企業で働きながら合格を目指す社会人の受験者もいます。

法律に関する勉強ですので、“難しそう…”と感じられるかもしれませんが、社会生活をする上で必要な知識も多く、勉強を進めるうちに徐々に理解できます。独学で合格を目指すことも可能ですが、効率よく勉強するためには、通信講座などを受講することをオススメします。

2.司法書士試験に合格する

司法書士試験には、筆記試験と口述試験があります。筆記試験の試験科目は、民法・商法(会社法)・商業登記法・不動産登記法の主要4科目を含めた11科目です。

すべての科目が択一式で出題されますが、商業登記法と不動産登記法の2科目だけは1問ずつ記述式の問題も出ます。筆記試験合格者のみが口述試験を受験でき、不動産登記法・商業登記法・司法書士法について試験官から口頭で問題を出されます。

3.司法書士名簿に登録し、司法書士会に入会する

合格後は、司法書士会に入会し司法書士名簿に登録する必要があります。司法書士は実務経験がないと業務を行うことが難しい職業です。そのため、合格後も、日本司法書士会連合会や各司法書士会が主催する研修を受けて実務を学びます。この際、登録費用や会費が必要となります。

4.司法書士として働く

司法書士事務所、企業や官庁、独立・開業など、司法書士の活躍の場はさまざま。最初は経験を積むために司法書士事務所に就職することが一般的です。司法書士の資格を活かして企業へ就職する際には、主に不動産登記などの業務を必要とする不動産会社・銀行・企業の法務部や総務部などに所属して働くのがオススメです。

司法書士、行政書士の資格試験の出題範囲と難易度の比較

司法書士と行政書士はどちらも法律に関わる仕事をするため、試験内容も法律科目がメインです。しかし、出題範囲や難易度は司法書士と行政書士で違います。

司法書士試験の出題範囲と難易度

司法書士試験の出題範囲(試験科目)は、憲法・民法・刑法・商法(会社法)・不動産登記法・商業登記法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法などです。司法書士試験では筆記試験と口述試験があります。合格率は例年3~4%台で推移しているので、難易度は高めといえるでしょう。

行政書士試験の出題範囲と難易度

行政書士試験の出題範囲(試験科目)は、憲法・民法・行政法・地方自治法・会社法・一般知識などです。行政書士試験は筆記試験のみで口述試験がありません。行政書士試験の合格率は6~16%ほど、と年度によってやや幅がありますが、平均して10%前後と考えると難易度は司法書士より低めといえます。

【注意】司法書士と行政書士に優劣はない

資格取得の対象として比較検討されることの多い司法書士と行政書士ですが、業務の優劣やどちらが格上・格下ということはありません。また、司法書士の試験における民法と会社法の推論問題は、求められる知識でいえば司法試験の択一問題と大差がないなどともいわれます。

そもそも、能力やステータスなどと結びつけて行政書士と司法書士を比較するのは妥当ではないでしょう。要するに、行政書士と司法書士はそれぞれが専門職で、担当する分野が違うだけです。司法書士にしかできない仕事もありますが、、行政書士にしかできない仕事もあります。

【注意】どちらの資格から勉強したらいいか?

司法書士と行政書士の両方の資格取得(ダブルライセンス)を目指す人も増えています。難易度が低いほうから取得するという観点では、行政書士の取得から目指すのがおすすめの方法です。ただし、やはり一番大切なのは、自分が将来何をしたいかではないでしょうか。

司法関連の仕事をしたいのなら、司法書士の試験勉強をしたほうがモチベーションを上げられるはずです。法律に関する業務にオールマイティに対応できるプロフェッショナルを目指しているなら、同時並行で勉強するのもいいでしょう。

司法書士経験者へインタビュー

実際に司法書士として活躍している方にインタビューを実施。学習方法や司法書士の将来性などを伺ってきました。

インタビュー対象者:S・Mさん(30代・女性)


法律関係の仕事に憧れ、通関士として働きながら行政書士の資格を取得。さらに法律業界への転職を目指し、通信講座を利用して司法書士資格取得へチャレンジ。合格後、司法書士事務所で勤務し、不動産登記の仕事に従事。


Q.1 資格取得までの学習方法は?

通関士と行政書士の資格をユーキャンの通信講座で学習して取得したので、司法書士の勉強をするのもユーキャンの通信講座が一番良いかなと思って受講しました。

平日は朝1時間勉強して、通勤中に電車のなかでテキストを読んで、帰宅後に1時間半勉強していました。土日は5時間ぐらいの勉強時間でした。ただ、ずっと勉強をしているとストレスがすごく溜まってしまうので、週に1回必ず休憩を入れましたね。
勉強方法は、とにかくテキストをしつこく読み続けただけです。六法も読んだりしましたけど、それ以外はあまり工夫しませんでした。強いて言えば、何回も読んで大事なところや自分が間違えたところをルーズリーフに書いて記憶したくらいです。
学費は、17万円くらいでしたが、スクールに通って50万円以上払っている人もいますから、そう考えるとユーキャンを受講して17万円で資格が取れたんですから安かったと思います。


司法書士の資格を活かして、今はどんなことをなさっていますか?

司法書士事務所に勤めて、不動産登記の仕事をしています。このご時世ですからどこも大変なんでしょうけど、今の事務所には応募してすぐに採用されましたから、資格があるとないとでは本当に違うと思います。
将来的にも司法書士の仕事を続けていきたいですが、独立は考えていません。独立して仕事をするには営業力が必要だと思いますが、私はそんなに営業力があるほうではないので、今のまま事務所に勤務という形のほうが良いかなと思っています。


司法書士の将来性についてどう思いますか?

司法書士は、やはり難関資格である分取得すれば就職に役立つと思います。資格取得後の特別研修に行ったときに、定年退職後に資格を取った方とお話しをしました。その後、登録証の交付式のときにもその方にお会いしたのですが、すでに就職が決まっていたんです。60歳を過ぎても就職できるというのは、資格を持っていることが大きいのだと思います。

  • このインタビューは、合格体験談をいただいたユーキャン受講生の中から、特にお願いし取材にご協力いただいた方へのインタビューをまとめたものです。また、受講生のプロフィールおよび教材・サービスは取材時のものです。学習効果には個人差があります。

司法書士の給与・年収は?

司法書士の平均年収は実績・勤務先・地方か都心部か・独立開業か企業勤めか・小規模な事務所か大規模な事務所かなどで大きく変わります。日本司法書士会連合会の「司法書士実態調査」から集計した結果では、平均年収は約681万円です※。

司法書士になったからといってすぐに高年収が得られるわけではなく、実績や経験のないうちは他の職種と変わらない年収となることもあるでしょう。ただ、他の職種と同様に経験、キャリアを積んでいくことで年収もアップしていく傾向にあります。さらに、独立開業して多くの顧客を獲得できれば、1,000万円以上稼げる可能性も。まずは、しっかりと知識を身につけ、難関試験の合格を目指しましょう。

  • 参考:日本司法書士会連合会の司法書士実態調査(https://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2019/12/dc126f7cffa47b96f0b38e8fcf2a83fe.pdf)

まとめ

司法書士と行政書士は、どちらも法律を用いた仕事をする業務独占の国家資格であり専門職です。しかし、それぞれの業務には違いもあります。

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資格取得後は、不動産の登記・商業登記などの業務のほか、簡易裁判所における代理・裁判事務、遺言・相続に関する助言、成年後見業務などの業務に携わることができます。最近ではインターネットでの営業も可能なので、自宅を事務所に比較的低資金で開業できるのも魅力です。
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