司法書士とは?役割・仕事内容・魅力と目指す方法、試験概要を徹底解説
- 更新日:2026/08/14
キャリアプランとして司法書士資格の取得を検討しているものの、具体的な仕事内容や適性などの詳細を把握できていない人もいるかもしれません。
司法書士とは、主に登記や供託手続きの代理、法務局・裁判所・検察庁に提出する書類の作成などを担う法律の専門家です。
本記事では、司法書士を目指す人に向けて、司法書士の仕事内容や適性について解説します。併せて、司法書士になる方法についても紹介するので、キャリアプラン実現のためにぜひ役立ててください。
このページを簡潔にまとめると・・・
- 司法書士は、司法や法律に関する業務で、書類作成・手続き代行などを行う「登記のスペシャリスト」。
- 法律に関する専門家で、単に手続きを進めるだけでなく、依頼者から法律に関する相談を受けることも多い。
- 几帳面な人や努力家、独立志向の強い人が司法書士に向いている。
- 司法書士の活躍の場は、司法書士事務所や企業、独立・開業など様々だが、個人事務所として開業するのが最も一般的。
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司法書士とは?
司法書士とは、登記や供託、裁判所提出書類の作成など、法律に関する手続きを専門に行う法律専門職です。
不動産登記や供託手続きの代理、法務局・裁判所・検察庁に提出する書類の作成などは、司法書士の独占業務にあたります。これらの手続きには法律の専門知識が必要なため、司法書士は個人や法人から依頼を受け、手続きを代行します。
日本司法書士会連合会によると、2026年4月1日時点で23,505人が司法書士として登録を受けています。
司法書士の役割
司法書士は、法務局、裁判所、検察庁などへ提出するための書類を作成します。特に、登記や供託の手続きを多く扱います。
また、登記や供託に関する審査請求の手続きを、依頼者の代理で行う場合もあります。依頼者に必要な手続きを、適切かつ円滑に進めることが司法書士の役割です。
司法書士と弁護士との違い
司法書士は法律に関する業務を扱うため、弁護士と混同されることもあります。しかし、司法書士と弁護士では、扱える業務の範囲に違いがあります。
弁護士が法律に関する業務全般に対応できるのに対し、司法書士は登記や書類作成などの業務を中心に担います。なお、認定司法書士は、訴額140万円以下の簡易裁判所における一定の民事事件について代理業務を行うこともできます。
司法書士と行政書士との違い
司法書士は、主に不動産登記や商業登記などの登記業務を代行するのに対し、行政書士は主に官公署に提出する書類を作成します。
飲食店の営業許可や建設業許可など、行政書士が扱う各種手続きや申請書類は1万種類以上あるといわれています。士業の中でも業務範囲が幅広い点が行政書士の特徴です。
司法書士の仕事内容
司法書士は具体的にどのような仕事を行っているのでしょうか。ここでは、具体的な業務内容について詳しく説明します。
「登記のスペシャリスト」とも呼ばれる司法書士ですが、登記業務以外にも多くの仕事があります。主な仕事内容は以下の通りです。
不動産登記・商業登記
司法書士の代表的な仕事は、登記手続きです。登記とは、不動産の権利関係や会社に関する情報などを公に示すための制度です。
登記手続きには、大きくわけて不動産登記と商業(法人)登記があります。例えば、家や土地などの不動産を購入した際は、不動産登記によって権利関係を明らかにします。また、新しく会社を設立する際は、商業(法人)登記が必要です。
供託業務
供託とは、金銭や有価証券を供託所(法務局)に預け、法律上の目的を達成するための手続きのことです。
供託には様々な種類がありますが、司法書士が扱うものの一例として、支払うべき金銭を相手に受けとってもらえない場合に行う「弁済供託」があります。
法務局・裁判所・検察庁に提出する書類の作成
司法書士は、法務局(地方法務局を含む)・裁判所・検察庁へ提出する書類を作成するだけでなく、依頼者が手続きを円滑に進められるよう、関連する相談にも対応します。
なお、法務局や裁判所に提出する一定の書類は司法書士が作成できますが、税務署に提出する書類は税理士、建設業許可申請や飲食店営業許可申請などの手続きは行政書士が担います。
簡易裁判所での訴訟代理・支援
認定司法書士であれば、訴額140万円以下の簡易裁判所における一定の民事事件について、訴訟代理や支援を行えます。
認定司法書士とは、所定の研修を修了し、認定考査に合格したうえで、簡裁訴訟代理等関係業務を行う能力があると法務大臣から認定を受けた司法書士のことです。日本司法書士会連合会によると、2026年4月1日時点で、司法書士23,505人のうち、認定司法書士は18,698人で、全体の約8割を占めています。
ただし、訴額が140万円を超える訴訟は弁護士の領域となるため、司法書士は代理人となることができません。
企業法務
司法書士は、企業法務に携わることも可能です。企業法務とは、企業の運営にかかわる法律上の規制を踏まえ、契約や社内手続き、トラブルの予防・対応などを行う業務です。
外部の司法書士として複数の企業へアドバイスするだけでなく、企業に就職して法務担当者として働くケースもあります。
ただし、訴額が140万円を超える訴訟対応などは、原則として弁護士の領域となります。認定司法書士であれば、訴額140万円以下の簡易裁判所における一定の民事事件に対応できますが、企業と外部との間でトラブルが生じた際は、法務部を通すか、顧問弁護士などに依頼することが一般的です。
相続・成年後見業務
司法書士は、相続登記や遺言書作成に関する相談にも対応できます。遺言書の作成に関する相談や、相続による不動産の移転登記だけでなく、成年後見制度を利用するための手続きやサポートも行います。成年後見制度とは、判断能力が不十分な人の財産管理や法律行為を支援するための制度です。
ただし、相続トラブルの交渉や相続税の申告は司法書士では対応できず、それぞれ弁護士や税理士が対応する業務です。
司法書士の魅力・やりがいとは?
司法書士は様々な人から法律に関する相談を受け、問題解決に導く仕事です。ここでは、司法書士の魅力ややりがいについて具体的に紹介します。
専門性が高く安定した需要が見込まれる
司法書士には登記などの独占業務があり、法律の専門知識を活かして法的な手続きを支援するほか、幅広い分野で活躍できます。
高齢化や国際化の進展に伴い、成年後見や相続、外国人支援などの分野で司法書士の需要は、今後も高まることが見込まれます。
資格取得の労力に見合う報酬が期待できる
司法書士は、働き方や経験によって高収入を目指せる職業の1つです。
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、司法書士が属する職業分類の賃金データにおいて、平均年収は約981.1万円でした。
企業勤務の司法書士の場合、20代の年収は300~500万円程度が目安とされますが、経験を積むことで徐々に年収が上がる傾向があります。年代別の平均年収を確認すると、30代後半は約740万円、40代前半は約1,390万円とされています。
長期的なキャリア形成と生涯現役を実現しやすい
司法書士は会社員や公務員のような定年がなく、年齢に関係なく働き続けやすい職業です。
「司法書士白書 2025年版」によると、2024年4月 時点で司法書士の平均年齢は54.9歳、最年少は22歳、最年長は101歳です。
また、年代別の会員数は40 代が最も多く、次いで50代・60代の順となっています。多くの司法書士が継続的に経験を積み、長期的なキャリアを形成していることがうかがえます。
年齢とともに実績や経験が積み重なることで、収入向上につながる可能性もあり、専門性を活かして長く活躍し続けやすい点が特徴です。
| 年代 | 人数(比率) |
|---|---|
| 40 歳代 | 7,111 名(30.7%) |
| 50 歳代 | 5,505 名(23.8%) |
| 60 歳代 | 3,582 名(15.5%) |
独立開業を目指しやすい
司法書士は、資格取得の過程で身につけた法律知識を実務に活かしやすく、独立や開業を目指しやすい点も魅力です。社会的なニーズもあり、専門性を高めることで収入向上も期待できます。
自宅を事務所として開業し、パソコンや電話などの既存設備を活用すれば、開業資金を抑えることも可能です。司法書士白書 2022年版の調査結果では、事務所が自宅にある司法書士の割合は28%で、3割近くを占めています。
長く安定してキャリアを積める要因の1つとして、独立開業により専門分野や働き方を自身の裁量で決められる点があります。これにより、やりがいや働きやすさが高まりやすくなります。
| 項目 | 勤務 | 独立開業 |
|---|---|---|
| 年収 | 年収300~600万円程度 | 努力次第で年収1,000万円超を目指せる場合もある |
| 働き方 | 会社の就業規則に従う | 自分の裁量で決められる |
| やりがい | 担当業務を通じて専門性を高められる | 経営や専門分野を構築できる |
| リスク | 低:安定した収入 | 有:収入が不安定になる可能性もある |
依頼人から感謝される
司法書士のもとへ相談にくる依頼者は、複雑な法律上の手続きに困惑しているケースも多いでしょう。そのような場合でも、司法書士が専門知識を活かして手続きを進めることで、依頼者の抱える問題の円滑な解決につながります。依頼者から感謝の言葉をかけられた時、「司法書士になってよかった」と実感できるでしょう。
司法書士に向いている人とは?
司法書士にはどのような人が向いているのでしょうか。向いている人の一般的な特徴を紹介します。
几帳面な人
司法書士は、重要な書類を正確に作成することが求められるため、几帳面な性格の人が向いている傾向があります。作成した書類にミスがあると、依頼者が重大な損失を被る可能性があります。
努力家な人
司法書士になるためには、法律に関する専門的な知識が必要です。司法書士になった後も、法律の新設や改正に対応できるよう、学び続ける必要があります。そのため、司法書士には努力家で勉強熱心な人が向いているといえるでしょう。
独立志向の強い人
司法書士は独立・開業を目指しやすい職業であり、自身の裁量で仕事を進めやすい点が特徴です。独立・開業し、個人の能力を発揮したいと考えている人に向いているといえるでしょう。
司法書士になるには2つの方法がある
司法書士になるには、主に2つのルートがあります。ここでは、それぞれのルートについて解説します。
①司法書士試験に合格する
司法書士になる一般的な方法は、国家試験である司法書士試験に合格することです。合格後は、司法書士名簿に登録と司法書士会への入会を行い、必要な研修を受講する必要があります。
司法書士試験の合格率は約5%で、国家資格試験の中でも難関資格とされていますが、年齢・性別・学歴などの制限はなく、誰でも受験可能です。
②法務大臣の認可を受ける
一定の条件を満たしていれば、試験に合格しなくても司法書士となる資格を得られる場合があります。
一定の条件とは、裁判所書記官や法務事務官などとして10年以上、または簡易裁判所判事・副検事として5年以上の経歴がある場合などを指し、法務大臣の認定を受ける必要があります。このような経歴を持つ人は、法務大臣の認可を受けることで、司法書士となる資格を得られます。
司法書士資格の活かし方
司法書士試験に合格した後、司法書士として業務を行うには、司法書士名簿への登録と司法書士会への入会が必要です。
司法書士は法律知識に加えて実務上の手続きや判断力も求められる職業です。そのため、合格後も日本司法書士会連合会や各司法書士会が主催する研修を受け、実務を身に付ける必要があります。
司法書士の活躍の場は、司法書士事務所や企業、独立・開業など様々です。以下では、合格後の働き方を分類して紹介します。
独立・開業
司法書士試験に合格した後、個人事務所として開業する方法は代表的な働き方の1つです。日本司法書士会連合会の調査によると、経営者司法書士(経費などを負担して事務所を経営している司法書士)は司法書士の約8割にのぼります。
多くの場合、司法書士事務所などで実務経験を積んだ後に開業しますが、初めから個人事務所として開業することも可能です。
パソコンや一定の書籍があれば仕事ができ、自宅を事務所として開業できるなど、初期費用を抑えやすい点がメリットといえるでしょう。
また、試験に合格したものの司法書士登録をしていない有資格者や、司法書士試験の受験生を補助者として雇うこともあります。
司法書士法人に所属
近年は、「独立開業は望まない」「組織内でキャリアアップを目指したい」という考えから、司法書士法人への就職を選ぶ人もいます。
また、個人での開業となると、1人で対応できる業務には限界があります。司法書士法人に所属することで、業務を分担しながら幅広い案件に関わることができ、経験を積みやすい点がメリットです。
合同事務所に所属
合同事務所に所属するメリットとして、個人での開業に対する不安を軽減できる点や、独立・開業に伴う費用を削減できる点があげられます。
さらに、同業者と経験や知識を共有できる点や、身近に相談できる人がいる点も魅力です。
一般企業の法務部に所属
司法書士は、企業に所属して実務経験を積むこともできます。
一般企業に所属すると、法務部などに配属され、司法書士試験の学習で得た法律知識を活かし、法律問題のへの対応、様々な契約書の作成・管理、会社の商業登記申請書の作成などを行います。
一般の求人とは異なり、法律専門職として採用されるケースが多いため、専門のエージェントなどを経由する場合があります。
また、企業に所属する働き方の場合、給与や福利厚生面での優遇が受けられることもあります。
司法書士試験の概要
司法書士試験は、年齢・性別・学歴などの制限がなく誰でも受験できますが、合格率は例年3~5%台で推移しており、超難関資格とされています。
そのため、試験に合格するためには多くの勉強時間が必要です。一般的に、合格までに必要な勉強時間は3,000時間前後とされており、11科目にわたる試験範囲を効率よく学習することが合格のポイントになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 年齢・性別・学歴などに関係なく、誰でも受験できる |
| 受験手数料 | 8,000円 |
| 試験科目 | 憲法、民法、商法(会社法)、刑法、不動産登記法、商業登記法、供託法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法 |
| 出題形式 |
筆記試験(択一式・記述式) 口述試験 |
| スケジュール |
受験申請受付期間:5月上旬 筆記試験期日:7月上旬 口述試験(筆記試験合格者のみ):10月上旬 最終合格者発表 : 10月下旬~11月上旬 |
なお、以下の関連記事では、司法書士試験の概要、試験科目、合格率・難易度、試験対策などについてまとめています。ぜひ参考にしてください。
まとめ
司法書士は法律に関する専門知識を活用し、登記や供託業務、法務局・裁判所・検察庁に提出する書類の作成などを行う法律専門職です。個人・法人の双方から依頼を受け、様々な相談に対応します。
司法書士試験は難関資格の1つですが、受験資格の制限がなく、誰でも受験できる点が特徴です。
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- この記事の監修者は保坂 真世 (ほさか まよ)
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司法書士。
司法書士法人スターディオ代表。2014年に横浜市内で独立開業。2018年に法人化、平塚支店設置。
個人様向けに終活サポート・相続・不動産登記手続き、法人様向けに企業の法務手続きを取り扱っております。
相続案件受任数は年間300件以上。
HP:https://stardio.jp/
よくある質問
- 司法書士になるには?
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司法書士になるためには、司法書士試験に合格したうえで、司法書士名簿への登録と司法書士会への入会を行う必要があります。受験に年齢制限はなく、高校生などの未成年者でも受験可能です。
詳しくは、記事内「司法書士になるには2つの方法がある」をご覧ください。 - 司法書士試験の難易度は?
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司法書士試験の難易度は非常に高く、最難関クラスの国家資格の1つです。合格率は3~5%台で、他の国家資格試験と比較しても低めです。合格者数は例年600~700人台で推移しており、狭き門といえるでしょう。
- 司法書士は独学でも合格できる?
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司法書士試験に独学で合格する人は多くありませんが、不可能ではありません。ただし、難易度が高い国家試験なので、相当の努力が必要になります。まずは短期間学習し、独学が自身に合っているか、合格の見込みがあるかを検討してもよいでしょう。
- 司法書士と弁護士の違いは何ですか?
-
弁護士は、法律事務全般を幅広く取り扱うことができ、その権限について制限もありません。一方、司法書士が訴訟に関与できる範囲は限られており、認定司法書士は、簡易裁判所における訴額140万円以下の一定の民事事件に限り、代理業務を行えます。
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