フィードバックとは?意味や重要性、具体的な手法や手順を解説!

  • 公開日:2023.09.12

    更新日:2023.09.12

    人材育成や人事評価など、ビジネスの領域においてフィードバックが注目されています。しかし、実際にフィードバックを自社で導入したいがどのように行えば良いのかわからず悩んでいる人も多いでしょう。 この記事では、フィードバックの概要やメリット、フィードバックの実施手順、手法などを詳しく解説します。 ぜひ参考にしてください。

フィードバックとは?

ビジネスの領域におけるフィードバックとは、「従業員の行動に対して評価や指摘を伝えること」です。 もともとは、ITや工学分野で使われていた用語ですが、様々な場面で使われるようになり浸透しました。フィードバックは、従業員に自身の課題を理解させ問題解決に導いたり、成長を促進したりする目的で行われています。

フィードバックとフィードフォワード・レビューの違い

フィードフォワードとは、未来に向けて「何をすべきか、何ができるか」などを話し合うことです。目標を達成するために何が必要なのかを考えます。レビューは、評価や批評のことで、物事への感想を指すケースが多いでしょう。どちらの場合も、課題点や問題点などの指摘をすることはなく、問題解決までの助言が含まれていない場合が多いです。

フィードバックが行われるシーン・タイミングの例

フィードバックは、主に以下のようなシーン・タイミングで行われます。
・人事評価面談
・1on1
・OJTや日常業務
人事評価面談は、評価とともにフィードバックを行う良い機会です。成長促進だけでなく、自分への評価も客観視できるようになります。個人へのフィードバックを行う場合は、1on1の場で行うのが理想です。従業員の悩みなどをヒアリングしながら、今後の課題や目標などを話し合えます。

OJTや日常業務でのフィードバックも重要です。良い点や問題点があるたびに、できるだけ早くフィードバックを行うと良いでしょう。

フィードバックの導入が求められる理由

近年では、働く人の価値観の変化や社内でのコミュニケーション不足など起こっています。これらの理由によって、従業員の育成が困難になったり、組織が抱える目標や上司と部下の意識のズレなどが生じやすくなったりします。上司と部下の間に生じやすいギャップは以下のとおりです。

・上司が必要だと感じることと、部下が必要だと感じること
・上司が思うできてほしいラインと、部下ができていると認識しているライン
・上司が伝えたことと、部下が理解している範囲

このように、上司と部下の間にはさまざまなズレが生じやすく、ズレを放置しておくことで不満や不安が溜まりやすくなります。フィードバックを適切に行い、部下と上司が密にコミュニケーションを取ることで信頼関係が生まれます。その結果、部下が何をすべきで何をすべきでないか、自分のあるべき姿がわかりやすくなり、適切なアクションが取れるようになります。
厚生労働省の調査によると、フィードバックの頻度は部下の働きやすさに直結しているという調査結果が出ています。 フィードバックを細かに行うことで、従業員が客観的に自分の現状やスキル、課題点などを把握して、課題解決のために行動することができるため、業務への自信がつき、仕事に対するモチベーション向上も期待できるでしょう。
また、コミュニケーションが活発になることで組織の活性化にもつながるとして、フィードバックへの注目が高まっているようです。

※上司からのフィードバックと働きやすさについて|厚生労働省


フィードバックの方向性・種類

フィードバックには「ポジティブフィードバック」と「ネガティブフィードバック」があります。 ここでは、それぞれの種類について解説します。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックとは、その名のとおり前向きな表現を使い、フィードバックを行う方法です。ポジティブフィードバックでは、対象者の良い面に注目し、否定的な言葉はできるだけ避けて、評価を伝えます。前向きな表現を使うことでモチベーションが上がり、部下の自己肯定感を高めるきっかけにもなります。

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックとは、従業員の良くない点や問題点などにフォーカスして指摘をし、改善を促す方法です。たとえば、「最近は業務に慣れてきたからか、細かなミスが増えている。自分の作業をもう一度見直して、やり方を検討してみよう」というように、問題点を強調して指摘するのがネガティブフィードバックです。



ネガティブフィードバックでは、従業員が自分のどこに課題があるのか、改善すべきポイントは何かなどを把握することができます。ただし、人によっては傷つくこともあるため表現や語気、伝え方などに注意しましょう。また、ネガティブフィードバックを行う場合には、好ましくないポイントだけではなく、改善策や対策を提示するなど、ポジティブな内容を含めることも大切です。

フィードバックを行うメリット・効果

フィードバックを行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、4つのメリットを解説します。

モチベーション向上につながる

適切なフィードバックを行うことで、モチベーション向上が期待できます。納得感のあるフィードバックが行われることで、部下は「自分のことをしっかり見てくれている」「自分にもできる」と自己肯定感がアップし、モチベーション向上につながるでしょう。モチベーションが向上することで、より質の高いアウトプットができます。

スキルアップにつながる

フィードバックは、従業員のスキルアップにも役立ちます。自分にどのようなスキルが必要なのか分からない従業員も少なくありません。フィードバックの際に、良い点や課題点などを伝えるだけでなく、具体的なノウハウや方法論、役立つスキルなどを伝えることで、従業員のスキルアップにつながります。

目標を達成しやすくなる

フィードバックによって、行動のズレを軌道修正することができるため、目標を達成しやすくなるというメリットもあります。定期的にフィードバックを行えば、その都度目標と目標を達成するために行った行動のズレを意識することができるため、軌道修正がしやすくなります。 結果として、目標達成がしやすくなるでしょう。

上司と部下の信頼関係を深めるきっかけになる

1on1や人事評価面談などのフィードバックを実施する機会を設けることで、上司と部下のコミュニケーションが活性化されます。コミュニケーションが不足していると、上司と部下の意識のズレが起こりやすくなりますが、フィードバックを細かく行うことでお互いの考えなどを伝え合うことができ、信頼関係を深めることができます。

フィードバックの手法

フィードバックにはどのような手法があるのでしょうか。ここでは、3つのフィードバック手法について詳しく解説します。

SBI型

SBI型とは、「状況(Situation)」「振る舞い(Behavior)」「影響(Impact)」の頭文字を取ったもので、それぞれの観点からフィードバックを行う手法です。「どのような状況で、どのような行動をとり、どのような影響が生じたか」という流れになります。SBI型のフィードバック例は以下のとおりです。

S:「今日のプレゼンテーションのことだけど」
B:「プレゼン資料がわかりやすく丁寧に作成されていた」
I:「そのおかげで参加者にとても好評だった。次回以降もぜひ意識してプレゼンを行ってほしい」

SBI型の特徴は、対象者がフィードバック内容を理解しやすいことです。自分の行動や行動によってもたらされた結果をしっかりと理解できるため、今後どのようなアクションが必要か、改善点やさらに伸ばすべき部分はどこかなどを自分で考えることができます。

順を追って具体的に状況やアクションを共有することで、部下が自分の状況を理解し解決策を練ることができるため、上司と部下の間に信頼関係が構築されやすいという特徴もあります。

サンドイッチ型

サンドイッチ型とは、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックを組み合わせたフィードバック手法です。ポジティブな内容のフィードバックから伝えて、その後にネガティブフィードバックを行い、最後にポジティブフィードバックで締めるというように、ポジティブな内容の間にネガティブな内容を挟み込む形になります。サンドイッチ型の伝え方の例は以下のとおりです。

1. 「今日のプレゼンの内容はわかりやすく、とてもよかった」
2.「ただし、緊張からか早口になってしまうケースも多かったので、次回からは意識してゆっくり話すとよりいいプレゼンになるよ」
3.「でも統括するとプレゼン自体はすごく魅力的だった」

まずは良かった点をほめて、その後に改善点を指摘し再度ほめるというように、ネガティブな内容でフィードバックが終わらないようにします。ポジティブなフィードバックをしっかり行うことで、改善点を指摘された部下のモチベーション低下を防ぐことができ、指摘を受け入れやすくなるというメリットがあります。

ペンドルトン型

ペンドルトン型とは、部下の反省点を起点としてフィードバックを行う手法です。心理学者のペンドルトンによって開発されたフィードバック手法で、上司が一方的に部下に評価内容や改善点を伝えるだけでなく、部下自らが思う反省点をもとにしてフィードバックを行います。 ペンドルトン型の伝え方の例は以下のとおりです。

部下の反省:「昨日のプレゼンでは質問されたことに対して、すぐに的確な回答を出せなかった」
上司のフィードバック:「それなら、質問されるだろうと想定される内容を検討しておき、必要な回答を可能な限り用意しておくといいね。また、必要な情報はすべてインプットしておくことも効果的だよ」

このように、部下の反省点を起点として良かった点や悪かった点、改善策や対応策などを話し合う形になります。ペンドルトン型の特徴は一方通行のフィードバックではなく、部下と上司が対話をしながら進めることがポイントです。部下の反省をもとに今後のアクションプランなどが考えられるため、部下の主体性を引き出すことができます。

フィードバックの実施手順

ここでは、一般的な人事評価面談や1on1でフィードバックを行う際の実施手順を解説します。

1.事前準備

まずは、 フィードバックを行う前にしっかりと準備をしておきましょう。たとえば、面談の流れを把握しておく、フィードバックの手法を決定するなどの準備が必要です。 また、部下から質問される内容を想定し、回答や適切なアドバイスなども用意します。

2.自己評価・評価結果の報告

面談を行う際にはまず、相手の自己評価を聞きます。この際、意見を言いたくなる場面もあるかもしれませんが、最後まで聞く姿勢を意識することが重要です。自己評価を聞いた後に、評価結果の報告を行いましょう。評価結果を伝えるときには、表現や内容、語気などに気をつけてモチベーション低下につながらないように注意します。

3.課題の共有と今後の目標設定

評価結果を伝えた後は、評価結果から浮かび上がった課題や問題点を双方で共有し、今後の課題解決に向けて話し合いを行いましょう。この際、上司が解決方法を考えて押し付けるのではなく、部下が自分で解決方法を考えるように手助けをし、目標設定を行うことが大切です。上司・部下双方が納得する形でフィードバックをまとめましょう。

効果的なフィードバックを行うためのポイント

効果的なフィードバックを行うためには、意識したいポイントが7つあります。ここでは、各ポイントについて解説します。

具体的な内容を伝える

フィードバックを行う際には、具体的に伝えることを意識しましょう。たとえば、「プレゼンが良くなかった」だけでは、どこに問題があるのか理解できません。そのため、「プレゼン内容はよかった。しかし、早口で聞き取りにくい」というように、具体的な内容や良い点・悪い点などを伝えるようにします。

指摘に対する理由を明確化して伝える

指摘するだけでなく、その理由を明確に伝えることも大切です。具体的な部下の行動や状況を指摘するだけでは、部下が納得できないケースもあります。そのため、なぜその行動や良いのか、悪いのか、明確な理由を含めて伝えることが重要です。論理的であればあるほど相手は納得しやすくなり、フィードバックへの信頼感が高まります。

今後どうすべきかまでアドバイスする

フィードバックでは、問題点を指摘するだけではなく、今後改善するためにはどうすればいいのか具体的なアドバイスをすることが大切です。ただし、単に答えを教えたのでは意味がありません。アドバイスによって部下が自ら考えるきっかけを作ることや、自発的に解決方法を見つけられるように手助けをすることも意識しましょう。

フィードバックはすぐに行う

フィードバックはできるだけすぐに行うことが重要です。行動から時間が経過してしまうと記憶が曖昧になり、フィードバックをしても理解できないケースもあるためすぐに実施するといいでしょう。できるだけ早くフィードバックをすることで、改善のスピードも早くなり部下の成長にもつながります。

信頼関係を築いておく

普段から部下とコミュニケーションを取って、信頼関係を築いておくことも大切です。信頼関係が構築されていれば、アドバイスや指摘などを部下が受け入れやすくなるため、フィードバックが行いやすくなります。信頼関係が築けていないと、部下は身構えてしまい上手く指摘が伝わらないケースもあるため注意しましょう。

部下に気付きを与える質問をする


フィードバックは上司の考えを押し付けるのでは上手くいきません。部下に答えや自分の考えを押し付けるのではなく、気付きを与えるような質問をしましょう。 たとえば、「次はこうするといいのでは?」「理解できたかな?」など、提案をしたり確認を入れたりするのがポイントです。確認することで、部下も質問しやすくなります。

ポジティブな視点も積極的に取り入れる


問題点を指摘する際には、ポジティブな内容も取り入れるようにしましょう。ネガティブな内容に偏りすぎてしまうと、部下のモチベーション低下につながります。そのため、問題点を指摘する際にはポジティブとネガティブを組み合わせたサンドイッチ型を積極的に活用するなど、ポジティブな内容も含めると効果的です。

フィードバックを行う際の注意点

フィードバックを行う際には、注意したいポイントもあります。ここでは、フィードバックの注意点を3つ解説します。

曖昧かつ根拠がない内容は伝えない

フィードバックを行う際には、曖昧な話や根拠のない内容は伝えないようにしましょう。指摘する内容に根拠がない、具体的な指摘がないと相手は納得できません。結果として効果のないフィードバックになってしまうため、なぜその行動が問題なのか、課題解決に向けてなぜその行動が必要なのかなど、具体性のある内容を伝えましょう。

モチベーションを下げる態度はとらない

フィードバックの目的は、従業員の成長促進や目標達成に導くことです。そのため、モチベーションを下げるような態度は厳禁です。たとえば、威圧的な態度を取ったりネガティブな評価ばかりを伝えたりするのは控えましょう。部下に寄り添う姿勢を見せることや、ポジティブ・ネガティブを組み合わせて伝えることなどがポイントです。

相手の能力や状況を加味しない発言は避ける

フィードバックを行う際には、相手の能力や状況をしっかりと理解して行うことがポイントです。 たとえば、課題解決に向けて高すぎる目標設定をする、実現不可能なプランを立てるなど、現実的ではない指摘は行わないようにします。相手のスキルや経験、状況などに合わせて適切な指摘をするように心がけましょう。

まとめ

フィードバックとは、従業員の問題解決や成長促進のために行う手法です。 フィードバックを行う際には、具体的な内容を伝えることやすぐに行うこと、信頼関係を築いておくことなどを意識しましょう。また、適切なフィードバックを行うために、事前準備も欠かせません。

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