マネジメントとは?意味や仕事内容、必要なスキルなどについて

  • マネジメントとは?意味や仕事内容、必要なスキルなどについて

    公開日:2022.10.21

    更新日:2024.03.15

    マネジメントとは、経営や管理のことです。ビジネスにおいてよく知られている言葉ですが、実際にはどのような活動や行動を指すのでしょうか。この記事では人事ご担当者様に向け、マネジメントに関する基礎知識について解説します。業務内容や能力を高める方法までを解説しているので、参考にしてください。

マネジメントとは

マネジメント(management)とは、「経営」や「管理」の意味があります。企業におけるマネジメントとは「経営管理」や「組織運営」を指し、組織の成果向上のために経営資源を活用し、リスク管理をして効果を最適化することです。

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P.F.ドラッカーによる定義

マネジメントの概念を生み出したのは、アメリカの経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカーです。ドラッカーは1973年刊行の著書「マネジメント」において、マネジメントとは組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関、マネジャーとは組織の成果に責任を持つ者として定義しています。

マネジメントの必要性

マネジメントが必要になる理由は、企業や組織が継続的に成長していくためです。企業は定期的に目標を設定し、それを達成するためにマネジメントを活用します。組織として成長するためには、内部で働く人材に活躍してもらい、一人ひとりに成長してもらうことが重要です。マネジメントでは人材育成の視点も重要とされており、社員の個別性にフォーカスした人材育成も必要といわれています。日本においては生産年齢人口が減少し、労働力不足が深刻化しています。労働力不足を解決するには、組織としてのあり方や働き方改革、社員の成長が不可欠です。そのためマネジメントは単に業務を管理して効率化を図るだけのものではなく、組織に貢献する人材を育てるという点でも重要性が増しています。

マネジャーとリーダーの違い

マネージャーとリーダーの違いは、組織としての成果に責任を持つか、組織・チームが目指すべき方向性を示すかどうかにあります。アメリカの経営学者であるドラッカーによると、マネージャーは「組織の成果に責任を持つ人物」とされています。この定義に当てはめると、マネージャーは企業の一部門だけでなく、組織全体の目標を設定し、人材の育成まで幅広く責任を持つのが役割といえるでしょう。
一方、リーダーはチームや組織の先頭に立ち、人を率いて目指すべき方向性を示すのが主な役割です。リーダーの役割は組織やチームが良い形で回り、業務効率化や生産性向上につなげることにあります。
例えば、企業として10年後に達成したいビジョンを設定し、社員全員が同じ目標に向かうよう働きかけるのがリーダーの存在意義です。そのため、リーダーが目標や組織の方針を示し、マネージャーはリーダーの示す方向性へ向かうために、組織全体を導いていくのが具体的な違いです。注意すべきなのは、リーダーもマネージャーも間違えることがある点です。
リーダーの示した方向性を誤って理解し、マネージャーが間違った方向に組織を導くこともあります。逆にリーダーの方針が間違っており、組織全体が疲弊してしまうこともあるでしょう。リーダーとマネージャーの違いを正しく認識し、それぞれの役割に合わせた働きをすることが大切です。

マネジメント能力とリーダーシップの違い

マネジメント能力とリーダーシップはどちらもマネジャーに求められる能力ですが、発揮する範囲や対象に違いがあります。リーダーシップとは目標達成に向けてメンバーを統率する能力で、「人」に対して用います。マネジメントは「人」に限らず、資源・資金・施設・商品といったビジネスに必要なあらゆるものを幅広く管理する能力です。

ネジメントの役割

マネジメントの重要な役割は3つあります。

・組織としての目標・ミッションの達成
・組織内の人材育成
・社会への貢献

マネジメントの基本となる目標は、組織としての目標・ミッションを全体に浸透させ、達成に向けて課題を解決していくことです。組織の発展において、マネジメントで意識すべき役割です。また組織内の人材育成を進め、社員一人ひとりが活躍できる場を提供し、自己実現やキャリアアップを目指せる環境を作る必要もあります。企業が継続的に成長していくには、ベテラン社員だけでなく、若手や中堅にも適した地位や役割を与えることが大切です。
そして、近年重視されているのが社会貢献の意識です。企業として社会課題にどう貢献できるのか、自社が求められている役割を社員すべてに理解してもらう必要があります。

なぜマネジメントが必要なのか

企業は組織や人材によって成り立っているため、企業が発展し続けるためにはマネジメントが必要不可欠です。組織の目的を達成するための組織運営を実施し、メンバーのスキルを見極めて適材適所に配置することで人材活用を行い、組織のパフォーマンスの向上を目指します。成果を最大化するような人材育成も、マネジメントを活用します。
関連リンク:組織マネジメントはなぜ必要? メリットや管理職の必要スキル、役立つフレームワークも解説

マネジメントの業務内容

マネジメントには、目標設定、人材の育成や指導、評価といった業務があります。業務内容について解説します。

動機付け・目標設定

組織として明確な目標を設定します。目標設定のために何をすべきか、どうすればうまくいくかといった方向性を示し、社内に周知して浸透させます。立てた目標に対してモチベーションを維持するための、動機付けをはかることも重要です。動機付けは金銭的報酬を用意するほか、やりがい・社会貢献といった非金銭的報酬も欠かせません。

人材の育成や指導

部下の能力を引き出すための、人材の育成や指導も必要です。能力を最大限発揮できるようにサポートや指導を行います。研修や通信教育、外部の勉強会の活用も有効です。ステップアップした将来を見据えて、計画的な育成や指導を行いましょう。人材育成に成功すれば、1人ひとりの生産性が向上するため、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

評価とフィードバック

仕事ぶりや成果について、査定基準をもとに評価とフィードバックを行います。がんばっていることを評価として認められると、従業員の意欲は向上します。よかった点、課題、改善点などを共有しましょう。評価とフィードバックが機能しないと、従業員に不満が溜まり、生産性低下につながる恐れがあります。

進捗管理

進捗管理は、目標達成や期限を守るために必要です。日別、週別、月別に業務の進捗度合いを管理し、必要に応じて業務のフォローやサポートをします。進捗が予定通りの場合は、さらに向上できるよう指導や声かけを行い、不調の場合には原因を洗い出して改善を促します。個々の状況把握により、組織全体の課題解決につなげます。

マネジメントに求められるスキル

マネジメントにはさまざまなが求められます。ここでは、代表的な4つのスキルについて解説します。

意思決定能力

重要な局面において判断や決断が必要になるため、意思決定能力が重要です。反対意見が出て、同意が得られないことは珍しくありません。意思決定や決断のためには、日頃から問題を理解し、根拠を持って決断できるよう状況を把握しておく必要があります。判断のぶれは部下に不信感を与えるため、慎重さも求められます。

コミュニケーション能力

部下との意思疎通や信頼関係の構築のために、コミュニケーション能力が必要不可欠です。コミュニケーション能力に長けている人は、部下の抱える不安や不満のヒアリングや、ふとした会話から部下の能力を引き出すことが可能です。上手にコミュニケーションを行うことで、相談や報告をしやすい良好な関係を築きましょう。

管理能力

管理能力は、目標に対する進捗や、状況を把握し分析する能力です。数値管理だけでなく、人員についての管理も行います。組織を適切に機能させるためには、優先順位を決めてください。適切な組織構成や業務の振り分けを行い、部下の強みを発揮できる環境を整えて業務の質を高めることが重要です。状況に応じて調整や改善を適宜実施しましょう。

分析能力

業務上の問題が生じた場合には、課題を正しく抽出し、把握する分析能力が必要です。経験や勘だけに頼っていては、組織を誤った方向に導く可能性があります。解決のためには、客観的な視点と分析が必要です。PDCAサイクルを回し、データ活用により検証し、成果を最大化しましょう。

※関連リンク:マネジメント能力とは?

「階層別マネジメント」と種類

マネジメントは組織の階層別に3つの種類があります。ここでは、マネジメントの種類について解説します。

トップマネジメント

トップマネジメントとは、最高経営者層・最高管理者層によるマネジメントです。会長、社長、副社長、専務、常務、執行役員などが該当します。経営戦略や組織のビジョンを立てる、組織の運営方針を決めるといった総合的な意思決定を行います。最終責任を担う役割と、強いリーダーシップが求められます。

ミドルマネジメント

ミドルマネジメントとは、中間管理者層によるマネジメントです。トップマネジメントとロワーマネジメントの中間に位置する、部長、課長、支店長、工場長などの役職者が該当します。トップマネジメントのサポートと、戦略的判断や指示を下層部に正しく伝えることが求められ、経営陣と現場をつなぐ重要な役割です。

ロワーマネジメント

ロワーマネジメントとは、監督者層によるマネジメントです。主任、現場責任者、チーフなどが該当し、下級管理者層とも呼ばれます。上層部の方針や中間管理者からの指示などを、現場の従業員に伝えて業務に落とし込む立場です。トップマネジメントが描いたビジョンの実現を反映するための役割を担います。

「業務別マネジメント」と種類

業務別マネジメントとは、従事する業務内容によってマネジメント手法を変えることです。
業務別マネジメントには次の3種類があります。

・組織運営
・人材管理
・メンタルヘルス

3つのマネジメント手法について、それぞれ解説します。

組織運営

組織運営におけるマネジメント手法には、次の3種類があります。

・チームマネジメント
・プロジェクトマネジメント
・ナレッジマネジメント

チームマネジメントは、主に中堅以上の社員が行うマネジメントです。
部下や後輩、チームメンバーを育成し、コミュニケーションの円滑化・生産性の向上などを目指します。
プロジェクトマネジメントは、プロジェクトを成功させるために最適化されたマネジメントです。計画立案・目標設定・進捗管理・人員管理まで、幅広くマネジメントを行います。
ナレッジマネジメントは、属人化しやすい業務スキル・経験に基づくノウハウ・情報などを組織内で共有するマネジメントです。若手からベテランまで組織全体のスキルを底上げし、パフォーマンスの向上に役立ちます。

人材管理

人材管理におけるマネジメント手法には、次の3種類があります。

・タレントマネジメント
・モチベーションマネジメント
・パフォーマンスマネジメント

タレントマネジメントは近年注目を浴びるマネジメント手法の1つで、社員の持つスキルやパフォーマンスを把握し、最適な人材配置・育成を行うことを目的にしています。社員のモチベーションアップにつながるとされ、業務効率化に貢献するマネジメント手法です。モチベーションマネジメントは社員のモチベーションの源を追求し、外発的・内発的動機付けを支援するマネジメント手法です。社員が自発的に考え、成果を出すための行動を促す効果があるとされています。パフォーマンスマネジメントは、上司とのフィードバックを通して社員のスキルとモチベーションを高め、生産性の向上を目指すマネジメント手法です。

メンタルヘルス

メンタルヘルスにおけるマネジメント手法には、次の3種類があります。

・メンタルヘルスマネジメント
・ストレスマネジメント
・アンガーマネジメント

メンタルヘルスマネジメントは、社員の心の健康を把握し、セルフケア技術を身に付けられるように支援するマネジメント手法です。職場環境がメンタルヘルスに及ぼす影響が注目されており、メンタルヘルスマネジメントも注目を浴びています。
ストレスマネジメントは職場でのストレスに着目し、社員がストレスをコントロールする技術を身に付けてもらうことを重視しています。社員の心身の健康を維持することで、業務でのパフォーマンス向上を目指すマネジメント手法です。
アンガーマネジメントは怒りの感情をコントロールする技術を学ぶマネジメント手法です。上司の言動への怒り、部下の態度への怒り、顧客からぶつけられた理不尽な言葉への怒りなどをうまく整理することを目指します。
感情的な行動をとらず、自分自身を客観視する技術が身に付くマネジメント方法です。

まとめ

マネジメントとは経営管理のことで、企業の発展に欠かせません。適切に機能すれば自社の目標達成や働く人の自己実現のサポート、社会貢献につながります。マネジメントには意思決定能力・管理能力などが求められるため、スキルや知識の習得が有効です。

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