新人教育の目的とは?重要なポイントやOJTの研修の進め方を紹介!

  • 新人教育の目的とは?重要なポイントやOJTの研修の進め方を紹介!

    公開日:2022.09.26

    更新日:2025.07.04


    新人教育は、新人を早期戦力化するために行います。早い段階で新人がスキルアップすれば社内の生産性向上や業績アップにつながるため、企業においては計画的な新人教育が重要です。この記事は主に人事担当者に向け、新人教育について解説します。実施するメリットやよくある失敗例、成功させるポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

新人教育とは

新人教育は新入社員が組織に順応できるよう促し、業務に必要な知識・スキルを習得してもらうとともに、組織に定着してもらうために行う社員教育です。近年は単なるスキル習得にとどまらず、組織全体の生産性向上につながるイノベーションの思考やコンプライアンス意識などもカリキュラムに含む企業が増加しています。

新人教育の目的

新人教育の目的は、新入社員に業務上必要な知識と組織の文化、自身の果たすべき役割への認識を促し、組織に必要な人材に成長してもらうことです。組織のミッション・ビジョン・バリューに共感してもらうことで、企業の一員としての意識を高めることも目的に含みます。また、新人教育では社会人意識の醸成や基礎スキルの習得、キャリアデザインをイメージしてもらうことも大切です。組織において、新人教育は次世代のリーダーや戦力を育成し、長く発展を続けるうえでの重要課題です。組織の成長に貢献する人材を育成すれば、予測の難しい時代を乗り切るための力になるでしょう。

新人教育が重要な理由

新人教育が重要となる理由は、新入社員の早期戦力化と会社への定着率向上を実現するためです。新人教育を重要視することで新入社員は業務への自信がつくと同時に、会社の価値観や目標を理解することで、企業への愛着と仕事への責任感を持つようになります。また新人教育は効率的な働き方や職種毎の役割の把握を促し、生産性向上にもつながります。業務での気付きや会社への帰属意識を醸成し、組織全体の一体感を高めることにもなり、持続的な成長と企業文化の形成にも有効です。

新人と職場を取り巻く環境

会社にとって新人教育は、新入社員を即戦力へと育成し、離職率を下げるといったメリットがあります。一方で、新入社員と職場を取り巻く環境にも目を向けなければ、新人教育の成功率は下がってしまいます。近年の社会状況も踏まえつつ、会社と新入社員がどのような環境に置かれているのかをみていきましょう。

新入社員の採用が難しく、早期離職率が高い

日本では企業の求人に対して人手が不足しており、「人手不足倒産」という言葉もメディアで聞く機会が増えています。有効求人倍率も新規求人倍率も高い水準を示しており、仕事はあるのに人がいないという状況が続いています。これは新入社員の採用においても同様です。特に近年は少子化の影響が顕著であり、新規学卒者の数も少なくなり、新入社員の採用を困難にしています。また近年は人材の流動化が活発になっており、入社から3年以内に離職する早期離職率もおよそ3人に1人となっています。新入社員や若手社員には転職でキャリアアップするという意識も根付いており、従来の終身雇用・年功序列制度は社会に馴染まなくなりました。しかし実際に新入社員が働く職場においては、貴重な戦力が抜けるのは大きな痛手です。人手が減れば残った従業員の負担が大きくなり、負担が大きくなると離職率も高まるという負の連鎖が発生します。さらに若手社員がいなくなれば、残るは中堅やベテラン社員だけになり、5年後10年後の会社の存続すら危うくなるでしょう。そこで企業としては新入社員の採用率を高めるために、新人教育に力を入れる必要があります。キャリア志向の新入社員にとって、成長できる環境が用意されているか否かが非常に重要だからです。新人教育を通して会社への理解を深めれば、エンゲージメントの向上も期待できます。新人教育は新入社員と職場の双方にとって、欠かせない施策といえます。

新入社員に対する職場からのプレッシャー

新人教育では、新入社員を即戦力として育成するために、業務に必要なさまざまな知識やスキルを指導します。しかし新入社員は、新しい環境へ適応しなければならないことに加え、日常的な業務についても覚えなければなりません。そのため十分な戦力として育つまでには、短くても数か月、長ければ数年という時間が必要です。一方、職場では「早く一人前になってほしい」という意識が先行するあまり、新入社員に様々な仕事を任せ、経験を積んでもらおうと働きかけるケースが多いです。結果として、新入社員には「早く成長しなければならない」というプレッシャーがかかり、心身ともに疲弊してしまう場合があります。意識すべき点として、新入社員には個性があり、早く成長する人もいれば、成長に時間がかかる人もいることです。成果がなかなか上がらなくても、プレッシャーをかけすぎると新入社員が潰れてしまう結果になるでしょう。新入社員が成長するにはある程度時間がかかることを認識したうえで、職場で働く従業員にも同じ意識を共有していくことが大切です。

人材育成が滞りがちな職場環境

新人教育への意識が行き届いていない職場では、従業員が人材育成を軽視し、人を育てることに非協力的になることがあります。人材を育てて仕事ができる人にすることよりも、今の自分の仕事を早く終わらせることを優先するケースです。このケースは人材不足の職場に多く、仕事に余裕がないときに起こります。例えば職場で人材育成の担当者を任されたときにも「なぜ仕事が多いのに新人を育成しなければならないのか」と考えるようになり、新人教育を怠ってしまいます。特に20~30代の若手・中堅社員で、リーダーの役割や多くの業務を任されている人にこうした考えが多いです。しかし人材育成は企業が成長を続け、競争優位性を維持するために必要な施策です。新人教育に否定的な立場の従業員を減らすためにも、会社として教育の重要性を理解してもらい、教育担当者に必要なスキルを学んでもらうのがよいでしょう。また職場での新人教育を担当者だけに任せるのではなく、職場全体で育てるために支援体制を整えることで、新人教育で陥りがちな課題の解決が期待できます。

具体的な新人教育の方法

新人教育では1つの方法を採用するのではなく、新人に合わせて複数を組み合わせることで効果的な新人教育が可能になります。

OJT

OJTとは、実際の業務を通じて行う新人教育です。新人教育の担当者から、実用的な知識や経験をリアルタイムで学べます。新人の特性に合わせたトレーニングができ、現場で教育できるため教育費用を抑えられます。業務中心の毎日で視野が現場に偏り、企業の全体像や組織としての考え方が教えにくいことがデメリットです。
※関連リンク:OJTとは? 意味や目的、成功に導く3つのポイントを解説

Off-JT(職場外研修)

Off-JT(職場外研修)は、現場の業務から一時的に離れ、計画的な研修を受けることで専門知識やスキルを習得する方法です。この研修は、業務の実践を通じて学ぶOJTとは異なり、体系的な学習に適している点が特徴です。
たとえば新入社員研修では、ビジネスマナーや会社の概要、業界の専門用語などを学び、業務にスムーズに適応できるようになります。さらに管理職向け研修では、マネジメントスキルやリーダーシップの強化を目的とした研修が行われることもあります。
Off-JTの代表的な実施方法として、座学研修、オンライン研修、ワークショップがあります。座学研修では講師の解説を通じて基礎知識を学び、オンライン研修では時間や場所を問わず学習が可能です。またワークショップでは、ロールプレイを活用しながら疑似的な業務体験を行い、実践的なスキルを身につけることができます。

マニュアル

マニュアルは、業務に必要な事柄や手順がまとめられたものです。いつでも疑問に思ったことを調べられ、知りたいことが学べる点がメリットです。記憶だけに頼らず、社内ルールや正しい知識を得られます。ただし実際の業務では、マニュアルに記載されている以上のことが起こる可能性があり、すべてに対応しきれない点に注意が必要です。
マニュアルを効果的に作成するには、わかりやすい構成が重要です。例えば章立てや箇条書きを活用すると、情報が整理され理解しやすくなります。さらに視覚的要素として図表やイラストを入れることで、直感的に内容を把握できるようになります。また業務の変化に対応するために、定期的な更新を行うことで最新の情報を維持し実用性を高めることができます。これらの工夫を取り入れることで、より実践的なマニュアルが作成できます。

集合研修

集合研修とは、1つの会場に従業員を集めて行う研修です。新人たち同士の交流が生まれ、一体感が醸成され、同期の絆を深められます。研修中に疑問があればすぐに質問して解決でき、理解が深まるのもメリットです。翌日から業務に活かすことも可能です。一方、大人数を集めるため、通常業務を圧迫するリスクがあります。

eラーニング

新入社員の育成には、基本的なビジネスマナーや仕事への意識づけを行うことが欠かせません。ユーキャンの法人向けeラーニングなら、スマホやPCで手軽に受講でき、効率的な新人教育が可能です。
以下の講座は、内定者・新入社員の早期戦力化に特におすすめです。

■ 社会人のマナー講座

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その他の講座ラインアップも豊富です。詳しくは人材育成のユーキャンのeラーニングをご覧ください。

新人教育のOJT研修の進め方・ステップ

OJTは、新人が実際の業務を通じてスキルを習得する研修方法です。効果的なOJT研修を実施するためには、計画的な指導が重要になります。ここでは、新人教育のOJT研修を成功させるための具体的なステップを紹介します。

STEP1:教育計画の立案

OJTを効果的に進めるためには、明確な教育計画の策定が必要です。教育計画を立案することで、新人が効率的に業務を習得できる環境を整えられます。計画には以下の要素を含めるとよいでしょう。
目標設定:新人が習得すべきスキルや知識を明確にする。例:業務フローの理解、基本的な操作習得
研修期間:段階的な目標を設定し、一定の期間内に達成できるようにする
評価基準:研修の進捗を定期的に測定し、適切なフィードバックを行う

STEP2:新人の特性把握

新人の成長を促すためには、個々の特性や学習スタイルを知ることが重要です。新人の強み・弱みを把握しそれぞれに合った指導を行うことで、より効果的な研修が可能になります。
論理型(計画的な学習を好む):業務の背景や目的をしっかり説明し、体系的に学ぶ機会を提供
実践型(経験から学ぶタイプ):実際の業務を通じたロールプレイングや、短い業務課題を繰り返し実施
協調型(チームで学ぶことを好む):他のメンバーとのディスカッションやペアワークを活用

STEP3:段階的な業務移行

業務の習得は、簡単なものから複雑なものへ徐々に移行することでスムーズに進みます。業務の進行を段階的にすることで、新人は着実にスキルを習得できます。
営業職の場合:商品知識の学習 →
先輩社員の営業同行 →
簡単な提案業務 →
実際の顧客対応
事務職の場合:基本的なデータ入力 →
書類整理 →
重要書類の管理 →
業務改善提案
技術職の場合:工具の使い方の習得 →
実験・テスト作業 →
実務プロジェクトへの参加

STEP4:定期的な進捗確認

進捗管理は、週次・月次で行うことで効果的に研修を進められます。定期的な進捗確認を行うことで、研修の質を向上させられます。
週次確認:業務の理解度をチェックし、課題がある場合は早期に対応
月次評価:研修の成果を振り返り、次のステップへ進む準備を整える
ミーティングの進め方:具体的なフィードバックを提供し、目標達成に向けたアクションを設定

STEP5:フィードバック・振り返り実施

新人に対して適切なフィードバックを提供することが、成長を促進します。振り返りを実施することで新人のモチベーションを維持し、研修の効果を最大化できます。
具体的な評価:「〇〇の業務はスムーズにこなせるようになったね」など、明確なフィードバックを与える
改善点の提示:「次は〇〇を意識してみよう」と、成長の方向性を示す
ポジティブな言葉:「着実にステップアップしているよ」と新人の自信を高める

STEP6:次の目標・課題を設定

OJT研修の完了後は、さらなる成長に向けた目標を設定することが重要です。このステップを踏むことで、新人は長期的な成長につながる経験を積むことができます。
業務のステップアップ:基本業務を習得した後、高度な業務へ挑戦
自主学習の推奨:業界のトレンドや新しい技術を継続的に学ぶ習慣を促す
キャリアプランの構築:将来的な役割や目標について考え、成長の方向性を明確化

新人教育を成功させる5つのポイント

新人のモチベーションを高め、成長を促すための新人教育を成功させる5つのポイントを解説します。

1、働きやすい環境を作る

新人は業務内容やスキル・人間関係などが未熟で、不安を抱えながら仕事をしています。
新人教育は知識とスキルを身に付けてもらうことを目的にしていますが、新人が学びを生かしやすい環境を作ることも成功には重要なポイントです。新人が声をかけやすい雰囲気や人間関係の構築はもちろんのこと、ミスをしても許容する環境作りも大切です。新人が心理的に萎縮してしまえば、本来発揮できるはずの実力を発揮できず、学びを生かしたチャレンジにも消極的になります。部署やチーム全体で、新人が働きやすい環境を意識的に作ることが成功の鍵です。

2、仕事の全体の流れ・背景を伝える

新人教育をしていく際は、何のためにひとつひとつの仕事をしているのか、仕事全体の流れと背景を伝えることも重要です。新人は先輩社員から「ここはこうする」と言われてしまえば、意味や目的を考えず、言われた通りに実行する人が大半です。しかし新人教育は仕事全体の流れを把握し、仕事の意味を理解してこそ効果があります。仕事へのモチベーションを高めるためにも、自分の仕事が何のためにあるのか、どんな役割を担っているのか伝えることが大切です。

3、新人の目標や価値観を把握する

新人教育で正しい成長へと導くには、それぞれの新人がどんな目標を持ち、重視している価値観を把握することも重要です。新人はそれぞれ個性があり、得意分野も異なるため、個性に合わせた教育を意識する必要があるからです。全体教育はそのまま続けるとしても、OJTのような1対1では価値観や目標を意識して教育しましょう。また目標に応じて管理者がフォローアップし、達成状況を逐一把握する取り組みも必要です。

4、問題解決のためのヒントを与える

組織で活躍する人材を育てるには、言われたことだけをやっている人材を育成するのではいけません。新人教育では単なる知識とスキルを定着させるだけでなく、自分から考えて行動に移せる人材に育てることが重要です。そのためには、悩みや課題に対する答えを教えるのではなく、解決につながるヒントを与えることがポイントです。与えられたヒントから自分なりの解決策を導き出し、それを実践してもらうことに意味があります。大切なことは、導き出した答えが正しいか否かにかかわらず、その意見や対策を尊重することです。そのうえで正しい方向に導くようフォローすることで、新人の学びになるとともに、モチベーションアップにもなるでしょう。

5、定期的にフィードバックする

新人教育では、業務内容と成果をフィードバックし、良かった点・悪かった点を振り返ることが大切です。ただしフィードバックする際は明確な根拠を示し、評価項目も設定しておくと理解しやすくなるでしょう。

チェックシートを使うと効果的


フィードバックを行う際は、評価項目と評価基準が明確化されたチェックシートの利用が効果的です。チェックシートを利用すると、新人は業務上必要なポイントが明確になり、行動を決定する際の指針になります。また、フィードバックを行う上司や先輩の立場からは、どのポイントを押さえて指導すればよいか判断しやすくなるでしょう。
※関連リンク:制度の目的からフィードバックまで一連の流れが学べる人事評価講座

eラーニングは、パソコンやタブレットを使ってオンライン上で行う研修です。反復学習ができるため、しっかりと知識を定着させられること、時間や場所にしばられずに自分のペースで学習できることがメリットです。一方新人同士の交流機会が減少すること、モチベーションを保つことが難しいことがデメリットです。
※関連リンク:eラーニングとは? 導入するメリット・デメリットや成功させるコツを解説

新人教育を行うメリット

新人教育はどの企業にとっても重要な施策であり、組織力の強化と市場競争での優位性の確保、離職率低下などさまざまなメリットがあります。新人教育が企業にとってどんなメリットにつながるのか、3つのポイントを紹介します。

従業員の生産性向上

新人教育を行うことで、従業員が業務に必要な知識やスキルを早期に習得し、効率的に業務を遂行できるようになります。新入社員は知識と経験が少ないことから、業務の進め方に不安を抱きながら取り組む傾向があります。しかし新人教育を通して、明確な業務手順や達成すべき目標が示されることで、自信を持って業務に取り組めるようになるでしょう。またその作業がなぜ必要になるのかという背景や、各工程の目的を理解することで、自ら課題を発見し解決する能力も育成されます。新人教育により新入社員の業務の質が向上し、結果として企業全体の生産性アップにつながり、企業の競争力強化も期待できます。

離職率の低下

新人教育は定着率の向上につながり、離職を防ぐ重要な施策です。特に最初の数か月で適切な教育が行われると、離職率が低下する傾向があるとされています。定着率向上のための取り組み事例には以下のようなものがあります。
メンター制度の導入:新人が先輩社員とペアを組み、業務のサポートを受けることで、職場適応をスムーズに進める。
キャリアパスの明示:入社時から具体的なキャリアプランを示すことで、長期的な展望を持たせ、離職防止につなげる。
フォローアップ研修の実施:定期的なスキルアップ研修を提供し、社員が成長を実感できる機会を作る。

組織全体のモチベーションアップ

新人教育を行うことで、新入社員のモチベーションアップにつながるだけでなく、先輩社員の指導力向上や組織全体の意識改革にもなります。教育を通して新入社員が成長し、チームに貢献する姿を他の従業員が目にすることで、仕事への士気が上がり、組織全体のモチベーションアップになります。また活性化した組織と高いスキルを持つ従業員の存在は、働きがいのある職場環境を構築する基盤になるでしょう。

新人教育における課題

新人教育を進めるうえで、新入社員の個性や質は毎年違い、常に同じ方法は通用しないことは理解しておく必要があります。その点も踏まえて、新人教育で意識すべき課題について紹介します。

教育担当者による指導力の違い

新人教育の質は教育担当者の経験やスキルに強く依存します。そのため教育担当者の指導力が不足している場合、新入社員の成長も遅れるリスクがあります。教育担当者の質という問題を解決するには、一定の経験を持つ従業員全員に対して、知識とスキル向上のための研修を行うことです。 特に会社として統一した教育方針やマニュアルを整備することで、担当者のスキルによるバラつきを抑え、教育の質を一定にすることができます。教育の質が安定すれば、新入社員の成長速度も担保されやすく、企業全体の生産効率を向上できるでしょう。

組織内のリソース不足

新人教育には時間や人材、資金といったリソースが必要であり、特に小規模企業では教育担当者を専任するのが難しい場合があります。小規模企業では少ない人員で業務を行う都合上、業務と教育の両立が課題となり、教育担当者のキャパシティを超える可能性が高いです。リソース不足は新人の適応や成長を阻害する要因となるため、その解決策としてオンライン研修や教育ツールの活用、OJT(職場内訓練)を効率的に組み込む必要があります。また教育担当者の負担軽減を図るために、チーム全体で教育を支援する仕組みを導入することも効果的です。教育担当者の業務量を減らすか、教育担当者のサポート用に別の人員を用意しておきましょう。

新入社員に配慮した教育

新人教育では、教育担当者による一方的な指導や感情的な対応を避けることが重要です。教育担当者が感情的になってしまうと、新入社員の自由な発想や学びが阻害されます。この課題を解決するためには、新入社員が自由に発言や質問を行い、自主的に学ぶ姿勢を引き出す環境を整えることで、効率的な新人教育を促進できます。失敗や理解不足の状況に対して感情的に接すると、新入社員の不安や緊張感をあおり、余計にミスを誘発する可能性が高いです。そのため新人のミスを感情的に叱責するのではなく、教育方法やコミュニケーションを見直すことで、教育担当者の人材育成力を高められます。

新人教育でよくある失敗

企業の新人教育でよくある失敗について、3つのパターンを紹介します。

担当者による教育の質の違い

新人教育で陥りがちな失敗例として、各部署の担当者で教育の質や内容が違うパターンがあります。新人教育では指導経験の豊富な担当者もいれば、初めて担当者になる人もいます。しかし、いずれの場合でも企業として統一した教育方針や教育内容、必要なスキルを整理しておかなければ、担当者によって教育の質が変わり、新入社員の成長を阻害する可能性が高いです。また担当者個人の感情によって、失敗に対して過度な叱責をするケースも考えられるため、担当者全員のスキルアップと人間性の把握も不可欠です。新入社員の成長と定着を促すためにも、担当者による質の差はできる限り小さくしましょう。

同じ内容ばかりのカリキュラム

新人教育は毎年同じ内容ばかり続けていても、社会情勢やビジネス環境の変化に対応できません。特にIT分野での変化は早いため、常に新しい知識やスキルを学ばなければ、環境に適応できなくなるでしょう。新人教育も同じことの繰り返しでは時代遅れとなり、新入社員が現場で働く際の足枷になってしまう可能性があります。そのため新人教育のプログラムは毎年見直しを行い、時代に合わせたプログラムに変更していくことが重要です。

業務の全体像を示さない

新人教育では実務を覚えてもらうための指導で、部分的な作業や工程の指示だけを行うケースがあります。しかしそれでは新入社員が仕事の全体像を把握できず、個々の仕事にどんな意味があるのかを理解できません。新入社員が仕事へのモチベーションを維持し、前向きに取り組むには、一つひとつの仕事にどんな意味があるかを知ってもらうことが重要です。仕事の意味を理解することで「業務を効率的に行うにはどうすべきか」「より仕事の質を上げるには何が必要か」を自発的に考えるようになり、優れた人材への成長を促すことになります。

まとめ

今回は新人教育の目的や成功させるポイントなどを解説しました。
どの企業も新人研修に力を入れており、優秀な人材を自社で育てることの重要性は高まっています。若手人材はどの企業でも少なくなっており、長く会社に貢献してくれる新入社員の存在は貴重です。新入社員が長く働きたいと思える職場環境を作るには、しっかりとした教育体制と自己成長につながる機会を与えることが大切です。ご紹介したポイントや新人教育の方法も参考に、独自の研修内容を提供し、活躍できる新入社員の育成を進めましょう。

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