内定者研修とは? 目的や研修内容、実施する際のポイントなどを解説

  • 公開日:2023.01.17

    更新日:2024.01.17

    内定者研修とは、入社前の不安や悩みを解消するために必要な研修です。内定者研修を実施することで、内定辞退のリスク軽減や内定者のスキルアップなどにつながります。この記事では、内定者研修について詳しく知りたい研修ご担当者様に向けて、内定者研修の目的や内容、成功させるポイントなどを解説します。ぜひ参考にしてください。

内定者研修の目的

内定者研修はどのような目的で行われるのでしょうか。ここでは、内定者研修の目的を3つ紹介します。

入社前の不安や悩みを解消する

内定者研修には、内定者の不安解消という目的があります。内定をもらったものの漠然とした不安を抱えてしまう内定者は少なくありません。内定者研修により、事業内容を説明して疑問を解消したり、業務に対する不安を解消したりできます。また、内定者同士で交流できるため、仲を深められ不安を解消しやすくなります。

必要なスキルを身につける

内定者研修では、ビジネスマナーやOAスキルといった社会人として必要な技能を身につけさせるという目的もあります。社会人の基本を身につけることで、即戦力として活躍するための土台作りになり、新人教育にかかる負担も軽減できます。また、内定者自身のスキルアップになるため、自信を持たせられることもメリットです。

内定辞退を防止する

内定者研修で事前に内定者が抱えている疑問や不安などを解消することで、内定辞退を防ぎやすくなるというメリットがあります。転職する人も多い時代において、現在の就活生は会社への帰属意識が低い傾向にあるようです。そのため、内定辞退をしやすい環境であることを考慮し、内定後のフォローを行う必要があります。

内定者研修の目標

内定者研修には、将来自社で働く予定への教育を通して、次の3つを達成してもらう目標があります。
・社会人に必要なスキルを身に付ける
・社会人としての意識の醸成
・上司や同期との人間関係構築

社会人に必要なスキルを身に付ける

社会人に必要なスキルを社会人になってから身に付けるのでは、業務やその他の研修との兼ね合いから大きな負担になります。そのため、少し早くても内定段階で研修を行うことにより、入社後の負担を軽減できます。なにより内定段階で最低限必要なスキルを身に付けてもらえば、入社後に即戦力として働けるという期待もあるからです。また内定者は学生という保護されていた立場から、社会人という責任のある立場への転換期にあります。気持ちの切り替えをスムーズに行うためにも、内定者研修の存在意義は大きいといえるでしょう。

社会人としての意識の醸成

社会人と学生では、立場も責任も大きく変わります。しかし学生から社会人という立場に突然変わって、誰もが最初から意識的に責任のある行動を取れるとは限りません。社会人になってからも学生気分が抜けず、遅刻や同じミスを繰り返す人もいるでしょう。内定者研修の目標には、スキルを身に付けるだけでなく、社会人として働いていくための意識の醸成も含まれています。社会人として組織に貢献し、将来のキャリア、理想となる人物像を具体的に考える機会につなげ、モチベーションとエンゲージメントを高めるためです。また内定者研修を通して仕事へのイメージを具体化することで、内定辞退を防止する意図もあります。
内定者研修は内定者だけでなく、組織としても優秀な人材を確保するという目標があります。

上司や同期との人間関係構築

内定者研修には、社会人になってから業務の合間を縫って研修を行うよりも、時間のある学生の間に研修を行うことで、人間関係を構築するという目標もあります。入社前からどのような上司・先輩がいるのか、同期にはどのような人がいるのか知り、交流する場が作れます。内定者研修ではグループワークやワークショップを行うこともあり、お互いのことを理解する機会になるでしょう。また社内での人間関係が構築できれば、組織への帰属意識が高まり、離職率低下にもつながります。早期離職の原因の1つは人間関係の悪さですから、人材を逃がさないためにも良好な人間関係構築は重要なポイントです。

内定者研修の内容

内定者研修ではどのような研修を行うのでしょうか。ここでは、内定者研修の具体的な内容について解説します。

ビジネスマナー研修

内定者研修では、社会人としての基礎となる基本的なビジネスマナーを教えます。たとえば、言葉遣いや名刺交換の仕方などといったビジネスマナーは、働くうえで身につけておきたい重要なスキルです。
そのため、挨拶の仕方、身だしなみ、言葉遣いなどの最低限のマナーについて指導を実施し、内定者に社会人としての自信を持たせましょう。
※ビジネスマナー研修で学ぶ内容とは?

グループワーク研修

グループワーク研修とは、メンバーとの協力や協調性を学ぶための研修です。仕事は1人でするものではありません。効率的かつスムーズに業務を進めるために、チームメンバーとの協力、コミュニケーションは欠かせないものです。グループワーク研修を実施することで、内定者の人物像やコミュニケーション力の把握にもつながります。
※コミュニケーション研修とは?

内定者懇親会

内定者研修で、内定者懇親会を開催するケースもあります。内定者懇親会では、内定者同士での情報共有や交流、相談などができるため、漠然とした不安や孤独感などの解消につながることも期待できます。また、内定者同士で親睦を深めることで入社後も良好な関係を築きやすくなります。自社の雰囲気を知ってもらうよい機会にもなるでしょう。

内定者研修を実施する時期や頻度

内定者が決まる時期、研修の時期は企業によって違いがありますが、一般的には10~11月頃に研修はスタートします。頻度は学業の妨げにならないように、月1~2回程度行うところが多いです。
それぞれの時期についても見ていきましょう。

<10月>  企業への理解を深め、先輩社員・同期と関係を構築
<11月>   社会人として必要なマインドセットの理解
<12月>  企業の事業内容についての理解
<1月>  基本的なビジネススキル・業務上必要なスキルの習得
<2月以降>卒論や卒業旅行があるため研修はしない

あくまで一般的な内定者研修のスケジュールと内容ですが、多くの会社が上記のスケジュールを採用しています。
また内定者研修を実施しない企業もあるため、研修については内定をもらった企業に確認したほうがよいでしょう。

内定者研修の用意~実施まで

内定者研修の用意から実施するまでの流れについて、時期ごとに内容を解説します。

1.入社6~7か月前|会社への理解と人間関係構築

入社6~7か月前は、内定者に会社について理解してもらうとともに、先輩社員や同期社員との人間関係を構築してもらうことが大切です。入社後に「こんなはずでは」「思っていた仕事と違う」という後悔が生まれると、早期離職のリスクが高まるからです。
特に新入社員は会社に対して理想を抱いている方も多く、現実とのギャップに悩みやすい傾向があります。そのため入社半年ほど前の内定者研修では、会社の事業内容や良さを理解してもらうことを重視しましょう。また内定者が職場で孤独感を抱かないように、心理的な障壁を取り除くことも重要です。気軽に話せる雰囲気と場を提供し、上司や先輩社員、同期との交流を促進しましょう。

良好な人間関係が構築できれば離職率が低下し、仕事へのモチベーションも高められます。コミュニケーション能力の高い社員や、場を盛り上げるのに適した社員を選び、内定者とコミュニケーションを促進してください。

2. 入社4~5か月前|社会人としての意識・マインドセット

入社4~5か月前は内定式が多くの企業で執り行われ、内定者が社会人に近づいていることを自覚する時期です。内定者は社会人になることへの期待が強く、多くのことを学び、成長しようと意欲的になっているでしょう。このタイミングで社会人意識の醸成とマインドセットを構築しておくことで、入社後すぐに責任感を持って仕事に臨んでくれます。特に重要になるのがお金をもらって働くことと、正社員としての責任や役割の理解です。学生時代にアルバイト経験のある人も多いですが、正社員とアルバイトでは責任の重みが全く違います。
この違いを内定者研修を通して肌で感じてもらい、社会人として気を引き締めてもらうことが研修の主な目的です。また社会人のマインドセットについては、その後の内定者研修や社員研修への取り組み方にも影響します。そのため先輩社員との交流だけでなく、外部のプロ講師に依頼して意識作りを進めることも有効な施策です。

3. 入社2~3か月前|必要なビジネススキルの習得

入社の2~3か月前からは実務を意識して、ビジネススキルの習得を進めます。入社2~3か月前からビジネススキルを学び始めることで、入社後すぐにスキルを活かせるようになります。学ぶ内容は基本的なマナー、コンピュータの操作スキル、IT知識などです。業務に慣れる前から高度すぎる内容を学ぶと、内定者の意欲が低下し、内定辞退につながる可能性があるため注意しましょう。ビジネススキルを学ぶ際は、一度にすべてを学ぶのは困難なため、eラーニングやオンライン研修を利用するのがおすすめです。内定者は学生であり、入社2~3か月前は卒論や卒業旅行の時期と重なります。いつでも学習できる環境を企業側が用意し、入社日までに一通りの研修を受けるように条件を設定するのがよいでしょう。また定期的に内定者の受講状況を管理画面から確認し、受講が遅れている人には個別の声かけや面談を行うと効果的です。

内定者研修を成功させる5つのコツ

内定者研修を成功させるコツは大きく分けて3つあります。ここでは、内定者研修成功のコツについて詳しく解説します。

1.目的を明確にする

なぜ内定者研修を行うのか、入社前に内定者にどのような状態になっていてほしいのかなど、内定者研修の目的を具体的にしましょう。内定者研修の目的、ゴールなどを明確にしたうえで、内定者に必要な研修や課題を洗い出し、適切なカリキュラムを組むことが大切です。

2.内定者のスキルや適性を把握する

内定者といっても、個々のスキルや特性は異なります。そのため、内定者それぞれのレベルやスキル、適性などについてしっかりと把握することが重要です。得意・苦手な分野、キャリアタイプ思考、身につけているスキルなどを可視化しておきます。これによって、より効率的で効果的な内定者研修が実施できるようになります。

3.研修に現場の意見を反映させる

内定者研修の内容を決める際には、現場の意見を反映させることも大切です。現場で求められるスキルと研修で身につけるスキルが乖離している場合、内定者研修を行っても現場で役に立たずに無駄になる可能性もあります。そのため、各現場のニーズを把握したうえで研修内容を設計するようにしましょう。

4.内定者が希望する内容を用意する

内定者研修の主役は内定者ですから、モチベーションを高める内容を用意することが重要です。内定者に希望を取り、どのような研修内容にしたいのか、不安なことは何かなどをアンケートしましょう。内定者の多くは職場での先輩社員の話や、同僚との交流に関心を持っています。学びの機会を与えるだけでなく、人との交流を含め、楽しめる研修内容を用意することが成功のコツです。

5.研修の内容とスケジュールを合わせる

内定者研修は内定者が入社後に必要なスキルを身に付け、職場の雰囲気や人間環境に慣れ、社会人としての意識を身に付けるという複数の目的があります。そのため研修内容とスケジュールを検討し、時期と内容を合わせることが重要です。最初の研修では社員や同期との関係を構築し、次に会社の事業内容や理念を詳しく理解するのが正しい時系列といえるでしょう。研修内容が時期に合っているか、研修のゴールに到達できるかを考慮して、内定者研修のカリキュラムを計画することが大切です。

まとめ

内定者研修の時期や内容は企業によってさまざまですが、どの企業でも内定者を即戦力にできるようにカリキュラムを考えています。そして内定者の意識を社会人の意識へと変えるには、適切な内容の内定者研修を用意する必要があります。社内でできる研修に限界を感じている時は、研修のプロに依頼するのがおすすめです。ユーキャンではeラーニングを用いた研修も多数登場しており、オンライン研修にも対応しています。内定者の教育を効率的に行い、業務に必要なビジネススキルを身に付けてもらうなら、ユーキャンの研修・講座をご利用ください。

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