OJTとは? 意味や目的、成功に導く3つのポイントを解説

  • OJTとは? 意味や目的、成功に導く3つのポイントを解説

    公開日:2023.09.26

    更新日:2023.11.08

    OJTは、新人教育の効果的な方法の1つです。しかし、効果を出すにはコツがあります。この記事では、OJTの概要や導入する目的・効果、OJTのメリット・デメリットや注意点について解説します。OJTを成功に導くポイントや、実施する際の重要な4つの手順も解説します。ぜひ参考にしてください。

OJTとは

OJTは「On the Job Training」の頭文字を取った言葉で、日本語では職場内訓練を意味します。新入社員や未経験の社員に対して、業務に精通した上司や先輩が指導役として、実務の事例などを通してスキルを高める指導方法です。基本的にはOJTを受ける社員と指導する先輩社員がマンツーマンで訓練を行い、PDCAを回す方法で行います。企業の多くでOJTが取り入れられており、新入社員の業務成果向上に一定の効果が見られています。

OJTとOff-JTの違い

OJTが社内における指導と訓練である一方、Off-JTは社外における訓練や研修を指します。OJTの目的は業務成果の向上や効率化、実践的な能力の育成です。Off-JTは社内で学べない知識や知見をインプットすることで、社内の業務を効率的に進める視点を身に付けることを目的にしています。Off-JTはコストこそOJTよりもかかりますが、体系的な理論やフレームワークを学べる点に大きな違いがあります。そのため、実務的な能力を高めるならOJT、汎用的なビジネス知識を学ぶならOff-JTという違いを意識して活用すべきです。
参考:off-jtとは? OJTとの違いやメリット、デメリットを解説

OJTを導入する目的

OJTは現場の即戦力になるまで指導することが目的ですが、組織そのものの課題も改善できます。具体的な効果を解説します。

業務効率を向上させる

OJTは実際に現場で業務を経験し、その経験を基に先輩社員からノウハウや知識を学ぶ人材育成方法です。マンツーマンで先輩社員の効率的な業務の進め方、業務の重要ポイント、仕事の流れを学べます。体験した実務から学ぶ機会となり、新入社員が効率的な業務の進め方と考え方を身に付けることが可能です。新入社員の業務効率と成果向上につながるだけでなく、指導役となる先輩社員にも良い効果をもたらします。指導を行うには自分の経験とノウハウを言語化する必要があり、ノウハウを論理的に説明できるように整理する必要があるからです。結果として、組織全体の業務効率向上に役立ちます。

社員間のコミュニケーションが活性化する

OJTを行う際は新入社員と先輩社員のマンツーマンとなり、相互のコミュニケーションを密にする必要があります。OJTを成功させるには社員間のコミュニケーションを活性化しなければ、新入社員が自ら相談することも難しいでしょう。またOJTを効率化するには、トレーナーである社員に任せるだけでなく、上司や他の社員からのフォローも行わなければなりません。OJTは部署内のすべての人間が積極的に関わることで、より業務効率向上につながります。その結果、組織内の人材育成を通して多くの人間が関わり、社員の育成という共通の目標に向けてコミュニケーションが活性化する効果が期待できます。

社員のモチベーションを向上させる

OJTは新入社員の実務能力の向上だけでなく、モチベーション向上にも効果があります。
マンツーマンでの指導に加え、他の社員からのフォローを通して新入社員のエンゲージメントが高まり、組織への貢献意欲も高まるからです。社員同士が綿密なコミュニケーションをとれる関係を構築でき、新入社員の孤立を防げます。貢献意欲の高まりは仕事へのモチベーションにもつながります。

OJTの5つのメリット

OJTを導入すると、企業にとって5つのメリットがあります。具体的に解説します。

即戦力になる人材が育成できる

OJTは実践を通して個人に適した指導を行うため、実際の仕事とのズレが少なく、効率的に教育できます。Off-JTと比べて経験やスキルの定着力が強く、ノウハウやコツを習得した即戦力になる人材を育成できます。

教育方法を柔軟に変更できる

マンツーマン指導であるOJTは、個性や強みを把握しやすく、習得に差があったとしても教育方法を柔軟に変更できます。効率的な指導を行うために、目標設定や育成計画も個人や状況に応じたカスタマイズも可能です。

コミュニケーションが活性化する

OJTは、職場のコミュニケーションを活性化させます。受け答えをこまめに行う必要があり、新人の信頼感を生み出しやすく、人間関係を円滑にできるためです。丁寧なサポートや配慮をもって業務の的確なフィードバックを受けられ、新人の励みになり、成長も促すでしょう。その結果、職場への定着や能力の発揮につながります。

指導者も成長できる

指導するにあたって業務や組織運営に関する理解を再認識するため、時間管理や効率化を図り、時間の使い方に工夫が生まれます。試行錯誤をしながら教育するため、人材育成やマネジメントを学ぶ機会になります。

教育コストが削減できる

OJTは職場の業務中に指導するため、教育コストが最小限で済みます。一方で、Off-JTは職場外研修のため、出張費および講師を外注するコスト、業務時間外で研修が行われる場合には、残業代や休日手当が余分に発生します。

OJTの4つのデメリット

OJTには4つのデメリットも存在します。具体的にデメリットを把握して運用に活かしましょう。

放置されてしまう可能性がある

教育方法が体系化されていない、マニュアルがないなど教育体制が整っていないと、OJT運用に支障が出て、指導者の負担が大きくなります。フォローがなく、疑問点が解消されないまま、新人が放置される危険があります。

教える側のスキルがOJTの質を左右する

教える側は専門家ではないため、教育に特化したスキルが必ずしもあるわけではありません。
OJTの成果に差が出ることを未然に防ぐために、教える側も育成する、フォローする体制を作ることも必要です。

業務全体が把握しにくい

OJTでは業務を細分化して指導し、現場に関係しないことは教えないため、業務の全体像をつかみにくい傾向があります。基本的には目の前の業務のみを行うため、組織にとって重要な業務をこなす機会を失っている可能性もあります。

本来の実務に支障がでる場合がある

教える側は実務中に指導するため、時間的・精神的にゆとりがなくなりやすく、実務が滞る可能性があります。教える側に負担をかけすぎないよう、サポート体制を充実させることが必要です。

OJTを成功に導く3つのポイント

OJTを成功させるためには、明確な目標と熟考した計画に沿って行いましょう。具体的に解説します。

1、育成計画を立てて計画的に実行する

効率的な指導をするために、個人の強みや弱みを把握して落とし込んだ育成計画を立て、計画に沿って実行しましょう。どのような業務をどのタイミングで経験させるかを、望ましい育成目標から逆算して、育成計画を作成します。指導による成果を確認し、フォローし改善していくような、関係部署や人事部などの協力体制づくりも必要です。

2、継続的な実践をする

OJTの効果が現れるまでは、ある程度の時間が必要になります。反復しながら徐々に水準を上げていくトレーニングを継続しましょう。試行錯誤しながら繰り返して学びを実践することで、着実に実力をつけられます。急なトラブルによって、取り組みが止まったまま放置される場合もあるため、継続的に実施できているか、第三者によるチェックも必要です。

3、共通の目的意識を持つ

OJTを実践する際は、共通の目的を持って実践しましょう。まずは、目的と目標を明確にし、目標から逆算して育成計画を立てることから行います。目的や目標が曖昧ですと着地点も不明確になり、効果が発揮されにくくなります。事前に新人と指導者が互いに目的を共有し、理解できれば、効率的にスキルを身につけられます。

OJTで重要な4つの手順

OJTを進める際は、重要な4つの手順があります。それぞれの手順は「実演する(Show)」「説明する(Tell)」「実戦する(Do)」「評価する(Check)」という順に進めていくのが基本です。この4つの手順がOJTにおける1つの流れとなるため、各手順を理解していきましょう。

1.実演する

実演(Show)の段階では、トレーナーがトレーニーに実際の業務をやってみせることで、トレーニーが業務を具体的にイメージしやすくすることが目的です。実際にやってみることで業務の全体像を掴みやすくなり、トレーニーも最終的な到達点が理解できます。

2.説明する

実演の次は、説明(Tell)の段階です。トレーナーが目の前で実演したことについて、トレーニーに業務の意味や背景、必要性を詳しく説明するのが目的です。ひとつひとつの行動を論理的・順序立てて説明することで、自分が今後行う業務についての意味や必要性を理解できます。またこの段階ではやるべきことはもちろん、やってはいけないことも伝えることで、トレーニーが業務を進めるうえでの不安や疑問を少なくするように努めてください。疑問や質問があれば丁寧に回答し、スムーズに業務を実践できるよう配慮しましょう。

3.実践する

実演・説明で業務全体の流れをつかんでもらったら、次は実践(Do)の段階です。いくら実演と説明を受けていても、実際に業務をやってみると上手くいかないことがほとんどです。実践の段階では、トレーニーが実践をしてみた結果、どれくらいのことができるか、どこまで対応できるかを判断します。この時大事なことは、いきなり難易度の高い業務を任せるのではなく、簡単な業務からスタートして、徐々に難易度を上げていくことです。特に基本的な内容ほど繰り返し実践させ、頭と体で理解できるように反復練習することが大切です。徐々に対応できる業務が広がれば、トレーニーの自己肯定感を高める効果もあります。

4.評価する

最後は評価の段階です。
実際に業務を行った結果をトレーナーが評価します。
この時、よくできていた点とできていなかった点を踏まえて、反省点・改善点をわかりやすく伝えてください。悪い点はよく目につきやすいですが、必ず良い点も評価して、トレーニーの成長を促すことが大切です。またトレーナー独自のノウハウがある場合は、改善点と合わせて教えていくのもよいでしょう。そして評価を行ったうえで、必要なら再度実演や説明の手順に戻り、反復練習で身に付くまで指導を行います。

まとめ

OJTは職場内のみで完結できる、実践的な新人の教育方法です。企業組織内でも生産性向上のメリットがあります。OJTを導入して成功させるためには、明確な目標と育成計画、計画に沿った継続的なトレーニングが必要です。

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