外部研修とは?社内研修との違いや費用相場、メリット・デメリットを解説

  • 外部研修とは?社内研修との違いや費用相場、メリット・デメリットを解説

    公開日:2024.02.14

    更新日:2025.11.10

    外部研修は社外の企業に委託し、専門知識を持ったプロに講師として研修を実施してもらう方法です。eラーニングや公開研修が外部研修の代表例で、社員のスキルアップに活用している企業も多数あります。本記事では外部研修について、概要や社内研修との違い、メリット・デメリットなどを解説し、研修を成功させるためのポイントについても紹介していきます。

外部研修とは何か?

外部研修は外部の企業や専門家に依頼し、社員向けの講座や研修を実施する形態を指します。社内研修とは異なり、専門分野に特化した講師がビジネスマナーやマネジメント、プログラミングなどの研修を指導してくれます。 そのため社内研修のように属人的な経験やノウハウを学ぶのではなく、専門的かつ体系的にまとめられた内容を学べる点が特徴です。また特定の領域をパッケージ化し、一貫性のある研修を行っているサービスもあります。1箇所に集まる集合研修、誰でも参加できる公開講座など、外部研修にはさまざまな形があります。

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リモートワークの普及に合わせて研修の形式が変化

従来の研修では、オフィス内の講堂や企業の用意した施設内、研修施設などに参加者が集まり、その場で講師からの指導を受ける形式が一般的でした。しかし新型コロナ流行時からリモートワークが全国でも普及し、特定の場所に集まらなくても研修が実施できるようになりました。また社内研修で感染拡大するリスクを取るよりも、社外研修でeラーニングなどを利用した方が、安全に研修を実施できるという理由もあります。eラーニングなら社員が好きな時に動画を視聴し、自分のペースで学習できる点も研修形式の変化を後押ししました。

外部研修と社内研修との違いは?

・カスタマイズの度合い
社外研修は社内のニーズや分解にあわせてカスタマイズされることが一般的ですが、外部研修の場合は、複数の企業、団体の従業員が参加するため、特定の組織に向けたカスタマイズではなく、一般的に共通するカリキュラムになることが多いです。

・コスト
社内研修は通常、組織の予算内で管理され。コストが比較的低いことが多いです。それに対し、外部研修は受講料、会場までの交通費など、一人ずつコストがかかります。研修で使用する場所や資料も主催側から提供されるため、受講料はその費用を含んだ価格になり、社内研修に比べ高くなるケースが多いです。
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外部研修の4つの種類

外部研修にはいくつかの形式があり、それぞれに特有のメリットと適した企業があります。以下の表では代表的な4種類を整理しました。単に学習方法が異なるだけでなく、目的や人材育成の方針に応じて選ぶことが重要です。

種類特徴向いている企業
公開研修研修会社が企画し複数社の参加者が集まる形式。自社内では得られない多様な意見や事例を学べる。異業種との交流や最新のテーマを効率的に取り入れたい企業
講師派遣研修講師を自社に招き、テーマや進め方をカスタマイズできる。参加者全員が同じ課題に集中できる。自社固有の課題に即した研修を効率的に行いたい企業
スクール通学一定期間、教育機関に通い体系的にスキルを習得する。資格取得や専門知識の習得に有効。特定分野で専門性を高め、長期的な成長を図りたい企業
eラーニングインターネットを通じて受講でき、時間や場所を問わない。学習履歴を管理しやすい。忙しい社員に柔軟な学習環境を提供し、コストを抑えたい企業

このように外部研修は多様であり、組織の目的に応じて最適な形式を選ぶことが成果につながります。

1.公開研修

公開研修とは、特定の研修会社や教育機関が企画し、複数の企業から社員が参加する集合型の研修です。自社だけではなく、他社の受講者と一緒に学ぶ環境が用意されるため、幅広い視点や最新の事例に触れられることが大きな特徴です。特にリーダーシップ研修やマネジメント研修など、普遍的に必要とされるスキル分野で活用されることが多く、社内では得られない刺激やネットワーク形成にもつながります。また、既に用意されているプログラムを利用するため、比較的短期間で導入しやすく、研修内容の信頼性も担保されています。向いているのは、外部の知見や他業種との交流を通じて学びを深めたい企業や、最新テーマを効率よく導入したい企業です。

2.講師派遣研修

講師派遣研修は、外部の専門講師を自社に招き、社内の会議室などを会場として実施する形式です。プログラムを自社のニーズに合わせてカスタマイズできるのが大きな特徴で、例えば、新入社員研修から管理職向けのリーダーシップ研修まで、対象者や目的に応じて柔軟に内容を設計できます。参加者は同じ職場環境で働く社員のため、研修で学んだ内容をそのまま実務に直結させやすく、組織全体の行動変容を促す効果が期待できます。また、他社に出向く必要がないため移動の負担が少なく、勤務時間を効率的に活用できる点もメリットです。向いているのは、自社固有の課題を解決したい企業や、共通の課題を抱える部署全体に統一した教育を行いたい企業です。

3.スクール通学

スクール通学型の研修は、社員が外部の教育機関や専門スクールに一定期間通い、体系的に学習を進める形式です。短期集中で行われるプログラムもあれば、数か月から年単位でじっくり学ぶものまで多様に用意されています。講師は各分野の専門家であることが多く、最新の知識や実践的なスキルを学べるのが大きな強みです。資格取得を目指す研修や、MBAのように経営全般を体系的に学ぶプログラムなど、専門性を深めたい社員に適しています。また、異業種の受講者と交流できる機会もあり、社内では得られない刺激を受けることで視野が広がります。向いているのは、長期的な人材育成を重視し、専門スキルを持つ人材を戦略的に育成したい企業や、次世代リーダー候補を計画的に育てたい企業です。

4.eラーニング

eラーニングは、インターネット環境を活用して社員が好きな時間・場所で学習できる外部研修の形式です。パソコンやスマートフォンからアクセスできるため、業務の合間や通勤時間を活用して効率的に学べる点が特徴です。動画講義やテスト、進捗管理機能が整備されており、受講状況を人事部門が把握しやすいことから、研修の効果測定やフォローアップにもつなげやすくなっています。加えて、最新のトピックをスピーディーに反映できるプログラムも多く、変化の早い時代に柔軟に対応できる点もメリットです。向いているのは、多忙な社員を抱える企業や全国に拠点を持つ企業、コストを抑えつつ全社員に均一な教育を行いたい企業です。働き方の多様化が進む現在において特に活用価値が高い研修形式といえます。

外部研修を実施するメリット

外部研修のメリットは以下の点です。

・社内では得られない知識・スキルが学べる
・最新の内容が学べる
・効率的な人材教育ができる
・研修担当者の負担が軽減される

外部研修では常に最新情報がアップデートされており、社内研修に比べて新しい知識を幅広く学べます。 社内研修では知ることのできない知識やスキルを社員が学び、業務に取り込んでいくこともできます。また社内研修とは違い、人材教育のノウハウを持つプロが講師をするため、効率的な人材育成も可能です。そして研修プログラムは外部に委託できるため、研修担当者が計画を立てる必要もありません。

外部研修を実施するデメリット

外部研修には理解しておくべきデメリットもあります。
・決定したスケジュールと内容の調整が難しい
・思うような効果が得られないことがある
・コストがかかる

外部研修はスケジュールと内容が委託先に左右されるため、研修担当者側で調整することは難しくなります。委託する企業を選ぶ際は、日程変更にも柔軟に対応してくれる企業を選ぶとよいでしょう。また自社に最適な研修内容を選ばないと、期待した効果が得られないこともあります。事前に研修内容を確認したうえで、自社の目的に合ったプログラムかどうかを考慮すべきです。

最後にコストの問題です。
社内研修はほぼすべてが社内の人員で完結するため、それ以上のコストはかかりません。
しかし外部研修では業者次第で多額のコストが発生するため、その点を理解したうえで依頼することが大切です。

外部研修の費用相場

外部研修ではどのくらいの費用が発生するのか、eラーニングと公開研修の2種類の費用相場をご紹介します。

eラーニング

eラーニングでは、オンラインでいつでも社員が学べる仕組みになっており、企業には学習管理システムの導入も必要です。社員一人ひとりにIDも割り振られるため、ID毎のコストが発生する点も知っておくべきです。そのうえで、eラーニングの費用相場は以下のようになります。

ID   :5,000~20,000円/1D
初期費用:100,000~200,000円
合計  :250,000~400,000円

初期費用はどのようなシステムを導入するかによって、大きく異なるため注意しましょう。また受講人数が増えると、単価が安くなることもあります。初期費用と維持コスト、学習効率とのバランスを考慮して、eラーニングの導入を検討してください。

公開研修

公開研修は数時間だけのものから2~3日続けて行うものまで、テーマや内容によって手法が異なります。
また外部の会場を借りて開催する場合は、会場の費用や機材貸出の費用も発生する点に留意すべきです。
そのうえで、公開研修の費用相場は次のようになります。

1人当たりの費用:10,000~30,000円
その他諸費用  :50,000~100,000円
合計      :100,000~300,000円

公開研修は人数が多く、会場が広くなるほど多額のコストが発生します。
研修に使用できる予算も考慮して、参加条件を限定するか、社内研修という形で行うのもよいでしょう。 結果的にeラーニングの方が低コストになることもありますから、費用面はしっかりと計算して実施することが重要です。

講師派遣型研修

講師派遣型研修は、外部の講師を自社に招いて実施する形式で、社内の課題に沿った研修を行える点が特徴です。カスタマイズ性が高い一方で、講師料や教材費、交通費などが加算されるため、費用は比較的高額になりやすい傾向があります。そのうえで、講師派遣型研修の費用相場は以下の通りです。
講師料(半日) :250,000~300,000円
講師料(1日)  :350,000~500,000円
その他諸費用  :50,000~100,000円
合計      :400,000~600,000円
費用は講師の知名度や専門性、研修のカスタマイズ度によって大きく変動します。また、参加人数が多いほど1人当たりのコストを抑えられるため、全社的に共通テーマを学びたい場合に効率的です。見積もりを複数比較し、自社の予算と目的に合ったプランを選ぶことが重要です。

スクール通学

スクール通学型研修は、社員が一定期間外部の教育機関に通い、体系的に知識やスキルを学ぶ形式です。資格取得や専門スキルの習得に適しており、講師から直接学べる点や、異業種の受講者と交流できる点がメリットです。その一方で、通学のために業務時間を確保する必要があり、時間的コストが発生する点に注意が必要です。そのうえで、スクール通学型研修の費用相場は以下の通りです。
受講料(1人あたり) :100,000~300,000円
教材費       :10,000~30,000円
その他諸費用    :20,000~50,000円
合計        :150,000~380,000円
専門性の高いプログラムや長期コースを選ぶとさらに費用が上がる傾向があります。導入する際は、学習効果と投資対効果を見極め、対象者や期間を明確に設定することが大切です。

おすすめの研修内容を階層別に紹介

社員の研修を行う場合、社員の役職・立場を意識して行うと、より効果的な研修になります。新入社員・中堅社員・管理職の3つの階層に分けて、おすすめの研修内容をご紹介します。

新入社員におすすめの外部研修

新入社員は社会人としての成長、基本的なビジネスの心構えを学べる内容にすべきです。
新入社員向けに研修を行う場合は、以下の内容を行うのがよいでしょう。

・ビジネスマナー研修
・コミュニケーション研修
・ロジカルシンキング研修
・タイムマネジメント研修
・ビジネス法務研修
・その他業務に必要な研修

ビジネスマナーは、社内・社外を問わず必須のスキルであり、社会人として最低限身に付けておくべきものです。社内の人間関係を円滑にする意味でも、ビジネスマナーは最初に行う必要があります。また人間関係やチーム内での連携を活性化するために、コミュニケーション研修も開催すべきです。業務連絡や報告で簡潔にわかりやすい説明をするために、ロジカルシンキングも研修内容に盛り込みましょう。他にも、新入社員は業務における時間配分がわからず、一つひとつの業務に余計な時間をかける傾向があります。限られた時間を有効活用するために、タイムマネジメント研修も受講してもらうべきです。そして、業務遂行に必要な知識・スキルを身に付ける研修も重要です。新入社員は学ぶべきことは多いですが、いずれの内容も長く働いてもらうために必要であり、優先して研修を実施してください。

中堅社員におすすめの外部研修

中堅社員の場合、社内で一定の経験を積み、ビジネスマンとして必要な知識とスキルも身に付けています。 中堅社員からは後輩や新人の上に立ち、チームや部署を引っ張っていく立場になります。また中堅社員が若手の教育担当になることもあり、それまでとは違ったスキルが必要です。中堅社員向けの研修を行う場合は、以下の内容を組み込むのがよいでしょう。

・OJT指導者研修
・リーダーシップ研修
・クリティカルシンキング研修
・フォロワーシップ研修
・ファシリテーション研修
・モチベーション研修

中堅社員は将来的に管理職へキャリアアップすることも考慮し、指導者としてのスキルやリーダーシップについて学んでもらうことをおすすめします。また会議におけるファシリテーターの役割を理解し、社内で活発な議論を促すスキルを磨くことも重要です。そして中堅社員は仕事が習慣化し、モチベーションが低下しやすい傾向もあります。仕事に対するモチベーションを維持し、業務効率を高めるためにモチベーション研修を受講してもらうのも施策になるでしょう。

管理職におすすめの外部研修

管理職は現場で直接働くことよりも、部下に対して指示を出し、上手くチームを運営することが重要な立場です。また部下との関わり方にも注意しなければ、ハラスメントと受け取られるリスクもあります。それらの点を考慮すると、次の研修が必要になるでしょう。


・マネジメント研修
・コーチング研修
・ハラスメント研修
・チームビルディング研修
・新任・上級管理職研修


管理職にも新任の方や中級・上級管理職などさまざまな立場があります。管理職に共通して必要なスキルがマネジメントスキル、コーチングスキル、ハラスメントへの知識などです。
それらを必須レベルの研修として組み込み、現場レベルで働く管理職にはチームビルディング研修も受講してもらいましょう。加えて、管理職の階層に応じて管理職向けの研修を受けてもらうことが大切です。
現場レベルの管理職と組織を統括する管理職では、求められる役割も異なります。
研修を通して管理職に必要なことを学んでもらい、自社で活躍できる管理職を育成してください。

参考:管理職研修の内容と目的とは?研修の種類や注意点、実施する流れも解説

外部研修を成功させる鍵

外部研修は専門の会社に委託すれば終わりではありません。外部に委託する前に、研修担当者はその会社の実績や講座の内容はもちろん、社内で外部研修に対する認識を統一しておく必要があります。
外部研修を成功させる鍵として、以下の2点が重要です。

・研修の目的を明確にし、社員に共有する
・講師の質を見極め慎重に選ぶ

研修の目的を明確にし、社員に共有する

まずやるべきこととして、なぜ外部研修を行うのか目的を明確化したうえで、社員にも共有することです。外部研修を実施することだけ伝えても、対象となる社員はその意図がわからず、研修へのモチベーションを維持できません。 社員が研修に対して目的意識を持つことで、学ぶ意欲が高まり、スキルアップにつながりやすくなります。 会社としての判断だけで決めるのではなく、参加する社員の意思を大事にすることが成功の鍵です。

講師の質を見極め慎重に選ぶ

外部研修は専門家に研修を委託するものですが、委託する会社の講師によって研修の効果は大きく変わります。自社が課題に感じているポイントを把握したら、その解決につながる講師を選ぶ必要があります。

例えば自社と同じ業界で長年経験を積んでいるか、講師としてどんな実績があるか、実際に課題解決へとつながった事例などを確認しましょう。

事前確認なしで委託してしまうと、講師の質が低い会社に当たってしまい、コストに見合う効果を得られない可能性が高いです。担当者と交渉したうえで、自社の課題とニーズを理解し、講師の人選もしっかりと行ってくれる会社を選択してください。

研修後のフォローアップ体制を整える

外部研修の成果を持続させるには、受講後のフォローアップが重要です。せっかく学んだ知識も、実務で活用できなければ効果は限定的になります。上司や人事が定期的に振り返りや面談を行い、成果を共有する場を設けることが有効です。また、研修内容を活かした課題を設定したり、社内でナレッジを共有したりすることで、受講者の理解が深まり、組織全体へ学びが広がっていきます。

人材教育はお任せください

インターネットで検索すれば、外部研修を行っている会社は非常にたくさんあります。しかしその中には経験豊富と謳っていても、実際には実績の少ない会社も少なくありません。実績の少ない会社による外部研修は、知識量もノウハウも少ないため、人材教育で思うような成果を上げるのが難しいです。だからこそ、公開研修やeラーニングなどさまざまな形式の講座を用意し、多くの人材教育に携わってきたユーキャンにお任せください。
弊社の学びを活用し、社員にとって働き甲斐のある組織作りに生かしてください。

まとめ

今回は外部研修について、社内研修との違いやメリット・デメリット、成功させるための重要なポイントに分けて解説しました。社内研修にも外部研修にも、それぞれ長所と短所があり、両方を使い分けることで効果的な学びの場を提供できます。特に近年はオンライン講座が主流になり、利用頻度が増えています。外部研修は専門性の高い知識・スキルの習得に向いており、社内にはない考え方を学習できる機会の1つです。社内の課題解決、社員一人ひとりの生産性を高めるためにも、外部研修を上手く活用しましょう。

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