FP1級の受検資格は?実務経験・FP2級・CFPルートを比較解説
- 更新日:2025/07/15
顧客の資産運用にアドバイスをするファイナンシャルプランナー(FP)は、仕事と実生活の両方で役立つという理由で人気の資格です。
この記事では、FP1級取得を目指す人に向けて、FP1級の受検資格についてわかりやすく解説します。さらに、押さえておきたい実務経験の定義や注意点も解説するので、FP1級の資格取得を目指す人はぜひ役立ててください。
FP1級技能検定【学科試験】の受検資格
FP1級「学科試験」の受検資格要件は以下のとおりです。
・2級技能検定に合格済み、かつFP業務において1年以上の実務経験がある
・FP業務において5年以上の実務経験がある
・金融渉外技能審査2級に合格済み、かつFP業務において1年以上の実務経験がある
1年以上の実務経験を有するという条件については、合格・修了の前後は問われません。また、3つ目の受検資格である「金融渉外技能審査」については2001年に廃止されています。ほぼ対象者がいない状況のため、1つ目と2つ目の受検資格について、以下で詳しく解説します。
FP2級技能検定合格+実務経験1年以上
FP1級を受検する人に多い一般的なルートとして、FP2級技能検定合格と実務経験1年以上の両方を満たしているというものがあります。実務経験1年以上という条件については、FP2級取得前の実務経験でも構いません。金融機関などで1年以上の実務経験があってFP2級を取得したという人は、条件を満たしていることになります。
FP実務経験5年以上
次に、FP2級に合格していなくても、長年の実務経験があれば受検できるという条件です。FP3級、FP2級の段階を踏んで学んでいないとしても、5年以上の実務経験があれば、1級からの受検が可能になります。
ただし、5年以上の実務経験があったとしても、実務と試験内容が必ずしも一致しているとは限らないため、試験対策をすることなく実務経験のみで合格するのは難しいでしょう。FP3級、FP2級の段階を踏まずに、いきなりFP1級の合格を目指すには、相応の勉強時間が必要になるので注意が必要です。
FP1級技能検定【実技試験】の受検資格
FP1級の「実技試験」の受検資格要件は以下のとおりです。実技試験は「きんざい」「日本FP協会」のどちらでも実施しています。
・1級学科試験に合格済み
・「FP養成コース」の修了済み、かつFP業務において1年以上の実務経験がある
・日本FP協会のCFP®認定者(CFP®資格審査試験の合格者)
以上の受検資格のうち、2つ目の「FP養成コース」修了者で1年以上の実務経験を有する者という要件は、特定の金融機関に努めている人を対象としており、あまり現実的とはいえません。そこで、1つ目の要件であるFP1級学科試験の合格者のケースと、3つ目の要件である日本FP協会が認定するCFP®認定者、CFP®資格審査試験の合格者のケースについては以下で詳しく解説します。
FP1級学科試験の合格
FP1級の「実技試験」を受検するパターンで一般的なのは、FP1級の「学科試験」に合格することです。学科試験に合格すれば、実技試験に進めます。学科試験は「きんざい」でのみ実施されています。
日本FP協会が認定するCFP®認定審査の合格
日本FP協会が実施しているCFP®資格審査試験で合格し、FP1級と関連性が高い資格であるCFP®認定者になれば、FP1級の学科試験が免除され、実技試験から受検可能です。CFP®とは「Certified Financial Planner」の頭文字を取った民間資格であり、CFP®試験では以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
・AFP認定者であること
・CFP®資格審査試験に合格すること
・日本FP協会実施のエントリー研修を修了していること
・通算3年以上の実務経験があること
CFP®認定者になるには、AFP認定者であることが必要です。AFP認定者になるには、AFP認定研修(FP講座)の修了後、指定試験に合格するなどの一定の要件を満たし、AFP資格登録手続きを行います。CFP®やAFPについて、さらに詳しく知りたい場合は以下のリンクをご覧ください。
FP1級受検資格における「実務経験」の具体的な内容
FP1級の受検資格として「実務経験」が必要です。実務経験の定義としては、「資産の設計・運用・管理などに関わる相談業務」「コンサルティング業務などのFP業務に携わった経験」などとされています。以下の具体例や注意点を意識しておくことが重要です。
・どのような実務経験が認められるのか
・実務経験に含まれないケースや虚偽の申告に注意する
「実務経験」と認められる具体例
実務経験は、金融機関やクレジットカード会社、保険会社などにおいて、ファイナンシャルプランナーやファイナンシャルプランナーのアシスタントとしての勤務が一般的です。
金融機関などを除く一般企業では、総務や人事などで福利厚生を担当していたり、金融部門や経理部門に従事していたりすると実務経験として認められるケースがあります。個人事業主の場合は、資産運用の相談などが実務経験となります。業務経験が問われるため、正社員、派遣社員、嘱託社員、パート、アルバイトなどの勤務形態の別が問われることはありません。
「実務経験」に関する注意点
業務経験があっても、実務経験に含まれないケースもあります。たとえば、知り合いの資産運用の相談に乗ったなど、対価を得ない相談については、実務経験に含まれません。
実務経験については自己申告のため、証明書類などの提出を求められることはありませんが、虚偽の申告をした場合については、試験の中止や合格の取消となる恐れがあります。調査されることはないだろうと考え、虚偽の申告をすることは避けましょう。
実務経験に該当しているのかどうかを確認したい場合は「きんざい」に問い合わせる方法もあります。
FP1級受検資格取得への道のり
FP1級を受検して将来的に業務に活かしたいと思っても、受検者の状況はさまざまでしょう。一般的に多いとされる、以下のようなパターン別にFP1級受検までの道のりを解説します。
・実務経験はないがFP1級を取得したい
・実務経験がありFP1級を取得したい
・CFP®認定後にFP1級を取得したい
FP未経験から目指す場合
まずは、FP未経験の人のパターンです。未経験者は、FP2級を目指します。FP2級を受検するには、実務経験が2年必要です。合格・修了の前後は問われないため、FP2級の取得前後に実務経験を積みます。
FP1級の学科試験の受検要件においては、FP2級に合格していてFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者という条件があります。FP2級に合格したら、実務経験を経てFP1級の「学科試験」を目指しましょう。FP1級の「学科試験」に合格したら「実技試験」に挑戦し、合格すれば晴れてFP1級が取得できます。
実務経験がある場合
次に実務経験がある人のFP1級合格までのパターンです。実務経験がある人でFP1級取得を目指すには、2つの方法があります。1つ目の方法は実務経験を5年積み、FP1級の学科試験に合格後、FP1級の実技試験を受ける方法です。
2つ目の方法は、実務経験を1年積み、FP2級に合格した後にFP1級にチャレンジする方法です。先述したとおり、FP2級の勉強をすることなく、実務経験のみでFP1級にチャレンジするのは現実的な方法ではないため、2つめの方法が一般的となっています。
CFPから目指す場合
最後にCFP®認定者になった後に、FP1級を目指す方法です。CFP®認定はFP1級の「学科試験」合格と同じ位置づけのため、CFP®認定者は学科試験が免除されます。CFP®認定者の場合は、FP1級の実技試験から受検可能です。
ただし、先述したとおりCFP®認定を受けるには、AFP認定者である、CFP®資格審査試験に合格している、日本FP協会のエントリー研修を修了している、通算3年以上の実務経験があるなどの条件が必要になるので注意しましょう。
FP1級受検資格に関する注意点
FP1級を受検する際には、さまざまな注意点があります。まずは、実務経験の算定について注意が必要です。実務経験の算定は受検方式によって異なります。受検方式には、紙方式とCBT方式がありますが、紙方式の場合は受検申請受付最終日時点までで計算し、CBT方式の場合は、受検申請日現在で計算します。
次に学科試験に合格した後、実技試験にチャレンジする際の注意点です。学科試験に合格した場合、次回は実技試験だけの受検でかまいませんが、実技試験の申請時に、「試験の免除申請」を行う必要があります。試験の免除には合格した年度の翌々年度末までという有効期限があるので注意しましょう。
最後にFP1級の実技試験に関する注意点です。実技試験は、「きんざい」と「日本FP協会」のどちらでも受検できます。受検資格自体は同じであるものの、実技試験の内容が異なるので注意しましょう。「きんざい」は年3回実施される面接試験ですが、「日本FP協会」は年に1回のみの筆記試験です。試験内容や受検できるタイミングが異なるので注意しましょう。
まとめ
FP1級の受検には、「学科試験」と「実技試験」それぞれに受検資格が定められており、実務経験やFP2級の合格、CFP®認定の有無などによって、複数のルートが存在します。実務経験の年数や取得済みの資格によって、最適な受検ルートは人それぞれ異なるので確認しましょう。
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