• 更新日:2023/07/11

介護福祉士の試験を受けるにあたり気になるのは試験内容です。筆記試験と実技試験がありますが、介護福祉士国家試験の特徴は、受験に至るルートによって実技試験が免除されるケースがあることです。

この記事では、それぞれのルートごとに実技試験が免除になる条件を確認したうえで、試験内容を詳しく解説します。介護福祉士の資格取得を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 介護福祉士国家試験は、筆記試験と実技試験がそれぞれ年1回行われる。
  • 筆記試験は、基本的に5肢択一のマークシート式で、全125問が出題され、試験時間は220分。
  • 筆記試験の出題領域は、「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」「総合問題」。
  • 3年以上の実務経験があり2012年度以降に実務者研修を修了した人、また、介護福祉士養成施設などで実施される「介護技術講習」の修了認定を受けた人は実技試験が免除になる。

介護福祉士になる4つの方法

介護福祉士になるためには4つの方法があります。それぞれについて詳しく説明します。

養成施設ルート

介護福祉士養成施設を卒業して、国家試験に合格することで、介護福祉士の資格を取得します。 介護福祉士養成施設とは文部科学大臣および厚生労働大臣の指定を受けている学校などのことであり、四年制大学、短期大学、専門学校などがあります。

受験資格を得るために介護福祉士養成施設に通わなければならない期間は、学歴によって異なります。普通科等の高校を卒業している人は、2年以上通わなければなりません。一方、福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかを卒業している人は、1年以上通えば受験資格を得ることができます。

実務経験ルート

介護の実務経験を積んで一定の条件を満たせば、筆記試験に合格することで介護福祉士の資格を取得できます。この場合の受験資格とは、介護に関わる事業所での従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上必要です。

それから、実務者研修も修了していなければなりません。実務者研修とは、介護に必要なスキルや能力を身につけるための研修です。ただし、介護職員基礎研修を修了している場合は、実務者研修を修了していなくても、喀痰吸引等研修を修了していれば受験資格を得られます。

実務経験を積むための施設として認められているのは、社会福祉施設や病院・診療所などです。これらの施設で、介護職員や介護従事者などの職種に就いている必要があります。社会福祉施設や病院・診療所以外の施設であっても、介護の対象者が高齢者や障がい者であり、介護職員や訪問介護職員として勤務している場合は、実務経験として認められます。

福祉系高等学校ルート

福祉系高等学校等で学んだうえで国家試験合格を目指す方法です。福祉系高校等に2009年度以降に入学した人は、卒業後、筆記試験に合格すると介護福祉士の資格を取得可能です。

一方、福祉系高校等に2008年度以前に入学した人は、卒業後に筆記試験と実技試験に合格すると資格を取得できます。ただし、「介護技術講習」を修了している場合は、実技試験が免除されます。


介護技術講習とは?

介護技術講習は、養成施設が行う講習で、2005年度から厚生労働省によって導入されました。32時間以上の講習を受けると、総合評価や受講態度などから総括的に修了認定の判断が下されます。修了認定を受けることができれば、介護福祉士国家試験の実技試験が免除されます。

経済連携協定(EPA)ルート

経済連携協定(EPA)は、貿易の自由化に加え、投資や人の移動に至るまで外国との幅広い連携を約束するものです。これに基づき、外国人が日本の介護福祉士の資格を取得できる仕組みが設けられています。EPA介護福祉士候補者になった外国人は、日本の介護施設で就労したり研修を受けたりしながら、介護福祉士の資格の取得を目指すことが可能です。

いまのところ、インドネシア、ベトナム、フィリピンからの候補者の受け入れが行われています。このルートで資格取得を目指す人の一部は実技試験を受けなくてはなりません。なお、日本人は対象外です。

介護福祉士国家試験の内容とは?



ここでは、介護福祉士国家試験の内容について紹介します。

試験概要

介護福祉士国家試験は、筆記試験と実技試験がそれぞれ年1回行われます。2021年1月に実施された第33回介護福祉士国家試験の場合、受験料は15,300円でした。

筆記試験の試験時間は、午前の部が10時から11時50分まで、午後の部が13時45分から15時35分までとなっています。なお、弱視等受験者や点字等受験者については、試験時間が若干異なります。

筆記試験の合格基準は、総得点の60%程度かつすべての科目で得点していることです。
ただし、出題された試験の難易度によっては、合格基準が補正される場合もあります。

出題形式

筆記試験の出題形式は、マークシート式です。基本的に5肢択一の選択形式となっています。全125問が出題され、試験時間は220分です。

筆記試験の内容とは?

2021年1月に実施された第33回介護福祉士国家試験(筆記)の内容は、以下のとおりです。

領域 試験科目 問題数
人間と社会 人間の尊厳と自立 2
人間関係とコミュニケーション 2
社会の理解 12
介護 介護の基本 10
コミュニケーション技術 8
生活支援技術 26
介護過程 8
こころとからだのしくみ 発達と老化の理解 8
認知症の理解 10
障害の理解 10
こころとからだのしくみ 12
医療的ケア 医療的ケア 5
総合問題 12

介護福祉士国家試験の試験科目は広範囲にわたります。試験科目のうち1科目でも全問不正解だった場合、総得点で補正後の合格基準点を上回っても不合格となります。

実技試験の合格基準とは?

実技試験を受ける必要があるのは、「福祉系高校卒ルート」または「経済連携協定(EPA)ルート」で受験選択した場合のみです。2019年1月に実施された第31回介護福祉士国家試験における実技試験の試験時間は、1人あたり5分以内でした。

実技試験の合格基準は、総得点の60%程度となっています。ただし、試験の難易度によっては、合格基準が補正されることもあります。


実技試験の免除の条件

実技試験が免除されるのは、実務経験を3年以上積んでおり、2012年度以降に実務者研修を修了した人です。また、介護福祉士養成施設などで実施される「介護技術講習」を受講し、修了認定を受けた人も実技試験が免除になります。

筆記試験に合格するための対策とは?

介護福祉士国家試験に合格するには、どのように勉強したらいいのでしょうか。ここでは、筆記試験に合格するための対策を紹介します。

計画を立て、勉強時間を確保して勉強する

介護福祉士国家試験の合格のためには、毎日勉強時間を確保してコツコツ勉強することが大事です。試験で出題される科目が多いため、短期間で集中的に知識を詰め込むことは難しいです。すべての科目群で得点するには、計画的に勉強に取り組まなければなりません。

過去問を解く

試験に合格するために、積極的に過去問を解きましょう。過去問を解けば試験の出題傾向が分かるうえに、実際の試験問題にも慣れることができます。過去問を解き終わったら、解説を読み込んで自分の力で正解を導き出せるようにしましょう。教科書を隅から隅まで暗記しようとすると勉強に時間がかかりますが、過去問を活用すれば効率的に勉強できます。

受験前に模擬試験を受ける

しっかりと勉強に取り組んで本番の試験が近づいてきたら、模擬試験の受験をおすすめします。模擬試験は予想問題で構成されているので、本番で出題される内容に近い問題を解くことが可能です。また、模擬試験はその時点での自分のレベルを知る機会にもなります。本番を意識して模擬試験を受け、合格を目指しましょう。

実技試験に受かるポイントは?

実技試験に受かるためには、入念なシミュレーションが重要です。実際に何度も練習を行い、どのような課題が出てもすぐに取り組めるようにしましょう。実技試験の練習では、時間配分を意識するようにしてください。

まとめ

介護福祉士の国家試験は、ルートによって受験の条件が異なります。実技試験はルートによって免除されますが、どのルートであっても筆記試験は必ず受けなくてはいけません。しっかりとした対策が必要になります。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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よくある質問

介護福祉士とは?

介護福祉士とは、介護に取り組むために必要な知識やスキルを認める国家資格です。介護福祉士は「ケアワーカー」ともよばれており、社会福祉施設などで介護を必要としている人の身の回りのあらゆる手助けを行います。食事、入浴、排泄などの身体介助だけでなく、日常生活の援助も業務のうちです。

介護福祉士の給料・年収は?

介護職の給料は、雇用形態や地域によって異なり、正職員の給与額の幅はかなり広く、経験やスキルによっても変わってきます。また、資格の有無や事業所の種類によっても異なり、有資格の介護福祉士の平均月収は31万円程度で、平均年収は330万円~410万円ほどになります。

介護福祉士国家試験の合格率、難易度は?

介護福祉士国家試験の合格率は約70%です。他の国家資格と比較すると高い合格率となっており、筆記試験はマークシート方式であるため解答しやすく、難易度は低い方だと言えます。同じ介護系の資格と比較するとケアマネジャーや社会福祉士より難易度は低いです。ただし、受験資格として実務経験が必要であるなど、誰でも合格できるわけではありません。

介護福祉士の具体的な仕事内容は?

介護福祉士の仕事は主に「身体の介護」「生活の援助」「メンタルケア」「相談や助言」「マネジメント」の5つに分けられます。具体的には、入浴や食事、着替えの補助等、食事の用意や買い物の代行、身の回りの整理整頓など利用者の生活のサポートを行います。また、施設の場合レクリエーションを行ったり、利用者の家族と介護の方針について相談したりもします。その他、チームのマネジメントを行う場合もあります。

介護福祉士試験合格に必要な勉強時間は?

介護福祉士国家試験の合格までのトータル勉強時間は、250時間程度を見ておくといいでしょう。たとえば、3カ月の勉強期間ならば、1日当たり2~3時間の勉強が必要です。働きながら無理なく勉強するには、半年は勉強期間として確保しておけば、1日1時間~1時間半程度の勉強で済むため、生活リズムを崩すことなく知識を身につけることができます。

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