• 更新日:2024/03/08

調剤事務管理士とは、調剤薬局で事務全般を担当する職種です。調剤事務管理士の資格を取得すれば、調剤薬局への就職において有利になる可能性があります。この記事では、調剤事務管理士の概要や業務内容に触れたうえで、資格や試験の詳細について解説します。資格取得のメリットや将来のキャリアアップについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

調剤事務管理士とは

調剤事務管理士とは、調剤薬局で事務作業を行うための民間資格です。資格の主なポイントとして以下が挙げられます。

  • 調剤薬局で事務作業を行う
  • 処方箋の受付や患者情報の入力、会計などを行う
  • 需要が高く将来性がある

調剤事務管理士の概要

調剤事務管理士は、調剤薬局に勤務して事務に対応する職種です。調剤薬局には、薬剤師だけでなく調剤事務管理士をはじめとする事務職員が勤務しています。調剤薬局の業務のうち、主に処方箋の受付、患者情報の入力、会計などの担当が調剤事務管理士です。調剤事務管理士に対する需要は高く、資格を取得すれば長く活躍できる可能性が高いといえます。

調剤事務管理士の業務内容

調剤事務管理士は薬剤師をサポートする存在であり、対応する業務は多岐にわたります。ここでは具体的な業務内容を解説します。

  • 調剤薬局の受付で処方箋や保険証を預かり、薬剤師に薬の処方を依頼する
  • 処方箋の内容をパソコンに入力する
  • 薬の服用歴の作成や管理を行う
  • 月初にレセプト業務で調剤報酬請求書を作成して請求する
  • 処方薬の種類、指導内容、時期などを記録するための薬歴簿を用意する
  • 品出しやレジ打ちを行う

調剤薬局の受付

調剤事務管理士の重要な業務の1つとして、調剤薬局での受付が挙げられます。薬を受け取る目的で調剤薬局を訪れた患者から、処方箋や保険証を預かる役割です。さらに、受け取った書類や調剤録を確認し、薬剤師に対して薬の処方を依頼します。

患者と初めてやり取りする立場となるため、調剤事務管理士の印象が調剤薬局そのものの印象になる可能性が高くなります。明るい笑顔であいさつできる調剤事務管理士がいれば、患者が気持ちよく調剤薬局を利用できるでしょう。

処方箋や調剤録の管理

調剤事務管理士は、患者の処方箋や調剤録などの管理にも対応しています。処方箋の内容をデータ化してパソコンへ入力し、いつでも確認できる状態にします。また、服用歴の作成や管理も調剤事務管理士に任される仕事です。

調剤事務管理士が処方箋、調剤録、服用歴などを適切に管理していると、薬剤師もスムーズに調剤や服薬指導などに対応できます。調剤事務管理士は薬剤師の業務をサポートするためにも欠かせない存在です。

レセプト(診療報酬明細書)業務

レセプトとは、毎月の診療報酬明細書のことです。レセプトの作成や提出なども調剤事務管理士が担当します。医療費は患者本人が原則3割負担し、国民健康保険や各保険組合などの保険者が残りの7割を負担しています。レセプト業務は、保険者の負担分の医療費を請求するために必要です。 レセプト業務に対応するタイミングは月初の1週間です。1ヵ月分の調剤報酬請求書を作成し、保険者に対して請求します。

上記以外の業務

調剤事務管理士の業務は、ほかにも多岐にわたります。たとえば、薬歴簿の用意も調剤事務管理士の仕事です。薬歴簿とは、副作用が生じやすい薬の飲み合わせを患者がしないよう、処方薬の種類、指導内容、時期などを記録するための書類です。

また、ドラックストアで勤務する場合は品出しやレジ打ちなどの業務があり、これらを調剤事務管理士が担当するケースが少なくありません。店舗によって異なるものの、調剤薬局以上に幅広い業務を任される可能性があります。

調剤事務管理士の資格

調剤事務管理士は、JSMA(株式会社技能認定振興協会)が認定している資格です。試験の正式名称は「調剤事務管理士(R)技能認定試験」です。

国家資格ではないものの、調剤事務管理士の資格を取得するには、薬剤について専門知識を身につけている必要があります。処方箋の見方やレセプト作成の方法などを理解し、業務で実践できる状態でなければなりません。調剤事務管理士の資格を取得すれば専門知識を証明でき、薬剤師をサポートしながら働けます。

調剤事務管理士技能認定試験の詳細

調剤事務管理士技能認定試験の詳細をまとめると、以下のとおりです。

  • 試験は毎月第4日曜日に実施
  • 年齢や学歴に関係なく誰でも受験可能
  • 試験の合格率は約60%
  • 学科試験(10問・マークシート形式):保険請求事務と薬の基礎知識
  • 実技試験(2問・マークシート形式):レセプト作成(テキストの閲覧可)

調剤事務管理士技能認定試験とは

調剤事務管理士技能認定試験は、調剤事務管理士の資格を取得するための試験です。第4日曜日に実施されているため、毎月受験のチャンスがあります。受験資格は特に定められておらず、年齢や学歴によらず受験可能です。

ただし、調剤事務管理士技能認定試験の合格率は約60%となっています。基本的に誰でも受験できますが、合格するには入念な試験対策が必要です。試験日に向けて計画的に取り組みましょう。

調剤事務管理士技能認定試験の出題内容

調剤事務管理士技能認定試験は、学科試験と実技試験に分かれています。学科試験はマークシート形式で、出題数は10問です。保険請求事務と薬の基礎知識について出題されます。実技試験もマークシート形式で、2問が出題されます。実技試験の内容はレセプト作成と法規となっており、テキストを見ながら解答可能です。

時間内に適切なレセプトを作成するには、あらかじめレセプト作成の手順やルールを深く理解しておく必要があります。また、医療保険制度や調剤報酬の請求に関する法律についても出題されるため、関連法規や各条文などについても把握していなければなりません。

調剤事務管理士は在宅受験も可能

調剤事務管理士技能認定試験は、在宅で受験できます。自宅で試験問題に解答し、解答用紙を提出用の封筒に入れてポストに投函すれば採点してもらえます。資料や計算機などの使用に関する条件は、会場で試験を受ける場合と同様です。試験問題や解答用紙は試験日の3日前頃に届くため、指定された提出期限までに郵送しましょう。

申込みもインターネットやコンビニ端末から行えるため、申込みから受験まで場所や時間の制約を受けません。自分のペースで受験できます。

独学でも合格できる可能性がある

調剤事務管理士技能認定試験への対策は独学でも可能です。独学で勉強する場合、保険制度、調剤報酬、過去問、レセプト作成などを中心に行いましょう。勉強にかける期間の目安は3ヵ月から6ヵ月程度です。もともとの知識やスキルによっても勉強に必要な期間は異なるため、状況に応じて必要な期間を確保してください。

ただし、独学では苦手な部分が解決しづらく、よく分からない部分の対策もおろそかになる可能性があります。効率的に合格を目指すためには、調剤事務管理士技能認定試験に特化した専門的な講座の受講がおすすめです。

調剤事務管理士を取得するメリット

調剤事務管理士を取得しなくても調剤薬局で働くことはできます。しかし、資格取得によって以下のような大きなメリットを得られます。

  • スキルを客観的に証明でき、就職で有利になりやすい
  • 専門性が高く、ブランクがあっても復職しやすい
  • 転職時に採用される確率が上がる
  • 需要の高まりを予想できるため、将来的にキャリアアップしやすい

就職の際に有利

調剤事務管理士の資格を取得すると、調剤薬局やドラッグストアなどへ就職する際のアピール材料になります。特に調剤薬局での事務職を目指している場合、レセプト作成の知識は欠かせないスキルです。調剤事務管理士の資格取得により、レセプト作成のスキルを客観的に証明することができます。資格がない人よりも評価されやすく、選考において有利になる可能性があります。

復職しやすい

調剤事務管理士の資格があれば、復職の難易度も下がります。たとえば、妊娠や介護などをはじめとする事情により、一時的に仕事を辞めざるを得ないケースもあるでしょう。一般的には、一度仕事を辞めると復職は容易ではありません。しかし、調剤事務管理士の資格は専門性が高く、需要もあります。そのため、たとえブランクがあっても、自分が復職したいタイミングで採用される可能性が高くなります。

転職やキャリアアップにつながる

調剤事務管理士の資格がなくても調剤薬局で事務職として勤務できますが、資格があると採用の確率が上がります。対応できる業務の幅も広げることが可能です。医療の現場では、処方箋の発行と薬の調剤の分業が進んでいます。よって、今後も薬剤師をサポートする調剤事務管理士の需要が増加するでしょう。なお、調剤事務管理士として経験を積むと、その後のキャリアアップも目指しやすくなります。

調剤事務管理士からのキャリアアップ

調剤事務管理士の資格や経験がある人は、将来のキャリアアップも期待できます。たとえば、ゆくゆくは厚生労働省が認定している国家資格の「登録販売者」の取得を目指すことも可能です。登録販売者の有資格者は、薬剤師の資格がなくても医薬品の約9割を販売できます。ドラックストアの求人でも登録販売者の資格が求められる場合が多いため、資格を取得できれば就職や転職の選択肢を増やせます。

また、登録販売者の資格を保有していることで、資格手当がつく調剤薬局やドラックストアも少なくありません。まずは調剤事務管理士の資格を取得し、さらなる活躍を目指してみましょう。

調剤事務管理士と調剤薬局事務の違い

調剤事務管理士は株式会社技能認定振興協会(JSMA)、調剤薬局事務は一般社団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定している資格です。資格の名称や認定している団体が異なりますが、業務内容や将来性はほとんど同じです。

調剤事務管理士の資格を取得するには、調剤薬局請求事務や法規などの専門的な知識を求められます。そのため、調剤薬局事務の資格取得も目指せば、知識を深めるために役立つでしょう。

まとめ

調剤事務管理士の資格があると、調剤薬局やドラックストアなどで働くうえで役立ちます。仕事の幅を広げたりキャリアップを実現しやすくなったりするでしょう。調剤事務管理士の試験は誰でも受験可能ですが、合格するには入念な対策も必要です。独学で合格する自信がない場合は、講座の受講も選択肢の1つといえます。

ユーキャンの「調剤薬局事務講座」は、10年間で55,000人の合格者を輩出しています。満足度90.9%を誇る初学者向けの講座です。調剤事務管理士の試験はテキストを見ながら在宅受験できるため、日頃の勉強の成果を落ち着いた状態で発揮できます。講座を活用して知識を深め、着実な資格取得を目指しましょう。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

調剤薬局事務の給料はどのくらい?

調剤薬局事務の平均年収は大体270~320万円です。ただし、資格の有無や雇用形態、勤務先の薬局によっても給料の水準が異なります。

調剤薬局事務として働くのに資格は必要?

調剤薬局事務の仕事は特別な資格がなくてもできますが、高い倍率を突破して採用してもらうには、関連する資格を取得しておくことが重要です。たとえ未経験でも、資格を取得することで熱意を伝えられ、ほかの応募者との差別化を図ることができます。

調剤薬局事務の仕事に向いているはどんな人?

パソコンを使用する機会が多いため「コンピュータースキルやレセプト作成の実務能力」は重要です。それだけでなく、お客様と接する機会も多いため「明るい人柄とコミュニケーション能力」も大切です。

調剤薬局事務は独学で合格できる? 

調剤薬局事務の資格には、独学での取得を目指しやすいものもあれば、独学では取得できないものもあります。いくつかの資格では難易度以前に、特定の講座を受けることが条件となっている点で、独学での合格が不可能といえます。

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