• 更新日:2023/07/12

人と接する機会が多く、薬に関する知識も自然と身につく調剤薬局事務は、人気の仕事のひとつです。しかしその分、「大変なことも多い仕事なのでは?」と思う人も多いでしょう。

この記事では、調剤薬局事務の仕事内容や平均年収、大変な面、無資格・未経験での就職や転職について解説します。メリットや仕事への適性も紹介するので、調剤薬局事務に興味を持っている人や資格取得を考えている人は、ぜひお役立てください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 調剤薬局事務の仕事内容は「患者の受付や電話対応」「レセコンへの入力業務」「調剤報酬の請求」「会計業務」など。
  • 仕事内容が多岐にわたり、事務作業だけでなく保険の知識も必要なため、大変な仕事と言われることもある。
  • それでも、超高齢社会の影響を受けて、病院や調剤薬局は今後も継続的に需要があるから人気の仕事。


調剤薬局事務の仕事内容

調剤薬局事務は決して難しい仕事ではないのですが、業務は多岐にわたります。ここでは、具体的な主な仕事内容を紹介します。

患者の受付や電話対応

受付では患者への対応を行います。来局した患者から処方箋や保険証、お薬手帳を受け取ります。このとき、保険証の情報を確認したり、処方箋の有効期限を確認したりします。薬局には電話での問い合わせもあるなど、対面だけの対応に限りません。薬局の顔として、明るくはきはきした対応が求められます

レセコンへの入力業務

レセプト(調剤報酬明細書)を作成するためにレセコン(レセプトコンピューター)へ処方箋の内容を入力します。同じ薬でもさまざまな規格があるため、正確に入力することが必要です。

現在では、処方箋に付いているバーコードを読み取るだけでいい場合もあります。そのため、最終確認は必須ですが、以前よりも効率的に作業できるようになりました。

調剤報酬の請求

患者は保険証を提示することで、薬の費用負担を1~3割に抑えられます。一方、残りの費用を負担するのは、保険証を交付する健康保険組合や市区町村などです。調剤薬局事務は作成したレセプトをもとに、健康保険組合などに残りの費用を請求します。レセプトの作成には、保険や調剤報酬についての専門的な知識が必要です。

会計業務

薬代の患者負担額を計算し、患者へ請求する業務です。受付でお金を受け取り、領収書を発行します。薬代はレセコンへの入力時に自動計算されるため、作業としてはそこまで難しくはありません。ここでは現金の受け渡しミスに気を付ける必要があります。

薬剤師のサポート

場合によっては、薬剤師の仕事を補助することもあります。たとえば、患者へ薬を宅配したり、薬剤師の指導のもとで薬の調剤の補助を行ったりするケースもあります。薬局は医薬品を扱う場所なので、清潔感を保つことも必要です。そのため、倉庫の片づけや局内の清掃を任されることもあります。

医薬品の発注・点検・入庫

消費した医薬品を発注するのも、調剤薬局事務の仕事です。頻度は少なく、対応することは稀です。届いた医薬品は注文した内容と合致しているかを点検した上で、最終的に薬品庫などへ入庫します。また、送られてきた伝票の整理も行わなければなりません。発注状況によっては、1日に何度も納品や点検、入庫作業を行うこともあります。

調剤薬局事務の平均年収

調剤薬局事務の全国的な平均年収は300万円前後です。月収でみると18万円前後となっています。ただし、平均年収は地域によって違いがあります。たとえば、北海道での平均年収が270万円程度であるのに対して、大阪では360万円程度、東京では420万円程度です。また、一部の年齢層を除き、年齢が上がるにつれて平均額も上昇する傾向にあります。

  • 参考:調剤薬局事務の年収について詳しく解説!|平均年収.JP(https://heikinnenshu.jp/iryou/chozaijimu.html)

無資格・未経験でも就職や転職は可能?

調剤薬局事務の求人では、実際に無資格者や未経験者を募集しているケースもあります。しかし、レセプトや処方箋をあつかう中では専門知識も必要となるため、資格を持っていたほうが仕事をスムーズに進められます。また、就職や転職の際に有利となる場合もあるでしょう。

ユーキャンでは、調剤薬局事務検定試験の対策のための「調剤薬局事務講座」を開講しています。検定試験は毎月実施されており、自宅にいながら検定を受けることが可能です。イラストや図を使ったわかりやすいテキストを使い、1日30分の勉強時間で合格を目指せます。調剤薬局事務の仕事を希望している人はぜひ活用してください。

調剤薬局事務におすすめの資格

調剤薬局事務の仕事は特別な資格がなくても就職することができ、必須ではありません。しかし、資格取得することで高い倍率を突破して採用してもらえる可能性が高まります。未経験の場合でも、ほかの応募者との差別化を図ることができます。

調剤薬局事務に関連する資格には、4つの代表的な資格があります。

「調剤事務管理士(R)」
「医療保険調剤報酬事務士」
「調剤事務実務士(R)」
「調剤報酬請求事務専門士」


それぞれ難易度が違うため、取得しやすい資格を検討しておくようにしましょう。

調剤薬局事務の仕事の大変なところ

調剤薬局事務には大変な部分もあります。ここでは、仕事の中で大変なところについて解説します。

事務作業だけでなく保険の知識も必要

調剤薬局事務の仕事は入力作業や電話対応だけではありません。レセプトの作成をはじめ、調剤薬局事務には保険の専門的な知識が必要な場面も多いです。ただし、知識は仕事や資格の勉強をすることで身につけることができるので、必要以上に不安になることはありません。最初はわからないことだらけでも、きちんと覚えようという意欲を持つことが大切です。

仕事内容は多岐にわたる

仕事の幅が広いことも、人によっては大変と感じるかもしれません。受付業務や事務作業の合間に、納品された医薬品の検品や入庫作業をすることもあります。また、開局や閉局作業のほか、薬剤師のサポートをすることもあるでしょう。ひとつの事柄だけに取り組むのではなく、広く対応できる能力が求められます

丁寧で正確な接遇が求められる

調剤薬局は医薬品を扱う場所であり、人の健康に関わっています。医師や薬剤師のほか、事務担当者にも丁寧で正確な接遇が求められます。たとえ混雑している薬局であっても、そのことに変わりはありません。病気やケガを抱えた患者はデリケートです。時には不安に寄り添い、患者が安心できるような行動を心がけることも必要になります。

店舗により営業形態が異なる

調剤薬局は路面店舗で運営している場合もあれば、大型のドラッグストアに併設されている場合もあります。そのため、営業形態は店舗によってさまざまです。店舗によってはパートやアルバイトでも、土曜日や休日の出勤が必要になるケースもあります。求人案件を探すときには、勤務条件もよく確認しておくことが大切です。

調剤薬局事務の仕事のメリット・魅力

調剤薬局事務は、大変なことばかりではありません。ここでは、調剤薬局事務のメリットや魅力に着目してみましょう。

将来性のある職業

調剤薬局事務は将来性が期待されている職業です。超高齢社会の今、病院で診察を受け、処方箋を受け取る人の数は増えています。調剤薬局の数も年々増加しており、人材不足の状態です。このように、調剤薬局事務のニーズは高まる一方なので、将来的にも安定した職業といえます。

また、さらに、店舗内に調剤薬局を併設しているドラッグストアも増えているので、調剤薬局事務が活躍できる場が今後さらに増える可能性があります。

さまざまな雇用形態がある

調剤薬局事務は、フルタイム以外にも、さまざまな雇用形態で働けます。パートやアルバイトとして曜日や時間を選択できるところが多いので、育児などをしながらでも働きやすいでしょう。

先にも触れたように、調剤薬局では人材不足が続いている状態です。また、調剤薬局事務はレセプトの作成などで専門性が求められます。そのため、調剤薬局事務の資格のある人は採用されやすく、結婚や出産などで一時職を離れても、復職しやすいのです。

薬の基本的な知識が自然と身につく

調剤薬局事務は、薬剤師が患者に薬の説明をしているのを聞くことも多いので、経験を重ねるうちに自然と薬の基本的な知識が身につきます

日常生活で薬を服用する際に役立つのはもちろん、仕事上でその知識を活かせる場合もあります。これは、一般事務では得られない、調剤薬局事務ならではのメリットだといえるでしょう。

調剤薬局事務の仕事に向いている人

調剤薬局事務の仕事を目指す場合、調剤報酬や保険などの専門知識を身につけることばかり重視しがちですが、知識があるだけではこの仕事に向いているとはいえません。調剤薬局事務として活躍するには、ほかにも必要な能力があります。

ここでは、調剤薬局事務に適した性格や必要な能力、スキルについて紹介します。

明るい人柄とコミュニケーション能力

調剤薬局事務は、事務作業を中心に行う仕事ですが、受付や会計で患者と接することも多く、接客業の一面も兼ね備えています。特に受付業務は、調剤薬局の顔として患者を出迎える仕事です。受付の人が暗いと調剤薬局全体の雰囲気が暗くなってしまうため、明るい人柄であることが求められます

また、患者に対してわかりやすい言葉で接したり、薬剤師や病院と連携して仕事をする必要があります。そのため、コミュニケーション能力が高い人が向いているでしょう。

コンピュータースキルやレセプト作成の実務能力

調剤薬局事務ではレセプトの作成を行うため、コンピュータースキルが必要です。会計業務でも入力作業が多く発生するため、スピーディーに業務を進めることが求められます。パソコンの基本的な使い方や入力方法は、しっかり身についていることが望ましいです。

あまりパソコンを使ったことがなく、タイピングに不慣れな人は練習しておくといいでしょう。コンピュータースキルに関する資格を取得するのもおすすめです。

調剤薬局事務の将来性

超高齢社会の影響を受けて、病院や調剤薬局は今後も継続的に需要があるといえます。実際、処方箋の受付枚数や調剤薬局の数は増加傾向となっています。最近は、ドラッグストア内に調剤薬局を併設するケースも見られるようになりました。

そのため、将来的に調剤薬局事務がなくなることはまずないでしょう。今のうちに仕事を経験しておけば、今後のキャリアアップが見込める可能性もあります。

調剤薬局事務の1日のお仕事スケジュール

調剤薬局事務のとある1日のお仕事スケジュールを紹介いたします。具体的な勤務スケジュールは勤務先によって異なりますが、参考にしてください。


9:00 出勤

店内の掃除を済ませたら開局です。受付接客からレセプト作成まで仕事はいろいろ。パソコンで調剤にかかった費用を計算したり、新規の患者さんにアンケートをお願いしたりします。


12:30 お昼休み

午前の受付が終了したら、患者様がお帰りになるのを待って片付けを行い、昼休みに入ります。病院の午後診療は15:00から。それに合わせ、昼休みは2時間取れるので、一旦帰宅して夕食の準備を。こんな働き方ができるのも、調剤薬局事務の魅力のひとつです。


15:00 午後の業務開始

午前の業務と同じように受付接客からレセプト作成、電話対応を行います。


18:00 勤務終了

17:00を過ぎると、会社帰りの患者さんが徐々に増え、午後の業務がピークを迎えます。18:00の勤務終了まで、慌ただしい中、テキパキと仕事を進めます。残業が少なめなのも調剤薬局事務の嬉しいポイントです。

まとめ

調剤薬局事務の仕事には、大変なところもあります。しかし、知識や適性があれば、それほど苦にはなりません。むしろ、調剤薬局事務のやりがいや将来性に着目してみましょう。調剤薬局事務の仕事で得られる知識と経験は、自分や家族にも活かせるものばかりです。調剤薬局事務の資格を取得することで、事前に知識を得られれば、仕事の大変さも軽減するでしょう。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

調剤薬局事務の給料はどのくらい?

調剤薬局事務の平均年収は大体270~320万円です。ただし、資格の有無や雇用形態、勤務先の薬局によっても給料の水準が異なります。

調剤薬局事務として働くのに資格は必要?

調剤薬局事務の仕事は特別な資格がなくてもできますが、高い倍率を突破して採用してもらうには、関連する資格を取得しておくことが重要です。たとえ未経験でも、資格を取得することで熱意を伝えられ、ほかの応募者との差別化を図ることができます。

調剤薬局事務は独学で合格できる?

調剤薬局事務の資格には、独学での取得を目指しやすいものもあれば、独学では取得できないものもあります。いくつかの資格では難易度以前に、特定の講座を受けることが条件となっている点で、独学での合格が不可能といえます。

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