医療事務の仕事内容とは|メリットや大変なこと・役立つ資格も紹介

- 公開日:2020/06/19
- 更新日:2021/12/07
医療事務の仕事は、さまざまなライフスタイルに合わせて働けます。そのため、これから始めたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、医療事務の仕事内容、メリットややりがい、大変なところまで、詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
医療事務の仕事内容とは?
まず、医療事務の仕事内容について説明します。
窓口業務
病院の顔ともいうべきなのが窓口業務です。主な仕事内容は、受付業務、会計業務に分けられます。なお、大きな病院の場合は、別々の業務として分担されていることもあります。
受付業務
まず初めに、来院した患者の受付をします。保険証や診察券の確認、診療申込書や問診票の記入依頼などを行います。初診の場合は、このタイミングで診察券を発行します。また、提示してもらった保険証などをもとに、氏名や住所などの基本情報を入力して、カルテを作成するのも、医療事務の仕事です。医療機関によっては入退院の受付業務も発生します。
さらに、大きな病院の場合は受診科へ案内するなど、最初に患者と触れ合うことが多い仕事です。
会計業務
診療が終われば、カルテや診療報酬点数、医療保険に応じて、請求金額の計算をします。また、処方箋を渡したり、次回の来院日を確認したりするのも会計の仕事です。会計自体は窓口で行うか、精算機へ案内して患者自身で行ってもらいます。
レセプト業務(請求業務)
レセプトとは、診療報酬明細書のことです。通常、患者は保険証の提出によって保険診療を受けます。保険診療によって、窓口では医療費の一部のみの負担で済みます。しかし、医療機関側はそれ以外の医療費を、保険証を交付している保険者に請求しなければなりません。
その際に提出を求められるのが、レセプトです。医療事務はカルテなどから正確に請求金額を算出する必要があります。レセプト提出後は、社会保険診療報酬支払基金などの審査支払機関に請求金額が妥当かどうかを審査されます。
クラーク業務
また、医療機関の規模によってはクラーク業務というものも発生します。比較的大きい病院で発生する業務で、患者と医師・看護師との連携をサポートするのがその主な役目です。クラーク業務は、さらに2つに分類されます。
外来クラーク
外来クラークは、患者と医療スタッフの橋渡し役といえます。カルテの整理をしたり、レントゲンや検査データの準備をしたりするなど、医師や看護師がスムーズに診療に入れるように下準備をするのが仕事です。
病棟クラーク
病棟で発生する事務作業を担う人のことを病棟クラークといいます。入退院手続きも病棟クラークの仕事内容です。この業務を行う場合、ナースステーションにいることが多くなるので、患者から病棟の説明を求められたりすることもあります。
その他の業務
その他の業務として、院内の清掃や掲示物の管理などの業務が挙げられます。病院勤務の場合には分業が進んでいるため、その他の業務は少ないケースが多いですが、クリニックなどの中小規模の施設に勤務している場合、直接患者とは関わらない業務も多くなります。
幅広い業務を経験したい場合は、クリニック勤務のほうが合っているでしょう。逆に、業務の専門性を高めたい人には、病院で働くほうが向いているといえます。
医療事務の一日の仕事の流れ
次に、医療事務の一日の仕事の流れを紹介します。病院やクリニック、勤務形態などによっても異なりますが、ここではクリニック勤務の一つの例を紹介します。
開院前
業務を滞りなく行うために、制服に着替えたりレジの準備をしたりして、開院準備を進めます。ほかに、予約状況の確認やカルテの準備、朝礼で共有事項の確認をすることもあります。
午前診療
開院後、医療事務は受付・会計業務に入り、保険証や診察券の確認をしたり、診察券の発行をしたりします。初診の場合は診療申込書をもとにカルテを作成し、医師に患者の容体を伝えることも仕事です。ほかにも、診察室へ案内したり、会計業務をこなしたりします。午前診療では、予約検査が多いことも特徴で、患者が持参した書類を預かったり、必要があれば着替えの案内をすることもあります。
午前診療・午後診療の間(昼休み)
休憩時間にはしっかりと休息をとり、業務にメリハリをつけます。ただし、午後診療の準備をしっかりと済ませておくことも大切です。予想外のトラブルが発生しても、冷静に対処できるようになります。
午後診療
午後診療は、基本的に午前診療と同様です。受付・会計業務をしながら、患者の応対をします。手が空いているときには、翌日の準備も行います。また、業者と連絡をとることも多い時間です。院外検査の依頼や物品の補充(注文)なども行います。
診療終了後
レジをしめて、翌日の予約の確認と準備、院内の清掃、ミーティングなどを行います。レセプト業務があるときは、1~2時間程度の残業が発生することもあるでしょう。毎月10日までにまとめて提出する必要があるので、月末・月初は比較的忙しくなることが多いです。
医療事務の仕事のメリットとは?
ここからは、医療事務をする上でどのようなメリットがあるのかを紹介します。
ライフスタイルに合わせて働き方が選べる
医療事務は正職員だけでなく、契約職員や派遣職員、アルバイト・パートなど、さまざまな形で勤務することができます。自分のライフスタイルに合わせて働き方を選べるため、ワークライフバランスを維持しやすいことがメリットです。結婚や出産などで退職しても、復帰しやすいこともメリットの一つでしょう。
全国どこに行っても働ける
病院やクリニックは、全国のどこにでもあります。そのため、配偶者の急な転勤などによる引っ越しがあっても、仕事を続けることができる、というのもメリットの一つとして挙げられます。もちろん、勤務する施設によってさまざまな違いはありますが、経験者であれば採用されやすいといえるでしょう。
医療事務の仕事のやりがいは?
ここからは、医療事務をする上で感じられるやりがいについて紹介します。
患者に感謝の気持ちを伝えてもらえる
医療事務は窓口で患者と接する機会も多いので、患者にとっては病院の顔ともいえる存在です。直接、感謝の気持ちを伝えてもらうことも多いでしょう。受付担当者の対応が患者を救うこともあります。適切なコミュニケーションで患者のフォローができるのも、やりがいの一つです。
医療事務の専門知識が身につく
働きながら医療事務に必要な知識が身につけられるのも、やりがいの一つです。普段の生活に役立つ知識もあるため、急なトラブルがあっても冷静に対処することができるようになります。
また、経験を積んでいくことで業務の幅も広がっていきます。引越しなどで別の医療機関に移っても、その経験をいかんなく発揮できるでしょう。
社会に貢献できる仕事
未経験であっても、医療関係者の一員として業務に従事できるのが、医療事務の魅力です。医療の現場で人の役に立てる仕事として、ほかでは経験できないような業務にあたることができます。直接、医療行為をすることはできませんが、縁の下の力持ちとして、社会的意義の大きい仕事といえるでしょう。
医療事務の仕事の大変なところは?
もちろん、医療事務には、やりがいやメリットだけでなく大変な部分もあります。以下で詳しく紹介します。
業務の幅が広く覚えることが多い
受付や会計はもちろん、カルテ作成、レセプト業務など、仕事の幅が広いのが特徴です。そのため、覚えることが多いことが、大変なところといえるでしょう。専門用語も多いので、特に未経験者はつまずいてしまうことが多いかもしれません。加えて、法律改正などによる制度変更もあるため、常に覚えることが多い職種といえます。
毎月繁忙期がある
レセプト業務は毎月月末から翌月10日まで発生し、その時期は繁忙期になります。そのため、残業が発生することも少なくありません。未経験の人は、医療事務は診療時間内に業務が終わると思っているかもしれません。しかし、実際には患者の応対以外にもさまざまな業務があるため、忙しい時期もある、ということは頭に入れておきましょう。
患者一人ひとりへの気遣いが必要
受付の対応のしかたで、患者が元気になることもあれば、反対に、クレームが発生してしまうこともあり得ます。患者によって、病状や体調はさまざまです。一人ひとりに合わせた柔軟で適切なコミュニケーション能力は必要不可欠といえます。病院の顔となる医療事務にとっては、重要な能力です。
医療事務の平均年収・月収・時給は?
医療事務の平均月収を見てみると、もちろん地域や役職によっても異なりますが、大学病院で17万円~20万円、クリニックで16万円程度、となっています。ボーナスなどが出る場合もあるので、年収にして250万円~350万円ほどです。
時給に換算すると、大学病院の医療事務であれば、1100円~1300円ほど、クリニック勤務の場合は1050円ほどとなっています。その専門性の高さから、ほかの一般事務と比べても、時給や月給が高く設定されていることも少なくありません。その分、責任ややりがいは大きいといえるでしょう。
- 参考:医療事務の年収給料や20~65歳の年齢別・役職別・都道府県別年収推移|平均年収.jp(https://heikinnenshu.jp/iryou/iryojimu.html)
まとめ
医療事務の仕事は、覚えることも多く専門知識も必要です。高い意識がないと長く続けることは難しいでしょう。しかし、その分やりがいやメリットは数多くあります。
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医療事務とは、医療機関の事務職としての就職・転職・再就職に役立つ、女性に人気の資格です。主な業務として、受付や会計、レセプト(診療報酬明細書)作成などを行います。勤務形態や働き方が選びやすく、年齢にかかわらず長く安定して働けます。
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