• 更新日:2023/06/22

レセプト業務は、医療事務のなかでも重要な業務です。医療事務の未経験者の中には、レセプト業務がどういったものなのかよく知らない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、レセプト業務の内容を未経験者にもわかるように詳しく解説します。あわせてレセプト業務に携わるにあたり、取得しておくと役立つ資格も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • レセプト業務とは、組合健保や協会けんぽ、市区町村などの健康保険の保険者に診療報酬を請求する業務のこと。
  • 未経験でレセプト業務に携わるには、資格試験の勉強などを通して必要な知識を身につけることが必要。
  • 医療事務の主な試験は「医療事務認定実務者(R)試験」「医療事務技能審査試験」「医療事務管理士(R)技能認定試験」「診療報酬請求事務能力認定試験」の4つ。

レセプト業務とは?

レセプト業務とは、組合健保や協会けんぽ、市区町村などの健康保険の保険者に診療報酬を請求する業務のことを指します。「レセプト」とは、保険者に請求する診療報酬明細書のことです。

「診療報酬」とは、診療に要した費用のことで、診療報酬点数表に基づいて点数で算出されます。「医療費」は診療報酬点数から1点=10円として金額で算出されます。

日本では国民皆保険制度により、加入者が診察を受けるときは最大で医療費の3割を患者が負担し、残りの7割は健康保険組合などを運営する保険者が負担する仕組みとなっています。

医療機関としての収入は、患者が窓口で支払っている医療費だけで成り立っているわけではありません。収入をしっかりと確保するためには、残りの7割を保険者に対して別途請求する必要があるのです。この、保険者に残りの7割の医療費を請求する業務がレセプト業務です。医療機関としての収入を支える仕事となるため、重要視されています

レセプト業務に携わるためには専門的な知識やスキルが必要になるため、医療事務に関する勉強をし、資格を取得することが望ましいといえます。

診療報酬が支払われる仕組み

診療報酬は、どのように医療機関に支払われているのでしょうか。

診療報酬が支払われる仕組み

例えば、患者が40才の一般的なサラリーマンだった場合、医療費の3割は直接患者に対し、窓口で請求します。残りの7割は保険者に請求する必要がありますが、患者への診察をおこなう度に請求をするのでは作業が煩雑になり手間もかかります。そのため、保険者に診療報酬を請求する際は、1カ月分をまとめて請求作業をおこないます

直接、医療機関から保険者に請求するわけではなく、国民健康保険団体連合会などの審査支払機関を介して請求する仕組みです。審査支払機関に診療報酬を請求する際には、「診療報酬請求書」と「診療報酬明細書」を提出しなければいけません。

この診療報酬明細書をレセプトといい、患者の氏名や診療報酬点数などが記載されています。審査支払機関は提出された内容を審査し、請求内容に不備がなければ、審査支払機関を通して保険者から医療機関に診療報酬が支払われます。

レセプト業務の流れ

レセプト業務は、一般的に毎月月末から翌月10日までに集中しておこなわれることが多いです。ここでは、業務の流れを説明します。

レセコン(レセプトコンピューター)に診療情報を入力する

日々の会計の際に、レセコンに必要な診療情報を入力していきます。多くのレセコンでは診療内容などに応じたコードや品番を入力することで、自動的に診療報酬点数が計算される仕組みとなっています。

レセプトを作成する

レセコンに入力された1カ月分の診療報酬を点検・確認してレセプトを作成します。レセコンが自動的に診療報酬を集計してくれるので、レセプトの作成自体は手間も時間もさほどかかりません。しかし、入力データに誤りがあると、レセプトの作成がスムーズにいかないため注意が必要です。

レセプトの点検・確認をする

レセプトの点検・確認作業は、レセプト業務のなかでもっとも重要な作業です。レセコンに入力した診療情報は誤入力により間違っている可能性があり、必ずしも正確とはいえません。そのため、入力ミスがないか、病名と診療内容に整合性がとれているかなどの確認が必要となります。

レセプト点検ソフトといわれる病名もれやコメントもれ、請求もれを見つけてくれるソフトもありますが、ソフトだけに依存せずに、目視での点検もおこなわれます。

医師に確認を求める

レセプトの点検・確認作業のなかで、記載されている病名と診療内容などに整合性がとれていない場合は、医師に確認を求める必要があります。医師に確認してもらい修正が必要だと指摘された場合は、すぐに修正をおこないます。修正が終わって、医師に最終確認をしてもらい、レセプトの内容がすべて適切だと判断されれば、レセプト作成は完了です。

審査支払機関に提出する

レセプト提出後、審査支払機関が内容を確認し、適切であれば診療報酬が支払われます。このとき、内容に不備や誤りがあると、「査定」や「返戻」を受けることになります。

「査定」とは、レセプトの内容が不適切な場合に、審査支払機関が診療報酬点数を減点することをいいます。また「返戻」は、不備や誤りのあるレセプトをそのまま医療機関に差し戻すことをいいます。

レセプトの内容が不適切だと、収入が少なくなったり、再提出の手間がかかったりと医療機関にとってマイナスになるため注意が必要です。

未経験だとレセプト業務は難しい?

未経験だとレセプト業務は難しいのではないかと不安な人もいるのではないでしょうか。レセプト業務は、請求内容に誤りや不備があると医療機関の収入に大きく影響します。正確に作業をおこなうためにも、経験を積むことが重要となります。

点検作業などは熟練者がおこなうことが多いため、日々どうやって点検をおこなっているのかなど、しっかりと先輩から学ぶ姿勢が大切です。また、未経験者であれば資格試験の勉強などを通して必要な知識を身につけ、自信を持って業務に携われるように努力することが必要となります。

レセプト業務のスキルアップに向けてできること

未経験の方がレセプト業務を行う際、「経験を積むこと」「資格取得」することでスキルアップが可能です。

経験を積む

レセプト業務では、患者一人ひとりのカルテから診療内容を読み取り、レセプトを作成していきます。そのため、応用力が重要になります。十分に知識を身につけていたとしても、現場では応用力が必要となる場面が出てくるでしょう。そうした場面を乗り越えるためには、時には失敗もあるかもしれませんが、経験を積むほかありません
また、現場ではレセコンと呼ばれる専用のコンピューターを使用します。日常では目にかかる機会もないコンピューターですので、慣れるには経験を積む必要があるでしょう。

資格取得

経験は現場でしか積むことができませんが、いきなり現場に出るのは不安という方は医療事務の資格取得に挑戦し、スキルを身につけることがおすすめです。
資格取得のための学習では基礎からレセプト業務について学べ、実際の現場でよくあるような実例をもとに、練習問題を解きながらスキルアップすることが可能です。
事前に基礎知識を身につけておけば、現場では、慌てることなく落ち着いて応用力を磨くことだけに集中できるでしょう。

医療事務の主な資格試験

医療事務は国家資格ではなく民間資格であり、様々な実施団体によりいくつかの資格が存在します。代表的なのは以下の4つの資格です。

「医療事務認定実務者(R)試験」
「医療事務技能審査試験」
「医療事務管理士(R)技能認定試験」
「診療報酬請求事務能力認定試験」

どの試験においても、受験するために資格は必要ありません。未経験でも受験することは可能です。
難易度も様々で、医療事務認定実務者(R)試験であれば、初心者にやさしい試験内容で合格率は高くなっています。

まとめ

レセプト業務は、医療機関の収入を支える重要な業務であるため、必要な知識を習得しておくことが重要です。未経験者が知識を習得するなら、資格試験の勉強を通しておこなうのが効率的でしょう。

ユーキャンの医療事務講座は充実したサポート体制があるため、効率よく勉強を進めることができます。未経験でレセプト業務に携わりと考えている人は、ぜひユーキャンを活用して資格取得を目指しましょう。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
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よくある質問

医療事務に資格は必要?

医療事務の仕事に就くには、資格は必須ではありませんが、知識を証明できる資格があったほうが就職で有利にはたらくでしょう。

医療事務は独学で合格できる?

医療事務資格は、独学で合格を目指すことも可能です。しかし、独学の場合はモチベ―ションの維持が難しいうえ、法の改正や試験情報などの情報収集などもすべて自分で行う必要があるため、独学に自信がない人は学校に通うか通信講座をおすすめします。

医療事務の給料はどのくらい?

医療事務の平均年収は、250万円~350万円といわれています。地域や勤務先によっても給与額が異なります。

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