• 更新日:2023/06/22

医療事務の人気はますます高まっています。関連する資格を取得する人も少なくありません。一方で、資格試験ではどのような問題が出るのか、独学でも目指せるのか。どのような勉強が必要なのかがわからない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、医療事務の資格取得を目指している人に向けて、試験問題の内容や難しさ、試験の種類、必要な勉強時間や効果的な勉強方法を詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 医療事務資格の難易度はそれほど高くなく、独学で合格を目指すことが可能。
  • 初心者でも、2~6ヵ月ほどの勉強で合格を目指すことができる。
  • 医療事務資格取得に必要な勉強時間は最も難易度が低い試験で約200時間。
  • 独学で合格しやすいのは資格は「医療事務認定実務者(R)試験」「医療実務技能審査試験」「医療事務管理士(R)技能認定試験」「診療報酬請求事務能力認定試験」の4つ。

医療事務資格は独学でも取得できる?

結論、医療事務資格は独学でも合格可能な資格です。他の資格と比較し、難易度はそれほど高くなく、初めて学習する方でも独学で合格を目指すことが可能です。

ただし、独学の場合は注意が必要

医療事務の資格試験では、医学用語や請求業務についての専門的な内容が出題されます。難易度が高いわけではありませんが、決して簡単な試験というわけではありません。

独学での合格を目指す場合は、しっかりとスケジュールを調整しながら勉強時間を確保し、勉強する必要があります。 また独学の場合は不明な点が出てきても誰かに質問することができません。難しい内容や問題に直面しても、自分で調べて解決する探究心や、途中で挫折しない高いモチベーションが必要です。

医療事務の試験問題は難しい?

医療事務に関する資格試験は複数あります。幅広い医療知識が問われるものから実技試験があるものまで、出題形式もさまざまです。試験によっても難易度は異なりますが、そこまで高くありません。基本的にはほとんど知識がない初心者でも、2~6カ月ほどの勉強で合格を目指すことが可能です。

テキスト持ち込みや在宅受験可な試験も

また、テキスト類の持ち込みが可能な試験が多いのも特徴です。もちろん、実際に働く際には資料などを常に持ち歩くわけにはいかないので、最終的には知識として覚える必要がありますが、資格試験では用語を丸暗記する必要はありません

加えて、資格によっては在宅受験が可能なものもあるので、その場合にはさらに余裕を持って試験に臨むことができます。医療事務に関する資格試験は、決して難易度が高いというわけではないのです。

医療事務の試験問題の内容

試験問題は、学科問題と実技問題にわかれるものが一般的です。

学科問題

学科問題では、医療事務業務に関連する基礎知識のほか、医学知識や医学用語の問題、疾患の種類などが出題されます。およそ事務という職種からは想像もできないほど、幅広い知識が問われます。

実技問題

実技問題では、診療報酬請求のために欠かせないレセプト業務の実技のほか、コミュニケーション能力を図るものもあります。医療事務においては、基本的な知識はもちろん、コミュニケーションスキルを備えていることも非常に大切です。患者さんの訴えや状態を把握し、それを医師に伝えるためにも、コミュニケーション能力は必要なスキルだといえるでしょう。

医療事務の資格試験にはどんなものがある?

医療事務は国家資格でなく民間資格です。様々な試験実施団体が試験を実施しており、医療事務認定実務者(R)試験、医療事務技能審査試験。医療事務管理士(R)技能認定試験、診療報酬請求事務能力認定試験などが有名です。

難易度も様々で、医療事務認定実務者(R)試験であれば、初心者にやさしい試験内容で合格率は60%から80%と高くなっています。
資格取得を目指される方は自身にあった資格試験を選ぶようにしましょう。

医療事務資格の独学合格に必要な勉強時間

医療事務資格取得に必要な勉強時間は最も難易度が低い試験では、約200時間程度です。

前述の通り、医療事務には複数の種類の資格があり、それぞれ難易度も異なります。そのため、目指したい資格によって必要な勉強時間も異なってきます。

難易度が高い資格なら600時間

最も難易度が高い、診療報酬請求事務能力認定試験の場合、勉強に必要な期間は、通信講座の場合9ヵ月程度とされています。必要な勉強時間が1日60分とすると合計360時間、1日90分とすると合計540時間ほど必要となります。学習の進捗には個人差があるため、350~600時間ほどと考えるのが良いでしょう。

医療事務認定実務者(R)なら200時間

一方、最も難易度が低いとされる医療事務認定実務者(R)試験の場合、勉強に必要な期間は、通信講座の場合4ヵ月程度とされています。1日の学習時間が60分ほどなので必要な勉強時間は200時間程度といえます。比較的、初学者には易しい試験といえるでしょう。医療事務の知識がない状態で多くの勉強時間が必要な試験に挑戦するのは、挫折する可能性もあり効率的ではないでしょう。
まずは、比較的とりやすいものから挑戦して、少しずつステップアップしていくことをおすすめします。医療事務認定実務者(R)試験の場合、急いで学習すれば最短3ヵ月で資格取得を達成することも可能です。

医療事務の資格試験の勉強方法

医療事務の資格試験の勉強をするには、大きく3つの勉強方法があります。どの勉強方法でも、共通するのは過去問が重要だという点です。過去問を見ればその試験の難易度が把握でき、自身に見合ったレベルの資格取得が目指せます。

勉強方法には、それぞれメリットやデメリットがあるので、自分に合った勉強方法を探しましょう。以下にそれぞれの特徴を記すので、ぜひ参考にしてください。

独学

独学は、自分の都合に合わせて、ある程度自由に勉強できることがメリットです。好きなタイミングで自分に合う教材を使い、好きなように勉強のスケジュールを組み立てていくことができます。また、ほかの勉強方法に比べて費用を抑えやすいこともメリットです。

しかし、自由であるがゆえに、自主性が必要になるというデメリットもあります。自ら進んで勉強したり、しっかりとスケジュールを組んで勉強するような高い志が必要です。サポートがないと勉強を続けるのが難しい人は、独学での勉強は向いていないといえるでしょう。

専門学校・通学講座

学校に通ったり、専門の講座を受講したりする方法も考えられます。この場合のメリットとしては、勉強のスケジュールを立てやすいという点が挙げられるでしょう。決められた時間に指定の場所に行くだけで、効率良く勉強することが可能です。

ただし、自分のプライベートな予定も講座に合わせないといけないというデメリットもあります。また、費用が高くなりがちであることもデメリットです。専門学校に通うと、トータルで200万円ほどかかることもあります。金銭的にも時間的にも余裕がある人に向いているといえるでしょう。

通信講座

通信講座は、通学する場合と違い、自宅で勉強するため、ある程度自由にスケジュールを組めることがメリットです。独学とも違って、サポート体制が充実していることが多いのも特徴です。

ただし、さまざまな教材を使用するので、独学よりは費用が高くなることも覚悟しておく必要があります。とはいえ、トータルで4万円~6万円ほどの場合が多く、学校に通うよりは格段に安く済ませられるでしょう。

医療事務の合格に向けて勉強すべき内容

医療事務は、受付や会計といった窓口業務のほか、レセプト業務やカルテ整理など幅広い業務を担います。

多くの医療事務の資格試験では、実務に必要な知識・技術が身についているか審査されるため、試験範囲も業務の基礎から実務的な内容が中心です。
ここでは窓口対応に関するスキル、事務処理能力とパソコンスキル、レセプト業務に関連する知識について、どのような勉強が必要なのか解説していきます。

窓口対応に関するスキル

医療機関の受付や会計などの場面で、患者さんを対応する窓口業務に関するスキルが必要です。窓口業務は、患者さんの対応の仕方によって病院全体の印象を左右する重要な業務。患者さんと直接接するので、コミュニケーションスキルやビジネスマナーが求められます
また、患者さんやスタッフとのコミュニケーションに必要な、わかりやすく説明する力も磨いていかなければなりません。

医療機関では、様々な患者が来院し、各ケースに対応するだけのマニュアルが存在していないことも多々あります。患者の体調や年齢によっては同じ症状でも要求が異なり、窓口での対応が非常に難しくなります。
患者からのクレームに臨機応変に対応し、デリケートな気持ちに寄り添う気持ちを持つことも大切です。

事務処理能力とパソコンスキル

医療事務は多岐に渡る業務を担当する職種なので、一般的な事務処理能力も必要になります。ファイリング、資料作成、パソコンへの入力作業など、様々な事務業務があります。パソコンスキルについてはある程度身についていることが前提になるので、ワードやエクセルなど基本のオフィスソフトの操作は学習しておきましょう
事務処理能力を身につけるためには、毎日の仕事でコツコツ身につけることが望ましいので、仕事に丁寧に取り組むことが事務処理能力の向上につながります。

また、患者さんの対応と並行するため、作業の正確さと同時に迅速に処理する力も求められます。知識を身に着けるのはもちろん、実際の現場でいかにスピードを高めることが出来るかも重要とされます。

レセプト業務に関連する知識

レセプトとは「診療報酬明細書」のことです。診療にかかる費用は患者様へ約3割を請求します。それ以外の約7割の診療報酬を健康保険組合、共済組合、市区町村へ請求しています。
患者負担は窓口で請求可能ですが、残りの7割はその都度請求することは困難です。そのため、レセプト(診療報酬明細書)を作成し、月に一度まとめて診療報酬請求を行います。この業務を行うためには、レセプトの作成能力が必要です。

レセプト作成のためには、基礎となる医療保険制度の理解をはじめ、レセプトの仕組みなどの専門知識が求められます。実際のレセプト作成業務はパソコンで入力、作成することが多いですが、業務を行う上で知識は必要となります。
資格の試験においてもレセプトは中心的に出題される内容の一つです。診療点数早見表を使いながら繰り返し学習し、手書きのレセプトを作れるようにしましょう

また、正確なレセプトを作成するために、医療事務にはレセプトの点検業務も求められます。 点検作業でいかに、間違いを発見し修正できるかがレセプト業務において重要になりますので、医療事務の専門的な知識が必要不可欠になります。レセプトに間違いを見つけたら修正できるよう、医療保険制度の仕組み、医師が作成したカルテの見方も知っておく必要があります。

資格合格までのモデルスケジュール

医療事務資格取得に向けて学習スケジュールの一例をご紹介します。実際のスケジュールは目指す資格や一日にどれくらい学習時間を確保できるかによっても変わってきます。

以下では、通信講座の場合4ヵ月程度で資格合格が目指せる、医療事務認定実務者(R)の資格取得に向けたスケジュールをご紹介しますので、参考にしてください。

1ヵ月目:医療機関で働くための基本について学ぶ

まずは、医療機関で働くための基本から学び始めます。
医療事務の業務内容から、言葉遣いや服装身だしなみなどの接遇マナー、知っておくべき法律、業務と関連が深い社会保障制度についてなど、幅広く学びます。
すべてを暗記する必要はありません。学習内容を正しく理解することを意識することが大切です。


POINT:まずは全体象をつかむ

はじめは分からないことがあっても大丈夫です。まずはテキストの最後まで軽く目を通し、学習の全体像をつかみましょう。全体像がつかめたら最初に戻り、2度目からは丁寧に読み進めることで理解が進みます。


2ヵ月目:診療報酬の基本について学ぶ

医療事務の全体像が把握出来たら、次に医療行為に要した費用「診療報酬」について学びます。
医師や看護師などが行った医療行為を評価した医学的技術料、使用した材料や薬剤の費用などについて、具体的にどういった診療報酬項目があり、何点加算されるのかを学習します。
検査や手術などの具体的な手技や医学的意義を深く知る必要はありません。名称を見て正しく算定ができれば大丈夫です。


POINT:「決まりごと」として理解する

診療報酬算定上のルール(算定要件)について「なぜか」といった理由を考える必要はありません。あくまで「決まりごと」として理解しましょう。


3ヵ月目:レセプトの書き方について学ぶ

「診療報酬」について学習を終えたら、「診療報酬」の知識を活かし、診療の内容が記録された「カルテ」から「レセプト」を作成する方法について具体的に学んでいきます。
実際のレセプト業務ではレセコンと呼ばれるコンピュータを使用して作業しますが、試験ではテキストを見ながら解答します。算定の流れや作成上のルールをしっかり把握しましょう。

4ヵ月目:問題演習を繰り返し解き、総復習

テキストの内容を一通り学習し終えたら、総復習として問題演習に取り組みます。
問題演習を解く際は、本番の試験を想定し、時間配分や解答スピードなどを意識して解きましょう。そのためには、何度も繰り返し問題を解き、問題に慣れておくことが大切です。


POINT:必要な情報を探し出すテクニックも

試験はテキストの持ち込みが認められており、テキストの内容を暗記する必要はありません。テキストの中から、効率よく解答に必要な情報を探し出すテクニックを身につけましょう


試験本番:試験は毎月実施

医療事務認定実務者(R)の場合、試験は毎月1回実施されており、お好きな試験月に受験が可能です。
スケジュール通りに学習が進まなかった場合は、進捗に合わせて試験月を後ろ倒しにすることも検討しましょう。もちろん、スケジュールより早く進んだ場合は、3ヵ月で試験に挑戦することも可能です。

試験はマークシート方式で、学科・実技ともに60%以上の正解率で合格です。これまでの学習の成果を発揮しましょう。


POINT:在宅受験も可能

認定機関の通信講座受講生等の場合、試験は在宅での受験となります。また、暗記力を問う試験ではないため、テキスト・参考書の持ち込み、見ながらの受験が認められています。リラックスした状態で試験に臨めるため、より実力を発揮しやすい試験です。


独学合格しやすい医療事務資格は?

独学合格しやすいのは以下4資格です。
・医療事務認定実務者(R)試験
・医療実務技能審査試験
・医療事務管理士(R)技能認定試験
・診療報酬請求事務能力認定試験


医療事務認定実務者(R)試験は、2016年に新設された試験で、毎月実施(全国医療福祉教育協会)されています。合格率は約60%~80%と、4つの医療事務資格の中で最も易しい試験です。
医療実務技能審査試験は、40年以上の歴史に基づく実績と信頼があり、日本最大規模です。2020年度合格率は79.4%です。
医療事務管理士(R)技能認定試験は、40年以上の歴史に基づく実績と信頼があり、日本で最初の医療事務資格として医療機関で幅広く認知されている試験です。2021年度合格率は60.38%です。
診療報酬事務技能認定試験は、厚生労働省が唯一認定している資格試験です。平均合格率は30.4%と、医療事務資格のなかで最も難しい資格です。

まとめ

医療事務に関する資格は複数あり、自分のレベルに合わせて選べば、取得することはそれほど難しくありません。ただし、資格勉強をする際は、しっかりと自分に合った勉強方法を選択することが大切です。

ユーキャンの医療事務講座であれば、効率的に実務で役立つ基礎知識が学べます。また、「医療事務認定実務者(R)試験」を在宅で受験することが可能です。サポート体制が整っているので、安心して勉強が続けられます。ぜひ受講を検討してみてはいかがでしょうか。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

医療事務に資格は必要?

医療事務の仕事に就くには、資格は必須ではありませんが、知識を証明できる資格があったほうが就職で有利にはたらくでしょう。

医療事務の給料はどのくらい?

医療事務の平均年収は、250万円~350万円といわれています。地域や勤務先によっても給与額が異なります。

医療事務の仕事内容は?

医療事務の仕事内容は主に受付・会計業務、レセプト業務、クラーク業務の3つです。

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医療事務とは、医療機関の事務職としての就職・転職・再就職に役立つ、女性に人気の資格です。主な業務として、受付や会計、レセプト(診療報酬明細書)作成などを行います。勤務形態や働き方が選びやすく、年齢にかかわらず長く安定して働けます。
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