• 更新日:2023/06/20

ケアマネジャー(介護支援専門員)はどのような仕事をしているのか、ご存じでしょうか。ここでは、ケアマネジャー(介護支援専門員)の役割や仕事内容についてご紹介します。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • ケアマネジャーは、ケアプランの作成やサービス事業者との調整を行う介護保険に関するスペシャリスト。
  • 仕事内容は、「介護保険サービスを利用する際に必要なケアプランの作成」「利用者とサービス事業者の間の調整」など。
  • ケアマネジャーは、困っている人を援助して感謝される、やりがいの大きい仕事。

介護保険のプロ・ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)の作成やサービス事業者との調整を行う、介護保険に関するスペシャリストです。
主な職場は、自宅介護を受ける人のための介護サービスを展開している居宅介護支援事業所や、特別養護老人ホームなどの施設、自治体の介護相談の窓口となる地域包括支援センターなどです。また、介護用具のレンタル事業を展開している民間企業に勤める場合もあります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには?

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるためには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。試験の受験資格は、指定業務を5年以上かつ900日以上経験することで得られます。試験に合格した後、研修を受講して修了し、ケアマネジャーとして登録され資格証の交付がなされると、ケアマネジャーとして勤務可能です。
試験合格のための学習方法としては、独学やスクールへの通学、通信講座などが挙げられます。仕事をしながら試験合格を目指す場合、適切なカリキュラムに沿って学習を進める方法がより効率的です。
通信講座ではカリキュラムが設定されており、独学よりモチベーションを維持しやすいといえます。通学より費用を抑えられる点もメリットといえるでしょう。

【役割1】ケアプランの作成や給付管理

ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事内容の1つが、介護保険サービスを利用する際に必要なケアプランの作成です。作成する際には、サービスを受ける高齢者が抱える問題点を明らかにし、自立した日常生活を送れるように支援する上での課題を把握する「アセスメント(課題分析)能力」が求められます。
アセスメントを通して、「自力で数メートル歩けるようになる」「自分一人で食事できるようになる」などの目標を高齢者と一緒に決め、目標の達成状況を適宜モニタリング(現状を観察して把握)します。

介護保険サービスの利用で発生する介護給付費の管理(給付管理)は、事業所によっては事務員が行う場合がありますが、基本的にはケアマネジャー(介護支援専門員)が行う重要な仕事です。きちんと事業所に対して介護給付が行われるように、国民健康保険団体連合会に必要書類を提出する必要があります。

【役割2】利用者とサービス事業者の間の調整役

ケアマネジャー(介護支援専門員)には、サービス事業所と高齢者を繋ぎ合わせる調整役の役割も求められます。

介護保険サービスには、訪問介護(ホームヘルパー派遣。自宅で暮らす利用者のお宅に訪問し、身体介護や生活援助をする)や通所介護(デイサービス。日帰りで施設に通う利用者に、食事や入浴などの介護を提供)などがあります。しかし、事業所の数は非常に多く、利用者である高齢者自身で目的に合った事業所を探すことは困難です。そのようなときに、ケアマネジャーがさまざまな事業所についての情報を利用者に提供します。その情報に基づいて、利用者が希望通りの事業所を見つけられたときは、大きな達成感を得られるでしょう。

また、高齢者は事業所に要望やクレームを直接言いづらい場合があります。そのようなときは、ケアマネジャーが代弁して事業所に意見を伝えたり、反対に事業所の考えを利用者に伝えたりして、調整役を務めます。

ケアマネジメントの枠に収まらない、ケアマネの仕事内容

介護支援専門員とも呼ばれるケアマネジャーですが、その仕事内容は多岐にわたります。前述のとおり、介護が必要な方に介護保険サービスを提供するほか、生活困窮者には生活保護申請の補助を、食事に困っている方に配食の紹介を行います。時には施設の利用者とその家族の仲を取り持ったり、高齢者などに地域活動の参加を促したりすることもあります。

また、働く場所によっても仕事内容は異なります。ここでは、ケアマネジャーの仕事内容について、働く場所ごとに説明します。

「介護支援専門員」といえども、ケアマネジャーの仕事内容は単なる介護業務の枠に収まりません。そのため大変さもありますが、自分のケアマネジメントによって高齢者の生活が改善されたときは大きなやりがいを感じられます。

居宅ケアマネジャー

居宅介護支援事業所に勤務する居宅ケアマネジャーは、自宅で介護を受ける人を対象に仕事をします。サービス利用者の自宅を訪問して状況を確認し、それぞれの利用者に合ったケアプランを作成します。利用者がスムーズにサービスを受けられるよう、関係各所との調整を行うのもケアマネジャーの仕事です。

施設ケアマネジャー

施設ケアマネジャーは介護老人福祉施設などに勤務し、入所者のケアプランを作成します。居宅ケアマネジャーと比べると、1人でより多くの利用者を担当することが多いです。業務する場合は、ヘルパーとともに介護に関する業務を行ったり、雑務をこなしたりすることもあります。施設によっては夜勤が必要なケースもあります。

介護予防ケアマネジメント

介護予防ケアマネジメントとは、「要支援」の認定を受けた人が介護の必要な状態にならないようにサポートする取り組みです。また、要介護状態になった場合に状態の悪化を食い止めることも目的としています。介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターが統括しており、その運営は市区町村や委託を受けた社会福祉法人などです。

ケアマネジャー(介護支援専門員)のやりがいとは?

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、やりがいの大きな仕事です。たとえば、自分が作成したケアプランによって利用者やその家族の生活を改善できる場合があります。また、利用者や家族から感謝の言葉をかけてもらえることもあります。ケアプランに沿った取り組みにより利用者の要介護度が低くなった場合には、特にやりがいを実感できるでしょう。

ケアマネジャーに限らず、介護の仕事はやりがいの大きな仕事です。「仕事がきつい」「人手が足りない」というイメージもあるように、慢性的な人手不足は問題となっていますが、それだけニーズの多い仕事だといえます。困っている人を援助して感謝されるというのは、大きな喜びにつながるでしょう。

また、自分で考え、成長していけるのも介護の仕事の醍醐味なのです。介護の仕事は流れ作業でできる仕事ではありません。人生経験豊富な高齢者の言葉に心から相槌を打てて、心が通うこともあります。男女問わず、年齢を重ねても続けられる点も介護の仕事の魅力です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の一日の仕事の流れ

ケアマネジャーとして働く場合の1日の仕事の流れについて、ご紹介します。
自宅で暮らす利用者のお宅への訪問し業務を行う「居宅ケアマネ」と特別養護老人ホームなどで働く「施設ケアマネ」では、仕事の流れが少し違います。今回は「居宅ケアマネ」を例にご紹介します。

9:00 出社

1日のスケジュールの確認やスタッフ間でのミーティング、連絡を行います。

10:00 利用者宅を訪問(モニタリング)

ケアプランに沿って提供されている介護サービスが利用者や家族のニーズに合っているかを定期的に訪問しチェックします。

12:00 昼休憩

お昼休憩です。利用者宅の訪問スケジュールによっては前後することもあります。

13:00 サービス担当者会議

利用者や介護サービス事業所の担当者などと集まり、作成したケアプランの内容の意図・目標イメージの共有を行います。

14:00 利用者宅を訪問(アセスメント)

ケアプランを作成するにあたり、利用者や家族が持つ課題や健康状態、目指すものについて聞き取り調査を行います。

15:00 役所訪問

役所に訪問し、書類の提出や各種手続きの代行業務を行います。役所のケースワーカーとの連携も行います。

16:00 事務作業

新規の利用者のケアプラン作成や、サービス担当者会議の内容から来月のサービス計画表を作成します。

18:00 退社

業務終了となります。1日お疲れ様でした。

ケアマネジャー(介護支援専門員)に向く人とは?

ケアマネジャーにはどのような人が向いているのでしょうか。ここでは、ケアマネジャーに向いている人の特徴を説明します。

コミュニケーション能力がある

ケアマネジャーとして活躍するには、さまざまな立場の人としっかりコミュニケーションをとる必要があります。たとえば、利用者とその家族では介護に対する認識が異なる場合もあるため、それぞれの気持ちに寄り添った対応が求められます。さらに、仕事を進めるうえでは、ヘルパーや医師など他の職種の人との協力も必要不可欠です。

事務処理能力が高い

ケアマネジャーは利用者と接するだけでなく、書類作成の業務もこなさなければなりません。人が足りない職場であれば、幅広く事務の仕事を任されることもあるでしょう。そのため、ケアマネジャーは、事務処理能力が高い人の方が向いているといえます。さらに、複数の仕事に対応できるマルチタスクの能力が高い人だと、業務をスムーズにこなせます。

まとめ

ケアマネジャー(介護支援専門員)は業務範囲が広く、内容も専門的です。仕事を始めてから新たに知ることも多いことでしょう。日々の業務を通して、ノウハウを覚えていくことが大切です。
最近では高齢化が一段と進み、ケアマネジャー(介護支援専門員)の活躍の場は広がっています。介護業界でのステップアップや介護の専門知識を得たいと考えているなら、資格取得をおすすめします。

また、ケアマネジャー以外にも介護を必要とする方の助けになれる資格が多くあります。あわせてご検討ください。

資格名資格概要受験資格難易度学習期間の目安
ケアマネジャーケアプランを作成し、サービスの調整を行う専門家。制限あり6ヵ月
社会福祉士福祉サービスを必要とする人の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う。制限あり3.57ヵ月
介護福祉士専門的な知識とスキルで現場を支える介護のプロ。 制限あり6ヵ月
介護事務介護事業所での事務や介護報酬請求の業務、ケアマネジャーのサポート。制限なし1.53ヵ月
准サービス介助士高齢の方や身体の不自由な方を適切にサポートする存在。制限なし4ヵ月

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

ケアマネジャーの就職先は?

主な職場は、自宅介護を受ける人のための介護サービスを展開している居宅介護支援事業所や、特別養護老人ホームなどの施設、自治体の介護相談の窓口となる地域包括支援センターなどです。また、介護用具のレンタル事業を展開している民間企業に勤める場合もあります。

ケアマネジャーの年収は?

ケアマネジャーの平均年収は約420万円で、他の介護系職種の中でも給与が高いといえます。

ケアマネジャー試験の難易度は?

ケアマネジャー試験の合格率はわずか10~20%ですので、他の介護系資格と比較して難易度は高いといえます。

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ケアマネジャー(ケアマネージャー)とは、介護保険制度の中核を担う資格です。介護を必要とする方と、福祉・医療・保健のサービスとを結ぶ「架け橋」となる重要な役割を担っています。超高齢社会の今、要介護者の増加によって、ケアマネジャー(ケアマネージャー)の需要は高まっています。現在、介護福祉士や社会福祉士など介護・福祉関連の仕事に就いていて、キャリアアップを目指したい方におすすめの資格です。ケアマネの資格の取得によって、ケアプランの立案、サービスの調整、モニタリングなど、扱える業務の幅が大きく広がります。有資格者は、介護業界における就職・転職はもちろん、結婚・出産後の再就職にも有利です。
ユーキャンのケアマネージャー講座は、効率よく学べる工夫が満載。試験の出題傾向に沿ってムダなく学べるテキストに加え、特に試験に出がちな重要なポイントをコンパクトにまとめた「でるケアBest200」などの便利な副教材も充実。ケアマネジャー試験は、5肢複択でほとんどの都道府県が論文試験や実技試験がないマークシート方式を採用。解答しやすい試験と言えます。本講座で、合格のポイントをきちんと押さえながら学習を進めれば、初めてでもムリなくケアマネ試験合格を目指すことができます。働きながらでも無理なく学べるカリキュラムなので、忙しい方も安心して受講できます。