主体性とは?自主性との違いや発揮するための3つの要素とは

  • 公開日:2023.09.29

    更新日:2023.09.29

    「主体性」とは、社会人の必須スキルであり、VUCA時代を生き抜くために役立つものです。昨今は、人材育成において、主体性を重視する企業が増えています。 しかし、従業員の主体性を高める方法が分からず、困っている担当者も多いのではないでしょうか。

    ここでは、主体性の概要に触れつつ、主体性がある従業員の特徴や、主体性の高め方などを解説します。ぜひ、参考にしてください。

主体性とは何か

主体性とは、誰に命令されるでもなく、自ら判断して責任を持って行動することです。 本来、主体性は全ての人に備わっているものですが、育った環境や個々の持つ性格などによって、主体性をうまく発揮できない人もいます。しかし、人材育成のやり方しだいでは、多くの従業員を主体性がある人材へと成長させることが可能です。

主体性と自主性の違い

主体性と似た言葉に、「自主性」があります。主体性と自主性を区別するポイントは、以下の2つです。

  • ・自主性はあるが主体性はない人は、決められたルールの範囲内なら率先して行動する
  • ・主体性がある人は、ルールに縛られずに自分で判断して行動を決める

例えば、メールでやり取りしつつ、プロジェクトを複数の部門で進めていたとしましょう。メールはテキストベースのやり取りになるため、意図がうまく伝わらなかったり、行き違いになったりするケースが発生します。うまく意思疎通できなければ、プロジェクトが失敗に終わるかもしれません。

このような状況の場合、自主性がある人はメールでどうにかして意図を伝えようとするため、小まめにやり取りします。あらかじめ決められたルールの範囲内で率先して行動することは、自主性がある人の得意分野だからです。

一方、主体性がある人は、メールに加えて打ち合わせも実施したらどうかと周囲に提案します。主体性のある人は組織や部門の抱える課題に気づき、自分で判断して課題解決に取り組むのが得意な傾向にあります。

主体性がある人は、上司に指示を出されなくても課題解決に向けて動けるのが特徴です。また、ルールに縛られずに動けるので、主体性がある人は行動力に長けているともいえます。

主体性がなぜ必要なのか

主体性がある人材が求められる理由を、VUCA時代の状況と、リスクマネジメントの必要性に触れつつ解説します。

VUCA時代における主体性の重要性

近年のビジネス環境は、VUCAと呼ばれる時代に突入しました。VUCA時代とは、「さまざまな事態が発生して未来が予測困難な状況」を意味します。

VUCA時代という名称は、変動性(Volatility)・不確実性(Uncertainty)・複雑性(Complexity)・曖昧性(Ambiguity)の頭文字を取って名付けられました。

近年は消費者ニーズが多様化し、AIやIoTなどの新しい技術が日々誕生しています。今後も発展し、変化し続けるでしょう。テロや大規模感染症、自然災害もビジネス環境に影響を与えます。このような状況の中、経営陣だけで組織を動かすことは困難です。現場に近い従業員が世の中の変化に気づき、主体性を発揮することが重要になります。

また、環境が目まぐるしく変化すれば、これまでの成功事例が通用しなくなります。 VUCAの時代に企業を存続させるには、決まった価値観や過去のルールや規則にとらわれず、どのような状況や環境でも適切な判断ができる人材が求められます。

リスクマネジメントの必要性は高まっている

主体性がある人材が求められる背景には、リスクマネジメントへの関心の高まりもあります。リスクマネジメントとは、想定されるリスクを早期に見つけて未然に防ぐことです。主体性のある人材は、企業や部門の状況を自分事として捉えるため、リスクに対して敏感です。リスクをいち早く察知して対応できれば、企業が受ける損失を減らせるでしょう。

一方、自主性はあるが主体性はない人は、経営層や上司に任せておけば大丈夫と考える傾向があるため、リスクを見逃す恐れがあります。主体性がある人材を育成して、リスクマネジメントを強化しましょう。

主体性がある従業員の行動や思考

ここからは、主体性がある従業員の特徴を解説します。

自分自身の意見を持っている

主体性がある従業員は自分自身の意見を持ち、言葉にして自分の考えを周囲に伝えられます。明確な目的があれば、目的達成に向け論理的に意見を組み立てることが可能です。また、自分に決定権がない課題でも、「自分ならどのように行動するだろう」と考える習慣が備わっています。

疑問や課題を放置しない

主体性がある従業員は、疑問や課題を放置しません。まずは自分で対処法を調べたり考えたりした上で、分からない部分があれば周囲に確認します。仮に疑問や課題に対して明確なルールがなければ、新しいルールを考え、試したり、周囲に提案したりして対応します。

責任感がある

主体性がある従業員は、引き受けた業務や自分で考えて行動したことに、最後まで責任を持って対処します。また、自分の判断で行動しているという自負があるため、基本的に自責思考です。問題が起こっても周囲のせいにすることなく、自分で対処できる施策、他の人の協力が必要な施策を前向きかつ建設的に考えます。

ポジティブに考えられる

主体性がある従業員は、ポジティブです。上述したように、主体性がある従業員には明確な目的があるため、失敗は目的達成の過程で起きた一時的な出来事として捉えます。そして、目的達成に向け行動し続けることで、ポジティブな気持ちを維持できます。

主体性がない従業員の行動や思考

主体性がない従業員は、業務に対して消極的な傾向が見られます。主体性がない従業員の行動や思考を解説します。

指示されたことしかやらない

主体性がない従業員は、自分で考えないため指示された内容の範囲でしか行動できません。状況が変わったとしても変化に気がつきにくいため、避けられたはずのリスクを見逃してしまう恐れもあります。主体性がない従業員のなかには、「上司が的確な指示を出さない方が悪い」と自身を肯定する人もいます。

言い訳が目立つ

主体性がない従業員は言い訳が目立ちます。本来は自分にも考える力や判断する力があるはずですが、自分で考えて行動しないため責任感がなく、言い訳をして自身を正当化する傾向があります。指示を出した人のせいにして結果に責任を持ちません。

ネガティブな姿勢が目立つ

主体性がない従業員は、自身の失敗を受け止められないため成長が伸び悩みがちです。 業務にネガティブなイメージを持っており、行動できなかったり、難易度の高い業務を避けたりする人もいます。こうした受け身の姿勢やネガティブさが原因で、信頼を失う場合もあります。

主体性がある従業員を育てる5つの方法

主体性がある従業員を育てる5つの方法を解説します。従業員自らが考えて行動できるよう、企業側がサポートして促しましょう。

1.考える習慣を促す

従業員に指示を出す際は、考える余地のある指示出しを意識しましょう。 考える習慣をつけることで、自身も業務にかかわっていると意識でき、結果に責任を持てるようになります。従業員に考える習慣を促すポイントは、以下の2つです。

  • ・全てを指示しない
  • ・会議やミーティングの場で意見を求める

また、従業員に日常的に意見を発表させるようにするのも有効です。的確な意見を伝えたいという思いから、ニュースや業界の情報を知る必要性や、論理的に意見を組み立てる大切さに気がつく人もいます。

2.他者視点を意識させる

業務は他者とのかかわりで成り立つため、顧客・他部門・取引先といった他者視点の考え方を持つことが求められます。他者視点を意識させるポイントは、以下の2つです。

  • ・立場の違う人と接する場を設ける
  • ・知識や人脈を通じて世の中の多様性に気づかせる

また、本やニュース、SNS、セミナーや交流会などに触れさせましょう。知識や人脈が養われると、さまざまな価値観を知り他者視点を意識できます。

視野が狭い従業員は、複雑な状況に対処できません。多角的に考えられるようになると、思考力と実行力が養われて主体性が磨かれます。

3.目標や計画を立てさせる

目標や計画を立てさせるときは、小規模な計画から始め、段階的に大規模な計画を任せてください。自分で考えた目標や計画に沿って動くと、状況を理解でき、優先順位をつけて考えられるようになります。結果として、主体的な行動を取れるようになります。

4.小さな成功体験を積み重ねる

成功体験で自己肯定感が積み上がると、考えることや行動することに対してポジティブな感情を持ちます。業務でミスをしてネガティブな気持ちになっている従業員には特に、成功体験の蓄積を重視しましょう。経験値が増えるほど、対応力が養われ大きな成功体験へとつながります。

5.主体性のある従業員をロールモデルにする

主体性のある従業員をロールモデルに設定しましょう。ロールモデルとは、自身と似たような状況で、お手本となる存在です。具体的なロールモデルを提示すると、主体性のある行動がどういったものか理解しやすく、育成のスピードが早められます。

主体性を発揮するための3つの要素

従業員の主体性を育てるには、以下の3つの要素を強化する必要があります。

  • ・自律性
  • ・有能性
  • ・関係性

それぞれについて詳しく解説していきます。

自律性

自律性とは、自分で考えて行動していると感じる気持ちです。自律性を強めるポイントは、以下の2つです。

  • ・仕事を任せる
  • ・権限を委ねる

自律性を強めるには、仕事を任せて責任感を芽生えさせましょう。ある程度権限を与えると、自分のやり方に自信を持ち積極的に考えるようになります。目的の達成に向け、責任を持って考えられるよう促し、従業員の主体性を高めてください。

有能性

有能性とは、自分には能力があり企業や社会の役に立てるという自信を持つことです。有能性を強めるポイントは、以下の2つです。

  • ・成功体験を積ませる
  • ・悪いところを指摘するだけではなく、良いところを褒めるようにする

有能性を強めるには、成功体験の積み重ねで自己肯定感を伸ばす必要があります。 また、従業員を褒める習慣がある職場では、自己肯定感が高まりやすく、有能性が伸びるスピードが早くなる傾向にあります。

関係性

関係性とは、周囲とうまくやれているという感覚です。関係性を強めるポイントは、職場の人間関係を整えることです。全ての業務は、他者との関係性の中で成り立っています。そのため、関係性に問題があれば、自律性と有能性を養っても主体性を発揮できません。

また、関係性の強い職場では誰かが困っているときに助け合おうとするため、主体性がある行動につながります。

従業員の主体性を抑えてしまう企業の特徴

上述したように、本来、主体性は全ての人に備わっているものです。ただし、従業員の主体性を押さえ込んでしまう企業も少なからず存在します。そのような企業の特徴を知り、自社に当てはまる点はないか、振り返ってみましょう。

心理的安全性が確保されていない

心理的安全性が確保されていない企業では、従業員の主体性は発揮されません。 心理的安全性とは、「ありのままの自分の発言や行動が許される状態」です。多様性を尊重し、ミスを個人に押しつけない企業は、心理的安全性が高いといえます。

反対に、失敗したら怒られる、人事評価に響いてしまうなどの不安な状況では、主体性を発揮しにくくなってしまいます。心理的安全性を確保するために、職場内の人間関係を見直し、信頼関係を構築できるよう働きかけましょう。

情報共有ができていない

基本的な情報共有ができていない職場でも、主体性は発揮されません。企業や業務について理解していなければ、適切な判断ができないためです。「指示されないこと意外はやらない方が、自分のためにも企業のためにもいい」と考える従業員も少なくありません。経営理念や事業の方向性、業務フローなど基礎的な情報共有を徹底しましょう。

経営層や上司に主体性がない

経営層や上司に主体性がなければ、従業員は主体性を発揮する気になれません。企業のトップともなれば主体性がある人ばかりと考えられます。しかし、管理職の一部には、上からの指示待ちをする主体性がない人も存在します。

経営層や上司は、意識して主体性がある行動を取り、従業員の手本となりましょう。経営層や上司の主体性のある行動を見れば、従業員の主体性も高まります。

従業員の主体性を育てるセルフマネジメント講座

主体性を身につけさせたい従業員には、「セルフマネジメント講座」の受講が有効です。ユーキャンのセルフマネジメント講座の目的は、以下の3つです。

  • ・セルフマネジメントの必要性を理解する
  • ・適切な目的・目標設定の方法を理解する
  • ・セルフマネジメントチームを作る

講座を受けると、自身で課題を見つけ、業務の目標や目的を達成できる力が身につきます。また、セルフマネジメントチームは、チームとしてセルフマネジメントできる組織です。変化が激しいビジネス環境を生き抜くために、セルフマネジメント講座で主体性がある人材を育成しましょう。

まとめ

主体性とは、自ら判断して責任を持って行動することです。主体性がある従業員はルールに縛られず、現状を打開するアイデアを生み出せます。 VUCA時代を生き抜き、リスクマネジメント体制を強化するためには、主体性のある人材を育成する必要があります。 自律性・有能性・関係性を強め、従業員の主体性を高めましょう。

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