イノベーションとは?意味や種類、企業事例を解説!

  • 公開日:2023.09.12

    更新日:2023.09.12

    近年のビジネス環境は、目まぐるしい速さで変化しています。企業が市場競争に打ち勝つためには、変化を味方につけるようなイノベーションの創出が必要です。この記事では、イノベーションの意味や種類、イノベーション創出のためのポイントなどを解説します。イノベーションの創出に成功した企業の取り組みも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

イノベーションとはなにか?

イノベーションは、ラテン語の「innovare」に由来します。イノベーションは一般的に「新しくする」「一新する」といった意味で用いられ、「技術革新」と訳される場合もあります。 ビジネスにおけるイノベーションとは、「これまでにない新しい製品やサービスを生み出し、世の中にインパクトを与えること」です。 組織のあり方や仕組み、ビジネスモデルなどを対象として、イノベーションは引き起こされます。イノベーションが生み出した新しい考え方や価値観は、企業の枠を超えて社会にまで影響をもたらします。なお、経済産業省は、イノベーションを以下のように定義しました。

「研究開発活動にとどまらず、
1.社会・顧客の課題解決につながる革新的な手法(技術・アイデア)で新たな価値(製品・サービス)を創造し
2. 社会・顧客への普及・浸透を通じて
3. ビジネス上の対価(キャッシュ)を獲得する一連の活動を「イノベーション」と呼ぶ」
※引用:イノベーション100委員会レポート|経済産業省

イノベーションとブレイクスルーの違い

ブレイクスルーは困難な状況を突破するという意味で使われますが、イノベーションには「現状打破」の意味合いは含まれません。 また、イノベーションとブレイクスルーでは、アイデアの規模も異なります。 ブレイクスルーから生まれるアイデアは、影響を及ぼす範囲が、企業内や部署内など限定的です。一方、イノベーションでは、広く社会のあり方を変えるような、影響力の強いアイデアが生まれます。

イノベーションが重要視されている背景

イノベーションが重要視されている背景は、4つ挙げられます。

・大きな経済効果が期待できる
・技術革新・価値観の変化によりビジネス環境が変化している
・人手不足が企業の課題となっている
・国内市場の縮小と価値観の多様化

近年のビジネス環境を取り巻く状況と、イノベーションの必要性について、以下で詳しく解説します。

大きな経済効果が期待できる

イノベーションが重要視されている理由のひとつが、経済効果です。イノベーションにより新しいビジネスモデルを確立すると、市場を独占できます。後続の企業が参入しても、その分野の先駆者としてのイメージを確立できれば、引き続き多大な利益を獲得できます。

技術革新・価値観の変化によりビジネス環境が変化している

目まぐるしい速度で変わるビジネス環境に適応するためにも、イノベーションは必要です。近年、AIやIotなどの最新技術が普及し、消費者の価値観は多様化しました。これまでのビジネスモデルを続けても、ビジネス環境の変化に対応できません。場当たり的に業務効率化やコスト削減を追求するだけでは、市場競争の波にのまれてしまうでしょう。 市場競争に打ち勝っていくには、他社では実現が困難なイノベーションを起こし、新しい市場開拓が必要となります。

人手不足が企業の課題となっている

人手不足の解消に向けて、イノベーションに取り組む企業もみられます。近年は少子高齢化が深刻化しており、労働人口が減少しています。1人あたりに任せられる仕事量には限界があるため、注意が必要です。従業員に過度な負担を強いると、生産性や心身の健康に影響が出かねません。 生産性向上という観点からイノベーションを起こすと、企業全体の省人化につながり、人手不足の解決をもたらします。


国内市場の縮小と価値観の多様化

日本市場の縮小に対応するためにも、イノベーションが必要です。人口減少により市場が縮小すると、国内市場だけでは十分な利益を得られないかもしれません。事業を継続するためには、海外進出も視野に入れた、新たなビジネスモデルが望まれます。また、消費者の価値観の多様化に対応するためにも、イノベーションは不可欠です。個々の消費者にマッチする商品やサービスを生み出せると、ビジネスを効率的に進められます

イノベーションの種類

イノベーションの種類は、提唱者によって分類の仕方や意味が異なります。
・ヨーゼフ・シュンペーターによる分類
・クリステンセンによる分類
・ヘンリー・チェスブロウによる分類

以下で詳しく解説します。

ヨーゼフ・シュンペーターによる分類

オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは、「経済的発展にはイノベーションが欠かせない」と言及しました。ヨーゼフ・シュンペーターは著書「経済発展の理論」でイノベーションの5つの分類を、以下のように示しました。
  • ・プロダクト・イノベーション
  • ・プロセス・イノベーション
  • ・マーケット・イノベーション
  • ・サプライチェーン・イノベーション
  • ・ オーガニゼーション・イノベーション

プロダクト・イノベーションとは、世の中にないサービス・製品を開発して新しい価値を提供することです。かつての洗濯機や冷蔵庫、自動車などの誕生は、プロダクト・イノベーションを巻き起こしました。近年では、スマートフォンやパソコンなどがプロダクト・イノベーションの一例として挙げられます。 プロセス・イノベーションは、「生産工程」や「流通」に関する、革新的な仕組みの構築です。既存業務の課題に着目すると、プロセス・イノベーションの方向性が明確になります。例えば、作業効率に問題のある手作業を、産業用ロボットで自動化すると、省人化や生産性向上が可能です。

マーケット・イノベーションとは、これまでの事業で培ったノウハウやスキルをベースに、新規市場に参入することです。自社の強みを活かせる市場でビジネスを展開できると、差別化により利益を拡大できます。 例えば、ゲームアプリは、マーケット・イノベーションの一例です。 従来のゲームは、専用のゲーム機でしかプレイができませんでした。しかし、いくつかのゲーム会社はスマートフォンでゲームをプレイできる仕組みを作り、利益を拡大させています。大勢の人が所有するスマートフォンに目をつけたことが、マーケット・イノベーション成功のポイントです。

サプライチェーン・イノベーションとは、物流や原材料などを見直したり、新しく開拓したりすることです。モバイルオーダーの導入や、仲介業者を介さずに商品を販売するD2Cへの参入などは、サプライチェーン・イノベーションの一例です。

オーガニゼーション・イノベーションは、企業の組織体系の見直しです。オーガニゼーション・イノベーションは企業に大きな影響を与え、前述の4つのイノベーションを促進する社内風土を作り上げます。オーガニゼーション・イノベーションの例としては、トップダウン型からボトムアップ型への転換、社内ベンチャー制度の導入などが挙げられます。


クリステンセンによる分類

クリステンセンはアメリカの経営学者であり、ハーバード・ビジネス・スクールの教授を務めた実績もあります。クリステンセンは、著書「イノベーションのジレンマ」のなかで、イノベーションを以下の2つに分けて定義しました。

  • ・破壊的イノベーション
  • ・持続的イノベーション

破壊的イノベーションは、既存の枠組みを破壊し、業界の常識を覆すほどの変化をもたらします。破壊的イノベーションには、「新市場型破壊」と「ローエンド型破壊」の2種類があります。

新市場型破壊は、これまでにない価値観を生み出して、新しい市場を創出するイノベーションです。例えばポータブルオーディオプレイヤーの誕生は、新市場型破壊といえます。外出中に音楽を楽しむという価値観から、新たな市場が創出されました。

ローエンド型破壊は、低価格で商品やサービスを提供するイノベーションです。 高額な物として扱われていた商品やサービスを手軽に購入できると、顧客層が広がります。ファストファッションブランドや100円ショップなどは、ローエンド型破壊の例として挙げられます。

持続的イノベーションは、創造的イノベーションとも呼ばれます。破壊的イノベーションは新興企業によって引き起こされますが、持続的イノベーションの主導者は、市場で長らく活躍する既存企業です。持続的イノベーションの目的は、顧客満足度の向上とリピーターの獲得です。持続的イノベーションは、既存製品をベースにした改革であり、顧客の意見や要望を取り入れながら進められます。なお、持続的イノベーションに打ち込む一方で、破壊的イノベーションをおろそかにする企業もあります。守りの姿勢で市場動向や新技術への注力を後回しにしていると、新興企業に利益を奪われる可能性もあります。このように、持続的イノベーションに取り組む過程で、破壊的イノベーションの種を見逃すことを、「イノベーションのジレンマ」と呼びます。


ヘンリー・チェスブロウによる分類

経営学者のヘンリー・チェスブロウは、ハーバード・ビジネス・スクールの助教授や、カリフォルニア大学バークレー校客員助教授といった経歴があります。ヘンリー・チェスブロウは、著書「オープンイノベーション」で、以下の2つのイノベーションを定義しました。

  • ・オープンイノベーション
  • ・クローズドイノベーション

オープンイノベーションは、外部資源を活用して、自社にないスキルや知見を得る手法です。外部資源は、大学など外部の研究機関や自治体、別業界の企業などとの連携で得られます。ビジネス環境の変化に伴い、企業にはさまざまな資源の投入が求められています。クローズドイノベーションは、自社のみで研究・開発を完結させるイノベーションです。
クローズドイノベーションは、1990年代まで活発に用いられてきました。しかし近年は、クローズドイノベーションのみでは生き残りが厳しくなっています。競争の激化、人材の流動性の拡大などに対応するために、オープンイノベーションにも目を向けましょう。

日本におけるイノベーションの実態

日本におけるイノベーションの実態を、企業の状況と政府の取り組みに分けて解説します。

企業の取り組み

東京商工会議所のデータによると、イノベーション活動に取り組んでいる企業は、全体の73.0%となりました。活動のきっかけには、消費者のニーズへの対応や、競争の激化などが挙げられています。 イノベーション活動によって、ポジティブな効果が得られたと回答した企業は、全体の約95%でした。効果の一例には、競合との差別化や、国内外の販路拡大などがあります。
※参考:「中小企業のイノベーション実態調査」報告書|東京商工会議所

政府の取り組み

政府は、科学技術・イノベーション基本計画を策定しました。基本計画は、以下の3つの柱で構成されています。

・イノベーション力の強化
・研究力の強化
・教育・人材教育

科学技術・イノベーション基本計画の目的は、イノベーションが生まれやすい環境の構築です。AIやIoTといった最先端技術の活用、若手や女性研究者の支援、研究機関の援助、国民の教育水準の底上げなどを通じて、政府はイノベーションを生み出しやすい環境を目指しています。

※参考:科学技術・イノベーション | 内閣府

イノベーションを創出できない原因と課題

イノベーションを創出できない原因と課題は、主に3つです。

・イノベーション創出の目的と方向性が明確ではない
・組織全体で既存の枠組みや常識に囚われている
・イノベーション創出のための環境やリソースが整っていない

以下で詳しく解説します。

イノベーション創出の目的と方向性が明確ではない

そもそもイノベーション創出の目的や方向性が明確でなければ、適切で具体的な計画を立てられません。 イノベーションを成し遂げるには、自社にとって必要な資源や導入のタイミングを検討する必要があるためです。
また、オープンイノベーションの必要性を判断するためにも、イノベーションの目的や方向性を明確にしましょう。オープンイノベーションの必要性は高まっていますが、連携先を見つけることなどに多大な労力が発生します。イノベーションの目的と方向性を明確にしなければ、チャンスを逃してしまうかもしれません。 なお、イノベーションは一時的なものではなく、継続的に取り組むべきものです。新規顧客と市場を常に開拓し続けるには、イノベーションの目的と方向性が明確でなければなりません。時代の変化に取り残されないよう、目的と方向性を見直しつつ、取り組みを継続しましょう。

組織全体で既存の枠組みや常識に囚われている

固定観念にとらわれていると、イノベーションの創出は阻まれます。イノベーションを起こすためには、これまでのやり方や価値観をいったん手放して、新しい情報を取り入れていかなければなりません。しかし、意識しなければ、今まで通りのやり方に疑問を持てず、事業が伸び悩んでしまいます。

失敗を恐れずチャレンジする従業員を増やすには、経営層がリーダーシップを発揮して、自らイノベーションに取り組む姿勢を見せましょう。新しいチャレンジが推奨されることを察知すると、従業員は積極的にイノベーションに関わろうと考えるようになります。 環境やリソースに問題がある企業も、イノベーションの創出が難しくなります。上述のように、イノベーションを創出するためには、リーダーシップを発揮する経営層が欠かせません。現場の状況を踏まえた上で、新しい価値観を提案できる従業員も必要です。 また、イノベーションにあたって必要な資源や導入のタイミングを決めるには、コストや情報などのリソースも重要です。リソースが整っていなければ、アイデアを事業化できずにイノベーションが頓挫してしまいます。事業化のためのプロセス、必要な人材や設備、不足している情報、コストなどを明確にした上で、事業化に取り組みましょう。

企業がイノベーション創出を成功に導くためのポイント

企業がイノベーション創出を成功に導くためのポイントは3つあります。
・イノベーションマネジメントのための人材を育成する
・経営層から意識改革を図り、組織のあり方を見直す
・常にアンテナを張り時代や世の中のニーズを探る
以下で詳しく解説します。

イノベーションマネジメントのための人材を育成する

上述したとおり、イノベーション創出のためには能力のある人材が必要です。自社で定期的に研修を実施したり、講座の受講を促進したりして、人材育成に取り組みましょう。イノベーションの創出に効果的な研修として「リーダーシップ研修」が挙げられます。 ユーキャンのリーダーシップ研修 は、実在するリーダーの考え方や行動を通じて、実践的なリーダーシップが身につきます。イノベーションの創出において、企業理念を理解する重要性を確認できます。さらに、ストレングスファインダー(R)により、自分自身の強みを理解することも可能です。

経営層から意識改革を図り、組織のあり方を見直す

イノベーションを起こすには、経営層から意識改革を行い、従業員に向けて新しい理念や方向性を提示していくことも大切です。「失敗したら悪い評価がつきそう」「二度とチャレンジを許されないかもしれない」などと考えるような環境では、イノベーションの創出は阻まれます。
経営層の意識改革により、組織全体が変化を恐れない体制になれば、新しいアイデアが生まれやすくなります。

常にアンテナを張り時代や世の中のニーズを探る

イノベーションを起こすには、「消費者や顧客のニーズにマッチしているのか」という視点も大切にしましょう。イノベーションにとって、革新的なアイデアはもちろん重要ですが、ビジネス環境への理解がなければ、事業展開は難しくなります。
実現可能なアイデアを得るには、常に時代の変化を読み取り、積極的に情報収集していく必要があります。

イノベーション創出のための取り組み事例

イノベーション創出のための取り組み事例を4つ、紹介します。

・大手フリマアプリを運営するA社
・大手化学メーカーのB社
・大手化学メーカーのC社
・大手通信事業者のD社

以下で詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

大手フリマアプリを運営するA社

大手フリマアプリを運営するA社は、スマートフォン普及の波に乗り、「中古品EC」という新しい市場を創出しました。フリマアプリをプラットフォームとしてCtoCで売買するビジネスモデルは、中古品業界のあり方に大きな影響を及ぼしました。 また、A社は、経営層や従業員が社内でオープンにコミュニケーションをとれる環境を構築し、スピーディーなイノベーションが生まれる体制を実現しています。

大手化学メーカーのB社

大手化学メーカーのB社は、業績低迷を受けて、市場ニーズを起点に組織構造の変革を実施しています。「モビリティ」「ヘルスケア」「フード&パッケージング」の3領域に研究対象を集中させ、既存技術とITを組み合わせた新しい価値の創出に成功しました。 なお、B社は戦略的なオープンイノベーションに取り組んでいます。社外の連携先に協力してもらうだけではなく、自社の技術やリソースを外部に提供するスタートアップ支援にも前向きです。

大手化学メーカーのC社

大手化学メーカーのC社は、既存技術を活かして事業領域を拡大しました。C社が作り出した、糸に銀メッキを施した機能繊維は、抗菌靴下や、着衣型ウェアラブルデバイスなどに展開されています。
着衣型ウェアラブルデバイスは、データの収集から解析をワンストップで実行することが可能です。得られたデータは健康・医療・製造など多方面での活用が見込まれます。

大手通信事業者のD社

大手通信事業者のD社は、従来の通信事業で培ったノウハウを活かして、「スマートライフ事業」を展開中です。スマートライフ事業では、動画・音楽・電子書籍などのコンテンツ配信や、決済サービスなどが提供されます。
D社には、オープンイノベーションを促進する独自の新規事業創出プログラムを作りました。プログラムではパートナー企業とチームを組み、顧客の検証にもとづく改善を繰り返して、事業化を推進しています。

まとめ

変化のスピードが速いビジネス環境を生き抜くには、イノベーションの創出が不可欠です。イノベーションの創出に難航する企業は、イノベーションの目的と方向性を明確にしましょう。また、 イノベーション創出を成功に導くには、人材育成も重要です。
ユーキャンは、法人向け人材育成・社員研修サービスを提供しており、取引実績は5,000社を超えました。丁寧なヒアリングでお客さまの課題を抽出し、状況に応じた提案をします。 イノベーション創出に向けた人材育成を検討中の人は、ユーキャンのリーダーシップ研修を、ぜひご活用ください。

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