育成とは? 指導との違いや失敗してしまう3つの原因、成功のポイントも解説

  • 公開日:2022.09.26

    更新日:2023.01.05

    人材育成とは、中長期的な視点で従業員を育てることです。従業員のモチベーションや企業の生産性向上に重要な役割を果たします。この記事は企業の人事担当者に向け、人材育成について解説します。失敗してしまう3つの原因や成功のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

育成とは

育成とは、育て上げること、育てて立派にすることです。中長期的な視点で成長を促すため、社会の一員として育てるという意味合いが込められています。企業の人材育成は、自社の戦略達成や事業存続を目的に行われます。従業員に能力を最大限に発揮してもらうことで、生産性を向上し、利益の最大化を目指します。

指導との違い

育成と指導の違いは、時間軸とアプローチです。指導とは、ある目的や方向に向かって教え導くことです。目先の業務を解決するために、短期的な視点で仕事をインプットします。一方、育成は長期的な視点で、対象者が気づきを得て能力開発ができるよう、アドバイスや方向づけを通じてアプローチします。

育成の効果

育成によって、従業員のモチベーションや生産性が向上します。ここでは、育成の効果について解説します。

従業員のモチベーション向上

育成により知識やスキルが身につけば、従業員の仕事のモチベーションが向上します。以前より自信がついたり、スムーズに業務が進められたりすると、仕事の楽しさや達成感を味わえます。やりがいを持つ従業員は企業への満足度が高いため、離職率の低下につながります。優秀な人材を流出させず、採用コスト削減にも貢献します。

生産性向上

従業員のスキルが上がり、能力を発揮できるようになると生産性向上が期待できます。従業員を適材適所に配置して1人ひとりが能力を発揮すれば、企業が実現できることが広がり、企業の成長につながります。人材を効率的に活用するためには、中長期的な視点の育成が欠かせません。

具体的な育成方法と選び方

育成方法は複数あり、自社に合わせた方法をメリット・デメリットから検討する必要があります。ここでは、主な3つの育成方法について解説します。

OJT

OJTとはOn the Job Trainingの略称で、職場で行われる訓練です。先輩や上司が教育担当者となり、マンツーマンで仕事を見せ、説明し、その後に部下が実践し、教育担当者が評価・指導するという4つのサイクルで進めます。

OJTは細やかなフォローが可能で、仕事のノウハウを身につけやすい点がメリットです。ただし教育担当者に負担がかかることや、教育担当者によって教え方に違いが出たり、成長度合いに差が生じたりすることがデメリットです。
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OFF-JT

OFF-JTとは、Off The Job Trainingの略称で、職場外で行われる訓練です。新入社員研修や管理職向け研修など、経験・スキル・階層に応じた対象者を集めて集合研修を行います。

現場では学びにくい知識やスキルを身につけることを目的にすると、大人数に一度に同一内容の研修ができます。普段業務で交流が少ない従業員同士が集まれば、情報交換の場としての役割も持ちます。一方、OFF-JTは外部講師に依頼する費用や会場費などのコストがかかります。

自己啓発

自己啓発とは、スキルやメンタルの成長を目指して、自主的に従業員がスキルアップする方法です。勉強方法は、読書や資格取得、セミナーの参加、専門学校への通学などがあり、自由度の高さが特徴です。従業員が自己啓発に取り組みやすいよう、情報提供や費用負担によりサポートする企業もあります。

自発的に学ぶため身につきやすく、セルフマネジメント力が養えます。一方、従業員のモチベーションにより個人差が生じてしまうというデメリットがあります。

育成が失敗してしまう原因

育成で失敗してしまうケースも少なくありません。ここでは主な原因について解説します。

コミュニケーションが不足している

育成が失敗するケースの多くは、上司と部下のコミュニケーション不足が原因です。通常業務の忙しさやテレワークの普及により、十分な会話の時間が確保できないと、上司への信頼が薄れ、部下のモチベーションは低下します。定期的にミーティングを行う、毎日業務報告をさせるなど、日常的な時間の確保が重要です。

過度に指示を与えている

必要以上の場面で過度に指示を与えると、育成につながりません。いつでも考え方や進め方の指示が与えられる状況では、部下は受け身になり、成長できなくなります。緊急度の高い業務やイレギュラー対応では指示が必要ですが、通常業務を進める場合は、考える余地を残して伝えることが必要です。

上司側の知識・スキルが不足している

上司側に知識・スキルが不足していると、自身の経験にもとづく自己流の部下育成になる傾向があります。人材育成の効果が限定的になったり、共感できない部下にとって、モチベーション低下の原因になったりします。育成の大きな効果は期待できないため、上司がリーダーシップやコーチングなどを学ぶ必要があります。

育成の課題を解決する方法

育成の課題を解決するには、各部署の課題・現場の声の把握や、目標の明確化が欠かせません。

各部署の課題・現場の声を把握する

各部署にヒアリングし、現場の課題を把握しましょう。業務ごとにセクション化が進んでいる企業では、とくに経営陣や人事担当者が知らない実態の確認が重要です。年齢・性別・役職などさまざまな階層の従業員からヒアリングし、実情を吸い上げます。組織全体、個人に不足するスキル・能力を洗い出し、一覧にまとめます。

目標や方向性を明確にする

現状の課題から、優先順位を決めて目標を設定します。たとえば「2030年に従業員◯人で売上◯億円達成」という目標を立てたら、年齢・役職・スキル別の具体的な社員構成や、数年ごとの通過目標を数字に落とし込み、育成計画を立てます。段階的な目標を設定すると、部下のモチベーション向上に効果的です。

育成を成功させるポイント

育成を成功させるには、自発性を高める環境と全社の意識が重要です。育成を成功させるポイントについて解説します。

自発性を高める環境を作る

育成を成功させるには、従業員が自ら成長したいという自発性を高める環境作りが重要です。人事部の役割は、評価制度の見直しや、書籍購入制度やeラーニングの導入などの仕組み作りを通じて学習をサポートする環境整備を行うことです。

学習機会・成長機会を提供する企業は、従業員にとって満足度が高く、モチベーションの向上につながります。人材育成の成功のみならず、優秀な人材の流出防止にも効果的です。

全社で育成する意識を持つ

育成の重要性を共有し、全社で育成する意識は非常に重要です。人事担当者や教育担当者だけでなく、対象部署以外にも現場全体・部門全体を巻き込んで進める必要があります。幹部や管理職の意識改革を行い、育成方針を広く浸透させ、全社で人材を育成する風土を作りましょう。

中長期的な視点で取り組む姿勢が必要であることを理解し、同じ目標を目指す風土が根づけば、企業内の雰囲気改善や組織活性化、モチベーション向上が期待できます。

まとめ

企業において人材育成とは、自社の戦略達成のために欠かせない施策です。育成方法にはさまざまな手法があるため、自社の課題に合わせた手法を選びましょう。自社だけでの取り組みに不安を感じる場合は、外部研修の利用もおすすめです。

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