モラハラとは?職場における実態や事例、対処方法を解説 !

モラハラとはなに?

モラハラとは「モラルハラスメント」の略称です。モラルとは道徳や倫理を意味し、ハラスメントは嫌がらせを意味します。 モラハラは、殴る、蹴るなどの直接的な暴力行為を伴いませんが、人の尊厳を傷つけて精神的に追い詰めるような行為です。モラハラの例は職場における意図的な無視行為や暴言、理由なく不機嫌な態度をとる行為などです。モラハラが生じていると業務が適切に進められず、企業における生産性低下や離職の原因となります。

モラハラとパワハラ・セクハラとの違い

パワハラとは職場で上司や先輩が職権や上下関係の力(パワー)を悪用し、身体的、精神的な嫌がらせする行為です。地位や立場を利用して威圧的な態度をとったり、侮辱したり、プライバシーを侵害する行為などが該当します。嫌がらせに性的な側面があればセクハラとなります。必要なく身体に触れたり、性的な言動をしたりすればセクハラといえるでしょう。モラハラは職場だけではなく、家庭や友人関係でも発生する、精神的に苦痛を与える嫌がらせに近い言動や行為です。

職場におけるモラハラの実態について

瓦版「働き方白書」によると、職場で嫌がらせを受けた経験がある人は全体の90%にものぼります。嫌がらせのなかではモラハラが80%以上を占め最多です。 職場におけるモラハラの解消は、優先して取り組むべき課題だといえるでしょう。 2位以降はエイジハラスメント、セクハラ、アルコールハラスメント、スモークハラスメントなどが続きますが、どれも3割以下にとどまっています。
※参考:職場で嫌がらせを受けたことがある人は、なんと90% | 瓦版

職場でモラハラが発生・放置することのリスク

職場でモラハラが発生したり、それを放置したりしている場合、企業にはさまざまなリスクが生じます。モラハラは退職者の増加や職場環境配慮義務違反、企業のイメージダウンなどにつながり、業績低下の原因となりうるものです。それぞれについて解説します。

退職者の増加につながる

モラハラを放置していると退職者の増加につながります。モラハラによって精神的な苦痛を継続的に受けている従業員は、心身の健康を損ない離職を考えるようになるでしょう。また、モラハラは直接的な被害者だけでなく、周囲の従業員にも悪影響を与えます。職場の雰囲気の悪さを理由に転職する従業員が増えれば、企業は人手不足に陥るかもしれません。優秀な人材ほど次の就職先も早く見つかるため、退職する可能性が高いといえます。

職場環境配慮義務違反になる

企業がモラハラに対して適切な対処をせず放置していると、職場環境配慮義務違反となる恐れがあります。職場環境配慮義務とは、事業者が従業員に対して快適な職場環境を提供する義務です。企業が職場環境配慮義務を果たさず、従業員が病気や怪我、精神疾患になると、訴訟によって法的な責任を問われ、損害賠償請求を受ける可能性があります。

企業のイメージダウンにつながる

モラハラが発生した事実が公に知られると、企業のイメージダウンにつながります。 モラハラが訴訟問題に発展すれば新聞やニュースで報じられ、多くの人に知られることになるでしょう。モラハラが横行し、放置している企業だと見なされると、職場の問題改善に取り組まない印象を持たれるかもしれません。イメージダウンによって売り上げが落ち業績が低下したり、採用活動でも人材が集まりにくくなったりと、モラハラは企業の活動に悪影響を及ぼします。

職場でモラハラの被害者になりやすい人の特徴

職場でモラハラの被害者になりやすい人には、いくつか特徴があります。 例えば自己主張が得意でない人や、真面目で責任感が強い人、場の空気や相手の気持ちを過度に察してしまうような人では、モラハラの対象になりやすいでしょう。それぞれについて解説します。

自己主張が苦手な人

自己主張が苦手な人はモラハラの対象になりやすいといえます。普段から大人しく従順な態度の人は、モラハラの加害者に理不尽な言動をされても反論できず、被害者となる可能性が高いでしょう。自己主張が控えめな人は暴言を吐かれたり、理由なく不機嫌な態度をとられたりしても、「自分が悪い」と考える傾向があり、あまり言い返しません。毅然とした態度をとったり、周囲に助けを求めたりしないことで、モラハラが助長される場合もあります。

真面目で責任感が強い人

真面目で責任感が強い人は、モラハラの加害者による理不尽な要求に対して、自分を犠牲にしてでも応えようとする傾向があります。しかし、努力して期待に応えようとしても、加害者による要求が増えてモラハラが悪化するケースもあります。また、トラブルが起きた際、自分には落ち度がなくても自責の念を感じ、加害者からの叱責を受け入れてしまう場合もあります。真面目だと仕事に対する責任感を利用され、モラハラのターゲットになりやすいでしょう。

場の空気や相手の気持ちを過度に察してしまう人

場の空気や相手の気持ちを過度に察し、自分の意見よりも相手の意見を優先させる人はモラハラの被害者になりやすい傾向です。他者の顔色をうかがいながら行動していると、モラハラの加害者による理不尽な言動を受け入れてしまい、相手がつけ上がる原因になります。被害を受けるうちに萎縮してしまい、さらに言いたいことが言えなくなってしまうと、モラハラの被害が悪化するケースも少なくありません。場の空気や相手の気持ちを重んじる丁寧さは大切ですが、程度が適切でないとモラハラの対象となってしまいます。

職場でモラハラの加害者になりやすい人の特徴

職場でモラハラの加害者になりやすい人には特徴があります。例えば自分が正しく優れていると思い込んでいる人や、過去に同じような体験をした人、他人の気持ちを理解できない人や平気で嘘をつく人などは、モラハラの加害者になる可能性が高いでしょう。 それぞれについて解説します。

自分が正しい・優れていると思い込んでいる人

自分が正しい・優れていると思い込んでいる人は、他者が間違っている・劣っていると決めつけているため、結果的にモラハラの加害者となりやすい傾向です。自信過剰な人は自分の言動が間違っているとは考えないため、他者に対して理不尽な要求をするケースが見られます。また、反対に自信のなさから他人に攻撃し、自分を強く見せて優位に立とうとする場合もあります。

過去に同じような体験をした人

モラハラの加害者自身が、過去に同じような体験をしている場合もあります。職場や家庭でモラハラの被害を受けて精神的な傷を負っていると、それを克服するために、より立場の弱い人をターゲットにすることも珍しくありません。また、モラハラの被害によって道徳観が歪んでしまっているケースもあります。強いストレスを受けた経験から攻撃的な態度になっていることが考えられるでしょう。

他人の気持ちを理解できない人

他人の気持ちを理解できない人は、自分の言動による他者への影響が想像できず、結果としてモラハラの加害者になる場合があります。他人の気持ちが分からないと、自分の視点からしか物事を見られないため、人を傷つける発言をしやすくなるでしょう。自分の言動が他者を傷つけていると気づかないケースもあれば、気づいていても相手に非があるから仕方がないと改善しないケースもあります。自分と他人の違いを受け入れられない人は、他人の気持ちを大切にしないためモラハラにつながります。

平気で嘘をつく人

モラハラの加害者のなかには、平気で嘘をつく人も少なくありません。嘘をつく行為への罪悪感がないと、たとえ虚偽の発言によって周囲の人が被害を受ける可能性があっても、平気で自分に都合がいいことが言えます。嘘のなかにはすぐにバレるものもあれば、周囲からは気づかれない巧妙なものもあります。バレずに嘘をつくのが得意な加害者のケースでは、モラハラが表面化されにくく被害が大きくなりやすくなります。

モラハラとはどんな行為?具体例を紹介

モラハラとは具体的にどのような行為なのか、主な例として無視、集団からの切り離し、過干渉、業務妨害などについてそれぞれ解説します。

無視による嫌がらせ

職場における特定の人への無視は、モラハラに該当する場合があります。例えば挨拶を意図的に返さなかったり、話しかけても返答しなかったりする行為を継続していれば、被害者は萎縮してしまうでしょう。話しかけにくい雰囲気が形成され、業務に必要なコミュニケーションも取りづらくなります。

集団からの切り離し

集団からの切り離しとは、特定の人を輪に入れず孤立させる行為です。例えば、会議やミーティングに1人だけ誘わない、ランチや行事の際に声をかけないといった行動が該当します。1人を意図的に仲間はずれにしていると、業務でのチームワークにも支障が生じ、適正な進行が妨げられます。

プライベートへの過干渉

プライベートへの過干渉もモラハラの1つです。例えば 従業員の家庭の事情や恋愛事情、終業後や休日の過ごし方を過剰に聞き出そうとすれば、モラハラとみなされるでしょう。 プライベートを侮辱するような場合だけではなく、悪気なく周りに言いふらすこともモラハラに該当します。

業務への妨害

業務への妨害につながる行為もモラハラとなります。例えば、業務に必要な情報が意図的に共有されなければ、被害者の業務の進行が滞ってしまうでしょう。ひとりでは終わらせられないような、現実的ではない量の仕事を任せる場合や、特定の人にだけ不必要な残業を命じる場合もモラハラに該当します。業務を妨害するようなモラハラは被害者だけでなく、会社全体の生産性低下につながります。

モラハラが発生しやすい職場の特徴

被害者・加害者の性格だけでなく、職場の特徴もモラハラの発生に関連があります。 社内コミュニケーションが乏しい職場では、従業員同士が適切な距離感の関係を築きにくく、モラハラが起こりやすくなるでしょう。 また、モラハラの被害者が周囲に相談しづらく、問題が気づかれにくくなります。上下関係が厳しい職場で、上司や先輩の指示が理不尽であっても、部下や後輩が従わざるをえない状況になりモラハラの発生につながります。

職場でのモラハラの対処法・改善策

企業のモラハラ解消のためには、人事担当者の適切な対処が重要です。人事担当者が知っておきたいモラハラの対処法・改善策をいくつか紹介します。

講座や研修で正しい知識を身につける

職場におけるモラハラ解消のためには、まずは人事担当者が正しい知識を身につける必要があります。また、現場の従業員がそれぞれモラハラについての知識を得れば、モラハラが起こりにくく、発生した場合でも適切に対処できれば被害を抑えやすいでしょう。モラハラを含む職場の人間関係については、外部の専門機関に講座や研修を依頼するのがおすすめです。ハラスメントに関する正しい知識、最新の内容が学べ、実用的なノウハウが身につきます。

例えば ハラスメント防止コミュニケーション講座 では、パワハラの判断基準やパワハラとならない指導方法、職場の雰囲気作りの方法などが学べます。

事実確認を行い証拠を集める

社内でモラハラが生じている可能性があるなら、断片的な情報から状況を判断してしまわず、しっかりとした事実確認が重要です。モラハラの判断には証拠が必要なので、被害者や周囲の従業員から、メールや電話のやりとりなどの証拠資料を提出してもらいましょう。証拠資料や現場へのヒアリングなどを合わせて状況を把握し、判断する必要があります。事実確認した結果モラハラと判断されるなら、加害者に対する直接の指導や、再発防止のための対策が必要です。

被害者と加害者と距離を置くよう工夫する

事実確認によってモラハラが起きていると判断された場合は、被害者と加害者と距離を置くよう工夫しましょう。被害者が業務を続けパフォーマンスを高めるためには、加害者から離れる必要があります。例えば配置転換によって被害者と加害者の職場を分ければ、被害者が安心して働き続けられます。配置転換はパワハラの当事者だけでなく、周囲の従業員にも影響があるため、協力してもらえるよう理解を得ることが重要です。

相談窓口を設置する

モラハラを早期発見し適切に対策するには、社内での相談窓口の設置がおすすめです。 誰もが相談しやすい職場環境を整えれば、被害を最小限に抑えやすくなります。相談窓口の設置は社内で実施する他、外部の専門機関への依頼も可能です。モラハラの相談はセンシティブな内容なので、社内の人には知られたくないと感じる従業員も少なくありません。専門機関による相談窓口なら、より被害者が利用しやすくなるでしょう。

職場でモラハラ対策する際の注意点

職場でのモラハラ対策では多角的、かつ継続的な取り組みが求められます。1つの取り組みのみに力を入れるのではなく、定期的な研修実施や相談窓口の設置など、複数を組み合わせることが重要です。人間関係が生じる環境では、いつモラハラが起きるか予測できません。雰囲気が良好だった職場でも、状況の変化によってバランスが崩れ、モラハラが引き起こされるケースもあります。現時点でモラハラの問題がなくても、対策の継続が重要です。

まとめ

モラハラは企業にとって多くの問題を引き起こします。被害者の業務効率が低下し、退職につながるだけでなく、企業全体の生産性も下げる原因となります。職場におけるハラスメントのなかでも、モラハラは特に発生しやすい問題です。 モラハラの解消には対策の実施とともに、モラハラに対する従業員の意識向上が重要です。
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