リーダーシップとは?種類や特徴から学ぶ、組織力を高める実践的な方法

  • リーダーシップとは?種類や特徴から学ぶ、組織力を高める実践的な方法

    公開日:2022.12.20

    更新日:2025.09.22

    会社やグループなどの組織にとってリーダーシップを持つ人材がいるかどうかは、重要なポイントです。リーダーシップの有無は、組織の目標達成を左右する1つの要素といえます。この記事では、リーダーシップの概要や、リーダーシップスキルの習得方法を解説します。リーダーシップ理論やリーダーシップの発揮に必要な行動も解説するので、社内の人材育成の参考にしてください。

リーダーシップとは?

リーダーシップは、組織を統率し、導く能力を指す言葉です。規模の大きさにかかわらず、会社のプロジェクトや企画、部署などで掲げる目標の達成に必要な能力になります。リーダーシップを持つ人材は、自ら目標設定を行い、組織が向かうべき方向に導ける能力があります。意見や考え方の違うメンバーをまとめるために、リーダーシップは必要不可欠です。

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップとマネジメントは意味合いが似ており、混同されることがあります。
リーダーシップは、向かうべき方向性・ゴールへのビジョンを明確にし、チームや仲間を率いて目標達成へと向かっていく能力のことです。チームを主導して引っ張っていく力がリーダーシップであり、新しいことへの挑戦、創造する際に発揮される力です。マネジメントは、方向性やビジョンを明確にするという点では同じですが、目標達成のための手段を提示し、チームや部下の働きを管理する点に違いがあります。マネジメントでは、目標達成のための具体的な戦術を提案し、確実に目標を達成するためにリソースの管理、役割分担などを決めます。リーダーシップは大きな目標に向かって、長期的な視点で物事を見据え、率先して人を引っ張っていく点が特徴です。一方、マネジメントでは長期的な視点はもちろん、短期的な視点も交えつつ、現実的な手順と手段を考慮して、物事を進めていく点が特徴です。チームを運営していくには、リーダーシップで周囲の味方を引っ張っていくと同時に、マネジメントで計画の細かな修正や変更を行いつつ、ひとりひとりが最大限の力を発揮できるようにサポートしていくという両輪の働きが必要となるでしょう。

※参考:マネジメントとは?|ユーキャンの法人向け人材教育サービス

リーダーシップとフォローアップの違い

リーダーシップとフォローアップの違いを知るには、それぞれの特性を理解する必要があります。リーダーシップの特性には、ビジョンの提示・共有、意思決定、動機付け(モチベーションアップ)、課題発見・解決などがあります。これらはリーダーがチームメンバーを率いて、共通した目標を達成するために必要となるものです。例えばリーダーの持つビジョンをメンバー全員が明確化し、共有することで具体的なプロセスをイメージしやすくなります。プロセスが明確になれば、ゴールまでに発生する課題と解決方法が割り出しやすくなり、リーダー自身の意思決定能力も高まります。一方、フォローアップは特定の物事の進捗や効果を定期的に確認し、必要ならアドバイスを行って改善を目指すものです。リーダーがメンバーをフォローアップすることで、メンバーの帰属意識を高めて関係性が良好になり、生産性の向上や離職率の低下といった効果も期待できます。リーダーに求められるのはリーダーシップだけでなく、メンバーに対するフォローアップも含まれます。どれほどリーダーシップに優れた人がいても、フォローアップを怠ればメンバーのモチベーションは低下し、円滑なチーム運営が難しくなるからです。

優れたリーダーに求められる素質とは?

優れたリーダーに求められる素質は多岐にわたりますが、特に重要なのは以下の5つです。
・ビジョン構築力:組織やチームの目指す方向性を明確に描き、周囲に共有する力。
・決断力:不確実な状況でも情報を整理し、迅速かつ責任を持って判断する力。
・共感力:メンバーの気持ちや立場を理解し、信頼関係を築くための土台。
・柔軟性:環境や状況の変化に応じて対応を変えられる適応力。
・コミュニケーション力:的確に意図を伝え、対話を通じて合意を形成する力。
これらの素質は、リーダーとしての信頼を高め、組織の成長と成果を導く基盤となります。

リーダーシップの必要性

企業・組織がビジネスを進めていくにあたり、リーダーシップは欠かせないものです。リーダーシップが必要とされる理由には、次の点があるからです。

・目標達成への推進力が高まる
・時代に適応したイノベーションが生まれる
・組織のモチベーションが高まる
・効果的な意思決定につながる
・メンバーの協力関係が強固になる

リーダーシップを持つ人が組織やチームにいることで、達成すべき目標に向けた推進力となり、正しい方向性へと導いてくれることが期待できます。ビジネス環境は予測困難な時代(VUCA時代)にあり、世の中の動きを読んで方針を打ち出すリーダーがいなければ、組織もメンバーも身動きができません。組織が成長を続けていくためには、メンバーのモチベーションを高め、効果的な意思決定を行い、イノベーションを起こすことが重要となります。そのため、ビジネス環境が大きく変化し続ける現代こそ、リーダーシップの必要性が高まっています。

組織成長におけるリーダーシップの役割

組織の成長には、各段階に応じたリーダーシップが求められます。スタートアップ期では不確実性が高いため、ビジョンを掲げ迅速に意思決定する「先導型リーダーシップ」が重要です。革新性とスピードが鍵となり、リーダー自身が現場で率先して動く姿勢が求められます。成長期には、事業拡大や組織拡充に伴い、役割分担や仕組み作りを推進する「戦略型リーダーシップ」が必要です。中長期視点での判断力と人材育成力が問われます。成熟期には、既存事業の安定運営と新たな挑戦の両立が課題となるため、変化に対応しながら組織を活性化させる「変革型リーダーシップ」が重要です。このように組織の段階に応じたリーダーの柔軟な姿勢が、持続的な成長を支える鍵となります。

変化の激しい時代に求められるリーダーシップ

VUCA時代(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性が高い時代)においては、従来型の指示・統制型リーダーシップだけでは組織を導くことが困難です。こうした環境下では、柔軟に方針を見直し、状況に応じて最適な判断を下す柔軟性が求められます。また変化を先取りし、中長期のリスクや機会を見通す先見性も重要です。たとえばテクノロジーの進展を踏まえたDX推進や、環境変化に即応する新規事業への挑戦などが該当します。さらに失敗や想定外の事態にも動じず、迅速に対応する適応力は、組織の持続的成長を支える基盤となります。このようにVUCA時代のリーダーには、柔軟で機動的、かつ未来志向の姿勢が重要です。


リーダーシップ理論

リーダーシップを発揮し、チームや組織の目標を達成するには、効率的な方法を選ぶことも重要です。国内・海外で成功しているリーダーと呼ばれる人々も、さまざまなリーダーシップ理論を活用しています。リーダーシップを発揮する方法について紹介します。

PM理論(Performance-Maintenance理論)は、リーダーシップの機能を「目標達成機能(P機能)」と「集団維持機能(M機能)」の2軸で捉え、組織を導くスタイルを4タイプに分類する理論です。P機能は業績向上や目標達成への働きかけ、M機能は人間関係やチームの調和を重視する姿勢を指します。

M機能が高いM機能が低い
P機能が高いPM型(理想的なリーダー)Pm型(成果重視型)
P機能が低いpM型(調和重視型)pm型(リーダー不在型)

PM型リーダーは、目標達成と人間関係の両立を図る理想的なタイプとされます。

PM理論

PM理論(Performance-Maintenance理論)は、リーダーシップの機能を「目標達成機能(P機能)」と「集団維持機能(M機能)」の2軸で捉え、組織を導くスタイルを4タイプに分類する理論です。P機能は業績向上や目標達成への働きかけ、M機能は人間関係やチームの調和を重視する姿勢を指します。

M機能が高いM機能が低い
P機能が高いPM型(理想的なリーダー)Pm型(成果重視型)
P機能が低いpM型(調和重視型)pm型(リーダー不在型)


PM理論とは?リーダー育成のための活用方法、機能の意味と伸ばす方法を解説

特性理論

特性理論とは、過去のデータから優秀なリーダーが共通して持っている資質をまとめたものです。特性理論自体は昔から存在し、大前提として「優秀なリーダーは優れたリーダーシップを持って生まれる」という考えからスタートします。そのため、特性理論においては、優秀なリーダーは育成するのではなく、資質を持つ人を探すことが重要とされています。

行動理論

行動理論では、優秀なリーダーは先天的な資質ではなく、自発的な行動を取ることでリーダーとなるという考えを前提とした理論です。前述の特性理論とは真逆の考えを基盤としており、PM理論も行動理論の1つとされています。行動理論は優秀なリーダーとなるには何をすべきか、課題解決や挑戦といった行動することにリーダーの本質を言及しています。

条件適合理論

条件適合理論は特性理論におけるリーダーの資質と、行動理論におけるリーダーとなるべき行動について深掘りし、どんな仕事を、どんな条件で行うかという細かな部分まで述べた理論です。条件適合理論では「業務への関心度」と「人間への関心度」という2つの軸で調査を行い、リーダーシップについての理解を深めています。

コンセプト理論

コンセプト理論は、ビジネス環境や組織の条件に応じてリーダーシップを5つのタイプに分類する理論です。

・カリスマ型リーダーシップ
高い行動力とカリスマ性で組織を牽引します。ビジョンの表明やリスクを恐れない行動が特徴です。ただし、依存度が高くなる可能性があります。

・変革型リーダーシップ
危機的状況で経営方針を見直し、組織に変化を促すリーダーシップです。コッターの8ステップ理論やティシーの理論が有名です。

・EQ型リーダーシップ
人間関係を重視し、感情的知能指数(EQ)を活用して職場環境を改善します。自己認識、自己管理、社会認識、人間関係の管理が重要です。

・ファシリテーション型リーダーシップ
メンバーの自発的な行動を促進し、意欲と成長を高めます。上下関係を排し、共通の目標に向けたコミュニケーションを重視します。

・サーバント型リーダーシップ
リーダーがメンバーをサポートし、業務効率を向上させます。リーダーの存在は目立ちませんが、最終的な意思決定権は持っています。傾聴、共感、説得など10の属性が特徴です。

リーダーシップの種類

クルト・レヴィンが分類したリーダーシップ

1.専制型リーダーシップ
専制型リーダーシップでは、組織やチームに所属するメンバーは、管理者の指示・命令に従って動くという考えの下、目標設定からスケジューリング、進捗管理まですべての意思決定にリーダーが関与します。
専制型リーダーシップは、リーダーがあらゆる決定権を持っているため、上意下達でスピード感のあるパフォーマンスを発揮できる点がメリットです。
一方でリーダーの権限が強くなりすぎるため、チームメンバーからリーダーへの不信感を強めたり、リーダーへの依存度を高めたりする弊害もあります。また専制型はリーダーの指示が絶対という企業風土になりやすく、ハラスメントを引き起こすリスクもあります。専制型リーダーシップは、組織として成長途中でメンバーの多くが未熟なケース、または緊急性が高い案件でリーダーの指示の下で動く必要があるケースで有効です。

2.放任型リーダーシップ
放任型リーダーシップは、専制型リーダーシップとは真逆で、メンバーのスケジュールや作業工程、目標設定などにリーダーが関与しないタイプのリーダーシップです。メンバーの自発性や専門性が高く、それぞれのメンバーが自身の役割を明確に認識しているケース、または集団として目標を共有できているケースで有効なタイプです。一方で、メンバーの自発性や専門性に任せるという言葉は良さそうに思えますが、リーダーが的確な指示を出せない、または責任を放棄しているとメンバーに受け取られるリスクもあります。個人の能力が求められる集団であれば効果的ですが、チームとしての一体感が必要なケースでは、むしろ生産性を大幅に低下させてしまいます。また、まとまりのない集団で働くことで、メンバーのモチベーションが下がり、組織としての生産性と業務効率が大幅に落ちる可能性が高いことは理解しなければなりません。

3.民主型リーダーシップ
民主的リーダーシップは、組織の方針や目標などをメンバーの意見を元に決定し、作業手順や進め方についてもメンバーの裁量に任せるタイプのリーダーシップです。基本的に決定権がメンバーひとりひとりに委ねられるため、メンバー間の協力関係や協調性を高めやすく、全員で目標に向かう意識付けを行えます。所属するメンバーが自身の裁量で業務を遂行できるため、モチベーションは高くなりやすい一方、意思決定に時間が掛かりやすく、組織規模によっては生産性が低くなることが難点です。しかし、組織規模が大きくなるほど社員ひとりひとりの働きが重要となるため、所属するメンバーが大きくなるほど民主型リーダーシップの方が業務効率が高まります。

ダニエル・ゴールマンが分類したリーダーシップ

1.ビジョン型
ビジョン型は、周囲の人を巻き込み、人や環境などに左右されない価値観と信念を持ったリーダーシップです。組織メンバーを強く導く特徴があり、組織の改革期に役立ちます。提示されたビジョンを組織全体で目指すため、帰属意識を高める効果があります。

2.関係重視型
関係重視型は、友好な人間関係を築き、組織行動を円滑にするリーダーシップです。組織メンバーだけでなく、組織との関係先とも信頼関係の構築を図れます。目標に進むための利害関係を整理し、協力的な行動が求められる場面で効果的です。

3.コーチ型
コーチ型のリーダーは、メンバー個々の性格や能力を活かした方法を実行します。主体性があり、能力も高い組織メンバーが揃う場合に、高い効果を発揮できます。組織メンバーの主体性を発揮させられるため、組織内の人材育成に効果的です。

4.実力型
実力型は、組織のなかでも現場で力を発揮しながら、組織メンバーをけん引するリーダーシップです。周囲のメンバーに実力と結果を示しながら、組織全体のパフォーマンスとモチベーション向上を促します。職種が1つに限られ、実力主義の組織に有効です。

5.民主型
民主型は、組織メンバーの視点に立ち、良好な人間関係を築き維持するリーダーシップです。組織に必要な意思決定に、メンバーの意見を取り入れ、合意を得ながら決断を下します。民主型は、自律性が高く優秀なメンバーが揃う場合に、効果を発揮できます。

6.強制型
強制型は、リーダーの立場から強制力の強い指示命令を行うリーダーシップです。短期的に業務効率を向上でき、成果を発揮しやすい特徴があります。緊急時の早急な意思決定を必要とする場面で、効果的です。

5種類のリーダーシップスタイル

リーダーシップと一言で表現しても、そのスタイルにはさまざまなものがあります。リーダーが組織やチームを率いていくうえで、どんなスタイルのリーダーシップがあるのかを紹介します。

1. ビジョン型

ビジョン型のリーダーシップは、最初に組織やチームの理想の将来像をビジョンとして示し、メンバーはビジョンに向けて行動するスタイルのリーダーシップです。ビジョン型ではメンバーのモチベーションを高めることを重視し、リーダー自身は積極的にメンバーへの指示や行動を指摘しません。そのためメンバーの自発性と自由な発想が組織に変化をもたらし、目標達成へとつながっていくのが特徴です。ただしこのスタイルでは明確な目標設定が重要であり、イメージしやすいビジョンを示せなければメンバーのモチベーション低下の原因となります。ビジョン型のリーダーシップを成功させるには、明確な目標と定量的な指標を設定し、目標の達成状況を数値化していくことが大切です。

2. コーチ型

コーチ型のリーダーシップは、メンバーそれぞれの個性を把握し、能力の向上やスキルの発展を支援することを重視するリーダーシップです。ビジョン型は将来像を示すだけだったのに対し、コーチ型ではメンバーに寄り添い、それぞれとの対話や指導を通して能力を最大限発揮してもらおうとします。コーチ型のリーダーシップで自分の個性や能力、長所に気付くことにより、メンバーそれぞれが役割を分担し、実力を発揮するために自発的な行動を取れるようになります。さらにリーダーは個人の特性を理解できることから、業務管理やマネジメントしやすくなる点も強みです。コーチ型のリーダーシップでは、メンバーとのコミュニケーションと関係構築が鍵であり、すべてのメンバーと平等に接しなければなりません。

3. 親和型

親和型のリーダーシップは、リーダーが独断で意思決定を下すのではなく、メンバーからの意見も取り入れることで組織の判断や重要な決定を行うリーダーシップです。成果よりもメンバー間の人間関係や友好関係、信頼感を重視することから、リーダーには高いコミュニケーションスキルが要求されます。このリーダーシップの下では、メンバー同士の関係が良好になりやすく、新しい発想の登場や意見交換が活性化されます。一方で、目標を達成することよりもその過程を重視する傾向があるため、一定の成果が求められる状況には不向きなスタイルです。

4. ペースセッター型

ペースセッター型のリーダーシップは、リーダー自らが行動して成果をあげることで、メンバーのモチベーションアップと自発的な行動を促すリーダーシップです。元々のパフォーマンス能力が高いメンバーが多い組織で有効なスタイルで、短期的なプロジェクトに向いています。リーダー自身が設定した目標達成のために行動することで、一緒に働くメンバーにも責任感や当事者意識を芽生えさせることができます。ただしペースセッター型はパフォーマンスが高く、意欲もあるメンバーが多いケースで有効なリーダーシップです。メンバーの能力も意欲も低い組織・チームでは、逆にメンバーのモチベーションを下げ、人間関係の不和を生み出しやすい点に注意しましょう。

5. 変革型

変革型のリーダーシップは、リーダーが新しい取り組みを行う挑戦的なリーダーシップです。コーチ型とペースセッター型のハイブリッドのようなリーダーシップであり、チームを目標に向けて牽引していくスタイルといえます。職場環境の風通しが悪いケースや業績の停滞した企業に必要となるリーダーシップです。

リーダーシップ能力の自己評価チェックリスト

リーダーシップ能力を客観的に把握するには、自己評価チェックリストの活用が効果的です。以下に10項目を示し、それぞれを「できている(3点)」「ややできている(2点)」「できていない(1点)」で評価します。

できている(3点)ややできている(2点)できていない(1点)
明確なビジョンを持ち、周囲に伝えているか
必要なときに迅速な意思決定ができるか
部下やメンバーの話を傾聴しているか
チームの成果に対して適切なフィードバックを行っているか
メンバーの強みを理解し、活かしているか
変化に柔軟に対応できているか
自ら率先して行動しているか
チームの雰囲気や人間関係に気を配っているか
困難な状況でも冷静さを保てているか
継続的に自分の成長を意識して行動しているか

上記は簡易的なチェックリストですが、合計点により、現状の強みと課題を把握し、リーダーシップ向上に役立てることができます。チェックリストで点数の低い項目は、改善できるように行動することが大切です。

自分に合ったリーダーシップスタイルの見つけ方

自分に合ったリーダーシップスタイルを見つけるには、まず自己分析が不可欠です。自身の価値観、強み、弱み、過去の成功体験や失敗経験を振り返ることで、どのような状況で力を発揮しやすいかを明確にできます。たとえば人と対話することが得意であれば「支援型」「調和型」、論理的思考や計画性に優れていれば「戦略型」「成果型」が向いていると考えるとよいでしょう。さらに360度フィードバックや性格診断ツール(例:MBTI、DiSC)を活用することで、他者から見た自分の特徴もより深く理解できます。こうした内省と外部評価を組み合わせることで、自分らしく無理なく発揮できるリーダーシップスタイルを見極めることが可能になります。

リーダーシップがある人の特徴

リーダーシップには様々なタイプやスタイル、理論があることを紹介してきました。ここからは実際にリーダーシップがある人には、どんな特徴や共通点があるのかを紹介します。特徴や共通点を知り、理想的なリーダーシップを発揮するには、どんなことを意識すればいいのか参考にしてください。

メンバーへの配慮ができる

リーダーシップのある人はチームメンバーの状況を冷静に分析し、適切に対応する能力を持っています。そして配慮ができるリーダーは、メンバーの仕事の進捗だけでなく、それぞれの抱えるストレスや体調などにも目を配れる人であることが多いです。メンバーに対して関心を持つことで、心理的安全性の高い環境となり、メンバーが力を発揮しやすい状況を整えられます。また個々のメンバーの強みや課題に対しても適切なアプローチをとることで、チーム全体の士気やモチベーションを高められる点も特徴といえるでしょう。

行動力がある

リーダーシップを持つ人は仕事において迅速に行動を起こし、チームの模範となる傾向があります。例えば課題や問題が発生した際に、他人に指示を出して終わりではなく、自ら先陣を切って解決に向けて動きます。リーダーシップのある人は、自分自身の行動によってチームの目指すべき方向性を示そうとすることが多いです。リーダーが行動で示す姿勢は、メンバーの刺激となり、組織全体にエネルギーをもたらす結果につながります。また行動力のあるリーダーは、成果を確実に出すために行動し、行動に伴う成果とのバランスを分析する能力も持っています。

決断力がある

リーダーシップのある人は、不確実性の多い状況でも的確に状況を分析し、その場その場での最適の判断を下す力を持っています。 具体的には、決断力があるリーダーは複数の選択肢の中から最適な道を迅速に導き出し、組織やチームにとってのメリットを優先的に考えます。そして自らの決断に責任を持つことで、メンバーの信頼感とモチベーションを高めることにも配慮できる点が大きな特徴です。困難な状況にあっても自分の判断に迷うことなく、最適と考えられる決断を下すことで、組織やチームに安心感を与え、全員が一致団結して同じ目標に向かえる環境つくりとビジョンを示せます。

コミュニケーション能力が高い

高いリーダーシップがある人は、メンバーとの意思疎通を常に行い、相手の意図やニーズ、悩みなどを理解する能力に優れています。 リーダーがメンバーから信頼されるには、メンバーのことを深く理解し、傾聴する姿勢が重要です。そしてリーダーの持つ考えやビジョンをわかりやすく伝えることを大切にし、メンバーの意見や価値観にも耳を傾けます。コミュニケーション能力の高いリーダーは、こうした双方向のコミュニケーションを行うことで、メンバーを1つのチームとしてまとめるリーダーシップを発揮します。チーム内やプロジェクトの過程で問題が発生した際にも、メンバーと対話を続けながら解決策を見つけ、協力して進もうとする点も特徴です。

精神面で成熟している

優れたリーダーは、感情や周囲の声、世論の風潮に流されず、冷静に状況を判断して決断する精神力を持っています。周囲の意見に流されることなく、自分自身を律する能力を持つと同時に、周囲の人への共感力を持つことで、チーム全体に安心感と信頼感を与えられます。また精神面で成熟したリーダーは、仕事の責任を自分が引き受け、メンバーからも頼りにされる存在となることが多いです。このようなリーダーは、単なる業務上のチームワークや信頼感の枠を超えて、メンバーにとってリーダーが心の支えとなるケースもあります。

指導力・育成能力がある

リーダーシップの高い人は、メンバーの成長を支援し、個々の能力を引き出す力を持っている点も特徴です。 リーダーがメンバーに指導を行い、正しい課題解決のスキルや自主性を高める方法を教えることで、全体のパフォーマンスを向上させ、キャリアの成長を後押しできます。ただしマネジメントスキルに優れたリーダーであっても、必ず指導力や育成能力に優れているとは限りません。本当に高い育成能力を持つリーダーは、チーム全体の能力向上を目指し、明確な目標を設定したうえで長期的な視点でチームを成長させるために行動します。

公正公平に人と接する

リーダーシップのある人は、個々のメンバーを公平に扱い、偏りのない判断を行える点も特徴です。どのようなリーダーでも、メンバーとの相性の良し悪し、性格や価値観の不一致などはあり得ます。しかし公正公平なリーダーシップを持つ人は、メンバーとの関係性や立場に左右されることなく、どのメンバーに対しても公平な視点で関わり、効果的な意思決定や公正な評価を下します。また誰に対しても同じように接する姿勢は、チーム内での不満や対立を防ぎ、全員が同じ目標に向かって協力する環境の構築に効果的です。

学び続ける意思が強い

メンバーから支持されるリーダーは、自らのスキルや知識を時代に合わせてアップデートさせ、学び続ける姿勢を持っています。近年の変化が激しく予測不能なビジネス環境において、新しい技術やトレンドを積極的に取り入れることは、組織を成功に導くために必要な努力です。しかしリーダーであっても古い知識やスキルをそのまま持ち続け、学び続ける姿勢を失ってしまうケースもあります。学び続けるリーダーは、自分自身の成長に意欲的なだけでなく、チーム全体のモチベーション向上と成長に貢献し、身近で見ているメンバーにも学ぶ姿勢を示す良い手本となるでしょう。

リーダーシップのある人材を育成する方法

組織をけん引するリーダーシップを持つ人材の育成には、主に5つの方法があります。以下で解説します。

関連リンク:リーダー育成の成功のポイントは?課題や具体的な方法を解説!

的確な決断力を身につけさせる

リーダーの立場になると、組織やチームの最終決定権を持つことになります。
リーダーは常に複数の選択肢の中から、企業の利益になることやメンバーの成長、チームの成果に繋がる選択をしなければなりません。
そして、決断をする以上はそれぞれのメリットとデメリットを分析し、どちらが有益になるかという決断を下すべきです。自分で重要な決断をした経験が少ない人は、選択した結果、何が生じるか予測できていないケースが多々あります。リーダーシップのある人材を育成するには、リーダーとして決断する際、何を重視すべきか、決断の基準は何かなどを明確にすることが重要です。リーダーシップを育成する際は、多くの経験を積ませると共に、決断する基準を持たせることを意識させましょう。

研修を行う

リーダーシップのある人材を育成するには、ただ業務をこなすだけでは足りません。どの企業でも行っていることですが、リーダーに必要な資質を理解してもらうためにも、リーダー研修を行うべきです。座学やワークショップのような研修を行い、リーダーに必要な知識のインプットを進めましょう。ただし、ただ詰め込めばリーダーシップが磨けるわけではなく、インプットした知識を現場でアウトプットしなければ意味がありません。そして、実践を通して学んだことを振り返り、その中で反省と改善案を考え、再び実践して身に付けていくサイクルを作ることが重要です。リーダーシップ研修を受けて終了ではなく、実践と振り返りまでを1セットとして、リーダーシップを磨く環境を作りましょう。
関連リンク:リーダー研修の目的とは?リーダーに必要な能力と研修内容も解説!

日常的に意思決定を繰り返す

リーダーシップを発揮するためには、意思決定する力と自ら実行する力が重要です。リーダーはメンバーを引っ張っていくために、重要な意思決定をする決断力が必須です。決断力を高めるには、日常的に意思決定を繰り返すことで、決断力を高めておくことに大きな意味があります。その決断が成功か失敗かを問わず、自ら実行することが大切な経験になります。成功したのならそのまま継続すればよいですが、失敗した場合は何が原因なのか分析すべきです。そして、分析した結果が自分の経験になり、将来的にリーダーとなる時にも役立ちます。また、意思決定する際は、自分だけでなく「チームにとって良いかどうか」を考えて意思決定すれば、危機管理能力やマネジメント能力も鍛えられます。

個々人にリーダーシップ行動を促す

リーダーシップを磨くには、組織やチームに所属する個々人がリーダーシップのある行動を取ることが重要です。ただし、いきなりリーダーシップを取るように促しても、簡単に実行することはできません。例えば、月に1回程度チーム内でカンファレンスを行い、毎回違うメンバーに決定権を持たせ、リーダーシップを促してみる方法があります。メンバーの中には率先してリーダーシップを取る人もいれば、他のメンバーに同調し、調和を重視する人もいます。しかし、一部の人だけがリーダーシップを発揮しても、他のメンバーの成長には繋がりません。最初は強制的にでもリーダーを指名し、そこからそれぞれが自分の考えるリーダーシップを発揮できる仕組み作りをしていくことが重要です。

ポジティブ思考を身に付ける

ビジネスにおいて、リーダーは色々な事態を予測して、良い結果も悪い結果も両方を想定しなければなりません。ですが、リーダーシップのある人材を育成するには、ポジティブ思考を身に付けてもらうことが重要です。なぜなら、ポジティブな思考は行動するエネルギーとなり、リーダーとしての成長を促してくれるからです。また、リーダーがネガティブ思考では組織運営が停滞し、組織とメンバーの成長になりません。逆に、ポジティブ思考のリーダーなら組織が成長しやすいだけでなく、メンバー同士が活発な意見交換を行い、新たなアイディアも創造されるでしょう。そのため、次世代のリーダーを育成するなら、ポジティブ思考を身に付けるように教育することが大切です。

実践的なリーダーシップ発揮のポイント

実践的なリーダーシップを発揮するには、状況に応じた柔軟な対応力、信頼関係の構築、そして率先垂範が重要です。理論では計画や指導法が示されますが、現場では感情や人間関係、予測不能な事態に直面するため、実行力や対話力が問われます。理論を理解しつつも、現場での観察・実践・改善を繰り返す姿勢が、実践的リーダーシップの鍵となります。

状況に応じたリーダーシップスタイルの切り替え方

実践的なリーダーシップでは、状況や目的に応じてスタイルを柔軟に切り替えることが重要です。たとえば、次のようなパターンがあります。
・緊急対応時(例:トラブル発生時)には即断即決が求められるため、明確な指示を出す「指示型リーダーシップ」が有効です。
・新メンバーの育成期には、成長を支援しつつ動機づけを行う「コーチング型」が適しており、対話やフィードバックを重視する姿勢が求められます。
・高い専門性を持つメンバーの自律的な業務では、裁量を委ねる「委任型」が効果的で、信頼関係と成果の共有が鍵となります。
・チームでのアイデア創出や改善活動では、意見を引き出す「民主型」スタイルが有効です。
このように目的・相手・状況に応じてリーダーシップを使い分けることが、実践的な成果につながります。

チームメンバーの強みを活かす関わり方

実践的なリーダーシップでは、チームメンバーの強みを見出し、それを活かす関わり方が重要です。そのためには、日常的なコミュニケーションを通じて個々の特性や得意分野を理解する姿勢が求められます。たとえば「最近うまくいった仕事は何だった?」や「得意だと感じる作業は?」といった質問を通じて、メンバー自身が強みに気づく機会を提供することです。また「〇〇さんの進行力はチームにとって大きな助けだね」「前回のプレゼン、情報整理がとても分かりやすかったよ」など、具体的な行動と成果に基づいたフィードバックを行うことで、強みへの自信とモチベーションが高まります。こうした関わりにより、メンバーは自分の価値を実感し、自律的に力を発揮しやすくなります。

リモートワーク時代のリーダーシップ実践法

リモートワーク時代における実践的なリーダーシップでは、物理的距離を越えて信頼と一体感を築く力が求められます。まず定期的な1on1やチームミーティングを通じて「顔が見える」関係を維持し、心理的安全性を高めることが重要です。たとえば「最近の仕事で困っていることはある?」など、相手の状況に関心を寄せる問いかけが効果的です。また成果だけでなくプロセスを評価し、「準備のおかげでスムーズに進んだね」など具体的なオンラインフィードバックを行うことで信頼が深まります。チャットやバーチャル雑談など非公式なやり取りも取り入れ、情報共有と人間関係の両面を意識することが、リモート下でのリーダーシップ成功の鍵となります。

まとめ

リーダーシップは、メンバーやチームを統率し、目標に向けて導く能力です。リーダーシップを持つ人材には、メンバーに向かうべき目標を示し、組織全体で円滑なコミュニケーションを取る能力が求められます。

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