- このページを簡潔にまとめると・・・
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- クレーム対応とは、顧客からの不満や改善要望に適切に応じ、信頼回復やサービス改善につなげる重要な業務である。
- 対応時は、まずお詫びと傾聴で相手の気持ちを受け止めたうえで、事実確認を行い、解決策や代替案を丁寧に提示することが大切である。
- 二次クレームを防ぐには、顧客の話を遮らない、否定しない、待たせない、否定的な言葉を使わないなど、対応時の言動に注意する必要がある。
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クレームが発生する主な原因
クレームは、顧客が商品やサービスに対して抱いた期待と、実際に体験した内容との間にギャップが生じたときに発生しやすいものです。不良品の提供や手配ミス、サービス内容の相違といった直接的な要因だけでなく、様々な側面から原因が生まれます。
主な原因は以下の通りです。
● 商品・サービスの品質不良や提供ミス
● 接客態度・言葉遣いなど顧客対応の不備
● 説明不足や案内のわかりにくさによる誤解
● 待ち時間・納期遅延・予約ミスなどの運用上の不備
● 顧客側の勘違い・確認不足・認識違い
● 店舗や設備、衛生管理など利用環境への不満
顧客側の勘違いや確認不足が原因に見えるクレームでも、企業側には商品・サービスの案内表示や説明方法に、改善の余地が潜んでいる場合があります。そのため、企業側は「顧客の問題」と一括りにせず、原因を丁寧に切り分けることが重要になります。
また、飲食店や小売店などでは、接客上のミスだけがクレームの引き金になるわけではありません。衛生管理の不備や設備の不具合といった店舗環境への不満も、顧客の不信感につながります。
商品の品質・スタッフの対応・店舗環境という3つの視点を総合的に見直すことが、クレームの根本的な予防につながるでしょう。
クレームとカスタマーハラスメントの違い
クレームとカスタマーハラスメント(カスハラ)は、混同されやすい概念ですが、その性質は明確に異なります。
クレームとは、商品・サービス・対応への不満や改善要望として発生するものであり、企業が真摯に受け止めるべき正当な顧客からのフィードバックです。
一方、カスタマーハラスメントは、暴言・脅迫・長時間拘束・過度な要求など、社会通念上不相当な言動を伴うものを指します。
正当なクレームであれば誠実に対応することが求められますが、カスハラに該当する可能性がある場合は、担当者個人だけに担当させず、組織として対応方針を定めることが重要です。両者の違いを正確に理解することが、適切な対応の第一歩となるでしょう。
クレーム対応の基本手順
クレーム対応では、相手の感情を丁寧に受け止めたうえで、事実確認・解決策の提示・再度のお詫びと感謝まで、順序立てて進めることが大切です。以下では、クレーム対応を円滑に進めるための基本手順について解説します。
● お詫びと傾聴をする
● お客様の気持ちを理解する
● 事実確認をする
● 解決策や代替案を提示する
● 再度のお詫びと感謝を伝える
お詫びと傾聴をする
クレームを受けた際にまず取り組むべきことは、お詫びと傾聴です。相手が不快な思いをしたという事実に対して誠実に向き合い、話を最後まで聞く姿勢を示すことが、クレーム対応の第一歩となります。
いきなり反論したり、早急に解決策を提示したりすると、相手の感情がさらに高まり、二次クレームへと発展する恐れがあります。まずは相手の気持ちを受け止めることが最優先です。
謝罪の際に注意したいのが、事実確認が完了していない段階で全面的に非を認めてしまうことです。この段階では「ご不便をおかけし申し訳ございません」のように、何に対して謝罪しているのかを明確にした「部分謝罪」を意識するとよいでしょう。
相手の話を聞く際は、途中で話を遮らず、適度に相づちを打ちながら傾聴することが大切です。特に電話対応では表情が見えないぶん、声に出して反応することで「きちんと聞いてもらえている」という安心感を相手に与えやすくなります。
お客様の気持ちを理解する
クレーム対応において重要なのは、お客様が伝える内容そのものだけではありません。「困っている」「不当な扱いを受けた」と感じているお客様の心情を理解することも、同様に大切な視点です。
問題の事実関係を把握しようとするあまり、感情面への配慮が後回しになってしまうケースは少なくありません。お客様の感情に寄り添うことで、お客様は冷静に状況を話しやすくなり、結果として正確な情報収集にもつながります。
例えば、「お客様のお立場でしたら、ご不安に感じられるのも当然かと存じます」といった言葉を添えることで、誠意ある対応として相手に伝わりやすくなります。事実確認と並行して、相手の気持ちをしっかりと受け止める言葉がけが、円滑なクレーム対応の土台となるでしょう。
事実確認をする
相手の気持ちが落ち着いてきたら、いつ・どこで・何が起きたのか、そしてどの点に不満を感じているのかを丁寧に確認していきましょう。聞き取った内容はその場でメモに残し、後から社内で共有したり再発防止策の検討に活かせたりするよう、整理しておくことが重要です。
質問をする際は、相手を責めるような聞き方にならないよう注意が必要です。「差し支えなければ」「恐れ入りますが」といったクッション言葉を自然に挟みながら確認することで、相手が話しやすい雰囲気を保てます。
また、一度に多くの情報を求めようとすると相手の負担になるため、必要な情報は簡潔に、相手が答えやすい形で確認するよう心がけましょう。
解決策や代替案を提示する
事実確認が完了したら、顧客の不満を解消するための解決策や代替案を具体的に提示します。返品・交換・再対応・担当部署からの折り返しなど、自社として実行可能な対応をわかりやすく伝えることが大切です。
選択肢を明示することで、顧客は状況を整理しやすくなり、話し合いがスムーズに進みやすくなるでしょう。解決策を提示する際、自社の都合や社内ルールを一方的にお客様に押しつける姿勢は避けるべきです。
お客様が置かれている状況や気持ちに配慮した伝え方を心がけることで、誠実な対応として受け取ってもらいやすくなります。また、お客様から過剰な要求があった場合でも、感情的に拒否するのではなく、対応できる範囲を冷静かつ明確に説明することが重要です。
「何ができて、何ができないのか」を丁寧に伝えることが、信頼関係の維持につながります。
再度のお詫びと感謝を伝える
対応の締めくくりとして、改めて不便や不快な思いをさせてしまったことへのお詫びを伝えましょう。最後まで丁寧な姿勢を貫くことで、お客様の不満を和らげ、信頼回復につなげやすくなります。
また、お詫びと同時に、貴重な意見を寄せてもらったことへの感謝も忘れずに伝えましょう。
クレームは、商品・サービスや業務の改善につながる重要なヒントを含んでいます。そのため、対応が終わった後は内容を社内で共有し、再発防止に活かす取り組みを行うことが求められます。「ご意見をいただいたおかげで改善できた」という姿勢を持つことが、組織全体のサービス品質向上につながります。
クレーム対応をする際の注意点
クレーム対応は、対応の仕方を1つ誤るだけでお客様の不満をさらに大きくし、二次クレームへと発展する恐れがあります。以下では、クレーム対応において注意すべき点について解説します。
● お客様の話を遮らない
● お客様を否定しない
● お客様を待たせない
● 否定的な言葉を使わない
お客様の話を遮らない
クレーム対応において、まずお客様の話を最後まで丁寧に聞き、どのような不満や要望を抱えているのかをしっかりと把握することが重要です。話の途中で口を挟んでしまうと、お客様は「自分の話を聞いてもらえない」「否定された」と感じやすく、感情的な反応をさらに強めてしまう恐れがあります。
反論したい気持ちや説明を急ぎたい場面であっても、まずは相手の主張を一通り受け止めることが先決です。お客様が話し終えたことを確認してから、事実確認や解決策の提示へと進むことで、対話の流れが落ち着き、問題解決に向けた建設的なやり取りにつながりやすくなるでしょう。
お客様を否定しない
お客様の認識に誤りがある場合でも、最初から否定してしまうと不満がさらに大きくなり、対応がこじれてしまう可能性があります。「違います」「そうではありません」といった直接的な否定表現は避け、まずは不快な思いをさせてしまったことをしっかりと受け止める姿勢が必要です。
また、要望に応えられない状況であっても、単に断るのではなく「〇〇であれば対応可能です」のように、できる範囲の対応を具体的に示す伝え方が望ましいでしょう。否定から入るのではなく、寄り添いながら代替案を提示することで、お客様の感情を和らげながら円滑に解決へと導くことができます。
お客様を待たせない
クレーム対応において、待ち時間が長くなるほどお客様の不満や不信感は強まりやすくなります。例えば内容の確認に時間を要する場合でも、保留やたらい回しを繰り返すのではなく、折り返しの目安を明確に伝えた上で対応することが大切です。
「〇時間以内にご連絡します」といった具体的な見通しを示すだけでも、お客様の心理的な負担を和らげる効果が期待できます。また、担当部署へ引き継ぐ際は、お客様に同じ説明を繰り返させることがないよう、対応内容を事前に共有しておくことが重要です。
部署間での情報連携を徹底し、スムーズに引き継げる体制を整えておくことが、二次クレームの防止に効果的です。
否定的な言葉を使わない
クレーム対応において、使う言葉の選び方はお客様への印象を大きく左右します。特に「でも」「ですから」「お言葉ですが」といった表現は、例えば悪意がなくても反論や拒絶として受け取られやすく、お客様の怒りをさらに高めてしまう恐れがあります。
また、「できません」「わかりません」と言い切ってしまうことも避けるべきでしょう。このような断定的な表現は、お客様に「対応を拒否された」という印象を与えかねません。
代わりに「確認のうえご連絡いたします」「〇〇であれば対応可能です」のように言い換えることで、誠実に向き合う姿勢が伝わります。さらに「私の担当ではありません」「そういう決まりです」といった言葉も要注意です。
これらは責任回避や押しつけに聞こえやすく、お客様との信頼関係を損なう原因になります。常にお客様の視点に立ち、相手が安心できる表現を意識して選ぶことが大切です。
クレーム対応後にやるべきこと
クレーム対応は、お客様への謝罪や回答が完了した時点で終わりではありません。同じ問題を繰り返さないためには、対応後の振り返りと改善策の実施が重要です。
以下では、クレーム対応後にやるべきことについて解説します。
● 内容を記録してマニュアル化する
● 原因と対策を社内で共有する
● クレームの傾向を分析する
内容を記録してマニュアル化する
クレーム対応が完了した後は、発生日時・内容・対応経緯・結果などを記録し、後から誰でも確認できる状態にしておくことが重要です。記録を残すことで、同様のクレームが再発した際にスムーズなクレーム対応が可能になりますし、組織全体でのナレッジ蓄積にもつながります。
さらに、記録した内容をもとによくあるクレームや対応手順をマニュアル化することで、担当者の対応品質のばらつきが抑制されるでしょう。特定のベテランスタッフだけが適切にクレーム対応できるという状況を解消し、チーム全体で一定の対応品質を維持するためにも、マニュアルの整備は欠かせません。
ただし、マニュアルは1度作成して終わりではありません。実際のクレーム事例や現場スタッフの意見を反映しながら定期的に更新することで、実態に即した内容を保ち続けることができます。
現場の変化に合わせて継続的に見直す姿勢が、対応品質の向上につながります。
原因と対策を社内で共有する
1人の担当者だけでクレーム対応が完結してしまうと、組織全体として問題を改善する機会を逃してしまいます。クレームの原因や対応内容を社内で共有することで、担当者個人だけでなく組織全体が問題点を把握できるようになるでしょう。
共有する際に重要なのは、感情的な報告にならないよう客観性を保つことです。発生原因・対応内容・顧客の反応・再発防止策などを整理した上で報告することで、建設的な議論につながりやすくなります。
また、原因と対策を社内で検討する場を定期的に設けることも効果的です。同じクレームの繰り返しを防ぐだけでなく、対応方法そのものの改善にも役立てられます。
さらに、クレーム情報をリアルタイムで共有できる仕組みを整えておくことも大切です。情報が迅速に行き渡る体制があれば、対応漏れやたらい回しによる二次クレームの発生を未然に防ぎやすくなります。
クレームの傾向を分析する
クレーム対応は、個別のケースを処理して終わりにするのではなく、種類・件数・発生頻度・対応難易度などの情報を整理し、全体的な傾向を分析することが重要です。発生頻度が高いクレームや、対応を誤った場合のリスクが大きいクレームを把握できれば、優先的に取り組むべき改善課題も見つけやすくなるでしょう。
また、傾向の分析は1度きりで終わらせず、定期的に確認する仕組みを設けることが大切です。継続的にデータを見直すことで、商品・サービスの品質、接客の質、社内ルールのいずれに改善の余地があるのか判断しやすくなります。
さらに、分析から得られた結果は、マニュアルの整備や研修の内容、業務フローの見直しに反映させることで、組織全体のクレーム対応力の底上げに活かすことができます。個々の対応経験を組織の財産として蓄積し、再発防止につなげていく姿勢が求められます。
まとめ
クレーム対応は、商品やサービスへの不満を解消するだけにとどまらず、お客様との信頼関係を回復し、企業の成長につなげるための重要な業務です。対応後は内容を記録してマニュアル化し、原因や対策を社内で共有することで、クレームの傾向が分析でき再発防止にも効果的です。
企業の人材育成担当者や経営者にとって特に重要なのは、個人の経験や勘に頼るのではなく、クレーム対応を組織全体で標準化するための研修設計や教育施策を検討することでしょう。現場任せの対応には限界があり、従業員が安心してクレームに向き合える教育体制を整えることが、組織としての対応力向上につながります。
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