• 更新日:2023/07/19

危険物乙4とは、危険物取扱者乙種第4類のことで、業務で危険物を扱う際に必要となる資格です。資格を取得するには、試験に合格しなければなりません。危険物乙4は合格率が低いといわれていますが、実際に合格率はどのくらいなのか気になっている人も多いでしょう。

この記事では、危険物乙4試験の合格率とともに、試験の概要やほかの乙種資格との違いなどを解説します。危険物乙4の人気が高い理由や合格するための勉強のポイントにも触れるので、ぜひ参考にしてみてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 危険物乙4とは、危険物取扱者乙種第4類のことで、危険物取扱者試験を受験する人のうちおよそ8割が受験する人気資格。
  • 危険物乙4が人気の理由は「需要が高く、活かせる業種が多い」「資格手当や昇給・昇格も期待できる」「他の乙種の資格を取りやすい」。
  • 危険物乙4の例年の合格率は30~40%程度。受験資格には特に条件がなく、誰でも受験できるため、お試しでの受験する方も多い。

危険物乙4(危険物取扱者乙種第4類)とは?

危険物乙4とは、危険物取扱者乙種第4類のことです。一般的には、乙4もしくは第4類などと略されて呼ばれることが多いです。危険物乙4は、第1類~第6類まである危険物のなかの第4類を扱える資格となります。危険物取扱者乙種の種類については、以下で具体的に紹介します。

「危険物取扱者」とは?

危険物取扱者が扱う危険物とは、灯油や金属粉など燃えやすい物質のことです。ガソリンや軽油なども危険物に含まれています。危険物は扱いが難しいため、これらを扱う際は専門知識をもっている人が管理しなければなりません。

そのため、危険物取扱者試験に合格して危険物に関する知識を証明できた人に、危険物取扱者としての資格が与えられます。危険物取扱者が必要とされるのは、危険物を大量に製造したり扱ったりする施設です。例として、ガソリンスタンドや化学工場などがあげられます。

「乙4種試験」はどのような試験?

危険物取扱者の資格は、「甲種」「乙種」「丙種」の3種類にわかれています。甲種を取得すれば、すべての危険物の取り扱いが可能です。甲種の試験を受験するには、大学などで化学に関する学科・課程を修めて卒業していること、または、乙種資格の取得が必要です。

乙種は第1類~第6類にわかれており、それぞれ異なる資格となります。さらに、丙種は危険物乙4に含まれる特定の危険物のみを扱えます。乙種と丙種の受験には特に条件はなく、誰でもチャレンジすることが可能です。危険物取扱者の資格のうち危険物乙4は、比較的身近な石油類の取り扱いが中心となっていて、実用性が高く、特に人気が高い資格です。

危険物取扱者乙種の種類

危険物取扱者乙種には第1類~第6類まであります。ここでは、どのような危険物を取り扱えるのか、受験の必要要件などについて解説します。


第1類

第1類とは、「酸化性固体」を取り扱うための資格です。酸化性固体とはほかの物質を酸化させる性質がある固体のことで、塩素酸塩類や過塩素酸塩類などが含まれます。単体では燃焼しませんが、可燃物などと混ざると発火・爆発する危険性があります。第1類~第6類まで共通して、受験の条件はありません。消防試験研究センターの各道府県支部(東京都の場合は中央試験センター)に受験願書を提出して、受験します。


第2類

第2類では、「可燃性固体」の取り扱いが可能です。可燃性固体とは、火がつきやすかったり引火しやすかったりする固体もしくは、40℃未満という低温でも引火しやすい固体を指していいます。具体的には、硫化リンや赤リン、硫黄、マグネシウムなどが第2類に分類されます。発火しやすいというだけでなく、燃焼しやすいことも特徴です。


第3類

第3類では、「自然発火性物質および禁水性物質」を取り扱えます。自然発火性物質とは、自然発火しやすい液体や固体のことで、禁水性物質は水に触れることで可燃性ガスが発生したり発火したりする恐れのある液体や固体のことです。カリウムやナトリウム、黄リンなどがこれに含まれます。


第4類

第4類とは、「引火性液体」が取り扱える資格です。火災につながる成分を多く含むなど危険性が高いため、危険物取扱者試験で需要が高い分野です。ガソリンや軽油、重油、灯油などの身近な石油類が第4類に含まれます

丙種もほぼ同じ石油類を取り扱えますが、保安の監督はできません。そのため、セルフガソリンスタンドなどの営業にかかわる立ち会い業務は、甲種と乙種のみに認められています。


第5類

第5類では、「自己反応性物質」の取り扱いが認められます。自己反応性物質とは、有機過酸化物やニトロ化合物、アゾ化合物などのことです。これらは、燃えやすいことが特徴です。可燃物・酸素供給体・点火の3要素が燃焼には必要ですが、自己反応性物質は可燃物と酸素供給体を含んでいます。そのため、取り扱いを間違ってしまうと、発火・爆発する危険性があります。


第6類

第6類とは、「酸化性液体」を取り扱える資格のことです。第1類の酸化性固体と同じように、物質を酸化させる酸化性液体単体では燃えないという特徴があります。過塩素酸、過酸化水素、硝酸などが第6類には含まれており、これ自体では燃えません。しかし、酸化性液体によって酸化した物質が火災を引き起こす危険性があります。

危険物乙4は、危険物取扱者試験の中で特に人気の資格

危険物乙種は非常に人気が高く、受験者の多い試験です。危険物取扱者試験を受験する人のうち、およそ8割が危険物乙種の受験者となっています。また、そのなかでもさらに人気が高い資格が危険物乙4です。危険物乙種を受験する人のほとんどが危険物乙4の受験者で、特に人気があります。なぜそれほどまでに人気なのか、以下で解説します。


様々な職場での需要が高い

危険物乙4は多くの職場で需要が高い資格です。乙4で取り扱っている危険物は、ガソリンや軽油、灯油、重油といった生活に身近なものがメインです。そのため、職場でのニーズが高く、活かせる場面が多くあります。どのような職場で活かせるのかについては、後述します。


乙種(と丙種)は、誰でも受験が可能

上述したとおり、危険物甲種を受験する際には、大学などで化学に関する学科・課程を修めて卒業しているか、乙種資格が必要です。そのため、受験に挑むためのハードルが高いといえます。しかし、乙種(と丙種)には特別な受験資格が必要なく、誰でも受験が可能です。

初めての危険物取扱者試験は乙4からがおすすめ

危険物乙4は、上記のような理由から非常に人気の高い試験です。受験者が多いため、ほかの試験に比べてテキストや講座などが充実しており、学習しやすい環境が整っています。ほかの種別よりも試験が多く実施されていることもおすすめの理由です。東京都の中央試験センターでは、例年、ほぼ毎週試験が実施されているため、忙しい人でも受験しやすいでしょう。

危険物乙4の例年の合格率は30~40%程度

危険物乙4の合格率は、平均すると30~40%程度です。危険物乙4は、ほかの乙種試験の合格率が70%前後なのに対し最も低く、甲種試験と同程度となっています。

危険物乙4の合格率が低いのはなぜ?

では、危険物乙4の合格率がほかの乙種試験と比較して低いのはなぜなのでしょうか。以下で説明していきます。

受験者数が多い

危険物乙4の合格率が低い理由のひとつめとしては、受験者数が多いことがあげられます。受験者数が多いのは、危険物乙4の受験資格には特に条件がなく、誰でも受験できるからです。ただし、ほかの乙種試験も同様に受験資格に制限がない中で、危険物乙4の受験者数は突出しています。

具体的には、ほかの乙種試験の受験者数の合計が5万人に満たないのに対し、危険物乙4の受験者数は17万人以上となっています(令和元年の場合)。乙種試験の中でも特に受験者数が多い理由については、後ほど詳しく解説します。

3科目すべてで「60%以上」の正答率が必要

また、危険物乙4の合格率が低いふたつめの理由としては、出題される3科目のすべてで60%以上の正答率をあげなければならないことがあります。そのため、3科目すべてをまんべんなく勉強しないと合格できません。苦手科目の正答率が60%を切ると、ほかの科目で高い点数をとっても不合格になるのです。

危険物乙4が人気の理由は? 他の乙種資格との違いとは?

合格率が低いにもかかわらず、危険物乙4の人気が高いのはなぜなのでしょうか。以下で説明していきます。

危険物取扱者乙4類を活かせる職業が多い

危険物乙4は、多くの職場で需要が高く、活かせる業種としては「石油貯蔵タンクを持つ企業」「化学工場」「ガソリンスタンド」「タンクローリー」「ビル管理」等が挙げられます。それぞれの業種でどのように役立つか解説します。


石油貯蔵タンクを持つ企業

乙種4類資格の保有者は引火性液体を取り扱えるため、石油を製造・管理する石油貯蔵タンクを持つ企業において重要な役割を担います。石油貯蔵タンクを持つ企業の代表的な例としては石油プラントや石油精製工場が挙げられます。事故を防ぐためにも適切な管理と取り扱いが重要なため、専門知識を有する担当者が責任を持って業務を担います。


化学工場

化学製品には、石油やアルコール、動植物油などの引火性液体を原料とするものが多数存在します。化学工場では、これらを適切に管理し、取り扱わなければならないため、引火性液体の取り扱い知識を持つ乙種4類資格の保有者が欠かせません。


ガソリンスタンド

乙種4類資格の保有者は、引火性液体を自身で取り扱うだけでなく、立ち会いでの引火性液体の取り扱いにも従事することできるため、ガソリンスタンドでは常に必要とされる存在です。
特に、近年増加中のセルフサービスのガソリンスタンドでは、一般の方が給油作業をするため、乙種4類資格の保有者が見守らなければなりません。この業務は、丙種では行うことができないため、乙種4類資格の保有者が活躍できる場面です。


タンクローリー

タンクローリーは、ガソリンなどの引火性液体を輸送するため、タンクローリーを運転する際にはドライバーか同乗者が、甲種、丙種、乙種4類のいずれかの有資格者である必要があります。もし、ドライバーが乙種4類の有資格者ならば、1人乗務も可能です。1人で運転も危険物の取り扱いもできる人材は、会社にとって求められる存在です。


ビル管理

多くのビルには、重油や軽油といった引火性液体を燃料とする非常用発電機やボイラーが設置されています。そのため、ビル管理の業務では、引火性液体を取り扱える乙種4類の資格が重宝されます。


資格手当や昇給・昇格も期待できる

広く認知され、実用性も高いこの資格。危険物取扱者を必要とする企業では、事業規模に見合った数の有資格者の配置が法令で定められています。企業によっては資格手当や昇給・昇格にもつながりやすくなります。

他の乙種の資格を取りやすい

乙種のうちいずれかの資格を取得していれば、ほかの乙種試験を受験する際に「危険物に関する法令」と「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の2科目が免除になります。そのため、ほかの乙種の資格取得を見越し、危険物乙4からチャレンジする人も多いです。

受験制限がない

乙種と丙種の試験は、年齢や実務経験などの受験制限がなく、どなたでも受験が可能なため、その分受験チャンスが多いということになります。例年、東京都ならほぼ毎月、他の道府県でも年に最低2回は実施されています。どの都道府県で何度受けてもOKです。

危険物乙4の勉強方法のポイントは?

危険物乙4の試験では、危険物の性質や特徴などに関する問題が多く出題されるため、しっかり暗記する必要があります。法令については、ほかの科目の内容を一通り頭に入れたうえで勉強することをおすすめします。

法令は覚える内容がほかの科目とまったく異なるため、関連付けて覚えることが難しいのです。また、演習問題にも取り組むと知識が身につきやすくなります。ある程度勉強が進んだら、模擬試験にも挑戦しましょう。

まとめ

危険物を扱う業務に携わる場合、危険物乙4の資格を取得しておくと役に立つ可能性が高いです。危険物乙4を取得すれば、ほかの危険物取扱者の資格取得も目指しやすくなるでしょう。

ユーキャンの危険物取扱者合格指導講座なら、物理と化学の基礎から勉強できるので、まったく知識がない状態からでも危険物乙4の合格を目指せます。添削課題があり、わからない部分を質問できる仕組みもあるので、無理なく合格のための勉強に取り組めることがメリットです。さらに、携帯に便利な副教材や2回分の予想問題を活用すれば、しっかり受験対策ができます。ぜひ受講をご検討ください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

危険物取扱者の仕事内容は?

危険物取扱者資格は危険物を扱ったり、保管・運搬する仕事で必要な資格で、具体的な仕事としては「危険物保安監督者」「設備管理スタッフ」「化学系メーカー、製薬会社の社員」「発電所の保安員」「ガソリンスタンド店員」「タンクローリー運転手」「消防士」が挙げられます。

危険物取扱者乙4の試験内容は?

危険物乙4試験は3科目で計35問出題され、合格するためには科目ごとに60%以上の正答率が必要です。マークシート方式で、5つの選択肢の中から解答を1つ選ぶ方式です。

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