第一種・第二種電気工事士の資格試験の難易度|合格率と出題科目から難易度を解説

- 公開日:2020/10/14
- 更新日:2021/12/09
電気工事士とは国家資格の1つで、電気を安全に快適に使うための工事や管理を行う専門技術者です。この記事では、電気工事士の資格取得を検討している人に向けて、第一種・第二種電気工事士試験の難易度を解説します。試験の合格率・概要・効率的な勉強法なども紹介するので、参考にしてください。
電気工事士試験の難易度
電気工事士試験は、国家資格の中では難易度が比較的低いです。同じく電気に関する国家資格である電気主任技術者の試験は、取得に3年以上かかることもあると言われる難易度の高い資格試験です。電気工事士の資格試験には第一種と第二種の2種類があり、それぞれ筆記試験と技能試験が設けられています。
第一種電気工事士の方が難易度が高い
電気工事士試験は、第二種よりも第一種の方が難易度は高くなっています。第二種は、電気工事関係の人だけでなく高校生や専門学生、キャリアアップを目指す人など幅広い層が受験します。第一種の受験者は、電気工事従事者が中心です。第一種の資格取得者の方が、行える仕事の範囲が広いため、試験範囲も広くなり、難易度が高めとなっています。
筆記試験の方が技能試験より難易度が高い
技能試験は、事前に候補問題が公表されるため、前もって練習することが可能です。筆記試験が免除されることもあり、その場合、技能に集中した勉強ができます。候補問題が公表されますが、事前に練習していない場合は、当然、難易度は高くなります。筆記試験は、暗記問題が中心となるため、試験範囲をしっかりと勉強しておく必要があります。
第一種電気工事士の仕事と将来性
第一種電気工事士は、ビル・工場などの大規模な現場での工事に対応できます。大型施設の配線・大型機材の制御回線の管理など、幅広い業務が行えます。電気工事のスペシャリストであり、仕事がなくなる可能性が低く、多くの企業で重宝されるため、転職にも有利です。
第二種電気工事士の仕事と将来性
第二種電気工事士は、住宅・マンション・小規模のオフィスなどの電気工事に対応できます。
ビルのメンテナンスや設備管理にも欠かせない資格であり、リフォームや建物の改築など、活躍の場は多いです。日常生活に関わる職種であるため、需要がなくなることはありません。
第二種電気工事士試験の合格率
第二種電気工事士試験の合格率や出題科目について解説します。
合格率の推移
第二種電気工事士試験の合格率は平成9年度あたりから上昇しており、近年では筆記試験は60%前後、技能試験は70%前後と高いです。
第二種電気工事士試験の受験者数・合格率
合格率(筆記) | 受験者数(筆記) | 合格率(技能) | 受験者数(技能) | |
---|---|---|---|---|
平成23年度 | 63.0% | 95,075人 | 69.5% | 75,295人 |
平成24年度 | 58.1% | 99,725人 | 70.5% | 75,205人 |
平成25年度 | 62.4% | 109,564人 | 76.0% | 84,181人 |
平成26年度 | 59.0% | 105,528人 | 74.1% | 77,881人 |
平成27年度 | 58.8% | 118,449人 | 70.7% | 84,072人 |
平成28年度 | 58.6% | 114,528人 | 73.3% | 84,805人 |
平成29年度 | 59.0% | 112,379人 | 68.8% | 81,356人 |
平成30年度 | 55.4% | 123,279人 | 67.4% | 95,398人 |
令和元年度 | 65.9% | 122,266人 | 65.2% | 100,379人 |
令和2年度 | 65.9% | 104,883人 | 65.2% | 64,443人 |
- 参考:第二種電気工事士試験|一般財団法人電気技術者試験センター(https://www.shiken.or.jp/situation/s-construction02.html)
受験資格と受験者層
第二種電気工事士試験には、受験資格に制限がなく、年齢や経験問わず誰でも受験できます。受験者数は年間10万人以上で、10~60代まで幅広い層の人が受験しています。職歴も電気関係だけでなく、販売やサービス業、営業、事務とさまざまな職種の人が受験していることが特徴です。
出題される科目
筆記試験
筆記試験はマークシート方式であり、問題数は50問、配点は1問2点(全問共通)となっています。試験時間は120分あるため、落ち着いて問題に取り組むことが重要です。筆記試験で出題される分野は、以下の通りで7つあります。
- 電気に関する基礎理論
- 配電理論及び配線設計
- 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具
- 電気工事の施工方法
- 一般用電気工作物の検査方法
- 配線図
- 一般用電気工作物の保安に関する法令
技能試験
技能試験は、持参した工具、与えられた材料を使い、40分の試験時間内に、出題された配線図通りに工事を完成させる試験です。事前に13問の候補問題が公表され、その中から1問が出題されます。筆記試験合格者に受験資格があり、前回の第二種電気工事士筆記試験に合格していれば筆記試験が免除されます。技能試験で求められる技術や知識は以下の通りです。
- 電線の接続
- 配線工事
- 電気機器及び配線器具の設置
- 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
- コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
- 接地工事
- 電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定
- 一般用電気工作物の検査
- 一般用電気工作物の故障箇所の修理
合格するための対策
第二種電気工事士試験に合格するための対策について解説します。
筆記試験
筆記試験は、計算問題と暗記問題で構成されています。暗記問題は暗記すれば点数が取れますが、出題数が多いため、暗記系から勉強し始めましょう。過去問題を繰り返し解いて出題傾向を掴むことが重要です。
技能試験
候補問題が公表されるため、事前に何度も作ってみるといいでしょう。工具は自分で用意する必要があります。持参できる工具は指定されているため、確認したうえで準備しておきましょう。
試験概要
第二種電気工事士試験は、年2回実施され、47都道府県に試験会場が設置されています。例年、筆記試験は5月と10月に、技能試験は7月と12月に行われています。受験手数料はインターネットによる申込の場合9,300円、書面(受験申込書)での申込の場合9,600円となります。
第一種電気工事士試験の合格率
第一種電気工事士試験の合格率や出題科目について解説します。
合格率の推移
第一種電気工事士試験の合格率は、筆記と技能によってで異なります。筆記試験は、40%前後です。技能試験の合格率は、近年上昇傾向にあり、60%前後と高めです。
第一種電気工事士試験の受験者数・合格率
合格率(筆記) | 受験者数(筆記) | 合格率(技能) | 受験者数(技能) | |
---|---|---|---|---|
平成23年度 | 42.4% | 34,465人 | 84.6% | 20,215人 |
平成24年度 | 42.5% | 35,080人 | 60.1% | 16,988人 |
平成25年度 | 40.0% | 36,460人 | 75.7% | 19,911人 |
平成26年度 | 42.9% | 38,776人 | 58.0% | 19,645人 |
平成27年度 | 42.7% | 37,808人 | 70.9% | 21,739人 |
平成28年度 | 50.3% | 39,013人 | 61.6% | 23,677人 |
平成29年度 | 47.0% | 38,427人 | 63.5% | 24,188人 |
平成30年度 | 40.4% | 36,048人 | 62.7% | 19,815人 |
令和元年度 | 54.1% | 37,610人 | 64.7% | 23,816人 |
令和2年度 | 52.0% | 30,520人 | 64.1% | 21,162人 |
- 参考:第一種電気工事士試験|一般財団法人電気技術者試験センター(https://www.shiken.or.jp/situation/s-construction01.html)
受験資格と受験者層
第一種電気工事士試験には、受験資格に制限がないため、年齢や経験問わず受験可能です。ただし、免状の交付には「5年以上の実務経験」「3年以上の実務経験+大学もしくは高等専門学校で所定の課程を修め卒業」のどちらかを満たしている必要があります。
受験者層は10~60代と幅広くなっていますが、20~30代が中心となっています。免状交付には実務経験が必要なため、電気工事従事者の受験が多いです。
出題される科目
筆記試験
筆記試験はマークシート方式であり、問題数は50問、配点は1問2点、試験時間は140分です。出題科目数は、第二種電気工事士試験より増加しており、以下の通り9つの分野から出題されます。
- 電気に関する基礎理論
- 配電理論及び配線設計
- 電気応用
- 電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料及び工具並びに受電設備
- 電気工事の施工方法
- 自家用電気工作物の検査方法
- 配線図
- 発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性
- 一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安に関する法令
技能試験
技能試験は、筆記試験合格者もしくは前年度の第一種電気工事士筆記試験に合格などの条件を満たした筆記試験免除者を対象にしている試験です。事前に10問の候補問題が公表され、その中から1つが出題されます。60分の試験時間内に、出題された配線図通りに工事を完成させる試験です。技能試験で求められる技術や知識は以下の通りです。
- 電線の接続
- 配線工事
- 電気機器・蓄電池及び配線器具の設置
- 電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
- コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
- 接地工事
- 電流・電圧・電力及び電気抵抗の測定
- 自家用電気工作物の検査
- 自家用電気工作物の操作及び故障箇所の修理
合格するための対策
第一種電気工事士試験に合格するための対策について解説します。
筆記試験
第一種の筆記試験の難易度は、第二種よりも高く、より幅広い知識が求められます。テキストを読み込むことや過去問題を繰り返し解くことが大切です。出題傾向と苦手分野を把握したうえで勉強することが重要です。
技能試験
技能試験の勉強では、候補問題をそれぞれ3回以上は作ってみる必要があるといわれています。第二種とは異なり、電線の種類などがほとんど開示されないため、候補問題の丸暗記では対応できません。工具は自分で用意する必要があります。
試験概要
第一種電気工事士試験は年に1回実施され、47都道府県に試験会場が設置されています。10月に筆記試験、12月に技能試験が行われます。受験手数料はインターネットによる申込の場合10,900円、書面(受験申込書)での申込の場合11,300円となります。
電気工事士試験のための勉強方法
電気工事士試験のための勉強方法について解説します。
参考書・過去問題集を使って繰り返し勉強する
筆記試験対策としては、第一種・第二種共に、参考書や過去問題集を使って繰り返し勉強することが重要です。参考書をよく理解した上で、過去問題集を解きましょう。過去問題を繰り返し解くことで出題傾向が把握できます。
工具や材料をそろえて技能試験対策をする
技能試験に関しては、練習を積み重ねることが重要です。実際に試験で使う工具や材料をそろえて、公表されている候補問題を完成させる作業を繰り返しましょう。正確さも重要ですが、試験時間内に終わらせることも大切です。
まとめ
電気工事士試験は、第一種と第二種があり、比較的難易度の低い国家資格といえます。筆記試験は暗記が中心となり、技能試験は事前に候補問題が公表されるため、試験のための勉強がしやすい資格試験です。
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第二種電気工事士とは、住宅や店舗など600V以下で受電する設備の新築・増改築時に、配線図どおりに屋内配線、コンセントの設置、アース施工などを行う専門技術者のことです。これらの作業で不備があると、感電や火災など、事故の原因となる危険があるため、有資格者でないと作業ができません。そのため、ニーズが高く、好待遇で働ける、安定した収入を期待できるといったメリットが考えられます。履歴書に堂々と書ける国家資格で、就職・転職も有利!
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