研修と教育の違いとは?
研修と教育は似た言葉ではありますが、意味や目的、対象などさまざまな点で違いがあります。具体的にどのような違いがあるのか、ポイントを紹介します。
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目的の違い
研修と教育の最も大きな違いは、その「目的」にあります。教育は知識や価値観、思考力などの基礎的な能力を育てることを目的としており、人格形成や長期的な成長支援を含む広義の学習活動です。学校教育や新入社員教育などが典型で、社会人としての基礎力や教養を養うことに重きが置かれます。一方、研修は、主に業務に直結するスキルや知識の習得、即戦力化が目的です。たとえばリーダーシップ研修や営業スキル研修のように、具体的な職務や課題への対応力を高めるために実施されます。このように教育は「人を育てる」長期視点の学び、研修は「業務に活かす」実践重視の学びという違いがあります。
対象者の違い
研修と教育の違いのひとつには、「対象者の違い」もあります。教育は主に学生や新入社員、若手社員など、社会人経験や業務経験が浅い層を対象に行われることが多く、基礎的な知識・スキル・価値観の習得を目的としています。一方、研修は業務に従事している社員を対象に、特定の職務や課題に対応するためのスキルや知識を身につけることが目的です。たとえば、中堅社員向けのマネジメント研修や管理職候補向けのリーダーシップ研修などが該当します。このように教育は社会人としての基礎を築く初期段階の人材に対して行われ、研修はその後の成長・専門性強化を目的として経験者に実施されるという明確な違いがあります。
実施形式・内容の違い
研修と教育の違いには「実施形式・内容の違い」も挙げられます。教育は主に座学中心で、基礎知識や理論の習得を目的とするため、講義形式で行われることが多く、内容も一般教養や倫理観、社会常識など汎用性の高いものが中心です。一方の研修は実務に直結したスキルの習得を目的としており、ワークショップ、ロールプレイ、グループディスカッション、ケーススタディなど、実践的で参加型の形式が多く用いられます。また研修では受講者が自ら考え行動することを重視し、現場の課題解決や行動変容に直結する内容が中心です。このように教育は「知識の蓄積」、研修は「スキルの活用」を重視した実施形式と内容で構成される点に明確な違いがあります。
社内教育のメリットとは?
社内教育は社員の成長につながるだけでなく、組織全体にとってさまざまなメリットをもたらします。社内教育にはどのようなメリットがあるのか、具体的なポイントを紹介します。
自社に最適化された人材を育成できる
社内教育のメリットのひとつは、自社の業務内容や価値観、組織文化に即した内容で人材を育成できる点です。業種・職種に合わせた実務的な教育を行うことで、社員は日々の業務に直結する知識やスキルを効率よく習得できます。また自社独自のルールや判断基準に沿った教育が可能なため、社外研修では得られにくい即戦力化や定着率の向上にもつながります。
組織の一体感とモチベーション向上につながる
社内教育は、社員に対して「会社が自分の成長を支援してくれている」という安心感や期待感を与えるため、モチベーションの向上に寄与します。また共通の研修を通じて社員間の理解や信頼が深まり、組織全体の一体感も高まります。特に新入社員や若手社員にとっては、早期に職場への帰属意識が形成されやすく、離職防止にも効果的です。このように社内教育は育成だけでなく、組織文化の醸成やチーム力の強化にも効果があります。
継続的な育成がしやすくコストも抑えられる
社内教育は自社内で計画的かつ継続的に実施できるため、長期的な育成に適しています。また外部講師や研修機関に依頼する場合に比べてひとりあたりのコストを抑えることができ、複数回の実施や大人数への対応もしやすくなります。社内に講師や教材、ノウハウを蓄積することで、必要なタイミングで柔軟に教育を行える点も大きな利点です。結果として、効率的かつ持続可能な人材育成の体制を整えることが可能となります。
社内教育のデメリットとは?
社内研修には良い点もあれば、注意しなければならない点もあります。どのような課題があるのかを知ることで、社内教育の質を高めましょう。
内容が内向き・固定的になりやすい
社内教育は自社の方針や文化に即した内容で進められる反面、視野が内向きになりやすく、業界の最新動向や外部の成功事例などが取り入れにくくなる傾向があります。その結果、教育内容が固定化し、社員の発想や行動が画一的になり、変化への対応力やイノベーションの創出力が低下するリスクがあります。特に競争が激しい業界では、外部環境への感度を維持するために外部研修や異業種交流との併用が効果的です。
教育担当者の負担や質のばらつきが生じやすい
社内教育では教育担当者のスキルや経験に依存するため、指導の質にばらつきが出やすいという課題があります。担当者が教育の専門家でない場合、内容や指導方法が不十分となる可能性があるためです。また担当者が本来の業務と兼任するケースも多く、教育準備やフォローに十分な時間を割けず、負担が大きくなることもあります。結果として育成効果が限定的になり、教育の継続性が損なわれるリスクがある点は、社内教育の注意すべきデメリットです。
社内研修のメリットとは?
社内研修は実務で必要な知識・スキルを習得できるだけでなく、その他にもさまざまなメリットのある人材育成手法です。どのようなメリットが期待できるのか、ポイントを紹介します。
自社ニーズに合わせたカスタマイズが可能
社内研修は、自社の事業内容や業務特性、組織課題に合わせて内容を柔軟に設計できる点が大きなメリットです。研修対象者のレベルや現場の実情に即したカリキュラムを構築できるため、実務に直結する実践的なスキルや知識を効率よく習得できます。また自社の理念や行動指針を取り入れることで、組織として求める価値観や行動様式の浸透にもつながります。汎用的な外部研修と異なり、自社の課題解決に直結する内容にできるのが特長です。
低コストで大人数への実施がしやすい
社内研修は、外部講師の招へいや社員の移動・宿泊などにかかるコストを抑えられるため、比較的低コストで実施できるのが大きなメリットです。会議室や社内設備を活用することで、設備費も最小限に抑えられます。また同じ内容を複数回実施したり、大人数を一度に受講させたりすることも容易で、継続的・計画的な人材育成が可能です。費用対効果の高い研修運営ができるため、中小企業や多拠点展開の企業にも適した方法といえます。
社内コミュニケーションの活性化につながる
社内研修では部署や役職を超えた社員同士が共に学ぶ機会が生まれるため、普段接点の少ないメンバー間での交流が促進されます。グループワークやディスカッションを通じて相互理解が深まり、信頼関係やチームワークの強化にもつながります。特に他部署合同での研修では、部門間の壁を越えた連携意識が醸成され、業務上の協力体制も築きやすくなる点は大きなメリットです。このように研修を通じて社内コミュニケーションの活性化が期待でき、組織全体の一体感の向上に貢献します。
社内研修のデメリットとは?
社内研修は組織の活性化にもつながる施策ですが、注意すべきデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのかを紹介します。
研修内容が固定的・内向きになりやすい
社内研修は自社の業務や文化に合った内容を提供できる反面、内容が固定的・内向きになりやすいという課題があります。外部の最新事例や多様な価値観が取り入れにくく、社員の視野が広がりにくい傾向があります。結果として変化への対応力や柔軟な思考が育ちにくく、組織全体の成長を妨げる要因となる点がデメリットです。こうしたリスクを回避するためには、外部講師の招へいや他社との交流機会を取り入れる工夫が求められます。
教育担当者の負担や質のばらつきがある
社内研修では教育担当者のスキルや経験に依存するため、研修内容や指導方法にばらつきが生じやすい点がデメリットです。特に担当者が教育専門ではなく通常業務と兼任している場合、十分な準備が難しく、内容が不十分になることもあります。加えて教育にかかる時間的・精神的負担が大きくなり、本来の業務に支障をきたすおそれもあります。こうした状況では、受講者の学習効果も低下しやすく、研修全体の質の確保が課題となるでしょう。
受講者に緊張感や刺激が生まれにくい
社内研修は、慣れ親しんだ環境や顔なじみのメンバーと受講することが多いため、外部研修に比べて適度な緊張感や新鮮な刺激が得にくい傾向があります。その結果、受講者の集中力や学習意欲が低下し、研修に対する真剣さが薄れやすい点がデメリットです。また新しい視点や考え方に触れる機会が少なく、自己変革や行動変容を促す効果が弱まる可能性もあります。そのため効果的な学びを促すためには、演習やグループワークなど能動的な参加を促す工夫が必要です。
社内研修の効果を高める方法
社内研修の効果を高めることで人材育成の効果が高まり、即戦力となる人材を多く輩出できるようになります。具体的にどのような方法があるのか、実践のポイントを紹介します。
目的とゴールを明確に設定する
社内研修の効果を高めるためには、研修の目的とゴールを明確に設定することが不可欠です。何のために学ぶのか、研修後にどのような行動やスキルを期待するのかを事前に共有することで、受講者の学習意欲と集中力が高まります。また目的が具体的であればあるほど、研修内容も実務に直結したものとなり、成果の測定や評価も行いやすくなります。結果として学びが職場で実践され、組織全体の成長につながる効果的な研修となるでしょう。
参加型・実践型の内容も取り入れる
社内研修の効果を高めるには、講義だけでなく参加型・実践型の内容を取り入れることが重要です。グループワークやロールプレイ、ケーススタディなどを活用することで、受講者は受け身にならず、主体性をもって学びに関われます。実際の業務に近い状況を体験することで理解が深まり、スキルの定着や行動変容が促進される効果もあります。また他者との意見交換により視野が広がり、実務への応用力も高まることで、学びを「体験」として蓄積でき、研修成果を高めることが可能です。
現場との連動を図る
社内研修の効果を高めるには、現場との連動を図ることも重要です。研修で学んだ知識やスキルを実際の業務で活かす機会を設けることで、学びの定着と実践力の向上が期待できます。たとえば研修後に現場での課題に取り組ませる、上司が定期的に進捗確認やフィードバックを行う仕組みを整えるといった施策を導入すると効果的です。研修と実務が結びつくことで受講者も学びの必要性を実感し、モチベーションや行動変容につながります。
評価とフィードバックを行う
社内研修の効果を高めるには、受講後の評価とフィードバックも行いましょう。具体的な方法として、事前・事後テストやアンケートを通じて学習成果や理解度を可視化し、改善点や成果を明確にする方法があります。また受講者本人だけでなく、上司や現場からのフィードバックも取り入れることで、研修内容が実務でどの程度活用されているかを把握することも大切です。評価を通じて受講者の意識を高めるとともに、次回以降の研修の質向上にもつながるため、継続的な効果が期待できます。
継続的に学習機会を提供する
社内研修の効果を高めるには、単発で終わらせず継続的な学習機会を提供することも欠かせません。一度の研修では知識やスキルの定着が難しいため、フォローアップ研修やeラーニング、定期的な振り返りの機会を設けることで、学びを維持・強化できます。また習得した内容を実務で活かすためのサポートや学習を促す仕組みを整えることで、自律的な学びの習慣づけにもつながります。このような継続性のある育成を進めることで、長期的な人材成長の支えとなるでしょう。
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まとめ
社内向けの教育・研修は、社員の成長を支援し、組織が競争力を高めて成長を続けるために欠かせない施策です。しかしコストを抑えるために社内の教育担当者だけに任せきりにしてしまうと、学べる内容が固定化されてしまうだけでなく、担当者の負担も過大になってしまいます。専門性を高めたり即戦力となる人材を育てたりするには、外部の研修機関を活用する方法も検討しましょう。ユーキャンでは各社のニーズをヒアリングし、最適なカリキュラムを提供しています。

