主任研修とは?
主任研修とは現場のリーダーとして働く主任を対象として、リーダーシップの強化や課題解決能力、意思決定に必要な論理的思考力を高めることなどを目的とした研修です。ビジネス現場における主任の役割、指導者としてのスキルなど、管理職よりも現場で働くリーダーに求められるスキルを中心に学びます。一般の社員に比べて高度な知識とスキルの習得が必要となるため、学ぶ内容の専門性が高めに設定されている点が特徴です。
主任研修の対象者
主任研修の対象者は、主に新任の主任となった人です。主任として持つべき心構えや役割の認識、スキルの習得などを進めます。また、すでに主任として現場で活躍する人も対象です。長く主任として経験を積んでいても、改めて必要なスキルを再認識し、キャリア開発の一環として学びを活用できます。主任研修を通して一般社員と主任・リーダークラスの違いを理解し、職場ですぐに活躍できる知識とスキルを習得できるでしょう。
主任研修を行う目的
主任研修は、現場の中核を担う主任・リーダークラスの社員に対し、マネジメントスキルやリーダーシップ能力を強化し、業務遂行能力を高めることを目的としています。主任は立場上、上司と部下の間に立ち、現場の業務をスムーズに進める役割を担うため、現場を指揮し、メンバー間の意見調整や連携を取り仕切るために知識やスキルの習得が求められます。主任研修を行う際は、主に次の目的のために実施するのが一般的です。
・リーダーシップとマネジメントスキルの強化
・現場でのコミュニケーション能力向上
・課題解決能力向上
・責任感とキャリア意識の醸成
主任研修は主任として必要なスキルを高めるだけでなく、主任という立場の特性を理解し、責任感とキャリアへの意識を強めることも重視しています。現場でメンバーとともに実務に携わるからこそ、チームが円滑に業務遂行し、部下の成長を支援していく力が求められるでしょう。
主任研修で行う項目
主任研修ではどのような能力を習得すべきか、おすすめを5つ紹介します。
リーダーシップ
主任になると現場で部下の指揮をしつつ、実務をこなすことが求められます。管理職に比べてメンバーと接する機会が多いことから、人を率いるリーダーシップの強化が必要です。主任になると、現場で状況を把握して意思決定する機会も多く、リーダーシップなくしては部下はついてきません。そこでリーダーシップ研修を実施する必要があります。リーダーの持つ「決裁者」「育成者」「代表者」という役割を理解し、チームを率いる重要な立場であることを認識してもらうことが大切です。研修を通して実務だけをこなすのではなく、組織やチームに変革を起こすには何が必要か、過去のリーダー達の実例からリーダーシップについて深く学びましょう。主任がリーダーシップを発揮することで、一緒に働くメンバーは働きやすくなり、部下が信頼を寄せる人材となります。
人材育成スキル
主任は現場で業務を遂行するだけでなく、メンバーの育成でも中心的な役割を果たす一人です。若手社員の育成はあらゆる企業で重要ですが、人材を育てる社員の存在がなければ、優秀な人材は育ちません。主任になれば人材育成で部下や後輩と関わることも多く、自分の経験を伝えていくことも求められます。このような人材育成の能力を高めるためには、ティーチングやコーチングといった手法を学んでいくとよいでしょう。また人材育成に苦手意識を持つ人であれば、人材育成スキルを高める研修で、育成目標の設定方法や心理学や認知科学を利用した育成方法、1on1の実践について学ぶのが効果的です。OJTのような実務を意識した研修のスキルを学び、即戦力となる人材育成のスキルを高めることも主任研修では重要です。
コミュニケーションスキル
主任に求められるコミュニケーションスキルは、一般社員に求められるコミュニケーションスキルとは違いがあります。主任には上司と部下という2つの立場があることから、双方の視点で捉えたコミュニケーションが求められます。部下とのコミュニケーションではチームワークや信頼関係構築、上司とのコミュニケーションではメンバーへの意思伝達や調整役になることが必要です。また顧客とのコミュニケーションでは、相手に信頼してもらえるように丁寧さと傾聴の姿勢が求められます。そのため主任研修ではリーダーとして必要なコミュニケーションスキルの向上に加え、アサーティブコミュニケーションやファシリテーションスキルの習得も目指しましょう。
マーケティングスキル
ビジネス現場で意思決定を行なうには、情報に基づいた仮説を検討し、最善と考える施策を実行する必要があります。特に主任は意思決定の権限を持つ立場上、専門的な知識とスキルが不可欠です。そこで意思決定を支えるスキルとして重要となるのが、マーケティングスキルです。マーケティングスキルを磨くことで、情報を読み解いてターゲット像を設定し、知識を活かして最適な施策を打ち出せるようになります。マーケティングにおける4P・4Cや分析方法、仮説思考の習得など、実践的なスキルを磨くことで素早い意思決定ができるようになるでしょう。責任ある立場の主任だからこそ、チームの戦略を自身の持つ知識とスキルで支えるため、マーケティングスキルの習得が欠かせません。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングはあらゆるビジネスシーンで、物事を客観的に捉え、事実やデータに基づいて意思決定するために必要なスキルです。コミュニケーションにおいては自分の意見をわかりやすく伝え、相手の納得感を引き出すためにも重要です。特に主任になると経営層や管理職と関わる機会も多く、効率的でわかりやすい説明と資料作成が求められます。そのため主任研修でもロジカルシンキング研修を行い、仮説思考やフレームワーク、情報の構造化といったロジカルシンキングの基礎を身につけてもらいましょう。ロジカルシンキングが高ければ、意思決定能力や課題解決能力も高まり、チームの生産性向上やイノベーションにもつながります。
主任研修実施時のポイント
主任研修を実施し成功させるために、どのようなところを意識すべきか、4つのポイントを紹介します。
抱えている課題に合わせて内容を決める
主任研修を効果的に実施するためには、参加者が取り組むべき具体的な課題を把握し、それに応じた研修内容を設定することが重要です。例えば部下の育成に悩む主任が多い場合は、効果的な指導方法やフィードバックの仕方を中心に研修を行うと効果的です。また業務効率化が課題となっている場合は、タスク管理や業務の優先順位付けに関する研修を実施するのがよいでしょう。各々の抱える課題や組織の課題を把握するには、研修前に事前アンケートを実施し、参加者が抱える課題やニーズを理解することで、より実践的な内容を組み込むことができます。課題解決につながる研修を実施することで、研修後の実務に活かせるスキルを習得し、参加者の満足度や研修効果の向上にもなるでしょう。
実践演習やケーススタディを取り入れる
主任研修を成功させるためには、実践演習やケーススタディを取り入れることも重要です。主任の役割は現場での問題解決や部下の指導、業務改善・効率化など、多岐にわたります。しかし、座学だけでは実際の業務課題についての議論が起こりにくいという問題があります。そのため、より実践的な演習としてコミュニケーション研修で、ロールプレイング形式の指導の実践を行い、具体的なフィードバックを受けることで、すぐに実務で活用できるスキルを習得することができます。また組織内で発生した実際の事例をケーススタディとして活用し、どのように対応すべきかをグループディスカッションすることで、課題解決力を養うこともできます。実践的な研修を取り入れることで、自信を持って主任業務に対応できるようになり、職場でのパフォーマンス向上につながります。
現実の課題に対する解決策の検討を研修に組み込む
主任研修を効果的なものにするためには、実際の現場で発生している課題に対する解決策の検討を研修に組み込むのが効果的です。実務で発生している課題であれば、参加者が具体的な状況と課題による影響をイメージしやすく、現実的な課題解決策の検討につながりやすいからです。例えば部下のモチベーション管理やチーム内の業務調整、トラブル対応などの課題をケーススタディとして取り上げ、グループワークやディスカッションにより解決策を検討するといった方法があります。さらに研修後に学んだ解決策を現場で実践する機会を設け、フィードバックを受ける仕組みを整えることで、PDCAサイクルを素早く回すことができるようになるでしょう。主任研修では実際の課題を軸とした研修を行うことで、主任としての実務能力向上を実現することができます。
研修後のフォローや振り返りを行う
主任研修を成功させるためには、研修後のフォローや振り返りを行うことも欠かせません。研修で学んだ内容を現場で実践し、知識やスキルを定着させるには、一度見て終わりではなく、継続的な学習と改善の機会を逃さないことが重要です。そのためにできることとして、研修後に定期的なフォローアップや振り返りの機会を設け、学んだスキルがどのように活用されるかを確認すると効果的です。また社長や人事担当者が参加者と面談を行い、主任としての業務上の課題や悩みを聞き、適切なアドバイスを提供することで、継続的な成長へとつなげられるでしょう。研修後のフォローを充実させることで、学んだ知識をスキルや経験として定着させ、主任として高い成果を出せるようになります。
まとめ
主任研修の概要や目的、行うべき項目、研修実施時のポイントについて解説しました。主任の役割は現場のリーダーとして、部下の指揮や育成、迅速な意思決定、一般社員と管理職との調整役を担うことにあります。実務で活躍する人材として重要な存在である一方、一般社員よりも多くの経験と高い専門性を求められることから、企業内でしっかりと役割を担える人材を育てることが重要です。現場ですぐに活躍できる主任を育てたいなら、ユーキャンのリーダー向け研修をご活用ください。