フォロワーシップとは?意味や5つのタイプ、実際の行動例を紹介!

  • フォロワーシップとは?意味や5つのタイプ、実際の行動例を紹介!

    公開日:2024.04.26

    更新日:2024.04.26

    フォロワーシップとはリーダーを含む組織・チームのメンバーが、成果や成長を最大化するために、自主的・自律的にお互いをサポートすることです。チーム運営においては、リーダーシップ以上にフォロワーシップの果たす役割が大きいとされています。この記事ではフォロワーシップの概要ともたらす効果、実践する際のポイント、実際の行動例などを解説しています。

フォロワーシップとは

フォロワーシップとは、チームやメンバーのパフォーマンスや成果を最大化させるために自主的・自律的にメンバーのサポートを行うことです。フォロワーシップでは、リーダーの意思決定や間違いへの意見、メンバーのメンタルやミスへのフォローなども行います。 フォロワーシップの具体的な意味、リーダーシップとの違い、相乗効果についてみていきましょう。

フォロワーシップの意味

フォロワーシップはリーダーやチームの業務を支援し、主体的・自律的に行動することです。 リーダーとは違った立場からリーダーの決定や行動を支持したり、必要なら是正したりすることもフォロワーシップに含まれます。 フォロワーシップの最大の目的は、組織やチームの成長と成果をあげることです。また勘違いされやすいですが、フォロワーシップとはチーム内の特定のメンバーに限定されるものではなく、全員に求められるものです。リーダーにもフォロワーシップが求められることはもちろんですが、それ以外のメンバーもフォロワーシップを意識・実践する必要があります。VUCA時代ではリーダーだけの指示に従うのではなく、全員が当事者意識を持つことで、協力して物事を進めていくことが重要とされています。チームメンバーそれぞれが知識と経験を活かしたフォロワーシップを発揮し、より良い結果を導くことが真のフォロワーシップといえるでしょう。

メンバーシップ・リーダーシップとの違い

フォロワーシップと似た言葉に、メンバーシップやリーダーシップがあります。 メンバーシップはリーダーやメンバーといった立場の違いを越え、メンバーがそれぞれの役割を果たすことでチームの成果・成長に貢献することを指します。また、フォロワーシップと対義語になるのがリーダーシップです。 リーダーシップはチームの成長・成果を高めるために、リーダーがチームに影響力を与えることです。いずれも共通する点として、チームや組織の成果・成長につながる点があげられます。 中でも、フォロワーシップはメンバーシップの一部でもあり、メンバーシップはチームメンバーの役割を広範囲に定義したものです。リーダーシップはフォロワーシップの対義語ではありますが、リーダーだけでなく、チームメンバー全員が何らかの形で発揮することが求められます。そのため、厳密には意味こそ異なりますが、チームや組織に属する全員がフォロワーシップ・メンバーシップ・リーダーシップを意識する必要があります。

リーダーシップとの相乗効果

フォロワーシップとリーダーシップは、相互作用によって相乗効果を発揮します。例えば、リーダーがチームに方向性やビジョンを示し、メンバーがそれを正しく理解できていないケースで、フォロワーシップが役立ちます。フォロワーがリーダーの示すビジョンに提言を行い、メンバー間で明確なビジョンを共有しやすくすれば、高い相乗効果が期待できるでしょう。また、フォロワーシップを発揮することでメンバー間のコミュニケーションが生まれ、チームワークの向上も見込めます。 最終的な決定権や方向性を示すのはリーダーですが、フォロワーシップを発揮することで、リーダーが間違った方向に進むことを防ぎ、チーム一丸となって目標に進む意識が芽生えます。 リーダーシップとフォロワーシップは、どちらが欠けてもうまくいかない自転車の両輪のような要素です。

フォロワーシップが注目される理由

フォロワーシップが注目される理由には、次の2点があります。

・チームを支えられる存在が必要
・チームにおけるメンバーの重要性の高まり

チームを支えられる存在が必要

近年はVUCA時代とも呼ばれ、ビジネス環境が目まぐるしく変化し、組織に求められる役割も事業の推進速度も加速しています。予測できない時代にあっては、リーダーだけの意思決定で過酷な環境を乗り越えるのは困難です。そこで注目されているのがフォロワーシップです。リーダーを支える存在です。 リーダーはチームに方針やビジョンを示し、それをメンバーのフォロワーシップで動かしていく形が求められています。リーダーは自分の業務や役割で手一杯になり、チームまでリードするのが困難なこともあります。そのような状況でも、フォロワーシップによってメンバーが自主性・自律性を持って行動できれば、チームは正しい方向へと向かっていけるでしょう。

チームにおけるメンバーの重要性の高まり

米カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の「指導力革命:リーダーシップからフォロワーシップへ」では、フォロワーシップの果たす役割の重要性が説かれています。ケリー教授の調査によると、チームや組織においてリーダーが及ぼす影響力は10~20%程度ですが、フォロワーシップは80~90%にも及ぶとされています。このことから、組織のほとんどの人が現場で働く人材であり、リーダーの示すビジョンに基づいて能動的に考え、行動しているといえるでしょう。 チームが最大限の成果を出すには、リーダーシップ以上にフォロワーシップが重要 であることがわかります。

フォロワーシップを発揮することによる3つの効果

メンバーがフォロワーシップを発揮することで、次のような効果が期待できます。
・信頼関係の構築
・モチベーションアップ
・生産性の向上

信頼関係の構築

どの企業にもまとめ役となるリーダーと、リーダーを支えるメンバーがいます。 チームとして1つの目標や成果を目指す以上、立場は違っても同じ方向を向いて働く必要があります。フォロワーシップを発揮すれば、リーダーとメンバーが対等な立場で意見を出し合い、建設的な企業活動につなげられるでしょう。一般的にはメンバーはリーダーの指示に従うと思われがちですが、リーダーとメンバーの信頼関係があれば、お互いに尊重し合う関係性が生まれます。リーダーとメンバーがそれぞれのフォロワーシップを発揮することで、チーム全体の活性化につながり、相互の信頼関係が生まれます。

モチベーションアップ

組織やチームの生産性を高めるには、メンバー全体のモチベーションも重要な要素です。しかしリーダー1人が頑張っても、全体のモチベーションが上がらないことも少なくありません。メンバーのモチベーションを高めるには、リーダーとメンバーをつなぐフォロワーの存在は欠かせません。フォロワーシップが組織運営では非常に大きな割合を占めているため、一人ひとりのモチベーションアップが重要です。リーダーとメンバーをつなぐ存在がいれば、相互のやりとりや認識の共有ができ、チームとしての意思を統一できるでしょう。メンバーもリーダーが自分たちの意見を尊重してくれていると感じれば、チームに貢献してくれるはずです。

生産性の向上

フォロワーシップを発揮すると、メンバー全員が自律した行動を取るようになるため、チームの生産性も高まります。フォロワーシップを正しく理解し、行動に移せるメンバーが増えれば、自然と組織全体が活性化していきます。また、メンバーが実践しているフォローで他のメンバーが刺激を受ければ、同じように実践する人が増えていくでしょう。その結果、組織やチーム全体の生産性が高まり、メンバー間でのコミュニケーションの活性化にもつながっていきます。

フォロワーシップの5つのタイプ

フォロワーシップには5つのタイプがあります。批判的思考と積極的思考という2つの軸から、模範的・孤立型・順応型・消極的・実務型に分類したものです。 それぞれのタイプの特徴について紹介します。

(1)模範的

模範的なタイプは、批判的思考と積極的思考の両軸が備わり、最も理想的とされるフォロワーシップです。批判性・積極性の高さから、自発的な行動や考えを持ってフォローをしてくれます。またリーダーの方針や行動の誤りに気づいた際も、それを正すための建設的な批判や提言もできる特徴があります。リーダーにとって信頼できる存在であり、メンバーにとっても相談しやすく、頼りにできるタイプです。模範的なタイプはチームのサブリーダーなど、リーダーに近いポジションに置くことで、建設的で生産性の高いチーム運営が可能になります。

(2)孤立型

孤立型は批判的思考が高く、積極的思考が低いタイプのフォロワーです。建設的な批判や提言は行えるものの、自分から積極的に取り組む姿勢は弱く、チームメンバーから孤立しやすいタイプです。テレビのコメンテーターや批評家のように、他者を評価する傾向があります。チームへの貢献意欲が低いため、積極性を引き出すのが鍵になるでしょう。建設的な批判や提言ができていることから、貢献意欲が高まれば模範的フォロワーになる可能性も十分にあります。

(3)順応型

順応型は積極的思考が高く、批判的思考が低いタイプのフォロワーです。積極的思考が高いことから、リーダーの方針や決定に従うイエスマンになりがちな傾向があります。一見、リーダーからは扱いやすいようにみえるタイプですが、指示がなければ動かないことも多く、そのような意味ではリーダーの負担になりやすい面があります。また自発的に考えて行動することが少ないため、メンバーから信頼されにくいタイプです。批判的思考を高めることで模範的なフォロワーになる可能性も高いため、自ら考える習慣と意思表出の方法を身に付けてもらうことがポイントになります。

(4)消極的

消極的なタイプは、批判的思考と積極的思考のどちらも低いタイプのフォロワーです。
建設的な批判や提言はせず、チームや組織への貢献や協力的な姿勢もみられない点が特徴です。そのため周囲からは印象が薄く、物静かな人と捉えられることが多いでしょう。理想的なフォロワーである模範的なタイプとは真逆なタイプで、チームや組織運営では最も貢献度が低くなりがちです。批判的思考と積極的思考の両方を高める必要があり、リーダーやメンバーからの働きかけが必要になります。

(5)実務型

実務型は批判的思考と積極的思考がどちらもほどほどに高く、チーム内では中立的な立ち位置にいるタイプのフォロワーです。基本的には自分の仕事もチームの仕事も忠実にこなしますが、建設的な批判や意見、チームのために自発的に行動する意欲は低い特徴があります。また自分の仕事や役割を中心に考えることから、チームメンバーへのサポートや指導などには関心が低いです。保守的な思考を持つ方に多い傾向があり、チャレンジ意欲が低いと評価されることもあります。

フォロワーシップを実践するためのポイント

フォロワーシップを理解して実践するには、次の4つのポイントを知る必要があります。

・リーダーの能力には限界がある
・建設的な批判や意見を出す
・自分がどのタイプのフォロワーか把握する
・メンバー間のコミュニケーションを密にする

リーダーの能力には限界がある

チームや組織におけるリーダーは、みんなを引っ張っていく強い存在だと思っている人も多いでしょう。しかしリーダーも1人の人間であり、予測が難しい時代を1人の能力で乗り越えていくのは困難です。メンバーはリーダーの能力にも限界があることを理解しつつ、自分の役割を考えていく必要があります。 リーダーがいない状況でもメンバー間の情報共有をしっかりと行い、チームを円滑に回していくことも1つのフォロワーシップです。メンバー一人ひとりが、リーダーのできること・できないことを見極め、生産性を高める視点からチームを支援していくことが重要です。

建設的な批判や意見を出す

フォロワーシップを実践するには、リーダーの意思決定に対して、時には建設的な批判や意見を出すことも重要です。リーダーの意思決定の背景は何か、意思決定に伴って予想される結果は何かを考え、批判的な意見を出す必要があります。批判的な考えを深める力をクリティカルシンキングといい、議論を深めるために役立つ思考法の一種です。クリティカルシンキングでは批判だけをするのではなく、客観的かつ論理的に物事を考え、建設的な意見を提言することがポイントです。すぐに身に付けられるスキルではありませんが、書籍やeラーニング、研修といったさまざまな方法で学ぶことができます。フォロワーシップを身に付ける際は、クリティカルシンキングも合わせて学ぶことをおすすめします。

自分がどのタイプのフォロワーか把握する

フォロワーシップを実践するには、自分が5つのうちどのタイプのフォロワーなのかを知ることもポイントです。自分の思っているフォロワーシップのタイプと、実際のフォロワーシップのタイプが違うことはあります。 フォロワーシップのタイプを把握できれば、自分の強み・弱みなどの特徴を活かして、チームやメンバーの支援ができるでしょう。 また、学びを通してフォロワーシップのタイプを変化させることも可能です。自分のタイプ特性を把握し、チームの生産性を意識したフォロワーシップを身に付けましょう。

メンバー間のコミュニケーションを密にする

フォロワーシップを実践するには、コミュニケーションも疎かにはできません。業務に関することはもちろん、時には私的な内容も会話に織り交ぜながら、信頼関係を構築することが大切です。良好な関係を築いたチームでは、建設的な意見や問題点の議論が活性化しやすくなります。また、メンバーがお互いの強み・弱みを理解できれば、業務で支援すべきポイントも理解しやすくなるでしょう。

フォロワーシップの具体的な行動例

フォロワーシップを実践するうえでの、具体的な行動例を紹介します。

自分の担当・役割の仕事を引き受ける

チームメンバーには、それぞれの職種や専門性、経験によって担当する業務や役割があります。リーダーも自分の業務を行いながら、チーム全体を引っ張っていかなければなりません。そのため、メンバーはそれぞれの役割や業務を理解し、自分の仕事は積極的に引き受ける必要があります。メンバーが仕事をこなすことで、リーダーの負担が減り、リーダーシップを発揮できるからです。また自分の仕事のキャパシティに余裕があるときは、他のメンバーをフォローするのも大切なフォロワーシップです。自分の業務だけに専念するのではなく、役割を果たしながらチーム全体を俯瞰する意識も持ちましょう。

メンバー内でビジョンを共有する

リーダーの示した方針やビジョンは、チーム全体が共有することで適切なチームワークが磨かれていきます。フォロワーシップを実践する際は、メンバー全員がリーダーの指示やビジョンを共有し、意図を正しく理解する必要があります。リーダーの意図を正しく理解できていないと、業務の必要性が理解できず、メンバーの不満につながるでしょう。メンバーがフォロワーシップを発揮することで、リーダーとメンバーの双方が信頼し合える良好なチームワークが完成します。

リーダーに自分の意見を伝える

フォロワーシップはリーダーの指示・命令に従うだけでなく、時には自分の意見を伝えることも重要です。予測できない時代の変化がある中では、リーダーの指示が必ずしも正解とは限りません。 メンバーだからといってリーダーに遠慮するのではなく、建設的な意見を考え、伝えていくことには大きな意味があります。 ただし、感情的な意見や個人的な好みではなく、クリティカルシンキングと論理的思考から、建設的な意見を出すことを意識しましょう。

まとめ

今回はフォロワーシップについて、リーダーシップとの違いや注目される理由、効果、実践のポイントなどを解説しました。 組織やチームが高い成果を挙げ、成長していくためにはフォロワーシップが欠かせません。 リーダーがチームを引っ張っていくためには、チーム全体がフォロワーシップで貢献する意識を持ちましょう。そして時には反対意見や提言も行いながら、チームが1つの目標に向かっていけるのが理想のチームです。模範的なフォロワーを増やし、生産性の高い組織・チームを作りましょう。

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