暗黙知とは?形式知との違い、形式知化するポイントを紹介

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    公開日:2024.04.26

    更新日:2024.04.26

    暗黙知とは社員個人の経験に基づいた知識や技術などの情報が作業担当者しか把握できておらず、周囲に共有されていない状態を指します。 暗黙知は言語化されていないことも多く、特定の人以外はわからないという「属人化」を防ぐため暗黙知を形式知化することは企業の課題のひとつです。この記事では暗黙知の概要とメリット・デメリット、形式知化するためのポイント、成功事例からナレッジマネジメントのポイントを解説しています。

暗黙知とは何か

暗黙知とは個人の経験やノウハウ、培ってきた技術などの属人的で言語化されていないナレッジを指します。職人が代々引き継いできた技術や勘が暗黙知のわかりやすい例でしょう。暗黙知は暗黙知は個人の経験やノウハウを基にしているため、言語化するのが難しいナレッジではあるものの、経験や勘に裏打ちされた知恵であり、成功するためには重要な知識です。そのため、暗黙知を共有するには、個人の持つナレッジをマニュアルや文書化して他の社員に公開していく必要があります。

形式知との違い

形式知は暗黙知とは逆に、個人が経験を通じて身に付けた、言葉や文章では簡単に表現できない知識やスキルを誰にでも共有しやすいように文章・図・数式などの形にまとめ、マニュアル化したものです。 業務マニュアルや社内システムの操作マニュアル、電話対応のマニュアルなど、形式知を活用すれば新入社員やスキルが未熟な社員でも一定の業務を進めることができます。暗黙知のように長い経験で培った独自の技術を必要としないため、他者への伝達がしやすく、誰でも同じ成果を出しやすい点が形式知と暗黙知の大きな違いです。

暗黙知のデメリット

個人の経験やノウハウに依存する暗黙知には、2つのデメリットがあります。
・ナレッジの継承が難しい
・組織の生産性が低下する

ナレッジの継承が難しい

暗黙知は個人の経験とノウハウに基づいており、個々の社員の中で蓄積された知識です。
社員個人の能力や成果は高まりますが、社員が定年や退職で会社を去った場合に、知識の継承が難しいという問題があります。日本の伝統的な職人に例えればわかりやすいでしょう。
伝統工芸の職人がいたとしても、職人が弟子に暗黙知を伝授していかなければ、後継者は生まれず技術や知識も継承できません。また豊富な暗黙知を持つ社員が退職してしまえば、業務が遅延したり、問題が多発したりするおそれもあります。 暗黙知そのものは重要なナレッジですが、暗黙知をどうやって形式知に変換し、継承していくかが企業の抱える課題です。

組織の生産性が低下する

暗黙知は個人の中に知識が蓄積されるため、個人の能力は高まっても、組織としての生産性は高まりにくい点もデメリットです。暗黙知を形式知に変換するには、社員の時間と労力もかかることから疎かにされがちです。特に暗黙知を多く持っている人ほど優秀な社員であることが多く、引き継ぐ社員がすべての知識、ノウハウを継承するには多くのエネルギーを必要とします。その結果、生産性が低下するリスクがあります。逆に、暗黙知を多くの社員に共有できる仕組みを構築できれば、組織全体の生産性向上につながるでしょう。

暗黙知を形式知化するメリット

社員の暗黙知を形式知化することで、次のメリットがあります。

・社員の業務効率化
・組織の生産性向上
・知識・スキルの属人化防止
・コミュニケーションの活発化
・育成・指導の効率化

社員の暗黙知を形式知化できれば、すべての社員の業務の質と効率が向上します。業務の質と効率が改善すれば、社員同士で知識も共有しやすくなり、コミュニケーションの活発化、人材育成の効率化にもつながります。

暗黙知を形式知化するナレッジマネジメント

企業が保持している情報・知識と、個人が持っているノウハウや経験などを共有して、創造的な仕事につなげるナレッジマネジメントの考え方について紹介します。

・SECI(セキ)
・場(Ba)
・知的資産
・ナレッジリーダーシップ

SECI(セキ)

SECIはナレッジマネジメントのフレームワークとして、4つの工程から成り立っています。

・Socialization(共同化):共同作業を通して暗黙知を共有する
・Externalization(表出化):共有した暗黙知を文章・図・数式などに形式化する
・Combination(連結化):昔からの形式知と新しい形式知を組み合わせ、新しい形式知を作る
・Internalization(内面化):新しい形式知を実践して習得し、新しい暗黙知へと変換していく

SECIでは4つの工程を繰り返し行うことで、暗黙知を形式知へ、形式知を暗黙知へと変換していきます。このサイクルによって常に新しい暗黙知と形式知が生まれ、社員の能力を高めつつ組織の生産性を向上させることができます。

場(Ba)

場(Ba)は組織内でナレッジの共有を行うには、そのための「場」が重要になるという考え方です。例えば、個人同士での会話よりもミーティングのような社員の集まる場のほうが、より多くの意見が出やすく、暗黙知の形式知化もしやすくなります。ただし、「場」とは直接集まって話し合う場所である必要はなく、オンラインチャットやグループチャット、VRなどのネットワーク上でも問題はありません。一番の目的はナレッジの共有ですから、暗黙知を共有しやすい場があれば、具体的な場所を制限しないのが基本となる考え方です。

知的資産

場(Ba)で共有された形式知は、企業の知的資産になります。知的資産は企業の財産となり、次の世代の社員へと継承されます。知的資産を企業経営に活用することで、より生産性の高い企業へと改善していくでしょう。

ナレッジリーダーシップ

ナレッジマネジメントの成功の鍵となるのが、形式知化を進めて組織を率いるリーダーの存在です。ここまでに紹介したSECIや場を活用するには、ナレッジマネジメントを推進するリーダーが欠かせません。ナレッジリーダーシップはナレッジマネジメントを率先して行うために必須であり、全社員に暗黙知の形式知化の重要性を認識させる役割があります。リーダーを各部署または各チームに配置し、ナレッジマネジメントを主導してもらうことが重要です。

暗黙知を形式知化して共有するためのポイント

暗黙知を形式知化して共有するには、次のポイントを押さえる必要があります。

・ナレッジ共有しやすい環境・仕組みづくり
・ナレッジマネジメントツールの活用
・ナレッジリーダーの決定

暗黙知の形式知化を進める大前提として、ナレッジ共有しやすい職場環境と仕組み作りが必須です。 社員の中にはナレッジ共有に否定的な人もいることを考慮し、共有しやすい場や人事評価の項目に反映するなどの環境整備が必要です。 環境整備と合わせて、ナレッジマネジメントツールの導入も検討しましょう。自社の課題や社員のニーズに合わせて、活用しやすいツールを選択することが大切です。最後にナレッジマネジメントを進めるナレッジリーダーの決定です。リーダーシップを発揮する人材を配置することで、暗黙知の形式知化をスムーズに進められます。社内でナレッジマネジメントの重要性を共有し、一丸となって進める体制を整えてください。

ナレッジマネジメントの成功事例

国内でナレッジマネジメントに成功した企業の事例を2つ紹介します。

大手製薬会社A

大手製薬会社Aはコールセンター業務のナレッジマネジメントを推進し、業務の効率化を図りました。コールセンターでは多くの資料の中から商品情報を探しだす必要があり、コールセンター業務が煩雑化していました。そこで企業内に検索エンジンを導入し、情報を素早く検索・収集できる仕組みを作り、業務負担の軽減に成功しています。コールセンター業務はオペレーター個人の経験に基づく対応も多く、以前からナレッジ共有の重要性が認識されていました。結果的にこの ナレッジ共有によって、コールセンターの業務負担軽減、離職率低下につながりました。

大手日用消費財メーカーB

手日用消費財メーカーB では独自のナレッジ共有の仕組みを作り、消費者相談室の声を製品開発にも活かしています。
このシステムは顧客からの情報を集約し、商品開発やマーケティング、品質保証などさまざまな部門と共有しています。また各部署で個別に共有するだけでなく、定期的に部門の責任者が会議の場を設定し、情報共有する場も設けました。顧客視点での商品開発につなげており、ナレッジマネジメントの成功例の1つになっています。

まとめ

今回は暗黙知について、形式知化する際のポイント、メリット・デメリット、ナレッジマネジメントのポイントなどを解説しました。 暗黙知は言葉で簡単に表現できない知識やスキルですが、企業の業務を効率化し、生産性を高めるには形式知化し、経営戦略に組み込んでいくことが重要です。社内でナレッジ共有しやすい環境とツールを整備し、他社の成功事例も参考に自社独自の仕組み作りをしていくことがナレッジマネジメントを成功させる鍵になるでしょう。

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