キャリア研修とは?目的や内容、年代別プログラム、事例まで解説

  • 公開日:2023.07.21

    更新日:2023.07.25

    昨今、自己啓発のために、社内でキャリア研修を実施する企業が増えています。キャリア研修を行うことで、自立心のある人材育成ができるため、業務効率の向上につながります。この記事では、キャリア研修とは何か、メリット・方法などについて解説しています。年代別のプログラムや事例まで紹介しているので、参考にしてください。

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キャリア研修とは?

キャリア研修は、自分が目指す将来像を実現するために必要なキャリアを考えるための研修です。キャリアは、過去の経歴のことで、ビジネスにおいて獲得してきたスキル・知識などを指します。以下で詳しく解説します。

自分のキャリアを考えるための研修

キャリア研修は、企業で働く自分自身の未来の設計をするための研修です。キャリア研修を通して、自分が今まで行ってきた仕事を振り返り、自分の強み・興味・関心などを明確化します。将来どのようなキャリアを積みたいのか、自分が望むイメージ像を導き出せます。

キャリアとは何か?

キャリアとは、一般的には、職歴・経歴、発展などと定義されています。ビジネスにおけるキャリアは、仕事をすることでスキルを蓄える過程を意味します。 具体的には、これまで行ってきた仕事で獲得したスキル・知識、今後身につけたいスキル・知識などを表します。

キャリア研修が求められる社会の現状

現在、社会においてキャリア研修が求められている理由は、以下の通りです。


  • ・働き方が変化している
  • ・自立できる人材が求められている

働き方が変化している

昨今働き方が変化していることから、キャリア研修の実施が必要とされています。従来までは、終身雇用が主流でした。しかし現在では、成果主義の企業が増えているため、従業員自らの目で企業を選び、企業も従業員を選ぶ関係へと、変化してきています。

自立できる人材が求められている

自立できる人材が求められていることも、キャリア研修が必要とされる理由の1つです。働き方の変化により、自立できる人材を求めている企業が増えました。企業が主導するのではなく、従業員自らが主体的に働く力が必要とされている時代となっています。具体的には、計画的に行動できる人材や、熱意のある人材が求められています。

企業のキャリア研修の導入状況

新型コロナウイルス感染症の流行により、キャリア研修をはじめとする、企業が従業員教育にかける教育費は減少しています。しかし、コロナ禍以前は、企業の4割がキャリア研修を行っていました。以下では、企業のキャリア研修実施における調査データを紹介します。

企業の4割がキャリア研修を実施

産労総合研究所が2019年に実施した調査データでは、キャリア開発研修の実施企業は43.5%でした。特に、若手〜中堅の年齢層で実施率が高い傾向にあることが明らかになっています。階層別教育で見ても、新人教育の実施率が最も高く、95.7%といった結果が示されています。

※参考:2019年度(第43回) 教育研修費用の実態調査|産労総合研究所
https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_1910.pdf

キャリア研修を行う目的

キャリア研修を行う目的は、主に2つあります。

  • ・従業員のモチベーションと定着率の向上
  • ・年代によって異なる課題の解決

従業員のモチベーションと定着率の向上

キャリア研修を行うことで、働く目的を再認識し、モチベーションの向上と離職防止が期待できます。キャリア研修で、自らの働き方について考え、企業から何を求められているかを認識することで、企業側と従業員側のズレをなくせます。結果的に、企業側の行う評価・方針への不満も減らせるでしょう。

年代によって異なる課題の解決

キャリア研修は、年代によって異なるキャリアに関する悩み・課題を解決するために、必要とされています。20代の場合は組織の一員として適応する、30代の場合はキャリアの方向性を定める、40代の場合は環境変化に合ったキャリアを歩むなど、年代によって目的は異なります。そのため、キャリア研修では、年代別に目的を設定しましょう。

キャリア研修で得られる効果

キャリア研修で得られる効果は、主に3つあります。これらの効果が得られることで、従業員のモチベーションを高められます。

  • ・会社への信頼と愛着心が芽生える
  • ・自発的に行動できる従業員が育つ
  • ・自分の業務に対し試すべきことが明確になる

会社への信頼と愛着心が芽生える

キャリア研修は、会社への信頼と愛着心が芽生える場になります。キャリア研修を通じて、会社側の考えを理解することで、会社への信頼と愛着の気持ちが生じたり、増大したりするためです。企業を愛する従業員が増えることで、企業のブランド力も高まり、離職者の減少にもつながるでしょう。

自発的に行動できる従業員が育つ

研修を通して、自発的に行動できる従業員が育つ点も、キャリア研修で得られる効果の1つです。キャリア研修で自らのキャリアをイメージすることで、自発性のある従業員が増えるためです。上司からの指示を待つのではなく、従業員自らの考えで主体的に行動するようになるでしょう。

自分の業務に対し試すべきことが明確になる

自分の業務に対し、試すべきことが明確になる点も、キャリア研修で得られる効果といえます。キャリア研修を通して、自分の仕事のために必要なキャリアについて考える機会が増えるためです。結果的に、業務に対する意識の変革ができ、業務効率・生産性の向上につなげられるでしょう。

年代別キャリア研修プログラム

キャリア研修は、年代ごとの課題が異なるため、年代別のプログラムにする必要があります。ここでは、年代別の課題とキャリア研修プログラムについて解説します。

20代のためのキャリア研修プログラム

20代では、企業・組織の一員として自分ができることを意識するためのキャリア研修が必要とされます。新卒、20代前半の場合、社会人経験が浅く、自分が何をすべきか見えていない状態なので、経験が求められる時期です。
<>br第二新卒・20代後半の場合は、自分の立ち位置が見え始め、転職を考え始める時期です。指示される仕事をこなすだけの日々となりがちで、モチベーションが低下する可能性があります。研修で自身の将来のキャリアを考える事で、今の仕事の意味を理解し、モチベーションを高めてもらいましょう。

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30代のためのキャリア研修プログラム

30代のキャリア研修では、将来、組織で活躍する自分のキャリアイメージの形成が必要とされます。今後の成長につながる能力・スキル・組織のなかの役割を明確化できる研修プログラムにしましょう。30代は、責任の範囲が拡大し、リーダーシップを求められる機会が多くなります。

そのため、自分のスキルを自覚し、企業における自分の立ち位置が明確になる時期です。家庭を持ったり、転職の可能性が広がったりする年代でもあります。

40代のためのキャリア研修プログラム

40代では、経営方針への理解を深める、今後のあり方や方向性を考えるなどのキャリア研修が必要とされます。40代は、30代よりも組織への貢献が求められる時期で、組織内の人事、競合に対する戦略などへの考察も必要です。役職についた場合は、責任の重さを再認識し、さらにキャリアアップを目指しやるべきことを模索します。
<>br役職によってはモチベーションが低下することもあるため、組織内での、自分の新たなあり方を再認識し、新しい方向性を見つけられる研修プログラムを作成しましょう。

また自分だけでなく、部下のキャリアについても考える必要があるため、キャリアをサポートするスキルも身につけておくと良いでしょう。

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50~60代のためのキャリア研修プログラム

50〜60代では、働き方を明確化し、定年・再雇用後の生き方、働き方についての準備のためのキャリア研修が必要とされます。50〜60代は、役職定年・退職などを目前に控え、今後への不安を感じ始める時期で、ベテランとして、後輩が目指すべき姿を見せるべき時期でもあります。そのため、役割によらない働きがいを見つけ出せる研修プログラムにしましょう。

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キャリア研修の実施ステップ

キャリア研修の実施ステップとして、以下の6つのステップを踏む必要があります。

  • 1.組織の課題を調査し把握する
  • 2.キャリア研修をする目的を明確にする
  • 3.キャリア研修の対象者を決める
  • 4.キャリア研修プログラムを作成する
  • 5.キャリア研修の効果測定方法を決める
  • 6.キャリア研修の準備・実施する

1.組織の課題を調査し把握する

まずは、組織の課題を調査し、把握しましょう。キャリアに関して、具体的にどのような課題がある状態なのかを整理することで、課題解決に必要な内容の研修を実施できるためです。社内のアンケートや自己分析ツールなど、調査方法はさまざまです。従業員だけではなく、経営者や管理者が感じた課題も整理し、それぞれの立場の意見を把握することが大切です。

2.キャリア研修をする目的を明確にする

を明確にすると、キャリア研修後の効果検証がしやすくなるためです。「自分に合ったキャリアを見つけ出してほしい」「自社で活躍するためのキャリア形成をしてほしい」など、キャリア研修後に受講者にどうなってほしいのかをイメージし、目的を定めましょう。

3.キャリア研修の対象者を決める

キャリア研修の目的を明確化したら、目的・課題に応じた対象者を選定しましょう。20代・30代・40代・50代・定年以降のように、年代別に実施するのが一般的です。受講する側も、自分が参加すべき研修を見極めやすくなるためです。場合によっては、新入社員・中堅社員・管理者・シニアなど、役職や職種によって、研修の対象者を決めるケースもあります。

4.キャリア研修プログラムを作成する

研修の対象者を決めたら、キャリア研修で行うべきプログラムを作成しましょう。対象者・課題に合うプログラムを作成することが大切です。プログラムの作成と並行して、スケジュール調整、講師・場所の選定なども進めましょう。

講師は、キャリア研修の実施経験がある人を選定すると、効果が期待できるのでおすすめです。自社で選定できない場合は、外部業者に委託することも検討しましょう。

5.キャリア研修の効果測定方法を決める

研修プログラムを作成したら、研修の効果測定方法を定めましょう。キャリア研修は実施するだけではなく、実施後に効果測定をすることが重要です。アンケートの実施・キャリアプランシートの作成などで効果測定するのが一般的です。アンケートには、「研修の効果をどの程度実感できたのか」「具体的な学びは何か」などの設問をいれ、定性的かつ定量的に把握しましょう。

キャリアプランシートを研修中に受講者に作成させ、研修後にも定期的に進捗を振り返ることで、研修の効果を測定できます。

6.キャリア研修の準備・実施する

研修の効果測定方法を定めたら、キャリア研修の準備をし、研修を実施しましょう。具体的には、会議室の予約、講師の手配、参加者への告知、テキスト作成、アンケート作成などを行います。また、研修当日は予想外のことが起きる可能性もあるため、講師や担当者の役割、緊急時の連絡方法を定めておきましょう。事前に研修当日の流れについて、共通認識を持っておくと安心です。

キャリア研修のプログラム例

キャリア研修のプログラムには、「Will」「Can」「Must」といった3つのフレームワークがあります。ここでは、以下の3つのプログラム例を紹介します。

  • ・自分が実現したいことを考えさせる(Will)
  • ・自分の強み・できることを考えさせる(Can)
  • ・自分がやるべきこと(Must)

自分が実現したいことを考えさせる(Will)

Willは、夢・希望を意味し、仕事においては自分が実現したいことを指します。実現したいことを考えることによって、自分のキャリアを主体的に築けるようになります。例えば、「クリエイティブな仕事がしたい」「国際的な仕事がしたい」などといった希望が挙げられます。Willを考える際には、非現実的な内容でも構わないので、本音を引き出すことが大切です。

自分の強み・できることを考えさせる(Can)

Canは、強みを意味し、仕事においては自分のできることを指します。自分の強みやできることを活かすことによって、自分らしいキャリアを歩めるようになります。例えば、「Photoshopで絵を描ける」「英語でコミュニケーションがとれる」などが挙げられます。協調性や課題解決力などのスキルも、Canに含まれます。

h3:自分がやるべきこと(Must)

Mustは、使命を意味し、仕事において自分がやるべきことを指します。周りからの期待や役割などとも言い換えられます。Mustを持つことで、周りからの期待を感じられやすくなり、貢献性や愛社精神を高められるでしょう。例えば、「デザイナーとしてのスキルを高める」「管理職としてチームをまとめる」などが挙げられます。

将来自分がどうなりたいかを考える

将来のキャリアを考える際には、自分が将来的にどうなりたいかを考え、キャリアビジョンを明確化することが大切です。「部署の業務を覚える」「チームリーダーとしてプロジェクトをまとめる」などのように、短期のビジョンと長期のビジョンの2つを考え、目指す理由も考えましょう。

現在の自分の状況を把握する

将来のキャリアを考えるうえで、現在の自分の状況を把握することも大切です。自己分析をして現状把握をすることで、自分の描く将来像と現実の差を見極める機会になります。過去の経歴や、自分の持つスキル・知識・経験などをリストアップしましょう。就業年数が浅い場合は、学生時代の経験でも構いません。

ビジョン達成のためにできることを明確にする

ビジョン達成までにできることを明確化するのも、将来のキャリアを考えるうえで重要です。達成するために必要な項目を洗い出すことで、自分が踏むべきプロセスが見えてきます。自分に足りないスキルをリストアップし、将来のビジョンのためのスキルアップの方法を考えましょう。

効果的なキャリア研修をするためのポイント

効果的なキャリア研修をするためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。以下にて、解説します。

  • ・従業員主体のプログラムを作成する
  • ・アフターフォロー体制を整える
  • ・柔軟な人事異動制度を取り入れる

従業員主体のプログラムを作成する

効果的なキャリア研修を実現するためには、従業員主体のプログラムを作成するのがポイントです。従業員が、自分自身で、キャリアを省み、将来の自分をイメージする機会を作りましょう。会社側の理想の押し付けは、従業員の反感につながるため、要注意です。

アフターフォロー体制を整える

キャリア研修を効果的に行うためには、アフターフォロー体制を整えましょう。研修中のフォローだけではなく、研修後の対応も大切です。相談窓口や相談担当者を設け、自分のキャリアについて継続的に考えてもらえる体制を整える方法がおすすめです。

柔軟な人事異動制度を取り入れる

効果的なキャリア研修をするためには、柔軟な人事異動制度を取り入れることも大切です。人事異動制度の導入は、キャリアチェンジを検討する従業員の離職の防止につながるためです。従業員が考える理想のキャリア像を実現するために、人事異動が可能となる制度を設けましょう。

キャリア研修を実施している企業の事例

昨今、キャリア研修を実施している企業が増えています。以下の3社の事例を紹介します。

  • ・事例①大手信販会社A
  • ・事例②大手音楽配信会社B
  • ・事例③大手総合化学メーカーC


事例①大手信販会社A

大手信販会社Aでは、従業員にキャリアオーナーシップを持ってもらうことを目的に、入社4年目、10年目の従業員が対象のキャリア研修を実施しています。研修は、今後のキャリアプランを考え、研修後に人事と面談をする流れとなっています。

「自分から学ぶ姿勢を持つ重要性」を従業員に伝えることで、これまでの階層別・年次別に研修に参加するよう指示する「ボトムアップ型」を変えていくよう動いています。今後は、従業員の主体的な学びをサポートし、チャレンジする人を増やしていくことを目標に掲げているそうです。

事例②大手音楽配信会社B

株式会社USEN-NEXT HOLDINGSでは、多様な成長のための基礎づくりをサポートするキャリア研修を実施しています。コロナ禍で制限が多い環境が続き、従業員のキャリアにつながる学びの場が激減したことから、施策を考えたそうです。

コロナ禍以降に入社した1〜3年目の若手社員に向けて「外を知る」機会を補填するために、「オンライン×自律的×多様な成長機会」をテーマにした若手育成研修プログラム「Green」を立ち上げました。

事例③大手総合化学メーカーC

旭化成株式会社では、自社開発した学習プラットフォーム「CLAP」へ搭載するメインコンテンツを採用し、2万人弱の従業員が学べる環境を作りました。旭化成株式会社では、従業員が自立的にキャリアを考えて、実現に向けて学び合う組織風土の醸成を課題としていたためです。

メインコンテンツを全社に展開してから、10日間の間に従業員の半数が「CLAP」へアクセスし、学びに興味がある従業員が多いことが明らかになりました。

まとめ

キャリア研修とは、自らが目指す将来像を実現するために必要なキャリアを考える研修のことです。キャリア研修を行うことで、従業員のモチベーションと定着率の向上につながります。また年代ごとに実施することで、年代に併せた異なる課題の解決につなげられます。

ユーキャンは、60年以上の歴史、法人様取引実績5000社以上の実績を持つ人材教育サービスです。丁寧なヒアリングで課題を抽出し、その法人様にフィットするようご提案します。ユーキャンの キャリア研修に興味がある方は、お気軽にぜひお問い合わせください。

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