プレゼンテーション成功のコツとは? 訴求力の高い資料作成・話し方のポイントを解説

  • 公開日:2023.04.24

    更新日:2023.04.24

    プレゼンテーションは営業や上司への提案、会議での報告など、ビジネスでよく用いられる手段です。社会人にとっては必須ともいえるスキルです。しかし、実際に人前で話すことへ苦手意識を持つ方も少なくないのではないでしょうか。

    この記事では、プレゼンテーションのコツを手順ごとに詳しく紹介します。プレゼンテーションのスキルをアップさせたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。

プレゼンテーションの目的

プレゼンテーションの目的は「聞き手の行動を促すこと」です。ビジネスにおけるプレゼンテーションの意義は、自社の商品・サービスの情報を効果的に聞き手に訴求し、理解を促進した上で購入・利用につなげることです。ただプレゼンテーションするだけでは意味がなく、聞いた人を具体的な行動に導けるかどうか、を念頭に準備しましょう。

成功するプレゼンテーションの特徴

成功するプレゼンテーションは、わかりやすく最後まで興味を引き付けられるものです。具体的には、以下のような特徴があります。

  • ・主張したいことが明確
  • ・聞き手の興味・関心に沿った内容
  • ・端的でわかりやすい表現・メッセージ

一方で、失敗するプレゼンテーションは「情報量が多すぎて何を伝えたいかが不明瞭」、「専門用語ばかりで聞き手が理解できない」といった特徴があります。

「プレゼンテーションが苦手」なのはなぜか

プレゼンテーションへの苦手意識は、「うまくいかなかったらどうしよう」という不安に起因します。

  • ・人前で話すことが苦手
  • ・プレゼンテーションの内容・話し方に自信がない
  • ・アドリブでの質疑応答がこわい

上記のような不安は、誰しも感じたことがあるのでしょう。これらの不安は、事前準備によりある程度、解消できます。これから紹介するコツをぜひ実践してみてください。

プレゼンテーション準備の流れ

プレゼンテーションの準備は以下の手順で進めます。

1.プレゼンテーションの目的・対象の明確化
2.プレゼンテーションの構成の組み立て
3.プレゼンテーション資料の作成
4.プレゼンテーション実演・話し方の練習
5.質疑応答の準備

まずは、誰に対しどのような行動を促したいか明確にします。聞き手にとって効果的なストーリーを検討し資料に落とし込んだら、本番に向け話し方の練習も余念なく行いましょう。聞き手の疑問を洗い出し、回答を用意しておくことも忘れてはいけません。1つ1つしっかり準備することが成功への近道です。続いて、各プロセスの詳細・コツを紹介します。

手順1:プレゼンテーションの目的・対象を明確にする

プレゼンテーションは、特定の対象に行動を促すために行います。いきなり資料の作成を始めるのではなく、まずはプレゼンテーションの目的・聞き手を明確に定義しましょう。その際、以下のようなポイントに留意してください。

■コツ1:プレゼンテーションのゴールを具体的にイメージする

プレゼンテーションのゴールに応じて効果的な訴求は異なります。まずは聞き終わった相手がどのような状態になっていれば成功と言えるのか、具体的にイメージしましょう。たとえば、以下のようなゴールが想定されます。これらを念頭に構成・資料内容を検討しましょう。

  • ・企画を進めることへの合意形成ができている(対社内)
  • ・商品利用への意向が高まっている(対社外)
  • ・会社に対し好感を抱いている(対社外)

■コツ2:聞き手への理解を深める

聞き手の心を動かすには、「聞き手がどのような属性でどのような人なのか」をリサーチすることも重要です。可能な範囲で、以下のような情報を調べておくといいでしょう。

  • ・ポジション・役職
  • ・課題に感じていること
  • ・興味・関心ごと
  • ・性格
  • ・仕事の忙しさ
  • ・提案内容に対する理解度
  • ・想定される反応

さまざまな立場の聞き手がいる場合は、意思決定のキーパーソンを見極めましょう。対象がぶれると伝え方も一貫性のないものになってしまうため、最も伝えたい相手を明確に設定しておく必要があります。

■コツ3:プレゼンテーションの目的・聞き手理解は他者の意見も参考に

ゴール設定・聞き手の理解は、なるべく複数の視点を取り入れることが望ましいです。主観的な判断で進めると、認識のずれがあった際にやり直しが発生するためです。たとえば「A社の担当者は●●を重視しているので、●●をゴールに設定しようと思っている」と上長に確認してみるなど、認識をすり合わせて準備するといいでしょう。

手順2:プレゼンテーションの構成を組み立てる

プレゼンテーションの目的と聞き手像がクリアになったら、どのようなストーリー展開が最も効果的か、構成を組み立てます。ゼロベースから考えることが難しい、という場合には以下のようなコツを意識するといいでしょう。

■コツ4:プレゼンテーションのフレームワークを活用する

プレゼンテーションの構成に迷ったときは、先人の考えたフレームワークを上手に活用することで、誰でもわかりやすく納得感のある論理展開を組み立てることが可能です。プレゼンテーションに使える代表的なフレームワーク3つを紹介します。

PREP(Point Reason Example Point)


PREPとは、主張に説得力を持たせる際に有効なフレームワークです。結論、理由、実例、結論の順に論理展開を行います。

■具体例
結論:セミナーは集客に有効
理由:商談より参加ハードルが低く、豊富な情報をわかりやすく伝えられる
実例:●●というサービスでもセミナーで●名程度を集客している
結論:本サービスの集客においても、セミナーの実施が有効

SDS(Summary Detail Summary)


SDSはわかりやすく伝えたい時に有効なフレームワークです。要約、詳細、要約の流れで構成されます。

■具体例
要約:新規事業に着手するには今のタイミングが最適
詳細:現在●●市場においては●●のような傾向があり、一方で競合の動向としては●●~
要約:このタイミングで弊社が●●分野に参入し、新規事業を開始することで優位性を得られる

FABE


FABEは特に営業の際に有効なフレームワークです。特徴、優位性、利点、根拠の順に説得します。

■具体例
特徴:弊社サービスの特徴は立地を生かしたリソースの集約化、IT活用によるWebでのフロー完結
優位性:他社サービスに比べてコストパフォーマンスがいい
利点:初期段階でのコスト投下に懸念をお持ちの御社にとって、初期費用をおさえて導入できる
根拠:実際に、他社での導入の初期費用は●円程度

■コツ5:事例を盛り込む

セオリーだけでは聞き手に具体的なイメージを想起させ、共感を得ることが難しいため、プレゼンテーションの際はできるだけ事例を盛り込みましょう。事例を話すことで、聞き手の理解を深め、よりリアルに提案内容の効果を印象づけられます。より説得力を高めたいのであれば、エピソードだけでなく、数字やデータといった客観的事実も交えるといいでしょう。

■コツ6:冒頭で聞き手を引き付ける

プレゼンテーションは冒頭でいかに聞き手の興味を引き付けられるかが成否を左右します。最初の30秒で「聞く価値がない」と判断されてしまうと、関心を再び得ることは難しくなります。

聞き手の心をつかむには、プレゼンテーションの目的と、最も伝えたいことを端的に話し始めることが大切です。聞き手が何に関心があるか、課題を持っているかを考え、優先順位の高い内容から先に、時間を多めに割いて話しましょう。聞き手と初めて話す場合は、自己紹介やアイスブレイクで空気づくりをすることも効果的です。

手順3:プレゼンテーション資料を作成する

プレゼンテーション資料を作成する上で最も重要なのは「わかりやすさ」です。耳から聞くだけでは十分に伝わりきらない内容をいかに目で補うかを考えることが重要です。聞き手の理解を促す資料作成のコツを紹介します。

■コツ7:スライド1枚に1メッセージを意識

スライドは情報を削ぎ落とし、極力シンプルにすることが重要です。聞き手が内容を理解しようと資料を読むことに集中してしまい、話を聞いていなかったというのでは本末転倒です。あれもこれも伝えたいという思いはぐっとこらえ、「1スライド1メッセージ」を意識し作成しましょう。一目で書いてある内容を理解できるよう、曖昧な表現も避けましょう。

■コツ8:図・フォント・色使いで視認性を高める

プレゼンテーション資料には、視覚的に情報を補い、聞き手の理解を深める利点があります。たとえば、フォントは誰でも読めるよう18ポイント以上にする、目立たせたい箇所のサイズを大きくするなどの工夫だけでも効果的です。メッセージを補完するイメージ画像を添えるのもいいでしょう。

注意が必要なのが色の使い方です。フォントやグラフなどカラフルにしすぎると聞き手にとっては解釈がしにくくなります。色数は3色以内におさえ、注目させたい箇所は同じ色で統一するなど、一貫性をもたせましょう。

手順4:プレゼンテーション実演・話し方の練習をする

資料ができたら本番の環境をイメージして、事前にしっかり実演の練習をします。プレテーションは話し方ひとつで伝わり方が大きく変わります。人前で話すことが苦手、という方はこれから紹介するコツを試してみてください。

■コツ9:声の大きさ・テンポに気をつける

プレゼンテーション本番では、緊張・焦りのせいで声が小さくなったり、早口になったりしてしまいがちです。聞き手が聞き取りやすい声量・テンポを心がけて話しましょう。

プレゼンテーションする場所の広さや音声環境によって聞き取りやすさは変わるため、会場を念頭に置いて練習します。自分のプレゼンテーションを録音したり、人に聞いてもらったりして聞きやすいか確認するのも有効です。

■コツ10:「ええと」などの場つなぎ表現を多用しない

「あの」「ええと」といった場つなぎ表現の多用はたどたどしく、自信がなさそうな印象を与えます。緊張で言葉が出てこないと場つなぎ表現を使ってしまいがちです。練習する際には、どのような接続詞を使うと効果的かを考えながら行うと、当日スムーズに話せるでしょう。

■コツ11:表情や抑揚、ジェスチャーも重要

プレゼテーションの最中はなるべく原稿を見ず、表情や声の抑揚でメリハリをつけたり、ジェスチャーを交えると効果的です。資料を棒読みするだけのプレゼンテーションは、どんなに流暢でも退屈なものです。ちょっとした工夫が、聞き手を引き付け、重要なポイントを印象づけることにつながります。

手順5:質疑応答に備える

プレゼンテーション本番ではどのような質問が寄せられるか予測しきれないため、答えられるか不安を感じる方も多いでしょう。しかし、事前準備や心構えをしておけば、即興性の高い質疑応答もこわくありません。プレゼンテーションの質疑応答をスムーズに乗り切るためのコツを紹介します。

■コツ12:想定できる質問は回答集を用意しておく

まず基本として、事前に想定問答をしっかり用意しておくことが大切です。手順1で整理した聞き手像にもとづき、プレゼンテーションのなかで聞き手が疑問を持ちそうな点を洗い出しましょう。回答の根拠となるようなデータ・実績も一通り用意しておくと安心です。

「こんなことを聞かれたら嫌だな」という質問こそ、入念に事前準備をしておくことをおすすめします。

■コツ13:質問内容を繰り返し、考える時間を確保

すぐに回答を思いつかない場合に有効なコツが「質問の内容を繰り返す」ことです。自分が回答を考える時間を確保できるだけでなく、質問者以外の聞き手にとっても、質問内容の理解に役立ちます。

■コツ14:「即答が難しい」と率直に伝える

即答することが難しい質問は、無理に答えるよりも「今はお答えすることが難しいです」と率直に伝える方が聞き手に好印象を与えます。

調べればわかる内容の場合は、正確な情報を伝えるため調べて連絡する旨を伝えましょう。鋭い指摘をもらって考えをまとめるのに時間がかかる場合も、「きちんと答えるために考える時間がほしい」と伝えればネガティブな印象にはなりません。

手順6:見た目の印象にも配慮する

プレゼンテーションは話し方だけでなく、見た目の印象も重要です。聞き手は話し手の外見や雰囲気から、「この人の話を聞いてみたいか」を無意識に判断しています。以下のコツに留意して、当日の身だしなみを整えましょう。

■コツ15:服装はTPOをふまえて選ぶ

清潔感のある服装で臨みましょう。会場や状況に合った身だしなみができているかもポイントです。特に初対面の相手なら、だらしない印象を与えないよう、シャツにアイロンがきちんとかかっているかなど普段以上に気を配りましょう。

■コツ16:姿勢を意識することで堂々とした印象に

プレゼンテーションでは話すことに集中するあまり、猫背になるなど姿勢が崩れてしまいがちです。自信のなさそうな印象を聞き手に与えるため、背筋を伸ばし、胸を張って話すよう意識しましょう。姿勢がいいと堂々とした雰囲気になり、説得力も増します。

プレゼンテーション力アップに役立つツール3選

プレゼンテーションの資料作成がうまくできない、時間がかかるという人は少なくないでしょう。テンプレートが豊富で、わかりやすい資料を作成できるおすすめのツールは、以下の3つです。

  • ・Googleスライド
  • ・Power Point
  • ・Canva

Googleスライド

Googleスライドは特にプレゼンテーション初心者におすすめのツールです。凝ったビジュアルを作り込むようなケースには不向きですが、シンプルな機能で簡単にスライドを作成できます。Googleドライブへの自動保存やリアルタイムでの共同編集も可能です。Googleアカウント保持者であれば、無料で使える点もポイントです。

Power Point

Power PointはWindows利用者に特におすすめのスライド作成ツールです。多くのテンプレートがあり、プレゼンテーション初心者からデザインに凝りたい人まで、幅広いニーズに対応しています。スライドショーやアニメーションといった機能もプレゼンテーションに活用しやすいでしょう。

費用はサブスクリプション型が年額12,984円(税込)~、買い切り型が17,904円(税込)~とやや幅があります。

※金額は2023年4月現在。実際の金額はMicrosoft でご確認ください。

Canva

Canvaは25万以上のデザインテンプレートや100種類以上のデザインタイプを活用して、誰でも簡単におしゃれなプレゼンテーションの資料を作成できる無料のデザインツールです。特に海外風のスタイリッシュなテンプレートが豊富なため、スタイリッシュな資料を作成したい人におすすめです。よりクオリティを高めたい人向けに、年額12,000円(税込)~の有料プランもあります。

※金額は2023年4月現在。実際の金額はCanvaでご確認ください。

まとめ

プレゼンテーションを成功させるためには、主張したいことを明確にし、聞き手の興味・関心に沿った内容を端的でわかりやすく表現することが大切です。適切な事前準備を行い、ビジネスのさまざまな場面でプレゼンテーションのスキルを役立てましょう。

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