• 更新日:2023/11/17

ピラティスは、体の引き締めや、骨盤のゆがみを調整するエクササイズです。ピラティスという言葉を聞いたことはあっても、よく混同されがちなヨガとの違いまでは分からないという人も多いのではないでしょうか。

本記事では、ピラティスに興味がある方向けに、ヨガとの違いやピラティスの種類、ピラティスで得られる効果などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ピラティスとはどういうもの?

ピラティスとは、インナーマッスルを強化して、体全体のバランスを整えるためのエクササイズです。

ピラティスでは、交感神経を活性化させる胸式呼吸と、体が流れるような動作を行います。体の深層部にあり、体幹に関連するインナーマッスルを鍛えることで、筋肉を強化して体のゆがみを解消して体全体のバランスを整えることを目的としています。

また、ピラティスはヨガや太極拳の要素を取り入れたエクササイズです。特にヨガとは同じようなイメージが強いので混同されがちですが、両者の間には具体的な違いがあります。ヨガとの違いは後ほど詳しくご紹介します。

ピラティスの歴史

ピラティスは、中国で昔から行われていた太極拳や、インドで長い歴史を持つヨガのように、古くから存在するエクササイズではありません。

ピラティスという名前は、考案者のドイツ人、ジョセフ・ハベルタス・ピラティス氏にちなんで名付けられました。1883年にドイツで生まれたピラティス氏は、幼いころから喘息や病弱な体に悩んでいました。そのため、自身が健康で丈夫な体になるために、さまざまなスポーツや治療方法を探求します。

そして、ティラピス氏は、第一次世界大戦中に敵国イギリスの捕虜となり、従軍看護士として負傷した兵士たちの看護にあたります。その際、負傷兵や寝たきりの患者であっても身体機能・精神の回復が叶うよう、リハビリ指導を始めました。

その中でピラティス氏が、ヨガや太極拳、スポーツやさまざまな治療法、医学的知識などを組み合わせて1900年初頭に編み出したメソッドが、現在のピラティスの原型とされています。

ピラティスの特徴と押さえておくべきこと

ピラティスには、ダイエット効果、姿勢・骨盤の改善、肩こり・腰痛の改善、ストレスの軽減などの効果があります。それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。

インナーマッスルを重視・ダイエット効果

ピラティスで期待できる効果の1つが、ダイエット効果です。ピラティスによって体幹を鍛えることで体の可動域が広がり、筋肉をしっかり動かせるようになります。その結果、筋肉量が増加して新陳代謝が活発になります。

ピラティスを継続的に取り組むことで体全体の代謝が向上すると、脂肪も燃焼しやすくなります。やせやすく太りにくい体質へと改善できるのは、大きなメリットといえます。

姿勢改善効果

ピラティスは姿勢や骨盤の改善にも効果があります。ピラティスでは、体幹を中心としたインナーマッスルが鍛えられます。姿勢を保持する役割を持つインナーマッスルが鍛えられると、背骨が伸び、反り腰や猫背なども改善され、正しい姿勢を維持できるようになるでしょう。

骨格のゆがみが調整されて正しい位置に戻ると、血流が促進され、内臓機能も改善されるので、便秘や冷え性、生理痛、むくみなどの不調も徐々に改選していくことが予想されます。

肩こりや腰痛の改善

ピラティスは、肩こりや腰痛などの改善にも効果があるエクササイズです。背中を反らす・腕を動かすなどの運動によって背中回りの筋肉がストレッチされると、背筋が伸びて血流が促進され、腰痛が改善されます。体全体の血流も改善されるので、凝り固まった筋肉がほぐされ、肩こり・腰痛の解消につながります。

基本は胸式呼吸・ストレスの軽減

ピラティスはストレスの軽減にも役立ちます。ピラティスでは、筋肉や関節など、一つひとつの動作を正確に行うために、集中力を働かせて取り組みます。集中することで精神的な落ち着きが得られ、ストレス軽減へとつながります。

深呼吸をして体を動かすことで自律神経も整うので、同じくストレス軽減効果が期待できます。

ピラティスに専用の道具は必要?

ピラティスには、大きく分けてマットピラティスとマシンピラティスの2種類があります。それぞれの特徴を解説していきます。

マシンピラティスとは

マシンピラティスは、専用の器具を使って体を鍛えるピラティスです。大型器具を使用して体を鍛えるので、体にかかる負荷を器具でコントロールできることから、初心者にも向いています。

また、マシンピラティスでは、「リフォーマー」「チェアー」「バレル」「キャデラック」などといった専用の器具を使用します。500から600ほどの種類のエクササイズがあるといわれています。

中でもリフォーマーは、体を「リフォーム」するための大型マシンです。ピラティス氏が、負傷兵が寝ているベッドをリハビリ用に改造したものが原型とされ、寝転ぶ、座る、立つなどさまざまな動きのエクササイズが可能です。エクササイズだけでなく、手術後やケガのリハビリにも活用されています。

ただし、マシンピラティスは大型器具を使うため、専用の環境が整ったジムやレッスンルームなどに通う必要があります。マット一枚で気軽に始められるマットピラティスと比較すると、やや敷居が高いといえます。

マットピラティスとは

マットピラティスとは、やわらかいマットの上で行うピラティスです。一般的にピラティスといえば、マットティラピスのことを指しています。マット一枚あれば実践できるので、自宅でも手軽に取り組めるのがメリットです。

マットピラティスには、基本形だけでも約40種類のエクササイズがあります。マットの上のみで動作が終わるエクササイズもあれば、大小のボールやゴムベルトなどの補助道具を使用する場合もあります。全身をくまなく鍛えらるため、姿勢の改善や、シェイプアップ効果などが期待できます。

もともとピラティスは、患者の身体機能を回復させるためのリハビリを目的としてスタートしたエクササイズなので、ベッドの上で行われるのを前提に開発されました。それが、次第にマットの上で行われるエクササイズとなっていきました。そのため、一般的なボディメイキングピラティスのほか、妊娠中の人向けのマタニティピラティス、高齢者向けのシニアピラティスなどもあり、老若男女問わず親しまれています。

ピラティスとヨガの違いとは?

ピラティスとヨガはよく混同されがちですが、起源や目的の違い、効果の違い、行うタイミングの違いなど、具体的に異なるポイントがあります。それぞれの詳細について解説していきます。

目的の違い

ピラティスは、もともと病弱だったピラティス氏が、自身の健康と負傷した兵士たちの身体機能と心身のバランスを向上させる目的で考案したメソッドです。

ピラティス氏は、患者がベッドで寝たきりの状態でも体の機能を取り戻せるよう、リハビリ指導を重ねながら、ピラティスの原型となるメソッドを考案しました。やがて彼のメソッドが、身体機能の強化や心身のバランスに効果があると話題になり、世界に広まったとされています。
ピラティスがヨーロッパで考案された比較的新しいメソッドであるのに対し、ヨガの発祥地はインドで、数千年にわたる古い歴史を持ちます。ヨガの原型は紀元前3世紀には形作られていたとのことで、もともと修行のための瞑想を目的とした取り組みでした。このように、ピラティスとヨガには歴史・目的ともに大きな違いがあることが分かります。

効果の違い

ピラティスの目的は、姿勢や身体機能の改善です。一方、ヨガの目的は、身体機能よりも精神面での安定、心身を内面から整えることを重視しています。そのため、得られる効果の違いから、取り組みの仕方にも違いが出てきます。

ピラティスでは、日常生活で使っている胸式呼吸を使い、息を吸って胸を膨らませる・息を吐いて胸をへこませる動作の繰り返しにより、交感神経を刺激します。交感神経が優位になることで心身が活性化されるだけでなく、インナーマッスルが鍛えられ、姿勢や身体機能の改善が期待できます。

一方、ヨガは腹式呼吸を基本としています。腹式呼吸では腹部を膨らませる・へこませる動作の繰り返しにより胸郭を広げます。腹式呼吸によって副交感系神経を刺激することで、リラックス効果が得られ、精神的な安定につながるでしょう。

実践方法の違い・タイミングの違い

ピラティスを行うタイミングは、昼から夕方にかけての時間帯が適しているのに対し、ヨガは就寝前に行うのが理想です。

ピラティスでは胸式呼吸を使用するため、交感神経が活性化されます。交感神経が活性化されると筋肉が刺激され、心身も活性化されて体を動かしやすくなります。そのためお昼や夕方といった活動的な時間帯に行うのが最も効果的です。夕方以降にピラティスを行うと、交感神経が活性化されて睡眠が妨げられるため避けた方がいいでしょう。

対するヨガは、夜寝る前に行うのが理想的です。ヨガの腹式呼吸により副交感神経が刺激され、筋肉の緊張

ピラティスに向いている人・向いていない人

ピラティスは、姿勢を改善したい人、論理的に考えられる人、体を動かすのが好きな人、自分と向き合う時間が欲しい人などには向いていると言えます。逆に、すぐに体重を落としたい人、ボディビルディングをしたい人、体調に不安のある人などは、向いていないでしょう。それぞれの特長について見ていきましょう。

ピラティスに向いている人

まず、ピラティスに向いている人はどういったタイプなのか解説していきます。


姿勢を改善したい人

ピラティスは、姿勢を改善したい人に向いています。ピラティスでは、体のインナーマッスルや骨を意識しながら体を動かします。正しく力をかけて体を動かせるようになると、姿勢が改善されます。姿勢が整うと見た目にも美しく、ボディラインも整うでしょう。

筋肉が伸びて猫背や反り腰なども改善されると、血流も促進され、ぽっこりおなかの解消にもつながります。


論理的に考えられる人

ピラティスは、論理的に考えられる人にもおすすめです。ピラティスはヨガの要素を取り入れつつも、解剖学に基づいて考案されたエクササイズです。そのため、個々の動きのすべてに根拠があり、なぜその動きをするのか説明できるので、論理的な思考を持った人は納得感を得られます。

そうした背景から、機能的な体の動かし方を学びたい人にも適したエクササイズです。


体を動かすのが好きな人

ピラティスは体幹を強化したり、肩甲骨や股関節の可動域を広げたりするエクササイズです。これらの取り組みはほとんどすべてのスポーツに影響し、身体機能の強化や柔軟性の向上といった効果が期待できます。
野球や陸上、サッカーなどさまざまな分野のアスリートも、トレーニングの一環としてピラティスを取り入れています。この点でも、スポーツや運動などで体を動かすのが好きな人に適したエクササイズといえるでしょう。


自分と向き合う時間がほしい人

ピラティスは、自分と向き合う時間がほしい人にぴったりです。

現代人の多くは日々さまざまな用事に追われ、ゆっくり息をつく時間がなかなか取れません。ピラティスなら、エクササイズで筋肉や骨を意識しながら体の一つひとつの微妙な動きに合わせて呼吸を行うことで、自分の体を集中的に見つめ直せるので、じっくり自分の内面を見つめ直す時間が作れます。

ピラティスに向いていない人

次に、ピラティスに向いていない人はどういったタイプなのか解説していきます。


すぐに体重を落としたい人

すぐに体重を落としたい人は、ピラティスにはあまり向いていません。というのも、ピラティスに即効性はなく、レッスンに数回通っただけで減量したり体型が変化したりするような効果は得られません。

ピラティスは、3ヵ月程度継続すると徐々に効果を実感できるといわれています。短期集中よりも、長期でゆっくり成果を獲得していきたい人に向いているエクササイズです。


ボディビルディングをしたい人

ピラティスは、ボディビルディングをしたい人にも向いていません。ピラティスはあくまで体幹部をはじめとするインナーマッスルを鍛え、ボディラインを整えるためのエクササイズなので、体を大きく見せる筋肉を鍛えるものではありません。


体調に不安のある人

体調に不安を抱えている人にも、ピラティスはおすすめできません。ピラティスには筋肉や関節を動かす動きが多いので、膝や股関節に深刻な不調がある場合や、深刻な腰痛がある場合は避けるべきです。どうしてもピラティスを行いたい場合は、まずかかりつけ医に相談することをおすすめします。

まとめ

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ピラティスは、20世紀に入ってから考案された歴史の浅いエクササイズで、胸式呼吸や動作を通じてインナーマッスルを鍛え、姿勢や身体機能の改善などを目的としたものです。肩こりや腰痛・ストレスの解消などの効果もあります。対してヨガには古い歴史があり、腹式呼吸やポーズを取って心身を鍛えることを通じて、リラックス効果などが得られます。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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