• 更新日:2024/03/14

電気業界は、電気主任技術者の不足が喫緊の課題です。電気関連企業は、電験三種試験の合格者を増やし、電気主任技術者の不足を補う取り組みに注力しています。行政も電気主任技術者を増やすために、電験三種の試験制度を改正しました。試験は年に2回になり、CBT方式と筆記方式を選べるようになっています。

この記事では、電験三種の基本からCBT方式の紹介、電気主任技術者が不足している理由などを解説します。電気業界に興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

電験三種の試験日

電験三種の試験は、令和4年度から年に2回実施されています。次の試験は、令和6年度の上期で、日程は次のようになります。

  • 受験申込み受付日:令和6年5月20日(月)~6月6日(木)
  • CBT方式の受験期間:令和6年7月4日(木)~7月28日(日)
  • 筆記試験の受験日:令和6年8月18日(日)

CBT方式については、後ほど詳細に解説しますが、受験期間中は都合のいい日を選べて、試験の3日前までは試験日と試験会場の変更が可能です。

電験三種の試験科目と試験時間

令和4年から電験三種の試験には、CBT方式が採用されました。これまでの筆記方式も併用して行われます。受験者は、CBT方式と筆記方式を選択できるようになりました。電験三種の試験科目と試験時間などを表にまとめています。

【電験三種の試験科目と内容・試験時間】

試験科目 試験内容 試験時間と参考スケジュール
理論 電気理論・電子理論・電気計測・電子計測 90分(9:15~10:45)
電力 発電所や変電所の設計・運転・送電線路・配電線路などの設計や運営、電気材料など 90分(11:25~12:55)
機械 電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機応用などの電力システムに関する情報伝送・処理 90分(14:45~15:45)
法規 保安に関する電気法規や電気施設管理 65分(16:25~17:30)

CBT方式について

CBT方式は、試験会場のパソコンを使って実施される試験方法であり、電験三種試験の場合は次のようになります。

  • CBT方式は指定の会場にてパソコンとマウスを使って受験する試験方式
  • 全国約200ヵ所で実施
  • スケジュール調整がしやすいことがメリット

ここでは、CBT方式の概要とメリットをそれぞれ解説します。

CBT方式の概要

CBT方式のCBTとは、Computer Based Testingの略称であり、コンピュータ上で試験を行う方法のことです。CBT方式は試験会場にて、パソコンやマウスなどを使って受験します。電験三種のCBT方式の概要や特徴の1つは、筆記試験日の1か月半程度前から、4週間程度の日程で実施されることです。

試験会場は全国200か所もあり、アクセスしやすくなっています。試験会場や試験日は、受験予定日の3日前まで変更できることが大きな特徴です。出題方法はこれまでと変わりませんが、受験生によって問題が異なります。CBT方式での受験を希望する場合は、電験三種の受験申込完了後にCBT方式での受験手続きが必要です。

CBT方式を申込まない場合は筆記試験となるため、受験日や試験会場を確認してください。CBT方式申込み後に受験しなかった場合は欠席扱いになります。欠席となれば筆記試験も受けられないため、CBT方式から筆記試験に変更する場合は受験期間中に変更を申し出るようにしましょう。

CBT方式のメリット4つ

CBT方式は、筆記試験よりも自由度が高いため、さまざまなメリットがあります。1つ目のメリットは、受験日と試験会場を自分で選べることです。自分のスケジュールに合わせて受験できるため、スケジュール調整の負担を軽減できます。また、試験会場も自宅や会社から近い試験会場を自由に選択できます。

試験日と試験会場の変更が試験日3日前まで可能であることが、2つ目のメリットです。筆記試験は、1日しかないため、試験日の変更はできません。CBT方式なら、急用があったり勉強が少し遅れたりしている場合は、簡単な手続きで試験日を変更できます。

3つ目のメリットは、期限内であれば筆記試験に変更できることです。また、4つ目のメリットは、その場で点数が分かることです。どの科目で何点取れているのかが分かるため、不合格でも次の対策が取りやすくなります。

科目別合格制度を上手に利用

電験三種の科目別合格制度は、4つの科目ごとに合否判定が出る制度です。結果的には4科目全てを合格しなければ、試験合格の認定を受けられませんが、合格した科目は、最大で5回(翌々年の試験)まで次の試験が免除されます。

受験者は、合格した科目の試験が免除されるため、不合格科目に集中して勉強に取り組めます。注意したい点は、合格科目の免除申請です。合格した科目の免除申請をしていなければ、不合格扱いにあり再度受験しなければなりません。

科目別合格制度により、電験三種の試験に望む受験者も増えることが予測されており、電気主任技術者が不足している状況の改善にも役立つでしょう。ただし、試験回数は増えても、難易度は緩められていないため気を抜かないことが大切です。

電験三種とは

電験三種は、正式名称を「電気主任技術者試験」といい第三種から第一種に分類されている国家資格です。電験三種を知るためには次の項目を理解しましょう。

  • 電験三種は3種の電気主任技術者の1つ
  • 電験三種(第三種電気主任技術者免状)の取得者は、電気主任技術者として選任される

電気技術者の種類

電気主任技術者は国家資格であり、発電所や変電所、ビル、工場などの電気設備に関わる保全監督を行う技術職です。電気主任技術者には、3つの区分があります。最も資格の取得が難しい区分が電験一種であり、次に電験二種、そして電験三種です。

電験一種は、発電所から工場などの事業用電気工作物の工事や維持、運営などができます。電験二種は、電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事や維持、管理、運営が可能です。電験三種については、次項で詳細に解説します。

電験三種で行えること

電験三種の試験に合格すれば、第三種電気主任技術者免状を取得したことになり、取得者でなければできない仕事ができるようになります。具体的な仕事内容は、電気施設のうち電圧が5万V(ボルト)未満の保守監督です。

一般的に電柱の電線が電圧6,600Vですので、多くの電気施設で保守監督などの仕事が可能となります。ただし、出力が5,000kw(キロワット)以上の発電所での保守監督はできません。電気施設は、発電所や変電所のほか、工場やビル、マンションなどにも設置されているため、電気のスペシャリストとして活躍できる場所が多い資格です。

電験三種(電気主任技術者)が不足している理由

電験三種試験取得者が不足している理由は次のようになります。

  • 少子高齢化と電気業界全体の人材不足
  • SDGsなどの影響で発電設備が急増
  • 自然災害の多発

ここでは、それぞれの詳細を解説します。

全体の減少傾向と高齢化

電気業界は少子高齢化の影響を受けており、電験三種試験の取得者は60代が最も多い状態となっています。つまり、業界全体が高齢化していることが実状です。

電験三種を受験して合格する人数は、年単位でほぼ横ばいですが、電験三種試験に合格しても保安系への就職は2%程度でとどまっています。電気業界への就職を希望する若年層も少ないため、電験三種を取得する若年層も少ない状況です。

発電設備の急増とその対応者不足

SDGsなどの取り組みにより、再生可能エネルギー発電設備が急増しています。しかし、それを保守管理できる電験三種の取得者が不足していることが現状です。再生可能エネルギーには、太陽光発電が有名ですが、地熱や風力、水力、揚力など自然の力を利用する発電方法があります。

日本は、2050年にカーボンニュートラル宣言をしているため、今後も自然エネルギーを活用した発電設備は増え続けるでしょう。電験三種取得者の需要もさらに高まるため、電験三種の受験者を増やさなければなりません。

自然災害への対応者不足

地球の温暖化などの影響を受けたり、大きな地震が発生したりして自然災害は増えています。電気は生活に必要なライフラインであり、自然災害が起こったとしても、家庭や企業に供給し続けなければなりません。近年はオール電化の家庭も増えており、電気の需要も増えています。

もし、自然災害により停電となった場合、早急な復旧が求められます。電験三種を取得すれば、ライフラインの早期復旧に貢献することが可能です。しかし、自然災害が増えても、電験三種の取得者が増えなければ、自然災害による停電などに対応できる人材がさらに不足します。電験三種の取得者を増やすことは、電気業界だけでなく行政も含めた喫緊の課題です。

まとめ

電験三種の試験は、令和4年度から年に2回となり、CBT方式も導入されました。また、科目別合格制度も導入されており、チャレンジしやすい環境が整いつつあります。CBT方式には多くのメリットがあり、期間内であれば受験日や試験会場の変更も可能です。期間内であれば筆記試験への変更もできます。科目別合格制度を上手に利用すれば、合格の可能性も上がるでしょう。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

電験三種の合格率・難易度は?

電験三種の合格率は、例年、全科目が10%前後。他の国家資格と比較して難易度が高めの資格。しかし、難関資格なだけに、資格取得後の転職や就職はかなり有利になりため人気の資格です。

電験三種(電気主任技術者)の年収は?

電験三種(第三種電気主任技術者)の平均的な年収は、350万~500万円です。資格手当は、月額1万円程度。なかには年収600万~700万円を提示している企業もあります。ニーズが高く給与以外のメリットも大きい資格です。

電験三種は独学で目指せる?

難易度は高いものの、独学で合格を目指すことも可能。ただしデメリットも大きい。電験三種取得を独学で目指すなら、通信講座も選択肢。不明な点を講師に質問可能。

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一定規模以上の電気設備の管理、工事の保安監督を行う電気のスペシャリストである電験三種。電気設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保安の監督者として、電気主任技術者を選任しなければならないことが法令で義務づけられています。そのため有資格者は業界内になくてはならない存在となり、非常に高く評価されます。電験三種の資格があればキャリアアップはもちろんのこと、転職・就職に有利ですので、昇進・昇給を考えている方、定年後に再就職を考えている方におすすめの資格です。
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